2021/11/02 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に伊都波 凛霞さんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にさんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
落第街の並ぶ廃ビルの一つ…にカムフラージュされた
《蜥蜴》のアジトの一つ、その一室にて

「ここで待てばいいの?」

来客があるらしい、と伝えられ
見張りの一人によって連れてこられたその部屋は
殺風景、には変わりがないものの…対面のソファがあり、テーブルもある
一応の『応接室』として体裁を保っているような、そんな部屋

「(羅刹さんなら待たせるんじゃなくて私を呼ぶよね)」

さてそうなると誰と会うんだろう
うーんと頭を捻るがぱっと浮かばない
風紀委員の誰か…が捕まったとかでご対面!…なら、耳に入るだろうし…

とりあえず待てと言われたので待ちますか、と
お口が手持ち無沙汰なので見張りの子に話しかけたりしていた

>  
これだけ胸が高鳴るのはこれで二回目だろうか
一回目は羅刹さんとの話し合い、二回目は、あの少女ともう一度出会えるという事

はぁ ため息が混じったような、そんな息を吐きだし
廃ビルに向かう たどり着いたら、身体の検査を受け
オッケーが出されたら中へと入っていき、連れてこられたのは
ある扉の前だった。

「この部屋で宜しいので?」

確認のため案内役へ問いかけた所ここであっているらしい
ならば ノックをしよう。

中から声がかかり、中にはいれたらひょっこりと扉から
人好きのする笑みを浮かべた顔をだすはず

伊都波 凛霞 >  
『どうぞ』と
投げかけられたのは男性の声
自分の見張りをしている構成員が返事をし、ドアを開く

ちょうど開かれたドアから覗いた顔は、対面する形のソファに掛けた少女とばっちり視線が合う

「あれ、貴方は…」

先日、落第街のビルの屋上で会った…
と、真新しい記憶はすぐに蘇って

「私に会いに、って。柊さんのことだったんだ」

意外そうな顔をする少女を尻目に、
見張りの男は入れ替わるようにしてドアの外に出る

この部屋の入口は1つのみ、そこで見張れば対話を阻害することなく監視できる

>  
「ははは、どうも」

あのときは物騒なことを口にしてしまっていたのだから当然バツが悪い
バツが悪かろうと、と思い直し中へと見張りの方と入れ替わりで中に

「ええまあ、そうですね。いやはや、連絡がなくて心配しましたよ」

ソファへと足を進め「いいですか?」と座る許可を得ようか
許可を得たら 早速とソファへ腰を下ろす

「とりあえず、お久しぶりです。と言っても先日お会いしたばかりですが?
 あ、チョコレートはお好きですか?」

この前の発言をなかったコトにしようとする狡い男は懐から
包装されたチョコレートを一つテーブルに

「最近はハロウィンですので」

伊都波 凛霞 >  
「ちゃんと名刺は持ってますよー。
 ただちょっと、簡単に外に連絡が出来ないというか…」

状態が状態なので、と笑って
どうぞどうぞとソファへと促す

「そうですね、先日ぶり。
 あ、世間はハロウィンでしたねー…さすがに意識してなかったなあ」

ありがとうございます、と差し出されたチョコを受け取り、
とりあえずお話はなんだろうと聞く姿勢
チョコは後でいただきますと懐へ

>  
「ははは、どうやらそのようで」

相手の現状を考えれば当然と肩を上げ
促してもらったなら遠慮なく座ろう

「おっと、トリックアトリートと言ってもらうんでしたね
 私も忘れておりましたよ」

世間話はこれくらいだろうか
相手も聞く姿勢に入っていることだから
手短に話そう

昔の影を追い払うか それとも追うか 大事な質問だ。
いつも浮かべている笑みを消し 相手の瞳を覗き込むように 見据える。

「一人の男が一人死にかけています すぐ近くには二人
 貴方はボタン一つでどちらかを助けることが出来ます
 貴方はどちらを選びますか? あ、二人助けようとしたらどちらも
 死んでしまうかも知れません」

どちらかを選べばそれまで、もしどちらも助けるというのなら――

伊都波 凛霞 >  
さて、聞く姿勢に入っていると問いかけられたのは…所謂、選べない二択
トロリー問題、などとして倫理学の課題によく取り挙げられるものによく似た質問だった

「突然ですね」

思わず苦笑する
先日のビルの屋上でもこんな感じだったっけ
なんて思い出しながら

こういった質問には、実は慣れていた
性善説の塊の如く毎日を生きる身としてあるいは試され、あるいは好奇心から
なので答えは決まっていた …けれど

「どっちも選びません。 …っていうのが常なんだけど…んー……」

下唇に指をあて、考える仕草
今日の質問には…余地を感じた

「死んでしまう"かも"しれない。なら、
 どちらかが必ず犠牲にならなければいけない選択は私はまず選べません。
 両方を選んで望みが少しでもあるなら、うーん…後は頑張りで可能性を底上げしようかな」

…こんな答えでいいのかな?とやや顔を伺いながら、そう答えていた

>  
「よく言われますよ。
 この間も羅刹さんと一人でお会いしに行って部下から大目玉をもらいました」

突然の行動 それはいつものことだ
気になったことがあればすぐに行動に移してしまう
厄介な 昔からの癖だ

苦笑する相手を覗き込むように 見ていたが
此方の質問の答には勝手に落胆しかけた のだが

相手から、続けられた言葉は思わず目を見開いてしまうもの
影を、追ってしまう答え

「ああ、貴女はどこまで似てるんでしょうねぇ」

昔の影が微笑んだような そんな気がした
いつもの人好きのする笑みとは違う 情けないような、そんな笑みを口元に乗せ

「お答えいただき誠にありがとうございます
 それで、なのですが……その、困っていることはありませんか?
 何でも良いのです。お金で解決できるのであればお支払いしましょう」

できるだけ彼女を助けようと 決めてしまった。
膝の上で手を組み、親指同士を回転させながらの 質問は少し声が震えていただろう

伊都波 凛霞 >  
よく言われますよ、なんて言葉を返す相手にまたも苦笑い
迂闊な行動はこの辺りはご法度でしょうにと
それだけ、生存能力に長けているのかもしれないけれど…なんて、勝手に想像しながら

「…?」

似てる、という言葉を向けられる
先日のやりとりを思い返すと…なんとなしに見えてくる輪郭はあった

「…えっと」

「柊さんは、どうしてそこまで私に…?」

落第街で金貸しを営む男
困っているからと、お金を都合し助けて回る…なんてことをしていてはすぐに足元を掬われる

そして、困ったことといえばどうやってこの蜥蜴という組織から逃げ出すか…であるが
さすがにそれをこの場で口にするわけにはいかない
それとも、金でそれを解決する緒が作れるだろうか──

>  
「ははは、直さねば」

苦笑されて ご法度と言われてしまうとまさにその通りと後頭を叩く
いつもは慎重なのだが、突飛なことで飛び出して部下に救われている

昔の影が頭にちらつく あの笑顔が あの苦しそうな顔が
どうして そう問われてしまえば口を噤んでしまう他ない
それ、でも 懐からボールペンを取り出し 名刺の裏へとこう書いた

『死んだ妹にそっくりだから』

「……それは、答えられません」

その名刺を裏向きのままで渡す
言葉とは裏腹の、行動 もし聞かれていたらと思っての
それは遅すぎたかも知れないが

「まあ、なにか思いついたらで構いません
 少しでも助けになりたいのですよ”できる範囲”で」

その言葉に 含みをもたせよう
小さく小さく 息を吐いた後。

「ああ、それともう一つ宜しいですか?
 これはお願い事なのですが」

伊都波 凛霞 >  
差し出された名刺
既に受け取っているものとは別の意味で差し出されたそれを手に取り、視線を落とす

そう、やっぱりあの話は、例え話ではなかったのだろう
先日や今程の質問も、亡くした妹さんに重ね合わせてのもの
それを理解すると同時に、思う
やはり手は差し伸べるべきなのだと
全てには及ばなくとも、少なくとも手の届く範囲には…そうしてゆくべきなのだ

「…そっか」

答えられませんという言葉に、返した言葉
きっとそれは彼のもっともデリケートな…言い換えれば脆い部分なのだろう
無遠慮に触れれば崩れてしまいそうな、そんな風に感じる

「そうですね。じゃあ、思いついたら── …? なんですか?」

もう一つ、と
そして取引や交渉でなくお願い事、という前置きに小さく首を傾げて

>  
風紀委員を壊滅させる、その理想に偽りはない
偽りはないのだが、この少女だけは 守らねばと心に誓った
もはやそれを反故にするつもりはない、もう決めたのだ

「ええ……申し訳ありません
 これだけ質問しておきながら――ああ、貴女の魅力にやられました
 と言っておきましょう」

その体つきたまりません とかオヤジ臭い冗談を飛ばした

お願いごと、となると一気に勢いはなくなって。

「膝枕、させてもらえませんか?」

してもらう、ではなく させたがる
頬を掻いて

「無理なら、構いません」

無理強いするつもりはないと続け
視線はどこか、所在なさげに彷徨ってもいる

伊都波 凛霞 >  
魅力にやられた、などと
受け取った名刺に書かれた言葉から伝わるものは、そんなに軽薄なものじゃない
彼はなんとしても失いたくなかったのだ
今は金貸しを営む男
あの時にほんの僅かばかりの金さえあればと、世の中を呪ったのだろう

「…いいですよ」

どこか、行場のないような視線
ああ、きっと口にするのは…迷ったんだろうな、なんて
すぐに理解ってしまう、そのお願い事に
一瞬の間の後、快い返事を返す

失礼します、と席を立ち、柊の隣へと腰掛けて
こうかな?と…身体を横たえ、頭を預ける……
不思議な間隔、何かを思い出してしまう

「あ…私、妹がいるんですよ」

ふと、口をついて言葉が出た

「それはもう、めちゃくちゃに可愛くって、あの子のためなら何でもできちゃうし、
 もしあの子が、この世に生かされなかったら…私ももしかしたら……」

声の音量はとても小さく…その声は柊にしか届かない

「ずっとこんなことしてると、いい加減にしろって妹に怒られちゃう」

「……私を、この組織から買い取ってもらうことってできますか」

膝枕をされての至近距離、小さな声で囁かれた言葉
恐らくは、彼…羅刹は、金銭だけでは動かない
けれど、いつまでも此処にいるわけにはいかない
可否は兎も角として、あらゆる手段を手繰るのは…必然だった

>  
呪って呪って、呪い尽くして、こう成り果てた 
ああ、この少女はどこまで優しくて、似ているのだろうか
こうやって此方が甘えさせようとしたら、快い返事を返すのも

「……ありがとうございます」

一瞬の間は長い時間に感じた
快い返事を返してもらった 嬉しくて、嬉しくて
此方の横に座って、頭を預けるのを温もりで感じて 心地よさそうに息を吐いた
白檀のような、香りが僅かにするだろうか

「おや、そうなんですか?」

ふと、口に出た相手からの言葉は驚いてしまって

「あはは、それはそれは……お気持ちわかりますとも
 私にも妹がいればそうしたでしょう……ええ、分かりますとも」

此方にしか届かない声が心地よくて
聞かされる話も心当たりが多すぎて小さな笑いまで出てしまう
最後の言葉は 目を細めたが

「……そうですね。私も怒られそうです」

「……ええ、勿論出来ますよ。必ず買い取ってみせます」

傍から見れば、可笑しいだろう
風紀に復讐を誓う男が少女を助けるなどと
それでも と男は思う、この少女だけはと

「必ず、必ずです。買い取ってみせます」

この言葉は重い決意が含まれている
そして、惜しそうに呟く。

「ああ、今、貴女の時間を買い取れればいいのに」

伊都波 凛霞 >  
爽やかに漂う甘い香り
落第街の金貸しの男にこうやって一時を許している
そのことに不思議と危機感も何も、覚えなかった

「…うん。だから、怒られる前に、ちゃんとしなくちゃ」

薄く眼を細める
自分の失態からはじまったこと
それでも良い様に使われる時間は…過ぎた

彼、羅刹との約束を踏みにじる日は、きっと近い

「……無理はしないで下さいね」

必ず、という言葉を連呼する柊にやや心配そうな色の目線を送る
彼が自分を買い取ろうとする動きをするだけで、羅刹は何かを考える
その考える時間を割かせるだけでも、きっと意味がある

この、柊という彼は、きっと真っ直ぐな人間だ
まっすぐ過ぎて、道を外れた後もレールを切り替えることが出来なかったのかもしれない
そこに、少しだけ心配があった。…無茶することはしないようにと、願う

「──私の時間は、お金じゃ売れないです」

しばらくの時が過ぎ、ゆっくりと少女は起き上がり、ソファから立ち上がって服を正す

「時間をたくさん無駄にしてきちゃったので、余計にかな?」

そう言って、少しだけバツが悪そうに笑う
おっと、無駄じゃなくって糧にしていかないと…なんて自分に言い聞かせるように付け加えていた

>  
怒られる前に、ちゃんとする
全くもってその通りだろう
だが、此方はちゃんと日向を歩める時は過ぎてしまった。

「そうですね、妹はおっかないですから」

昔凄く怒られたのを 思い返して クスクスと
すべてを賭けた男から、少しだけ頂戴しよう そう思う

「ええ、無理なんてしませんよ? お兄さんでしたから」

心配性なことだ、と再びクスクスと
そうして相手のことを買い取る算段を組み上げ始める
さあどうしようか
相手の頭を膝に載せたまま、人好きのする笑みへと

起き上がった相手を名残惜しそうに見送る が、頭を切り替えた

「あはは、これは手厳しいですね」

少女が立ち上がるのに合わせ、此方も立ち上がろう

「ふふ、そういう貴女好きですよ」

そっくりだ 口を動かしただけの言葉は消えゆくのみで

「さて、そろそろお時間ですかね?」

伊都波 凛霞 >  
──妹はおっかない
───お兄さんだったから

彼の一つ一つの言葉から伝わるのは…
時間は限られたものである、ということ
それは自分の時間であったり、あるいは依存する誰かの時間であったり…

「約束してくださいね」

彼も落第街で生きる人間
そして取引相手もまた落第街の組織の主だ
無茶をすれば…死にだって簡単に繋がる

「えっと…そうなのかな」

時間をと問われればちらりとドアのほうを伺う
…要件だけで話が済むならこんなに長くは話し込まない
ヘンに怪しまれるのも、今後を考えれば宜しくないだろう

「……それじゃ、こんなところですか」

ありがとう、と言葉を続け、右手を差し伸べる

>  
「ええ、約束です。死なずに約束を守ります」

誰かを悲しませるのは辛い それはよく知っていることだ
相手から心配の気配が伝わって おどけるように 肩をあげる

「愚痴をたっぷりと聞きたかったのですが
 それは誰かさんにお譲りしましょう」

これでも、長年この街に潜っている
引き際は弁えているつもりだ
だけど、この少女は男に火をつけた

「こちらこそ、ありがとうございます
 今度こそ何かあればご連絡を」

差し伸べられた右手 それを優しく握り
上下に軽く振った 離したなら目を細め

「貴女は、この街の希望だ」

相手にしか聞こえないであろう声で そういったなら
踵を返しドアをノック 開けてやってきた見張りの方と入れ違いになってドアを出てゆこう
さり際、ウィンクを一つしたが 茶目っ気だ