2021/01/04 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群 『蜂』」に羅刹さんが現れました。
羅刹 > 昼間の落第街は、その名に反して多少静かである。
ただ、その中に蠢く闇が消えているわけではない。

「ちょい落ちてんな…、人材不足は地道に解消していくしかねえのぉ」

『蜜の園』、と書かれた店の周囲で煙草を吸いながら通信端末を眺める男。
見ているのは…この違反組織、『蜂』が経営する風俗店の売り上げと従業員についてのデータである。
ゴミ溜めの蝶としてある程度着飾らせ、ケアをして客の相手をさせているが…
やはり、この地区では暴力や病気などで使えなくなる者も多い。
もちろん、そんなオイタをした者には制裁は加えているが、ゴミ溜めにはゴミが溜まり続けるものだ。

蜥蜴という組織において、『蜂』と『蜘蛛』によって資金源が成り立っている。
だからこそ、風紀委員に踏み込まれた時に備えてリーダー候補は何人か選出している。
問題としてはその下。実際に客を相手にする人材が不足してきている。

羅刹 > 「…ったく。客取れるようにするのにどれだけかかるかわからんのだろうな。
表から盗ってくりゃはええんだが…辿られたら面倒の方が多い」

ここに居る者なら、彼の特殊能力で店に従事させやすい。
しかし、表…明るい場所に居る連中は彼に警戒心を抱いたり、倫理感がしっかりとしているため懐柔しにくい。
無理に連れてくるにしてもその後の教育にも手間がかかり、風紀委員に余計な目を付けられかねない。
総じて、デメリットの方が大きい。
一番良いのは、落第街で見繕うことだが。そもそも、女でここまで落ちてくる者が少ないのだ。

「……蜘蛛の方を広げるべきか。先細りは避けたいが、潰れちゃ意味ねーからな…」

もう1つの資金源は、薬だ。
質が良いものから悪いものまで、麻薬を広めている。
ただそれは、この街を壊し続けるものだ。
モノだけがあっても、それを買う相手が完全に壊れてしまえば意味はない。
しかし、牙を研ぐために金は必要だ。
そんな葛藤にがしがしと頭を掻いている。

羅刹 > (欲を言えば、秘密裏に脅迫なんかができればベストか)

表の人材を捕えて弱みを握り、そこから騒ぎを大きくしないよう口止めした上で更に人材をこちらに流させる。
誘拐からつなげていく計画だ。
それにしても、足が付くか、捕らえた者が恐怖しなければ意味がない。

(風紀のボケ共なら、蟻が運んできた新薬を試してもいいかもしらんな。
壊れてもそれはそれで戦力を削ぐことになる…)

スーツのポケットには青い錠剤が入っている。
蟻と呼ばれる違法なブツを運搬するための組織が新たに仕入れてきたものだ。
効果は強烈な幻覚と錯乱による高揚。
効果は短く、中毒性も比較的短期間で抜けるが、これを服用させることによって彼の特殊能力が活きる。

(ま。今は本格的な手出しは難しいじゃろぉな。鉄火もシンデレラも厄介な上にそれ以外にも単独で俺らを潰せる人材がおる。全く、憎々しいの)

ぼやいていても仕方がない。
下部組織からの連絡があればすぐ対応できるようにしつつ、『蜂』の今後についての案を纏めていく。
煙草は半分ほどが灰に消え、汚い地面に落ちていって。

羅刹 > ――やがて、営業時間が始まる。
今日も夜の街を賑やかに彩るため、頭はその場を去った

ご案内:「違反部活群/違反組織群 『蜂』」から羅刹さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に雪景勇成さんが現れました。
雪景勇成 > ――特務広報部に臨時隊員として出向、配属されてからの初仕事――とはいえ。
やる事は特別攻撃課時代とそこまで変わりはしない。”敵”をただ完膚無きまでに殲滅する。それだけだ。

「――こちら、雪景…作戦は順調に進行中。ぼちぼち終わります。」

インカムで軽く状況報告を淡々と終えながら、腰に提げた四刀と肩に担いだ鎖に巻かれた布包みを携え歩く。
勿論、単独行動ではなく仲間もそれぞれのポジションで作戦を展開している。
…とはいえ、元より群れるのは好きじゃあなあい。仕事だから周りに合わせてはいるが。

(…まぁ、こうして単独行動を取れるのは気楽だが)

周囲の”先輩”方の手際も中々に見事なものだ。『英雄狩り』は伊達ではないらしい。
…さて、仕事は仕事。速やかに淡々と終わらせよう。そこには何の感慨もない。
”何時もの事”だ。敵対相手の事情や心情など知った事ではない。目標地点に到達すれば足を止めて。

「さて――…と。」

雪景勇成 > 「――じゃあ、給料分の働きをやるとするか。」

無造作に左手から、忽然と全長数メートルには達する異形、と言っても差し支えない大剣を取り出す。
重々しく、切るというより叩き潰すという表現が似合いそうなそれを左手一本で緩く携え――…

「――あー…こちら雪景。今から建物ごと叩き切るから、巻き込まれないように。
それと、やり損ねて脱出した有象無象はよろしく。」

通信終了。間際に無線から『はぁ!?』とか『お前何する気だ!?』と、困惑と抗議の声が聞こえた気もする。
まぁ、どうでもいいか。――と、いう訳で。


――無造作に左手を振り抜くように巨大な大剣を一閃。轟音と共に目の前の建物を袈裟懸けにぶった斬る。
…おまけだ。振りぬいた勢いをそのままに、身を翻してもう一閃。今度は縦にぶった切っておく。

一瞬の間…そして轟音と砂埃、瓦礫が飛び散り建物が丸ごと崩落していく。
勿論、中に仲間が突入していないのは確認済みだ。それ以外?…知らん。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に【虚無】さんが現れました。
【虚無】 >  
 濛々と立ち込める土埃、崩れ落ちる瓦礫。その中を悠々と歩く一人……とそれに引きずられる形の一人。

「本当に……うるさい街になった」

 そういいながら歩いてくるその男に傷は見当たらない。瓦礫も土埃も彼の近くに寄ればまるでそれを避けるかのように逸れる。
 そうして煙の中から現れるのは黒狼のマスクをした男。そして……

「大方目的はこいつだろう……悪いがもう死んでいる。話を聞きたかったのならすまなかったな」

 そうして見せつけるのはここの拠点を仕切っていたボス。胸部に1撃を受け既に絶命しているのがわかるだろう。
 それから周りへと目線を投げかける。

「この中で単純に戦闘力が1番高いのはお前だと踏んだからここへ来た……交渉といかないか風紀委員。お前はこいつを殺した、もしくはとらえたという証が必要だろう。もしここで見逃すならこのまま死体はくれてやる」

 どうだと首を傾げ問いかけた。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に雪景勇成さんが現れました。
雪景勇成 > 「―――面倒臭いな。」

濛々と立ち込める土埃。無線の向こうは慌てふためいているが、この程度でいちいち驚く事でもないだろう。
と、そんな冷めた思考はそのままに、向こうから悠々と”無傷”で現れる人影。

左手に握っていた異形の剣は何時の間にか消えうせており、右手で細長い布包みを担ぎ直しながら、その煙の向こうから現れた人物を眺める。

…黒い狼のようなマスク。見覚えは無いがどのみち、特務広報部の仲間以外は全員”敵”だろう。
とはいえ、予定外の乱入相手とは面倒臭いな…と、思ったが故の先の呟きだ。

「―――別に、そいつが死んでようが生きていようがどうでもいい。元々生死問わずの作戦だったからな。」

既に事切れているそのボスを一瞥する。胸部に一撃…このマスクの人物がやったのだろう。
が、別にそれはどうでもいい。遅かれ早かれ叩き切っていた有象無象に過ぎない。

「――交渉する必要性を全く感じないが。そもそも、お前がさっさと逃げればそれで終わる話だろう。」

わざわざ姿を見せなくても、この相手は手際は良さそうだ…今の崩落に紛れて逃げる事も不可能ではないだろうに。
そもそも、交渉や取引…その手の類を持ち掛ける相手を彼は間違えている。

肩に担いでいた細長い布包みを無造作に下ろしつつ、それを杖のように先端で地面をカツン、と一度叩きながら。

「―――交渉や取引は他所でやれ。俺はただ仕事をこなすだけだ。それ以外の余計な些事はいらねぇよ。」

…よって、目前の相手を叩き切る事に迷いは無い。ボスの死体?まぁそれはそれだ。

【虚無】 >  
「後ろから遠距離斬撃で切り裂かれるのは趣味ではないからな」

 交渉の必要がないという言葉にはそう返す。彼の能力のスパンなどはまだわからない。仮に連発できるとすれば目立つ自身の飛行能力では彼がいる限り上に逃げるというのは悪手でしかない。
 だがいざ来れば……ある意味で予想通りと言うべきか。
 軽くため息を吐く。

「残念だ……できれば今風紀委員と矛を交えたくはなかったんだがな」

 見せつけるようなその姿勢のまま微動だにせず。
 しかし瞬間。金属を打ち付けるような甲高い音と同時にボスの死体が一人でに動きだす。
 否、弾丸のようにそれそのものが質量爆弾となりまっすぐに飛んでくる。

「一つ救いなのは……お前が強者であることだ。死なれては余計に面倒だったからな」

 ジジジジ。羽虫が電燈で焼かれるような音が小さく響く。それは彼の腕は今紫電に覆われていた。
 

雪景勇成 > 「――そう簡単に斬られる相手にも見えないがな。」

やれやれ、こういうのがゴロゴロ居るから本当に落第街(ここ)は面倒臭い。
だが、仕事は仕事だ。己はただ機械的に淡々と仕事を全うするのみである。

「――そっちの事情なんか知らねぇよ。こっちだって予定外の相手なんて面倒でしかない。」

淡々と無感情に返しながらも、視線は静かに相手を見据えている――…と。
次の瞬間、何か甲高い金属音と共にボスの死体が勝手に動き出し…否、真っ直ぐこちら目掛けて飛んでくる。
まともに直撃すれば怪我は免れないそれを、まるで煩い蝿を叩くかのように右手の布包みで豪快にスイング。

直後、肉を潰すような音と共に、死体は別の方角へと弾き飛ばされて壁に激突した。
血で汚れた布包みをちらり、と一瞥してから何事も無かったかのように彼へと視線を戻し。

「……口数が多い奴だな。」

心底面倒臭そうにぼやきながらも、特に構えなどは取らない自然体の佇み。
彼の腕が紫電に覆われるのを一瞥してから、あぁ、本当に面倒臭いとばかりに吐息を漏らし。

「……残業はしたくないんで、さっさと済ませよう。」

腰の刀には手を付けず、右手に携えた布包みを緩く素振りをしてから、相手の出方を見るつもりか動く気配が無く。

【虚無】 >  
「面倒ならば見なかったことにして終わらせれば良いだろう。目的は果たしたはずだ」

 とつい今しがた豪快に壁にたたきつけられた男を見やる。
 だが息を吐き出す。

「まぁそれができないのが風紀委員か、法というのも大変な事だ……少し同情するよ」

 相手は動かない。
 こちらの出方を見るというのもあるだろうが……それ以上に遠距離攻撃を放ってこないのはあれが短期間で打てる代物ではない可能性があるということ。
 だとすれば彼の言う通りここに出てこないで逃げるべきだったのだが。本当に間が悪い。
 こうなると取れる作戦は二つ。ひとつは彼を倒し逃げる。もう一つは……彼が応援を呼ぶその一瞬、通信機の触れるその瞬間に射程の外まで逃げる事。
 作戦は考えた後は行動するだけだ。
 それから少しだけ挑発するような口調へと変えた。

「口数が多い、さっさとすませよう。強気な言葉を使う割には攻めてこないんだな風紀委員……怖いのか」

 キィン!! 甲高い音と同時に移動するのは頭上。剣の間合いの外。

「望みなら先に攻撃をしてやるさ……これで気絶した振りをしてくれれば終わらせられるぞ」

 そのまま空中で足を振り下ろす。刹那空間がゆがむ。
 大気と光、それらを拒絶し蹴りだしたそれは衝撃波となり地上へと襲い掛かる。

 

雪景勇成 > 「――そもそも、お前が俺の前に姿見せなければこっちもさっさと終わらせて帰ってるんだけどな…。」

ボスの死体にはもう一瞥もくれない。死体に思いを馳せる感傷なんてこの男には無い。
彼の言葉に、ただ肩を緩く竦めるのみだ。同情されようがされまいが仕事は仕事。それ以上でも以下でもない。

読み合いの様な間――相手もこちらの出方を窺っているのだろうが。
この男が考えている事はもっと単純だ。つまり「さっさと終わらせて飯食って寝たい」。それだけである。
下手すれば命の危機もあるような強敵…かもしれないが、何処か他人事のようだ。

「――月並みな挑発は止めとけよ。そっちがさっさと尻尾巻いて逃げてくれれば俺は帰れるんだ。」

全く動じずに淡々と応じる。挑発の言葉よりも、先ほどから意識は彼の動きに注視されている。

――と、再び先ほども聞いたような甲高い金属音のような響き。これは奴の異能か魔術だろうか?
さて、どう来るやら――と、思っていれば。一瞬でこちらの頭上に奴が居た。

「…単純な瞬間移動って訳でもなさそうだな。」

と、呟く間にも既に彼の攻撃はこちらへと放たれている。
彼が足を振り下ろした刹那、空間が歪み――強烈な衝撃波が襲い掛かってくる。

…回避は難しい、かといって生半可な防御は貫かれそうだ。…じゃあ、こうしよう。

「―――。」

無言で得物を持つ右手、ではなく何も持たない左手で頭上を振り抜く。途端、その軌跡に沿うように空間が”裂けた”。
そこに衝撃波が”吸い込まれていく”…代わりに、彼目掛けてその裂け目から飛び出した数メートルにも達する槍のような刀剣が亜音速で射出されていく!

【虚無】 >  
 ほんの0コンマ数秒の世界だろう。だが自身にはそれが数十秒もあるかのように思える。
 亜音速。その人を超越した速度のそれを前にそんな現実との誤差が生じる。
 取った手段は。腕を振り下ろす事。腕に当たったそれは甲高い音と共に違う方向へと。同組織の他の倉庫に命中するとなぎ倒し大爆発を起こす。

「……さっきの発言を聞く限り、おとなしく逃げれば見逃してくれるということか?」

 だが、途中聞いたその言葉を聞き追撃はしない。再び地上に降りると彼と距離を取り、そう尋ねる。
 はじめ相手を見た際にどこか攻撃の意図を感じた。故の行動だったが。
 もし違うのであれば攻撃をする必要など一切ないわけで。
 
「もしそうならおとなしく逃げさせてもらうが。最初に話した通りこちらに風紀委員と戦闘する意思はない。自衛以外ではな」

 組織としても個人としても今風紀と激突するのは悪手でしかない。
 もし逃げられるのなら今すぐにでも逃げ出したい所だ。

雪景勇成 > (魔術――にしちゃあ詠唱の類が無いのが妙だな。やっぱり異能の類か?)

お互い、容赦ない攻防を一瞬の内に繰り広げながらも観察は怠らない。この予定外の相手の情報を少しでも多く得ておかなければならない。
あくまでそれは仕事の範疇であり、彼個人の考えや思いではないのだけれど。
裂け目から飛び出した槍のようなそれは、速度もだが形が捻じ曲がったように歪だ。
まともに当たる――かと思いきや、彼が振り下ろした腕に当たった異形の槍は明後日の方角に弾かれ――今回の標的の組織の倉庫に直撃、派手な爆発を撒き散らす。

「――俺は仕事以上の事はやる気がないんだよ。
お前を叩き切れって仕事なら遠慮なくやるが、別にそうでもない。サービス残業は御免だね。」

仕事の範疇なら機械的に感情を交えず、ただ淡々と殺すし壊すが。
少なくとも、今回の標的”外”の相手まで潰せという指令(オーダー)は受けていない。
良くも悪くもそこは忠実、というより清々しいまでに割り切っていた。

「――あぁ、逃げるならさっさとしてくれ。お前みたいなのと好き好んでやりたかねぇよ面倒臭い。
さっきも言ったが、仕事の範疇にお前の抹殺とかは含まれてねーんだ」

逆に言えば、そういう指令が下されればどちらかが死ぬまで任務に当たるが。
右手の得物を肩に担ぎ直しつつ、左手をヒラヒラとやる気無さそうに振ってみせる。

普通なら不意打ちの可能性なども考慮するかもしれないが、この男からはもうやる気が全く感じられない。

どのみち、ボスの死体はまぁ原型は留めているから、それを証拠品として回収すれば仕事自体は完遂だろう。

「――個人かどっかの組織の一員かは知らんが、お前みたいな面倒な能力持ちとやりあうのは骨が折れそうだ。」

一つだけ、明確な収穫は彼の不可思議な攻撃がおそらく異能の類である、という事くらいか。
こちらも能力を晒してしまったが、まぁそこはおあいこだろう。

【虚無】 >  
「……ここに派遣されてくる風紀委員というのは仕事だからと割り切るのが大半なのか? その言い回しをする奴を俺は多く知っているが」

 そのような言い回しは本当によく聞く。それこそ鉄火の支配者ですらそれに近い事を言い、実際直接戦闘は1度しか行っていないわけで。
 こちらも相手を見据える。飛んだ瞬間に迎撃、というのは常套手段だ。だからこそ相手をしっかりと見据えるが。
 彼にも戦闘の意思は見えなかった。能力を解除する。

「まぁいい。追いかけるつもりがないならそうさせてもらう……ああ、そうだ」

 ついでだ。彼らも巻き込んだ方が手早く事が進む。
 たしかにやり方が過剰というのはあるかもしれない。しかし……彼らの力と組織力は間違いなく強力な兵器だ。
 ポケットからひとつの小袋を取り出す。それは黄色い錠剤。

「ここの組織の奴も持っていた……この薬の事に関して何かしらないか? 最近これ関連の事を追いかけていてな」

 それはSpiderと呼ばれる錠剤。最近この街を中心に広まっている薬物……だがそれ以上の情報を自身はしらない。しかし風紀委員でもある彼ならばもちかしたらと思いそう尋ねた。
 

雪景勇成 > 「――少なくとも、俺には正義感だとかそういうのは全くねぇよ。ただ仕事をこなすだけだ。」

淡々と言い切る。正義感だとか義務感だとか、そういうのは特に無い。
風紀に属しているのも、単に”拾われた”借りを返しているだけ…それ以上でも以下でもない。
義理堅いといえばそうなのかもしれないが、だからといって人情味があるとも言い難い。
どちらにしろ、命令次第で平然とこの街を蹂躙する事に躊躇いはないのだから。

「何だよ、逃げるならさっさと逃げ―――…あ?」

さっさと逃げるのかと思いきや、何やらポケットから小袋を取り出してこちらに中身を見せてくる。

「黄色の錠剤――『spider』…っつったか」

特別攻撃課時代も、その薬を捌いていた連中を”殲滅”した覚えが何度かある。
が、確かまだ尻尾は掴めていなかった筈だ――どうやら、今回の標的組織にも流れていたらしい。

「…確か、他に『赤』と『青』の錠剤もあった筈だが……いや、待てお前どさくさで風紀委員(おれら)を巻き込むつもりじゃねーだろうな?」

気付いたのか舌打ち。これも報告書で挙げないといけないのが面倒臭い。
報告に書かなければいいだけなのだが、報告書を挙げるのも『仕事』の範疇だ。つまりきっちりやらないといけない。