2021/10/25 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に《沈黙》さんが現れました。
■《沈黙》 > (――流石に、中堅規模の組織だと単独では骨が折れるな…。)
ボロボロの黒い外套にスッポリと身を包み、能面じみた白い仮面で顔を隠した影が一つ。
こんな場所にも月光は変わらず差す――つい、先ほどまでとある違反組織のアジトがあった場所。
だが、今は瓦礫一つ無い更地――まるで最初からそうであったかのようにぽっかりと不自然に何も無い。
何をやったのかと言えば、単純に違反組織を一つ潰して異能で己の痕跡を全て『食わせた』。それだけだ。
(ここ最近の動きに便乗しているとはいえ、矢張り単独強行は中々にしんどい…。)
何も無い更地の中央に独り立ちながら心中でボヤく。周りが騒いでくれるのは好都合。
それに乗じて特定の違反組織や部活のみを虱潰しにしているが…尻尾はまだ掴まれてはいない。
(…と、いうより無関心…まぁ、尚更にその方がこっちには都合が良いんだが)
どんなに鮮やかに痕跡を消そうと、幾ら潰そうと所詮は独り…程度は限られるものだ。
■《沈黙》 > そして、懸念は裏の人間だけではない――怪異の連中だ。贋作で失敗作の自分とは違う『本物』。
直接見えた事は無いし、こちらも出来るだけ避けるように立ち回っているが…いずれ遭遇する可能性もある。
(…なまじ本物は怪異の気配が強いから分かり易い…といえば分かり易いが)
微弱ながら本物の怪異と同質の気配を持つ故に、本物が来ればある程度は分かる。
だが、所詮は偽物、贋作、失敗作、出来損ない――そんなのと対峙したら勝てる気がしないが。
一度更地と化したその場を静かに離れれば、手近な建物の屋根へと飛び移り。
人間には戻れず、怪異にもなれず――そんな中途半端でどっちつかず。
そんな中途半端な者にとって、島で暮らせる場所は結局この街しかないのだ。
「………。」
風紀の警邏は無い――違反組織同士の衝突も無い。事前にそこは下調べした上での強襲。
増援や報告をされる前にきっちり潰す電撃戦。今回も成功は収めたが、そう何度も上手く行く訳が無い。
…それはとっくに承知している。ただ、やるかやらないか…それだけだ。
出来ないと諦観しているくらいなら、とっくに街の片隅で息を潜めて暮らしていただろう。
■《沈黙》 > 「………!」
だが、どんなに精神が強くとも肉体はそうはいかないものだ。
人工怪異に至るまでの数々の人体実験…その後遺症。
具体的には、貧血のような症状と慢性的な頭痛。どちらも薬の類は効かなかった。
そういう所だけは怪異寄りの体質なんだな、と皮肉げに心の中で笑うしかない。
…そして、今この時も酷い頭痛に苛まれている。波があるので収まるのを待てばいい。
言い換えれば、今はそれくらいしかこの後遺症をやり過ごす方法が無い。
(…もっとも、完全に治す手段があるかどうかも分からないが)
後遺症を治すくらいなら、いっそ人間に戻るか怪異に成り果てるか。どちらかになりたいものだ。
鈍く続くこめかみからの痛みに仮面の下で僅かに眉を顰めながら、建物の屋根の上で軽く蹲る様に。その間も周囲への警戒は怠らない。
■《沈黙》 > 少しずつ頭痛が治まってくる。まだ鈍い痛みは続いているが動きにそこまで支障は無いレベルにはなった。
深く、仮面の奥から息を零しながら立ち上がる。仮面越しに見渡した街は雑多で混沌としていて…だからこそ。
(…俺のような出来損ないの半端モノでも受け入れられるんだろうな。)
この街を好きとは思わないけれど…嫌いにもなれない。
この街で産まれたのだから、この街で散るのが一番良い。
それがどんなに無様で滑稽で、報いなど何一つ無い塵屑のような末路であっても。
「……。」
まぁ、取り敢えず今夜はやる事はやり終えた。面倒な連中に補足される前に立ち去るべきだろう。
そのまま、緩やかに屋根伝いに跳躍しながらその場を静かに一つの影が去っていく。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から《沈黙》さんが去りました。