2021/03/14 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狭間在処さんが現れました。
狭間在処 > 今は放棄された、或いは風紀の摘発を受けて既に粗方後始末をされた後かは分からない。
そこに興味は無いし大した事でもない。そんな何処かの組織の元アジトらしき建物の屋上部。

「………。」

所々、朽ちたり破壊の痕跡が見えるその屋上の一角で、一人無言で落第街を眺めている。
――最も、そもそも喋れないので無言でいるしかない、というだけなのだが。

(今夜は、この辺りは比較的静かなようだ。)

元々、荒事や諍いは好きではない。どちらかといえば避けたいもの。
それでも、ありきたりとはいえ根底に復讐心がある以上、それに自ら関わざるを得ない時もある。

喉元の包帯を軽く片手で摩る。その下には醜い傷跡があるが…そう、ここでは珍しい傷跡でもないだろう。

さて、静かとはいえ場所が場所だ…完全に気を抜くなんて事は有り得ない。
今もただ、景色を眺めているだけのように見えて視線はゆっくりと周囲を探っている。

狭間在処 > (――あっちに表側の世界があるんだな…。)

ふと視線が、表側――学生区がある方角へと向けられる。
スラムで生まれ育って、拉致されて怪異の失敗作にされて。
…そして、自らの暴走という形で落とし前を付けて、
今は、ただ黙々とその手の組織を根こそぎ単独で潰して回っているけれど。

(……陽の当たる世界、というのは…どんな感じなんだろうな?)

俺には分からない、とばかりに小さく息を零す。憧れ?興味?自分でもよく分からない。
そもそも、怪異の出来損ないが堂々とあちらに行ける訳もない。あちらに溶け込めるような欺瞞も偽装も自分には無理だ。

(――そもそも、あちらに出向いた所で何かしたい事がある訳でもない、からなぁ)

今やっている事はただの復讐心の残滓で、本当に自分がしたい事、なんて考えた事も無い…違う、考えても思いつかない。何も。

狭間在処 > ――黄昏ていたら腹の虫が鳴った。人から怪異もどきにされても普通に腹は減るのが滑稽だ、

(確か、握り飯が――……む?)

ゴソゴソとコートの内側から、スラムの顔見知りから貰った握り飯を取り出す…潰れ掛けているが。

(…具材が入ってないのが幸いしたな)

入っていたら悲惨な事になっていただろう。まぁ塩むすびも十分に美味しいと思う。
そんな訳で、いただきます、と口だけを動かしてから一口……うん、美味い。

(…こういうささやかな食事くらいしか楽しみが思いつかない、というのはどうかと思うが)

塩むすびを頬張りつつ、視線は矢張り落第街を茫洋と見据えており。表情は硬いが握り飯を頬張る姿はどうにもチグハグで。

(……表の料理とかはやっぱり美味いんだろうか…甘味とか一度食べてみたいものだが)

残念ながら、甘いもの、というのを彼は人生でまだ一度も口にした事が無いのだ。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」にシャンティさんが現れました。
シャンティ > こつ、こつ、こつ、と小さな音を立てて女は歩く

『ロングコートを纏い、喉元に包帯を巻いた"彼"は、コートの内側から取り出した握り飯を口にする。美味そうにしているが、しかしその顔は動かず。ただ茫洋と手元の其れを喰らう』

女は謳うように語る


「あ、らぁ……こん、ばん……はぁ…… こぉ、んな……ところ、で……お食、事……? ふふ。優雅……なの、ねぇ……?」


何がおかしいのかくすくすと笑って女は話しかけてきた

狭間在処 > 「………!」

食事をしていたのは確かだが、決して気を抜いていた訳ではない…筈だ。
だけど、小さな靴音を耳にするまで何も感じられなかった。鈍っているのか気を抜きすぎていた?

右手にまだ半分ほど残っている食べかけの握り飯を持ったまま、碧眼をそちらに向けつつ目を細める。

「………。」

さて、敵意や殺気、といったものは来訪者からは感じ取れない。優雅、というのは正直自分ではさっぱり分からないが。
一先ず、挨拶は一応するべきか?と、思いながら緩く会釈を彼女へと返す。

「………。(少しだけ何か考えるような仕草を見せて)」

『すまない、こちらは喋れないんだが手話とかは分かるだろうか?』

敵であれ味方であれ中立であれ、誰であれ――コミュニケーションのハンデは地味に大きい。
喋れないならば、ジェスチャーや筆談を用いるしかなく、今すぐに出来るのはそれこそ覚えた手話くらいしか思いつかない。

故に、片手で手話を試みるが彼女に通じるかは分からない。そもそも…彼女の空気はあまり人と接しない自分から見ても独特に思えて。

シャンティ > 「ん……おど、ろかせ、て……しまった、かし、らぁ……? お食事、中……に、ごめん、な、さい……ねぇ?」

同じように女は会釈を返す。首の動き具合までトレースするように

『「謝罪、自分、話せない、手話、理解、できるか?」"彼"は手話で伝えてくる』


人差し指を唇に当て、少し考えるような仕草を取る

「あら……そう、なの……ねぇ……私、ならぁ……手話、も……読唇、も……でき、る……か、らぁ……どっち、でも……いい、わ、よぉ……」

くすくす笑いを止め、そう口にする


「たい、へん……ねぇ……しゃべ、れ、ない……の、は……あぁ……同情、とか……じゃ、なく……て、ね? 私、も……ちょっ……と、ちが、う……け、ど……経験、ある、から……ね?」

狭間在処 > 確かに驚きはしたが――自分の落ち度であって、彼女に特に非がある訳でもない。
そもそも、こんな場所で今夜は比較的静かとはいえ食事を決め込んでいた己の迂闊さが悪い。

「……。(彼女の謝罪に気にするな、と首を緩く横に振り)」

…手話も読唇術も心得があるらしい事に、正直ホッとする。
片手で手話は流石に限度があるので、口の動きに切り替える事にする。
勿論、喋れないので本当にただ己の言葉を無言無音で彼女に読み取って貰うしかない。

『もう慣れたよ。けれど、時々は何不自由なく声を出せる人達が羨ましいとも思う。
…まぁ、貴女は似たような経験をしているらしいから、俺としては不謹慎だが助かる。』

テンポ、喋り方の間、というべきなんだろうか?彼女のような喋り方をする相手は初めてだ。
少し違う、らしいが彼女も似た経験を持っているらしい。
警戒心は留めつつ、同時に少しだけ親近感も沸くのは己が人とあまり接しない故の詰めの甘さだろうか?

シャンティ > 「……」

相手の返答で、思わず自分語りをしてしまったことを少しだけ恥じる。立場も内容も違えど、苦渋を経験している相手、となると少しだけ緩んでしまうようだ。まったく、自分を語れるほど偉い存在でもないのに……

「口、が、つか、える……な、ら……後天、性、ね……そう」

気を取り直して、少し分析をする

「元々、でき、た……こと、が……でき、なく……なる、と……結局、は……代わり、の……手段、に……なれる、しか……ない、の、よ……ねぇ……」

思わず苦笑する。こんな笑いをしたのはだいぶ久しぶりな気がする


「それ、で……こん、な……とこ、ろ……で、暮らし、てる……の、かし、らぁ……?」

少し、首をかしげる

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狭間在処さんが現れました。
狭間在処 > 「……?」

緩く『どうかしたのか?』と、ばかりに彼女の沈黙に首を傾げて。
もっとも――追求はしないし、彼女が何でもなさそうならそれでいいのだが。

『確かに後天性だな。昔はまぁ普通に喋れたよ。』

隠す事でもないただの事実。そして今はもう喋る事は出来ない。それが現実。

『言葉の有り難みと重さを日々感じているよ。…それに、会話の代替手段が無いと、まともな意志の疎通も困難になる。』

彼女は理解や心得があるから、まだ全然良い。己があまり人と接しないのは、自身の状態もあるが単純に簡単な言葉で済む事でも回りくどい手順が必要だからだ。

苦笑を浮かべる女性に、不思議そうに瞬きをしながら食べ掛けの握り飯を合間に一口頬張る。

『いや、普段はスラムの方に居る。ちょっとした野暮用でこちらに出向いただけだ。
ただ…今夜はこの辺りは比較的静かなようだから、何となく景色を眺めていた。』

そう、深い理由なんて無い。ああ、でも――一つ付け加えるならば。

『…ちょっと、学生区の方も見ていたんだ。表側…陽の当たる世界はどんなものか、って。』

視線を一度、彼女からその方角へと向ける――その向こう側に己が行く事はまず無いだろうが。

シャンティ > 「ん……そう。そう、ね、ぇ……」

人差し指でとんとんと自らの唇を小さく叩く。元々持っていたものを奪われる。それは持っていたが故に、"失われたもの"として自分にのしかかってくる。それはどうあろうと焦がれるもの、である

「私、も……いく、らか……心、得は……ある、けれ、どぉ……さすが、に……失わ、れた……言葉、を……もど、す……の、は……難し、い……わ、ねぇ……」

そも、仮にできたとして。それは――美しくない


「"学生区"……あぁ……貴方……本当、に……こっち、側……の、存在、なの……ね、ぇ……なる、ほどぉ……?」

何かを納得したように一人勝手にうなずく


「そ、う……ね、ぇ……こう、して……会った、のも……縁、だし……でき、る……こと、なら……すこ、ぉし……だけ。お手伝、い……しちゃ、う……?」


くすり、といたずらっぽく笑った

狭間在処 > 『喪失、というのは…身近に当たり前にあるものこそ、それが抜けた時の穴が大きいからな。
あくまで俺の実体験に基づいた一つの意見、ではあるが。』

視線を彼女へと戻しながら口の動きだけでそう彼女に答える。
指で己の唇を小さく叩く仕草を見れば、彼女も言葉を、声を、或いはそれよりも大きな何かを失ったのだろうか?と。

『――仮に声が戻ったとして。もう俺は自分の声がどんなモノだったかすら曖昧だ。
それに、声に焦がれはすれど声が無い今の自分に慣れ切ってしまっているのも事実だ。』

だから―そう、仮に失われた声が戻っても。喜びより先に戸惑いがきっと来るのだろうと思っている。
握り飯の最後の欠片を頬張りつつ飲み込む。こうして普通に食事が出来るだけまだ己はマシなんだろう。

『ああ、スラムで生まれてスラムで育った。そこから人買いに拉致されて、あとはまぁよくある事さ。
まぁ、失ったものは色々とあるが、生きているだけ御の字、というやつだろう。』

何かに納得したような様子の彼女に、その真意は分からずとも肯定するように頷く。
実際、生粋の裏の生まれ育ち。表の世界は伝聞でしか知らない世間知らずもいい所だ。

『――お手伝い?…よく分からないがどういう事だ?』

何か悪戯を思いついたかのような笑みと提案。猜疑心よりも何よりも意図が掴めず困惑する。

(ああ、でも――縁は大事だな。)

人とあまり関わらない、けれどきっともっと誰かと自分は関わりたいと思い願っている。
それが善であれ悪であれ、どちらでもないとしても、だ。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狭間在処さんが現れました。
シャンティ > 「……そう、ね。今更、戻った……とこ、ろ、で……きっと……そう。歓喜、より……も、ひょっと、した、ら……落胆、に――なる、かも……」

そんなはずじゃなかった。こうだったはずだ。自分が持っていた世界は、こんなものではなかった。そんな悲しみを得るだけではないか。そんな姿もたやすく想像できてしまう

「スラム、に……生まれ、て……そ、う……それ、は……」


グラン・ギニョルにふさわしい人物像。自分が焦がれる世界の住人。自分が仕立て上げるにふさわしい世界の役者。けれど――


「それ、な、らぁ……これ、は……同情、でも、なく……利用、でも、なく……ただ、の……オトモダチ、の……縁、から……の、善意、よぉ……」

今日ばかりは今度ばかりは思想も信条も横においておこう


「ふふ。"学生区"。見て、みた、い……の、で、しょう? それ、くら、い……な、ら……私、にも……でき、そう……そういう、こと……よぉ……?」

飲み込めていなさそうな相手に、くすくすと笑いかける

狭間在処 > 『――焦がれて求めたものが、いざ手に入るとこうじゃなかった、と。…その落差は響くだろうな。』

手に入る、というか取り戻す、というのが正しいのだろう。
けれど、取り戻したものがかつてのモノと同じかどうかなんて分からない。
――だって、もう自分の声がどんなものかすら分からないようなものなのだから。

恐怖劇の住人。役者の自覚の無い役者。――なんたって彼は模造品。
失敗作の作り物でしかなく、だからこそ、悲劇も喜劇も恐怖劇もきっと”踊れる”事だろう。

『――友達の善意、か。俺はそれはまだよく分からないが…。』

同情や利用はまだ分かり易い。けれど友人と呼べる存在は皆無だ。
今、ここに一人と縁が繋がったが――彼女を友人と自分は思っていいのかは、残念ながら分からない。

けれど――

『――じゃあ、その善意に甘えさせて貰おう。感謝する。……。』

口の動きに些かの間が空く。そういえば彼女の名前を聞いていなかった事に思い至る。

『――その前に一つ。貴女の名前を聞かせてくれ。俺は狭間在処――アリカ、でいい。』

狭間に在る者。ただの偽名で意図したものではないけれど。

シャンティ > 「……ん、ふふ。いい、の、よぉ……ただ、の……気の、迷い……わずか、の……勘違、い……みた、いな……そう。そう、いう……気ま、ぐれ……だ、もの……」

友だち、という概念を理解できていないのか、それとも実感を持たないのか。はたまた、それだけの信用を持っていないのか。相手の答えを聞いて、ただただくすくすと笑う。別に、どれでも構わない。自分は、自分の思う通り。やりたいように、ただ生きるだけなのだから

「あぁ……名前?」

そういえば名乗ってはいない。別に、この相手であれば本名を語ってもいいだろう。けれど――

「仕入、れ……調達……舞台、構築……衣装、に……化粧……ふふ、なん、でも……用意、する……私、は――『大道具』、の……スシーラ……そう、覚え、て……おい、てぇ……?」

あえて、偽名を名乗る。誤魔化そうとか、隠そうというわけではない。ただ、この場にふさわしいのはそちらだろう、と。そう思ったから


「ふふ……それ、で……? アリカ、はぁ……どん、な……姿、が……お望、み……かし、らぁ……? 私、が……どん、な……もの、に、も……化け、させ、て……あげ、る、わ、よぉ……?」


くすくす、と笑う

「他、に、も……注文、あった、ら……いって、ね?」