2021/02/16 のログ
刀々斬 鈴音 > 「さてと……じゃあ、ルークの……えと、きー君は探査魔術で地下とか隠し部屋とかないか探って見て!
 なかったら撤収準備ね!」

大雑把な探索魔術。大きな空洞の位置などが分かるので魔術によって保護されてない隠し部屋何かは発見できるが……

『探査完了してます!ありません!!』

速攻で返って来た答え。
しっかりと訓練の成果は出てる。

「はい!じゃあ撤収!!」

鈴音がパンパンと手を叩けば隊員たちは即座に撤収の準備に入る。
すみやかな制圧と速やかな撤収。

がらんどうのアジトに残されたのは斬りつけられた数人の男たちと未だに漂う催涙ガスのみだった。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から刀々斬 鈴音さんが去りました。
ご案内:「違反部活拠点跡地」にイチゴウさんが現れました。
イチゴウ > 雲が月を隠す夜。
世の中に隠れる裏の者達が淘汰し淘汰されるのがこの違反部活群と呼ばれる落第街の一角。
争いが絶えない中で異様な静けさと共に佇む一棟の倉庫。
直近の摘発の影響でボロボロになり内部に人の気配など感じられない。
月光が割れたガラス窓から内部を照らす。

跡地となった倉庫に恐らく価値の高いものは残ってないだろう。
焼けた書類に壊れた電子機械、あとはひしゃげたコンテナ群。
どこをとっても廃墟という言葉が相応しい。
天井を伝う切れた電線からショートした電子の粉が床に散る。

虫の声すら聞こえぬこの廃墟に不可解な音が響いた。
それは何の変哲もない切れたパイプ管から。
何かが這いずっているような音。
そしてそのパイプの切れ目から音の発生源と思しき物体が、
白い粉状の物体が意思を持っているかの如く落ちてくる。

イチゴウ > どんどんパイプから異様な粉が落ちてくる。
管からそれが途切れるころには床一面に無造作に溜まっていた。
間もなくその粉状の物体は広がりの中心に向け溜まっていくように動き出す。
個はどんどん溜まっていき群となる。
先程までは粉状でしかなかった物体は形を成した。

「...。」

四つの足をもつであろうソレは辺りを見回していた。
顔のようなものはついているが表情というよりは模様に近い。
何を考えているかを掴むのは不可能だろう。
そもそも感情など持っていないかもしれないが。

イチゴウ > 「...見つけた。」

その視線の先には壊れて使い物にならなくなった電子装置。
佇むだけであったその鋏がついた前足を動かして
電子機器がつまっているであろうその箱のそばまで移動する。
そして次の瞬間に何かを発射した。

コンピュータに刺さったそれは針のようなものに見える。
刺さった瞬間には何の変化も見られなかったが
数秒経過の後に結果が訪れる。
針が刺さった周辺から突如コンピュータの形が崩れ始め
瞬く間にまるで高温に晒されたアイスクリームのように
その電子機器は溶けてゆく。

「...原料構造を検知。」

そうして液状化した電子機器の液だまりに物体は前右足を添えた。
床に溜まっていた液の量が少なくなっている。
どうやら吸収しているようだ。

イチゴウ > 「...再構成。」

電子装置の吸収が終わった物体は
特に動きを見せることもなくぼーっとしている。
飲み込んだものを処理でもしているのか。

「これは、おいしい。」

この物体にとって吸収することは食事と同義のようだ。
一見異様に見えるこの物体の行動原理は難しいものでは無い。
明日動くために今日を動いているだけだ。

イチゴウ > 「...?」

5度ほど顔を傾ける。
飲み込んだ電子機器に残っていた記録が
その物体を駆け巡った。
摘発の際に激しく飛び交っていた無線、監視装置の映像。
外部的な手段ではサルベージ不可能だったデータが
0と1の本質的な姿でこの物体の糧となる。

「...風紀委員会...。
...鉄火の支配者...。」

この二つのワードが記録を飛び交っていた。
抑揚のない声色でその物体は
二つのワードを読み上げる。
どこでも強者が弱者を淘汰する。適応できない弱者を。

イチゴウ > 「...変化が必要だ。」

世界は根本的に弱肉強食だ。
このルールが適応されない場所なんてない。
強いものが残って弱いものは居なくなる。
だからこそ弱者になるわけにはいかない。
変化しなければならないのだ、
明日を動くために。

時折落第街に吹く風が廃墟を揺らす。
時間が過ぎ去っていく中で
その物体はいつの間にか倉庫から姿を消していた。

ご案内:「違反部活拠点跡地」からイチゴウさんが去りました。