2021/10/27 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に羅刹さんが現れました。
羅刹 > ≪待ち合わせ≫
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にさんが現れました。
羅刹 > 落第街に無数に存在する捨てアジトの1つ
最低限の調度品だけが整えられ、いつでも捨てられる拠点

そこに、今日は面白い相手が来訪することになっている
本来なら、組織を嗅ぎまわる相手などは警戒し近づけないようにするのだが
今回の相手はどうにも毛色が違った
そんな相手に誘いをかけられたからこそ、アジトの1つを使い、直接会うことにした。


ただし、勿論警戒は行う
入ってくる者は入念な全身ボディチェックを受け、手荷物を持っていれば隅まで改められる
万が一、抵抗すればその時点で追い出されるのは間違いなく

そんなチェックが終われば、入ってきた者は奥へ向かう通路へと誘導される
更には異能などを警戒してか…後ろと前に合計四人、武装した構成員がすぐに動けるように相手を囲み

その状態で通路を進んでいけば、通されるのは簡素なコンクリート打ちの部屋
ガラスのテーブルと、それを挟むように2つの黒い革張りのソファが置かれているだけ
話を聞くならこれだけで十分であるし、摘発などがあっても捨てて逃げられる家具ばかり

そこに訪れる相手を通せば、ソファの片方に金髪の男が深く座っている

「―――――……」

軽く顎を上げて対面に座るよう促せば
武装構成員もまた、それに追随するようにソファの後ろと横から警戒を続けつつではあるが
客は男と向き合うことができるだろう

>  
無数にあるアジトの一つであろう場所へと向かう
初恋の相手に合うかの如く緊張している
柄にもない、と自ら考えるものの会えると分かった時点から心臓の高鳴りはとどまることを知らない

勿論の事、警戒されるのは分かっている なので腰のナイフは早々に預けた
ケースの中身も調べられるがあるのは一万円が五百枚ばかりなものだ

入念なボディチェックを通り過ぎる 思っていた通りやはり慎重な男だ
人好きのする笑みは崩さずに囲まれながら足を動かす
そうして、ようやっと通されたそこは実に簡素な部屋
見渡すこともないような部屋だが、実に好みだ

ソファの金髪の男へ深々と頭を下げ、頭を上げると 顎を上げる動作が見えた

「それでは、失礼します」

まずは座らなければ始まらないだろう
此方はソファへと腰を浅く下ろし、人好きのする笑みを絶やさないまま

「はじめまして。蜥蜴の首領、羅刹様」

芝居がかった様子で頭を下げ 先程改められた名刺ケースを取り出し
ケースから名刺をだし、それを恭しく 差し出そう

「私、金融業をやっております柊と申します」

名刺には組織と此方の名前、電話番号が記載されているかと

羅刹 > 相手の心情を読み取れる異能などは無いため
羅刹が最初に感じたのは、胡散臭さではあった

ただし、感じる雰囲気自体は…敵対するものではなく、かといってへりくだるものでもなく
言葉に変えるなら、好意的なもの

座ったとしても、羅刹からは口火を切らず
差し出された名刺は…羅刹の後に控える2人の護衛の内、1人が代わりに受け取り羅刹の前へ置く
名刺に何か仕込まれていることをまだ警戒している様子である

「あぁ」

相手の言葉には短く、名前が合っていることの肯定と、返事を返す
構成員が羅刹に囁く。
アタッシュケースの中身を報告しているのだろう

「で。金融業が結構な金を使って何の用だ?
諜報員雇うのもタダじゃねえだろ。その上、そのケースの中はただのカネと来た」

諜報員を使って嗅ぎまわる者が居る
その程度だが、蜥蜴側もまた情報を薄く得ている
何より、監視対象かつ仮の仲間でもある女に接触したのも大きい

まずは目的を聞くためにサングラスの奥から視線をやる

>  
護衛の一人が名刺を代わりに持っていく、頭を上げ 糸目の奥、金の瞳でじぃ、と見据え

「これは、不作法を致しました」

とりあえず受け取ってはもらえた事実を確認
此処まで慎重な男もそういまい と嬉しげに口角を引き上げた

「ははは、目的は…そうですね、単刀直入に言うならそちらの組織に資金援助を申し出たいのですよ。それに、武器弾薬の供給 望むのであれば――人間爆弾まで」

ここで腹のさぐりあいをしていても始まらぬと腹を決めた
此処まで来たのだ、相応の手土産がなければ諜報に使った金は溝に投げたようなもの

「勿論条件はございますが?」

無償で、では流石にと首を振り

「私の理想が貴方の目的と少しでも重なれば、条件は達成されます
 まず、私の理想は――風紀委員の壊滅」

浮かべていた笑みを消し去り 真剣な面持ちで告げた内容は馬鹿げたもの
一つ 息を吐き。

「できれば、聞かせていただきたい。そちらの目的を」

羅刹 > 相手が話している間は、羅刹は口を開かない
背を深くソファに預けてはいるが、目線はサングラスの奥から注がれ続け

「――――――…………」

武器弾薬、カネ、あるいは人
いくら望んでも、足りないモノばかりではある
だが、男が語った条件には、姿勢を前に戻し
膝の上で指を組む仕草を見せて

「まだお前…、柊が信用できるとは限らねえ
だが、『仮面』剥がしてまで言った言葉だ。そこだけは一先ず信じてやる」

アジトに入り、通路を進み…、部屋に入ってきて、話し始めるまで浮かべていたであろう笑顔
人好きのする、良い笑顔ではあったが
それが、この男の盾、あるいは壁のようにも思えた
だからこそそれを取り払った言葉には重みを感じることができる

「…完全な壊滅はあくまで理想論…、っつーのはわかってるだろうな?」

子供じみた幻想を抱いていないか、確認を取る
表に出て、風紀本部を強襲し内部の人間を皆殺し。それで壊滅かと言えば否だ
それこそ、今の違反部活と風紀委員の関係のように、後から後から後釜が出てくるだけだろう

「その上で、だ。
――目的と言うなら、似通う
…簡単になら言ってやる。俺らの目的は、現体制の変化…お前の言葉を借りて壊滅、打倒と言い換えてもいい
風紀は1つの壁だが、目指すのはその向こうだな」

勿論、邪魔をされるのを見越している以上
風紀委員が敵であることに間違いはない。怨恨を持つ者も多数いる
だが、組織としての目的は表側にあるのだと告げる
――それが、風紀委員の壊滅というものより尚、不可能であるとわかっていながら。

>  
信用できるとは限らない その言葉は理解できる、と首を縦に振る
だが、一先ずの信用は得られたようで 小さく、小さく息を吐いた

「ありがとうございます。少しでも信じていただけるなら光栄です」

胸に手を当てがい頭を軽く俯かせた後 耳に入った言葉には
ギリィ 歯噛みしながらも、頷くように 更に頭を垂れさせる

「ええ、分かっておりますとも」

そこは重々と承知している事柄だ
だが、此方としては今の風紀に打撃を与えるだけでも儲けもの
後釜が出てきた所で――知ったことではないのだ

更に 相手の言葉を聞いていく内、サングラスの内の瞳を覗いている内
真一文字に引き締められた口元は引き上げられていき、弧を描くまでに成長する
やがて胸に当てた手を軽く広げ、興奮するかのように目を開いた

「それは、素晴らしいお話です!
 私のお話がちっぽけに思えてきました!

 ――失礼」

興奮しました 申し訳なさげに呟かれた言葉。

此方も信じているのだ、風紀委員の打倒を 壊滅を
しかし心の奥どこかで諦めていた気さえするしかし、だ
目の前の相手の言葉を聞いて理想は現実になると――信じられてくる

「この前、調子の狂う少女に言われましたよ
 理想があって現実に近づけると あの少女は正しかったようだ」

羅刹 > 初対面の相手については、必要以上に警戒する
それがたとえ、こちら側の人間だとわかっていても
まだ刺客やスパイと言った可能性も残っているのだから

しかし、見返りが風紀を打倒することだけ、というのもまた逆に怪しいとは感じるが…

「――自分の理想を小さく言うんじゃねえよ
…冷静に見極めるのは必要だがな。
…あの鉄火や他の風紀を見て、打倒と言うなら…てめぇも肝が据わってやがる」

撃ち合うなど、常人には不可能
隙を突いても必ず何かしらの隠し玉がある
そんな相手を、この目ざとい相手は知っているのだろう
それでも、壊滅させるという言葉は冗談ではないと感じてはいるが

「…そうかよ。そりゃ、良い出会いをしたようだな」

人間である以上、間違いは生まれる
だから、『調子が狂わされる』相手というのは貴重ではあるというのは持論だ

「…で?もう腹を割ってるっつーなら無視してやるが。
本当に打倒だけで擦り寄ってくる、っつーのか?」

ず、と羅刹の声が低くなる
嘘を見抜く異能もまた、無いものの
威圧感を与え、嘘を精神的に阻害する基本的な交渉術

どうにも、多大な資金や手間をかけて寄ってきた割には
要求が少なすぎるという所感を得て
一度だけ、重い空気で問いかける

>  
この慎重な男だ まだ此方を疑っているのだろうと思案する
しかし此方は最大限、相手の組織に青天井、すっからかんになるまで掛け金を出すつもりだ
だからこそその価値はあると 風紀打倒のため 長年地下に籠もっていた此方は思う

恐らくは価値観の相違 一つに狂う男だからこそ、一つに賭けられる

「ははは、ありがとうございます
 あの少年は怖い。何もかにも吹き飛ばす…ですから見えるものもあるのですが」

どんな相手でも撃てば倒れる
そう信じてはいるが、あの少年だけは恐ろしくて恐ろしくて
それでも、どうにかできると考えている

「ええ、お陰様でこの通り」

いつもは慎重な此方が 金を貯めるだけだった此方がこうも動いたのだから

「…そうですね。あともう一つだけ」

空気が、重くなる
此処が分水嶺なのだと理解させられるような 空気
それでも、調子を狂わせられた男が望むのはあと一つ

「伊都波 凛霞…この名前に聞き覚えは?」

羅刹 > 真意については、結局しばらく協力関係を築き
お互いに…というより、羅刹側が信用できるように動けば
本当に信じられる時もまた来るだろう

「無謀な奴じゃあねえようだな」

相手の鉄火に対する言葉にはそう言って締める
あれを見て、恐怖を表に出さず、ただ打倒だと叫ぶなら組むには値しない
そして、次の質問には…視線が鋭利に、切り刻むような冷たいものになっていく

「…あるかないかでいえば、ある。」

梟も全ての情報を察知できるわけではない
知っているのは凛霞が誰かと話しているのと、そのぼやけた人相だけ
勿論近くにも隠れ潜んでいた構成員は居たが、情報は得られなかった

ただし、こちらにアプローチがかけられたタイミングなどで
もしかすると、という予想を立てていた
その予想は当たっていたが、雰囲気は更に重くなる

「で。それを聞いて、どうなる?」

もし、あの女自身にも何か目的があるなら話せ、と付け加えて聞き返す

>  
そこは仕様がない 此方のように狂っていなければ
最初から相手の言葉を信じられるはずもない
だが、狂ってはいるが 現実は見えてはいる
無論 相手が此方を信じられるように動くだろう

「ええ、長年地下にこもっていれば無謀は消え去ります
 貴方のように賢くはなれませんでしたがね」

嫌味のない言葉 言葉を締めたのならひょいと肩を上げ
試されていたようだ 心の中 冷や汗をかいた
だが 此方の質問には更に冷や汗が流れそうになったが

「ほう…それは僥倖」

要らぬ言葉は使うまい 相手の鋭利な、心を咲くような視線にそれを心に誓う
やはり分水嶺であった。
まずい方にかじを切ったと思うがしかし、言葉を選べば情報が手に入る

「あの少女と、もう一度お話をしたいだけです」

あのときは、血が登ってしまっていたが 冷静になれば此方の気持ちを晴らしてくれる
そんな少女でもあったから ただ、もう一度話をしたい

「ああそれと、あの少女は筋金入りのお人好しでしたから
 此方に情報は何一つ与えてはくれませんでした」

筋金入りのお人好し、しかも頑固 昔の誰かを思い出す

羅刹 > 妙な部分はあるが…
提供されるものは、何度考えても無限に…あるだけある方が良いものだ
それに加えて、組織に対して同調を見せるなら、ここで始末する理由もない

「そうか」

また、短く答える
構わないだろうと煙草を取り出し、1本火をつける
歓喜はある程度されているのか煙が部屋からどこかへ運ばれていき

「嘘じゃあねぇようだな」

しっかりと答えれば、声音は元に戻る
優しくは無いが、少なくとも硬さはそれほど無くなった声
ここに来て嘘を吐く理由もまた、ほぼ無いか
奪還に来た可能性がまだミリでもあるのだから、警戒は続行するものの

「…その口ぶりじゃあ、俺らのところに居るのも知ってるな。
なら、まずはしばらく価値を示せ。そうすれば会わせてやるよ」

現状、あの少女は保護…というより奪還されないのが蜥蜴の一番の目的だ
そのために、やはりまずは一度、協力関係を結んでの様子見
すぐには願いは叶えられないが…相手からの利益を確認すれば、見張り付きで会わせるくらいは問題ないだろう

「それでいいなら、確認だ
お前はこちらに金、弾薬、人を流す
俺らはお前に、風紀の打倒に向けての活動と、あの女と会わせる事を約束する」

間違いないか、と
一本ずつ指を立てて確認
書面も何もないが、この落第街で書面がほぼ役に立たないことなど羅刹は理解している
だからこそ、敢えての口約束
こちらから差し出すモノがほぼ無い以上、これで問題ないと考えている

>  
説得力に欠けたかも知れないが どうにかなりそうだ
もう少し理論武装してくればよかったかと後悔するが、後の祭りだ

「ええ」

煙草の煙は嫌というほど嗅いでいるので問題はなく
何の反応も見せずに相手を見るだけだ

「嘘をついて御破算になったら笑えない
 多少の利益は欲しいものですので」

声色 視線がもとに戻ったのを見るに乗り切ったようだ
一つ心の中で息を吐き 未だ警戒はされていると知りながら相手の言葉に口を開く

「ええ、まあ…そっちにもお金は裂きましたので
 ははは、これはこれは…ありがたいことです」

価値を示すだけならば問題はない
長年地下に籠もって貯めに貯めた金を吐き出すだけだ
相手に求められれば何でも出そう

「…ええ、その条件で構いません」

普通に考えれば此方側の利益はゼロに近い
それでも 此方は一つの理想――執念のために条件を飲む

「それでは、契約が叶いましたので…アタッシュケースの五百万はお祝い金
 ということでそちらにお譲りいたします」

アタッシュケースは確か預けたのだったか そう思い出しながら

「本日は長いお時間を取らせてしまって申し訳ありませんでした」

本日はもうこれで終わりだろう そう考え再び人好きのする笑みを浮かべ

「妙な部分もあったでしょうが 
 私にとってしてみればあのネズミ…失礼
 風紀は本当に大嫌いでしてね」

利益を度外視してでも成し遂げたい、理想だ