2021/10/13 のログ
■クロロ >
何時もと違う声音、態度、雰囲気。
成る程、郷に入れば何とやら、此処の雰囲気に合わせたものらしい。
クロロ自身が、暗がりに身を費やす"そちら側"の人間だ。
何となく、陽だまりと影の違い位匂いで分かる。
おまけに、随分と覚えのある気配だ。それを間違えるはずもなかった。
「……此処に、お前が"面白い"ッて思える程のモンがあると思ッてンのか?」
普通の人間が面白いと思えるものは少なくとも此処にはない。
クロロ自身が、それを良く知っている。
ある程度場に合わせて言ったのかもしれないが、少なくとも軽率な発言だ。
嘆息交じりに、窘めるように問いかければ自身の首を撫でた。
「別に、テメェがやッたとは思ッてねーよ。迷子ッつーなら、送ッてやンぞ?」
遠回しに帰れ、と言っている。
とは言え、相応の準備をして踏み入れた以上
彼女にも何か目的が在るのかもしれないが
それでも彼女が長居していい場所とは思えなかった。
■セレネ > 「……その口ぶりなら、私が誰だか分かっているようだね。」
いくらあれこれ手法を変えても、やはり分かってしまうのか。
ふ、と小さく息を吐いては口元に苦笑を浮かべる。
口調だけはそのままだが、態度と声色は普段に戻した。
バレてしまったなら繕っても仕方がない。
「あぁ、あるとも。表の世界では見られないものが沢山。
…残念ながら迷子ではないよ。私は自分の意思で此処に来ている。」
相手の言いたい事は分かっている。己は此処には不釣り合いだ。
それは自身が充分知っている。
「まだ帰る訳にはいかない。だが、長居をするつもりはないよ。
此処の空気は私には辛すぎる。」
軽く咳き込んでは、そう答える。
…そういえば、彼と前回会った時は梅雨時期だったか。
「兎も角、元気そうで何よりだ。
前回の君は随分と機嫌も体調も悪そうだったからねぇ?
私の事を悪く言った事、覚えて居るかな。」
己を”キモい”と言ったのはまだ根に持っている。
相手が覚えているかは分からないが。
■クロロ >
「当たり前だ。オレ様はこーみえて……
……まァ、お前の顔なンて忘れたくても忘れらンねェ」
"記憶力はいいンだ"。
なんて言いかけたが、すぐに言い直した。
既に忘れてる事がある癖に、そんな事言えるはずもない。
何処となくばつが悪そうに目を反らしたが、続く相手の言葉にうっ、と声を漏らした。
余計に気まずそうに顔を顰める。
「お前のがよッぽど記憶力いいじゃねェか……わ、悪かッたッての。
弾みッつーかなンつーか……いや、何でもねェ」
言ったことは事実だ。
言い訳するつもりはない。
絶不調だろうと、そこまで根に持つなら何度でも謝ってやるとも。
煮るなり焼くなり好きにしろと言わんばかりに、軽く両手を広げた。
「……見てて気持ちのいいモンではなさそうだけどな。
特にその様子じゃ、マジで体に毒なンだろ?」
確かに、表では見れないものが幾つもある。
それに如何なる価値を見出すかは当人によりけりだ。
だが、少なくとも何処となく気分の悪そうな彼女の様子は
此処にあるものが見ていて気持ちのいいものでないことはわかった。
クロロに霊感はないが、"嫌な気配"というのはわかるつもりだ。
死臭ともいえる、獣の勘だ。金の双眸を細めて、フードに軽く手を伸ばす。
今日はちゃんと、"体温調整"の魔術は使っている。普通の人間と今は相違ない。
捕まれば、フード越しに無理矢理髪の毛をわしゃわしゃかき乱されてしまうだろう。
「……仕方ねーから付き合ッてやるよ。テメェほッといて何かあッても、寝覚めワリーしな」
■セレネ > 「――それは前回の事があったからかな。」
別れる間際の、あのやり取り。
クスクスと笑い、己の唇に指を添える。
それを忘れたとは言わせない。
「敬称が必要ないならそれだけを言えば良いだけなのに、
余計な一言を付け加えた君が悪い。
あの一言の方が余程傷ついたよ。
君にとって、私が傷つくのが問題なんだろう?」
尤も、もうボロボロな心が傷ついたところで見た目に変化はないのだけど。
言い訳をせず素直に非を認める彼には好感が持てた。
「そうだね。スプラッタは見慣れているがずっと見ていて良い気分ではないな。
…半分が『カラ』だから余計に不浄や淀みが溜まりやすいんだ。」
空の容器に水を入れれば溜まっていくように、己の身体も半分神格が零れ落ちてしまっている為本当に空っぽなのだ。
戻す手段も今の所見つからないのでどうしようもないのだけど。
「きゃっ…!
…な、撫でるならもっと優しく撫でてくれないか。
髪型が崩れる…。」
わしゃわしゃと乱雑に撫でられ、小さく悲鳴が洩れる。
フードの下で崩れてしまった髪型、周りを見回して己と相手以外人が誰も居なさそうな事を
確認すれば目深のフードを外して纏めていた髪を一旦解く。
「……心強い護衛だね。それは有難いが…そうだな。
無償というのも気が引ける。」
善意だとしても、せめて何か礼がしたい。
己の元の生真面目さ故。
■クロロ >
「…………」
そう、忘れた訳じゃない。忘れるはずもない。
気の迷い、と言うのは余りに酷な話だろう。
確かにお互いの意思で受け止め、行った。
何処となくばつが悪そうながらも、無意識に視線が彼女の唇をなぞってしまった。
「ウルセェな。悪かッたッつッてンだろ?
……そンなに根に持つ程、傷ついたモンか?」
自分で言うのも何だが決して行儀のいい性格とは言えない。
失言なんて日常茶飯事だ。ぐぎぎ、いーっと表情を顰めて肩を竦めた。
「撫でてねェ、適当やッただけだ。それに、礼がしてェなら何時か適当にやッとけ」
見返りが欲しいから付き合うとか、そう言う損得勘定の間柄じゃない。
だからこそ、余計な言葉も不要だと思っている。
どうしても礼がしたいというのなら、それは今じゃない。
何時か、受けれる時に受けるとも。
額を軽く指先で小突けば、適当に周囲を見やる。
派手な喧嘩が起こる事は珍しくないが、最近落第街<ココ>も騒がしくなってきてるのも事実だ。
「……アイツも動いてるかねェ……」
人知れず、小さくぼやいた。
ともすれば、彼女達が知らぬはずもない。
どうしているかはさておき、今も自分を誘ったあの少女は何をしているのやら。
案外、俗世にうつつを抜かしているかもしれない。
「……まさかな」
思わず、おかしさに口角がつり上がる。
「ま、とりあえず長居していい場所じゃねェンだろ?
オレ様もどッちかてとフジョーッぽいけど。とッととどッか行くぞ?」
ホラ、と軽く腕を振って来いとジェスチャーをすれば先導するように歩き出す。
成るべく歩調は合わせるつもりだが、少しばかり速足だったかもしれない。
■セレネ > 「…まぁ前回は不完全燃焼だったろうからねぇ。」
彼の金目がなぞる視線。
あれの続きくらいなら、しても良いかもしれない。
「何せそんな事を言われたのは初めてだったから。
傷ついたよ、とても。」
謝罪をしたから許されるとは限らない。
相手の反応が面白いから、面白半分で弄っているのもない訳ではないが。
「そんな雑な…あぅっ…!」
額を軽く小突かれた。これは二度目か。
何故小突くのだと不服そうに蒼を向け、眉間に皴を寄せる。
手櫛で髪を整え、再び一つに纏めてはフードを目深に被り直し。
「……。」
彼がぼやいた言葉は耳に届いていた。
相手が属しているらしい組織についてなのだろうか。
気になる所だが、聞いたところで答えてくれるようなものでもない。
「扱う魔術も個性的なものだしね。面白いと思うよ。
――いつもより早足じゃないかい?ついていくこっちの身にもなってくれよ…!」
いつもは歩調を合わせてくれていたのに、今日は何となく早い気がする。
躓かないよう注意しながら、彼について行きつつ暫く歩いて行くだろう。
■クロロ >
「……オレ様に対してそりゃギャグで言ッてンのか?」
生ける炎に"不完全燃焼"等と良くぞ言えたものだ。
ケッ、と吐き捨てはしたが否定はしなかった。
とは言え、肯定もしない。そう言う一線は、軽々越えていいものではない。
「ウルセェな……だッたら癒してやろーか?とでも言ッて欲しいンか?」
と、続けざまに吐き捨てた。
ある意味、売り言葉に買い言葉だ。
ずんずんと進んでいくが、決して機嫌が悪いわけじゃない。
言うなれば、やや距離感を掴み損ねているというか
前回の"あんな事"のせいで、妙な気を使っているというか
自分でも正直、よくわかっていない。
ただ、本当に"弾み"でしたわけじゃない。
あの時交わした唇に、どういった思いを乗せていたかはわからない。
だが、その思いだけは本物だったと思う。
おもむろに足を止めれば、ずぃっと右手を差し出した。
「ん」
行くぞ、と言わんばかりに促していく。
■セレネ > 「ん?うん、炎だけに掛けてみたんだけど面白くなかった?」
不調で、正常な判断がつかなかった彼を半ば誘った形にしたのは己の方だ。
否定もせず、肯定もしない。彼が己をどう思っているのかの考えが読めない。
「んー…暖めて欲しいとは思うかな。
ほら、これから寒くなる時期だし。」
炎なのだから暖めるのは得意だろう?と言いたげな声。
癒して欲しいと言えるほど、己の傷は浅くない。その傷は、相手から受けた傷ではない。
進む相手の足取りは少し荒いようにも見える。
だが何だろうか、機嫌を損ねている訳でもなさそうだ。
この感覚、非常に覚えがある。
「…君、不器用だね。」
ふと足を止め、差し出された右手。
フードの下の蒼を数度瞬かせては、クスクスと笑いを零した。
その大きな右手に白い肌の手を乗せれば、緩く握るだろう。
「あぁ、そうだ。
この間金木犀のモイストポプリを作ったんだ。
もし良ければ今度受け取りに来てくれないかな。」
君の都合の良い時で良いから、と。
言葉を添えて。
■クロロ >
「…………」
このタイミングで、温めろだの、取りにこいだの、何時に無く積極的なのかコレは。
特に興味が無いとか、枯れている訳ではない。
優先度も高い訳でもないが、相手が相手。
何とも言えない顔のまま、緩く白い手を握り返し…。
「ハァ~~~~…………」
大きな溜息が、漏れた。
「火遊びは程々にしろッつーだろ。オレ様相手じゃ、火傷じゃすまねェぞ?」
文字通り、言葉通り。
"売られた喧嘩は買う主義"だ。
とは言え、そう易々と越えていいものではないのは百も承知。
今回ばかりは、買うにも相応に手順を踏む心算だ。
「…………」
どうしてこうなった、と内心ぼやいてしまった。
半分以上自業自得かもしれないが、今の状況を見られたくない知り合いが多い。
というか、見て欲しくない。どうか、誰もオレ様の事を見ませんように。
「……まァ、なンだ」
それでも。
「暇出来たらな」
悪い気は、しなかった。
振り返った口元は、ニィ、と笑みを浮かべていた。
後は彼女の言うように従おう。まだまだ夜も更けたばかりだ。
消えない松明は、望むままにその手元にあり続けるだろう。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からクロロさんが去りました。
■セレネ > 握り返された手、その後盛大に溜息を吐かれた。
「勿論それは分かっているとも。」
己だって何度も傷を負いたくない。
慎重に見極める必要があるのは承知している。
けれども。
「火傷しないように気をつけるさ。」
己から言えるのはそれくらい。
後は今後の行動次第、か。
案外己と似通った部分もあったせいか、今までの邂逅で話していて楽しかったのは事実。
「腐ってしまうものでもないし、君も色々忙しいだろう。
…取りに来る日をゆっくりと待っているよ。」
蒼を細め、相手に釣られるように微笑んだ。
心強い篝火と共、瓦礫群から離れて大通りへと進んでいく事だろう。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からセレネさんが去りました。