2021/10/09 のログ
■ラヴェータ > 「流石鉄火の支配者様だな
上の輩にも通じる影響力をお持ちという事か」
皮肉っぽいが、そこに悪意はなく。
そこまでしてくれるとは、という驚きと好意的な呆れ。
僅かに微笑むような表情を見せ、肩をすくめる。
「ああ、恋しい
あの反動も匂いも音も
照準をつける手順も、弾痕も」
特段目立った変化は無いだろう。
血走った視線を拳銃に向けるでも、狂ったような表情をしてみせるでも。
ただ、病んでいるような表情は揺るがないが。
差し出された拳銃を奪い取るでもなく、それこそボールペンを借りるような仕草で拳銃を受け取る。
そして、そのまま銃口を小屋に向けた。
捕虜が居る小屋に向けて。
流れるような勢いで照準を定め、小屋の中にいる捕虜の一人に向けて発砲しようとするだろう。
■神代理央 >
彼女が向けた銃口の先。
無事に本庁迄連れ帰るべき、捕虜たちに向けられた暴力の為の道具。
彼女が照準を定めるまで、止めようとはしない。
まあ、止められる程の反射神経が無い、ともいうのだが――
「撃てばいい」
彼女を止める事はない。
「それで気が済むのなら、幾らでも撃てばいいさ。ラヴェータ。
安心しろ。ちゃんと弾は入っている。安全装置は外せよ?」
寧ろ後押しする様に。
背中を押す様に。
彼女に、言葉を続け――
「そして、撃てば私達は御終いだ」
「お前と私の繋がりも、おしまいだ」
「それでも良ければ、撃っても構わないよ。ラヴェータ」
懐から取り出した煙草に、火を付ける。
甘ったるい紫煙が、拳銃と彼女に纏わりつくだろうか。
■ラヴェータ > 少年に名前を呼ばれる。
その瞬間、拳銃を持たない左手で銃口を握り潰す勢いで握りしめ、右手から奪い取った。
引き金を引こうとしていた指は震えてはいるが引き金を引こうとする指の形そのもの。
「すまん理央」
少年の方に向き直り、銃口がわずかに歪んだ拳銃を手渡す。
右手の指の形は変わらない。
言葉とは裏腹に、というよりかは短い言葉の裏には相当な感情が押し込められているようで。
早く受け取れと言わんばかりに歯ぎしりをしながら。
乞うような、請うような表情で少年をにらみつけていた。
■神代理央 >
彼女が差し出す拳銃を見下ろす。
僅かに銃口が歪んだソレをじっと見つめた後。
今度は、見た事も無い様な表情の彼女に、視線を向けた。
「いらない。それは、お前にやる」
短く告げた言葉。
「銃口が歪んでいる。そのまま撃てば暴発の可能性がある。
そんなもの、風紀委員の私が所持する訳にもいかないだろう」
ゆっくりと紫煙を吐き出す。
彼女の言葉に込められた感情の大きさと重さを見計らう様に――
「しかし…"修理すれば使える"かもしれないな?
どうするのかは、お前に任せる。
玩具代わりに使うも良し。
お守り程度に抱えていても良し。
……修理して、使えるようにしても良し」
足音を響かせて、歩み寄る。
そうして彼女の眼前に立つと、拳銃には目もくれず、そっと身をかがめた。
彼女の耳元に唇を近付ける。
「……どうしてもヒトが撃ちたくなったら、私を撃つと良い。
1発くらいじゃすぐには死なないさ。当たり所にもよるがね」
「私以外の者を撃てば、さっきも言ったみたいに私とお前は、もう終わり」
「私を撃てば、最期の言葉を交わす時間くらいはまあ、あるだろう」
耳元で囁く。愉しそうに、悲しそうに。
甘く穏やかに、囁く。
「それはお前への楔であり、お前への鍵。
何時までも縛ってばかりでは可哀相だから、お前の縛めを解く鍵をくれてやる。
でも、その鍵を使った時は……どうなるんだろうな、ラヴェータ?」
そこまで告げて、ゆっくりと身体を離す。
拳銃は受け取らない儘。
■ラヴェータ > 「…私には修理するほどの技術も伝手もないからこれはお守りにでもしておくさ」
と言いながら銃口を握り潰すようにし、更にゆがめた。
撃てば暴発するであろうほどにゆがめれば、そのまま手を放し足元の影へと落とした。
「撃たんとわかって言っているだろう貴様最早
私が貴様を射殺するようなことは無いさ」
固くなってしまった表情を少しずついつものようになるようほぐしながら、ため息交じりに返す。
「もし貴様を撃つようなことがあれば…
その時は交わすのは砲撃だろうさ」
そうはしたくない。絶対に。
「だから、鍵は受け取るが、使わない。ここに誓おう」
■神代理央 >
半分程灰になった煙草を、地面に落とす。
磨き上げられた革靴でソレを踏み潰すが、視線を向ける事はない。
一度、影に落ちた拳銃へ。
そして、溜息を吐き出した彼女へ。
「………なら、私からお前にかける言葉は一つしかないよ」
浮かべる態度は先程までの様なものではない。
誑かす様な物でも。愉し気なものでも。甘ったるいものでもない。
「……帰るぞ、ラヴェータ。余り心配させるな」
遠くに聞こえるサイレンの音。
その音にも掻き消されない様に、何時もの様に。
尊大に傲慢に――彼女の監査役として。或いは、軽口を叩き合う風紀委員として。
それだけを告げると、彼女の横を通り過ぎてすたすたと歩いていく。
事後処理は面倒だ、とでも言わんばかりのその態度は、彼女が
見慣れた何時もの『鉄火の支配者』
彼女の返事も聞かず、後ろを振り向きもしないのは。
彼女が着いて来るだろうと、信じているから…かも、しれない。
■ラヴェータ > 「ああ...出来る限りはな」
嘘をついてまで素直にうなずけることではない。
だから、出来る限りはやると。
「いざという時は...理央、頼む」
少年の背を追うことは出来なかった。
そのまま周囲の影を踏めば、そのまま影の中へと落ちて消えてゆくだろう。
今のまま他の誰かに会えば、少年に迷惑をかけてしまう。
そんな気がしたのだ。
だが、これではさっそく心配させてしまうだろうか。
そう思い、小さく「すまん」と、そうつぶやいた。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からラヴェータさんが去りました。