2021/02/21 のログ
ご案内:「違反部活拠点」に花菱刃さんが現れました。
花菱刃 >  
 作戦開始の早朝。別件で離れていた男は拠点に足を運ぶ。今回の主戦場となるであろう拠点の一つ。
 壁にはズラりと自動小銃や対戦車砲の類が並ぶ。他にも地雷、重機関銃などなど。もはやここは拠点ではない。文字通り戦場の基地だ。

「おいおい、しっかり置いておけよ。地雷敷設は昨日の内だろうが……責任者?」

 転がる酒瓶を持ちあげるとそう声をかける。下っ端が急いで連れてくる。
 そしてその酒瓶で連れてきた相手の頬をピタピタと叩く。

「いいか? これは大事な作戦だ。俺もな、あんまり細かい事はいいたかない。作戦前夜酒を飲むも快楽をむさぼるも自由だ。明日にはもう死んでるかもしれねぇしさ……だが」

 目の前の男はその目に震えている。彼は飄々とした人物ではある。だが決してやさしい人物ではない。
 トンとその瓶をその男の頭の上に置くと……その瓶が縦に切れる。
 男は切れていないが遅れて聞こえた音から何をされたか理解する。
 居合で縦に振り下ろした。かなりの高等技術のはずのそれを音より早く誰一人として認識するまでもなくやり遂げた。

「それはキチんと仕事をやってから。だろ? 責任者?」

花菱刃 >  
「ほら、遅れた分キビキビ働く」

 と責任者に指示を飛ばす。
 それから他のメンバーを前に。ニヤリと笑う。

「さーて、お前ら。いままで大変だった! 苦しい事もあっただろうし逃げるなんてもう疲れただろう。喜べ! 今日で終わりだ!」

 さっきは一瞬だった刀を引き抜き振り上げる。
 そして力強く振り下ろす。さっき二つに割れた酒瓶は力任せに振り下ろされたそれによって粉々になる。

「こちらの準備は完璧、いくつも違反組織が協力しあっている。対して相手はただの1部署。しかも全戦力ではこられない、こっちと違って向こうは守りもあるからな」

 表の防衛。という意味合いで声を出すが実際は別の理由。護送車の護衛に誰かひとり以上はついている事だろう。
 ビンはその意思表示。酒という”自由”を閉じ込める”硬く冷たい物”は”ふたつ”に割れ”粉々”になる。

「酒も快楽も、明日には自由だ。今までわれらを穢し閉じ込め束縛した奴らに鉄槌を下せ。そして奴らから奪い返してやれ。今までの恨みを思いだせ……その先に敗北などない。戦力も、数も質も全てにおいてこちらが上だ」

 あり得ない。そんな声が上がりかねないザワザワとした声に対して手を振るう。
 
「陽」

 空中に生まれる巨大な火の玉。
 ミニサイズの太陽の具現化。間違いなくこの拠点など一撃で叩き潰さんほどの質量と破壊力を持ったそれを見てそんなザワザワとした声は掻き消える。

「戦力は互角だ。俺ももうあいつらを”殺さない”なんて制約は必要なくなった不安なんて何一つない。わすれるな俺達こそが正義であり勝者だ!」

 力によるデモンストレーション。火の玉をかき消す。
 そして今度は手を振り上げた。

「いいか、もう一度言う。俺達に敗北はない、奴らから全てを奪いつくせ奴らの頭蓋で酒を煽り血肉で快楽を貪れお前たちにはそれだけの力がある。いくぞクソ野郎ども……地獄をここに生み出せ!」

 早朝、しかも酒を飲んだ後という頭が回らない状態。そこで見せられる強烈な恐怖と光と熱という暴力。そして違反組織らしいダイレクトな文言。
 簡易式の洗脳。鼓舞。まぁ協力組織にはこんなものかと思いながらもそこを後にする。
 蛇本体ではない場所はこうして発破をかけて回らないといけない。大変だなぁなんて思いながらも次の拠点へと足を運ぶ。

 そうしてこの区画は”地獄”と化す。あちこちに有刺鉄線や地雷。電撃トラップにセンサーといった罠。
 そしてあちこちから射線を通しそこからは十字砲火を放つように計算された重機関銃。
 攻める側にとって自身の考えうる最悪の陣営を作り上げていた。もっとも奴らはそれすら暴力で踏みつぶすだろう。疲弊するだけしたところを叩くまで。
 先ほどの鼓舞は全て嘘ではない。事実数と地の利に関してはこちらの方が上なのだから。

ご案内:「違反部活拠点」から花菱刃さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に羅刹さんが現れました。
羅刹 > ―――すぅ、と煙草の煙が地下室に溶け込んでいく。
日など当たるはずのない、彼の部屋。
装飾品など、簡素な椅子と机程度しかない…ただ『居る』ためだけの部屋。
音もほとんど無く、換気扇が回る僅かな音が部屋を満たしている。

蜥蜴の財力を考えるなら、羅刹専用の高級ホテルのような部屋すら作ることは可能だろう。
だが、羅刹はそうしない。

自分が今何をしているのか。
それを、自覚するため。

決して、羅刹がしていることは正義などではないことはわかっている。
これはただ単なる恨みだ。
小さな子供が抱きがちな、何か嫌な事があったら仕返ししてやろうというもの。

その恨みの火の大きさが、たまたま大きいだけに過ぎない。

羅刹の思想に賛同し、着いてきてくれるものは優秀だ。
もしそのまま『表』に居られたのなら、一端の有名人になっていただろう。
けれど、そんな未来は無かった。

潰され、奪われ、裏切られ、取り返せず。
堕ちるしかない…そんな奴らを拾い上げて…活動を始めるまでは、何があっても息を潜めてきた。


網を張り、人を集め。
ようやく、何とか…最低限対抗できるであろうところまで来た。
士気も旺盛だ。
羅刹の『声』が届かない場所には、優秀な幹部が発破をかけている。

信賞必罰は、どの界隈でも同じだ。
襲い来るであろう『死』の雨を潜り抜けた者には…『表』に牙を突き立てた後、羅刹に用意できるものなら用意してやろう。

そうしてまた、生き残った者で牙を研ぐのだ。

羅刹 > 『勝てる』などと甘い考えは抱いていない。
もちろん、『負けてやる』つもりなどないが。
表の体制がこの程度で揺らぐはずも無いと、ある種…『敵』だからこそ、わかる。
だが、その壁の硬さは、諦める理由にはならない。


表が、違反生をも裏から引き上げているという情報はある。
だが…構成員がそれに従わないのは。
もう、引き揚げられたところで不信感が勝るからだろう。

『清浄』な空気が息苦しく、笑顔が作り笑いに見えて気持ちが悪い。
何人か居る、『出戻り』してきた者がそんなことを言っていた。


―――なら、同じにしちまえばいい


表と裏。
そんな区別すら無くしてやる。
混沌となることなど、知った事か。
のうのうと生きている連中に汚れを体験させ。
嘔吐しながら生きている者に綺麗な空気を吸わせてやる

そうなれば。
お互いがお互いの境遇を…真に理解できるだろう。
彼の能力なら『場』を整えれば理論上は可能だ。


「…『   』……、…俺は、間違ってんだろうな。ああ、わかってるさ」


人名を呟き、息を吐く。


反抗するにしても、他にやりようはあるだろう。
例えば、政治家や…なれる者はほんの一握り、あるいはそんなものは居らず、機械が運営しているのではないかと言われている…
実質不可能であろうが、例え話しとして。
学園のトップである生徒会。
それらに所属すること。

そうすれば、この状況を変えることも緩やかながらできたのであろう。
だが、それはできない。
そうするために、こびへつらい続ける事に、羅刹は耐えられなかったから。
俺は弱いな、と。そう思う。

だが、弱いからと言って…何もできないわけではない。
決行までは、後『4時間』

羅刹もまた、煙草を吸い終われば。
作戦の全体を確認するため、方々に能力を繋ぎ…パーティー会場を整えてやろう。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から羅刹さんが去りました。