2021/02/17 のログ
ご案内:「違反組織跡地」に【虚無】さんが現れました。
■【虚無】 >
違反組織の跡地。とあるビルの地下駐車場。
スクラップのように押しつぶされた車の前で一人の男が立っていた。この車を破壊した張本人だ。
新兵器。そんな噂を聞きつけ調べてみればかなりヤバい代物だったためその技術者や設計者を含めここを制圧した。それだけの状況。
だが……
「嫌な空気だな」
この街を覆いつくすヒリヒリとした空気。武器や薬などの流れ、それに噂がかみ合えば間違えるわけがない。
どこかの組織が大規模な反乱を計画している。それは嫌でもわかる。
「……さて、どうするか」
正直、関与し事前に止めるべきレベルかは判断に迷う所がある。というのもそもそもが個人であったり街などを考えず戦争をおっぱじめようとするのならそれは確実に秩序を破壊する行為だ。
しかし違反組織対風紀委員の構図。これは別に異常事態でも何でもない。いたって普通の状況だ。
だからこそ今回の自分達の立ち回りはこの争いに対する武力介入ではなく今回の争いで発生するであろう難民に対する人道支援。およびそれらに対する風紀、および違反組織による不当な暴力への制裁行為ではないだろうか。と判断するのが1点。
そしてもう一つが……
「松葉雷覇」
自身も追跡している科学者の名前をつぶやく。
もし自分が彼の立場であったなら……こんな機会利用しないわけがない。
目的が分かっているわけではない。しかし研究者なのに目的もなくあそこまでの事をするとは思えない。予想では異能関連の研究を行おうとしているのではないか。そこまでは予想がつく。
となるとここで自身達が追いかけるべきは違反組織と風紀委員ではなくこの謎ばかりの研究者の方ではないか。とも考えてしまう。
ここを第2の黄泉の穴になどしてはいけないのだから。
■【虚無】 >
とはいっても相手は完全に神出鬼没。そもそもが今どこにいるのか。何をしているのかそもそもがどんな姿なのか。
写真程度でしか見ていないというのが実情だ。
少なくとも遭遇できていなければ対策も何もない。ならば好き勝手させないように事前に今回の騒動を止めるべきなのだろうか。
だがそれは組織そのものの露呈を意味しかねない。さらに言えば自身達VS違反組織VS風紀委員。この構図になってしまえば間違いなくこの街は混乱を極め薄氷のごときこの街の秩序は砕け散る。
それどころか影であった自分達が露呈してしまえばそれによって抑止力となっていた組織への効力すらなくなる。なぜならばその時には自身達こそが狩られる側になりかねない。
自身達は個人の能力は高いかもしれない。だが組織として戦うにはあまりにも個人以外の全ての面が……劣りすぎている。
違反組織のように薬や売春などによる経済面での力も無ければ風紀委員のように質に加え量も多いというわけではない。
「招集をかけるにも……時間がないか」
思わず舌打ちをする。
組織の動きがあまりにも早い。もしもっとゆっくりであったなら裏切りの黒に招集をかけてどうするか会議するという猶予もあったかもしれない。
だが、おそらく1週間も猶予はない。そんな空気すら漂っている。
スクラップになった車に近寄る。
「せめてこの新兵器が渡らなかったことが不幸中の幸いか」
その中からアタッシュケースを取り出す。中身は設計書。
その兵器は異能の力そのものを異常増幅させるというもの。使用者によっては文字通りミサイルのような破壊兵器になりかねない代物だ。
それがもしわたっていたらと思うと……ゾッとする話だ。
■【虚無】 >
中身を確認する。メモリー含め全てがあることを確認する。メモリーはこのままこちらで回収。そして紙は車の方へと投げる。
「少し、お前たちはやりすぎた……ただの悪で終わればこうはならなかっただろうに」
カツカツと車を後に歩き出す。そしてしばらく。車が炎上を始める。
車を強引に押しつぶせばこうなることくらいは理解している。
書類を確実に破棄するには……燃やすのが1番だ。死体諸共全て燃え上がれば証拠は消え去る。
後日談
とあるビルの地下で車が柱に激突。爆発炎上した。
乗っていた男2名が死亡した。
そういうことになった。それがこの街にとっては1番都合の良い解決だったから。
ご案内:「違反組織跡地」から【虚無】さんが去りました。