2021/11/06 のログ
■羅刹 > 「…恍けてんのか、本気で言ってるのか相変わらずわからねえ奴」
小声でつぶやく
まともに開放などするわけがない
約束も、欺瞞と悟られない程度に抜け道も用意してある
結局、風紀委員や『獣』と比べれば
男など暗い場所を這うしかなくなったただの蜥蜴だ
「助ける、差し伸べる、手を取り合う…か
…てめぇが何故、裏方に居るのかわからねぇくらいだ」
約束を守っているとはいえ、あれだけ自身にとって不利益があったというのにこの態度
『風紀』委員と言うなら、この女の方が余程矢面に立つべきだろう
そうなれば、もっと救済されたがる者も増えるだろうという予想を立て、小さく笑う
考え込む癖は治らない
「…趣味じゃあねえが、もう一度言うぞ
ンな目向けるなら、てめぇが完全にこっちに来い
…手段は択ばねえ。
だが、一面焼け野原にして関係無ぇモンまで焼け死にさせることはしねぇがな
条件も、てめぇ次第だ」
どちらにしても枷はある
その内容は、聞かれない限り明かさずともいいだろう
丁度連絡用端末が鳴り、画像が送られてきた。
端末を反転させ、長机に滑らせる
「表側じゃ限界がある。『変える』にはな
それはお前も感じてんじゃねえのか?」
『砲火』によって、あるいはレーザーによって崩壊した…『存在しない地区』の画像を見せて
特別な画像ではない。
例え、女が攫われなかったとしても、『日常』は繰り返されただろうからだ
そして。この女が、表側で安穏と何もしてこなかったとは思えないからこそ
前かがみになり、サングラスの奥から、澄んだ目をそのまま見返す
白梟辺りには殺されそうだな、などと思いつつ
■伊都波 凛霞 >
「それは、色々あるの。事情って言うものがね」
なぜ裏方に、などと言われれば再び苦笑
表に出てこれない時期もあったので仕方がない
続く言葉には…ただ、じっと男の話すことを聞いていた
やがて言葉が終わり、現実を見せられる
目を背けたくなる光景、だが眼は逸らさず──哀しみの色を浮かべてこそいたが
この現実は、自分が招いたようなもの、そんな色もすぐに鳴りを潜める
「私は…──」
「変えることより、変わることを望むので」
再びの断りは、一度目とは違って
深く頭を下げ、申し出を断る姿勢を見せる
「私の全てを捧げるといった嘘については、謝罪を」
頭を上げると、表情は、笑顔
でもあれは貴方が卑怯なコトしたんだからしょうがないですよ、なんて言葉まで
■羅刹 > そうか、と呟く
ならば…柊の事も聞けた
話の流れから出た言葉も、これ以上は無い
後は…舞台にこのお姫様を上げるだけだ
「はっ、あれだけされて正気保ってた奴が何を言いやがる
なら、てめえは餌になる日まで閉じ込める。
俺らからは何もしねえが、その日になるまでお前に自由は無ぇ」
殺すのもリスクが高い
懐柔も、こうなっては不可能だろう
人質も大した障害になりはしない
例え、男どもで嬲り続けたとしても精神性までは変質しないだろう
ならば、当初の予定通りに計画を進めよう
予定外の損害はあったが、まだ実行は可能
「――話は終わりだ。質問は」
いつもの言葉で締めくくろう
リスクはあるが、抱え込む方が面倒だ
後は、盤面次第と…仕込みが上手くいくかどうか、か。
■伊都波 凛霞 >
『質問は』
この男はいつも話の最後にその言葉をつける
疑問・質問、色々と問うてきたが、このやり取りも一旦はこれで最後だろう
今後また関わることがあるとしても、おそらくは完全に、敵同士
なら、中からの質問の機会はこれで最後なのだろう
僅かな時間の後に、口から出た言葉
「…勝算はあるの?」
それは、この盤面を差してのものではなく
男が言った、現体制の崩壊を狙うという言葉への、疑問
この蜥蜴という組織は、よく出来ている
風紀委員が力を振るっても、簡単には根絶できない程に
…ただ、それでも常世財団と生徒会という"壁"は、この島の住人にとって絶対に等しい
組織の内部に身をおいて見て尚、どこに勝機を見出しているのかは理解できなかった
故に、男からの返答は、あっても、なくても構わなかった
ただただ、この羅刹という一人の人間が未来に見据えている道があるのかどうか
それだけが気になったから
■羅刹 > 「――、無けりゃ、誰も付いてこねえよ。
…だが、一先ずはお前らだ。
と。…ああ、言い忘れだ。
そのチョーカーは付けたままにしておけよ。
外すと酷ぇことになることは忠告しておく」
お前ら、という訣別の言葉。
風紀に対して…組織内の人員も、羅刹も…個人的な恨みもある。
それも風紀打倒の理由の一つではあるのだ
どちらにしても、敵同士であろう
調べたとしても…チョーカーは既に通信の機能を失ってはいる
信じるも信じないも自由ではあるが。
「…道は見えてる。
どれだけ叩きのめされても、挫けることは無ぇ。
…止めて見せろよ、風紀委員」
今後、動きが縮小されたとしても
また、動き出すのだと。
ただ暴れまわって死ぬ存在ではないと告げて
立ち止まることが無ければ、そのまま見送ろう
■伊都波 凛霞 >
勝機はない
あるいはわからない
そう答えられたほうが、幾分か気持ちは楽だったろう
「…そっか」
僅かに眉を顰め、立ち上がる
道は見えている、と男は言った
見えている以上は、止めることもない、と
そして、止めてみせろとまで
「頑張ってはみようかな。
…どうなるかは、わかんないけど」
そもそも"お前ら"という枠でいれるのかもわからない
自分の中の答えが出ないうちは、たとえ無事に解放されたとしても──
呼吸を整える
今はまだ、それは考えることじゃない
交わすべき言葉は交わし、尽くしたのだろうか
羅刹を一瞥し、ドアへと向かう
今後まだ顔を合わせることがあるのか、ないのか…
わからないままに
「それじゃあ…また」
そう、言葉を残していった
■羅刹 > いくら遠くても、道筋が作れていないなら
それは単なる妄想だ
だからこそ、蜥蜴は『負け』を許容する
全てが潰されなければ、また進めるのだから
「また、と来たか
…全く。」
く、く、と
女を見送った後、笑う
また会うのならその時どうなるのか
それは、誰にもわからないが
今はただ、捕らわれの姫という役割を、押し付けよう――
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から羅刹さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
落第街、蜥蜴の所有するアジトの一つ
その地下室…これまで自分が点々と移動し、使っていた部屋とは違って
ただ閉じ込めておくだけの、殺風景な部屋
再びの手枷に足枷、チョーカーも嵌められたまま
毛布だけが乱雑に置かれた部屋に腰を降ろす
ひんやりと冷たい、これから解放に至るまでの時間は、ただ過ぎていくだけ
出入り口は一つ、此処に案内した見張りはドアの前で交代しつつ、監視を続けている気配がする
「(……幸い)」
「(残った時間は、全部考えることに使えそう…)」
■伊都波 凛霞 >
何か、失敗をした時に考えなければならないことは
失敗の原因と、今後同じことが起きた場合の回避・対処の方法である
何をどうすれば、そうなることを回避できたか
今回の場合は、誰かの命を盾に使われた場合の対処とも言い代えられる
……まぁ、散々考え尽くした気もするけれど
「(…うーん……)」
「(…無理、じゃない?)」
■伊都波 凛霞 >
勿論、冷静さを欠いた点に関しては今後への課題にできる
それでも人質を見捨てることが絶対に出来なければ所謂"詰み"の状況は簡単に作れてしまう
相手が手段を選ばなければ、とても簡単に
一人でなく複数で対処するのが理想的
ただ…自分の場合は誰かが近くにいること自体が枷になる
自分が二人三人いれば解決だけど、分裂するわけにもいかない
前線に出ない、という選択肢も勿論ある
けれどそれもまた、二級学生や不法入島者、違反学生に対しても言葉を交わし
手を差し伸べられる風紀委員が現場には必要だと思っていた
勿論、それは自分でなくても良い
「(まぁ、そういうコトの前に…)」
「(…どんな処分が下るか、だけど)」
■伊都波 凛霞 >
自分の考えが間違っている、とは思っていないけれど
それが風紀委員に求められる"上の考え"と合致しているかどうかはまた別の話
求められるのは、どう責任を取るか
あるいは、腕章を返却することになるのかも
「(…あぁ、もう)」
「(……すごいたくさん、怒られそう…)」
■伊都波 凛霞 >
考えは纏まらない
薄暗く、冷たさを感じる地下の部屋で
いっそ眠ろうと思うも眠れず
浮かんでは消える取り留めもないことを考えて、ただ時間が過ぎるのを待っていた
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に羅刹さんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にシャンティ・シンさんが現れました。
■羅刹 > 多数アジトを抱え、構成員のセーフハウスとして利用している蜥蜴だが
その中には、ごく一部しかその存在を知らされていない場所も当然存在する
組織の中に明かせない相手と会う時、個人で動く時
そういった場合に使用される秘匿性の高い場所
その場所に今夜、久しぶりの客を呼び込む
周囲には、信頼できる見張り数人以外には部外者はいない
…コンタクトには多少手間取ったが、民間人に偽装した構成員にメモ書きを渡させ
最も表が賑わう週末の夜に、多数のルート、偽装工作を用いてこちら側へ連れ出し
小休止の合間を狙い、落第街の奥深くへ案内する
アクセサリ等々によって雰囲気を変えさせ、表の眼を逃れる狙いだ
戦闘中であるためそれほど監視は強くないと考えられるが、それでも警戒は厳とする
それらの変装は隠されたアジトに到着した時点で取り去られるだろう
「――入れ。手間ァかけさせたな」
そう言葉を付け加えながら、導いた相手を部屋へと通そう
部屋は相変わらずの飾り気のなさではあるが
とは言っても『特別』な来客用なのか、椅子の皮は柔らかくテーブルは厚いガラス作り
ソファとテーブル以外にも酒やたばこ、金も用意されている場所
そこに、今日の来客を通そう――
■シャンティ・シン > 入ってきたのは、一人の女。当然、招いたはずの人物である。が――
女は、普段と様相が違った。銀の髪は、より白く色を失い。褐色の肌もまた、白く染まっている。さらに普段はかけない眼鏡を装着し、虚ろな目は銀に染まっている。一見では彼女を識るものでも同一の人間とはわからないだろう。
「ふふ……ご、丁寧、に……どう、もぉ……? それ、でぇ……これ、は、どう、いぅ……趣向、なの、か、しらぁ……?
しかし、中身は、といえば……常と変わらず、薄く笑いを浮かべている。
「わざ、わざ……こぉん、な……とこ、ろ、まで、ぇ……呼ぶ、と、かぁ……」
じっと、見えない目を男に向けた。
■羅刹 > 「何。お前も会いたくねえ奴ぐらい居るだろ。
俺もそうそう顔を出すわけにゃあいかねえ。
だが、今後の事、前回の事は確認しておきたかった。有力な協力者の1人であるお前にな」
まあ座れ、と視線を向け
「似合ってるじゃねえか」
その変った様相にふ、と笑ってから、煙草を取り出す
「直接話しておきたかった。
でけぇことが起こる前にな。…例のショー以降、連絡が取れなかったが。
お前の好みじゃあなかったか」
聞くのは、以前の劇の事
どちらにしても自由でいいという契約であるため聞く意味はあまりないかもしれないが
それはそれとして、協力者の感想はしっかり、誤魔化されずに聞いておきたかった
■シャンティ・シン > 女は促されるままに席に付き、静かに話を聞く。
「あら、あら、あら、あら、あらぁ……」
男の返答を確認して、女はくすくすと笑う。
「冗談、が……うまぁ、い……わ、ねぇ……笑い、死ぬ、か、と……思った、わ、ぁ……あ、は、ふふ、ふふふ……」
くすくすと笑う声が、小さいがはっきりと部屋の中に響く。
「でけぇ、ことぉ……? はじ、まる……ま、ぇ……? あ、は…… もう、起、こって、いる、で、しょぉ……? えぇ、えぇ……阿鼻、と……叫喚、と……鉄、と……熱、とぉ……」
席から立ち、熱に浮かされるように、恍惚と、口にする。それは狂気のようにも、正気のようにも見える。そして、その場で踊るようにくるくると舞うように動き、語る。
「で……なん、だった、かし、らぁ……あぁ――この、間、の? ショー? ふふ……私、は……別、に、ね。三文、芝居、だ、ろう、とぉ、一流、の、演劇、だ、ろう、とぉ……貴賤、を……考え、る、ほど……無粋、じゃ、あ……ない、わぁ……?」
舞を止め……男の方を見やるようにする。
「……けど、ねぇ……羅刹、ちゃん? あなた、どう、する……気ぃ……?」
顔を、身体を、わずかに近づける
「あなた、どう、したい、のぉ……? この、始末ぅ……」
■羅刹 > 「お前こそ、楽しそうだが。
多少派手にはなったが、今のところはいつもの『挨拶』とやってることは変わらねえよ
あれが、散歩がてらに似たような事やってるのは知ってるだろうが」
気合だのなんだのは測り切れない
戦場に出てきたのは、鉄火と剣を使う異能者
未だ、その程度だ
対象範囲は広いものの、その分火力自体も薄くなる
現に、蜥蜴もまた痛手を受けてはいない
一部過剰反応している輩もいるようだが、何故今迄『散歩』を咎めなかったのか不思議なくらいだ
「俺の見立て通りなら、今回はこれじゃあ終わらねえだろうな
何せ、前回と違ってこっちからのアプローチは抑えてある
奴らとしちゃ、成果が得られない。戦った、という結果が得られにくい。だから次はもっと派手に来るぞ
お前の好きな派手なのがな」
だから、始まる前、なのだと言う
「『外部協力者の大道具』に、心配されるとは思わなかったぜ
そうだな。俺のミスだ。
だが、始末も何も…一度大きく組織を縮小して隠れるしかねぇだろ
例の災厄でこっちの戦える人員がかなり削られてんだ。追加の人員も今は期待できなくなった
無限に湧いて出てくる『正義の棒』を持った奴らと付き合えるだけの余力が無い
……今のところは、な」
隠しても、どうせこいつは何がしかの手段で嗅ぎつけるだろう
だから、皮肉交じりに情報を伝える
■シャンティ・シン > 「あ、は……ふふ、ふふ、ふふふ……あ、は……あはは、あは、ははは…… えぇ、えぇ……楽し、い……わぁ……それ、は、もう……あ、は。 私、は……出し物、が、よけ、れば……楽し、い……か、らぁ……」
けらけらと、くすくすと、げらげらと、くすりと……女は笑う。
「羅刹、ちゃん、羅刹、ちゃぁ、ん……駄目、よぉ……だぁ、め……あ、はぁ……この、出し物、は、ねぇ…… 用意、して……用意、してぇ…… そして、やった、もの、勝ち……なの。 そう、いう……もの、よぉ……? 気づ、いて、なぁ、い……? こ、れ、はぁ……主導、権、を……握った、もの……が、有利、なの、よぉ?」
視界を失った目は、しかし狂気を湛えて、男の方を見据える。その狂気を、熱気を振りまこうとでもするように。
「わ、かって、るぅ……? 彼、は……鉄火の、彼、は……準備、を、終え、ちゃった……あ、は。今、この、時点、でぇ……彼、が……攻め、こん、だ……今……もう、"彼ら"、の……勝ち、なの。」
くすくすと笑いながら、女は講釈する。
「えぇ、えぇ……もち、ろん……負け、戦、も……楽し、い……もの、よぉ? それ、も……蜜、の、味…… けれ、ど……それ、ぇ……"そのつもり"で、して、るぅ……?」
くすくすと、笑う。その蜜を知っている、とでもいうように。
「心配? ふふ、ちが、ぅ、わぁ…… 私、はぁ……出し、物が、つま、らな、く……なる、のが、いや、なのぉ……だか、ら……聞き、たぃ、のぉ……貴方、どう、したい、のぉ……?」
狂気の瞳が見つめてくる
「逃げ、隠れ……足り、ない、と……嘆い、て……やら、ない……理由、を、つけ、て……いつ、まで……引き、こも、る、のぉ……? 死ぬ、までぇ……?」
くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす
「ちが、う? で、もぉ……無限、に……湧く……棒? ふふ、なら、一生、勝て……ない、ん、じゃ、なぁ、い? 一生、負け、戦ぁ……? いい、わぁ……それ、もぉ……」
けたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけた
「で、ぇ……それ、貴方、の……目的ぃ……? したい、ことぉ……?」
■羅刹 > 「判ってるだろうに、長々と挑発しやがって
ああ、そうだな。事故だと嘘を付いてまで、あの災厄を利用してきた時点で
…今回に限っちゃ、主導権を握るなんざ不可能だ。
あの化け物が居る、という情報を得られなかったという時点で、俺は負けてたんだろうよ」
負けることなど、織り込み済み
相手のゴミカス共がいくらでも湧いてくるのもわかっている
だが。機械、兵器、人、異能。何を使ってもあの時点で対処法はなく
その後処理をしている内に後手に回った
それが巡り巡って、取られたまま取り返せない要因となっている
勝敗といえば、あの時点でもう決まっている
有効な謀略は未然に下され、結局は火力勝負に持ち込まれている
「お前の目的と、俺の目的は違う。
引きこもるのが『必要』なら、俺は出し物もつまらなくするさ
…が。負け続けるつもりもねぇよ」
熱気も、狂気も
男はあっさりとは受け入れない
冷静でなければ、頭を冷やさなければ、それこそ頭があっさりと砲火に呑まれて、終劇となる
それどころか、男の異能程度…ただの風紀委員でも伸せるだろう
「つまらねえ言葉を言うがな。
生きてりゃあまた動く機会は来る。
それとも何か。俺の目的を聞きたいがために煽ってんのか、スシーラ
…そういうのはもう内側で、間に合ってるが」
男の内に今あるのは、猜疑心
受け入れた人員の一人…金貸しに裏切りの疑いがあり
内部の事情を広められる可能性もある
ならば、こちらの動きが把握されていたのは、この女が、などと考えて打ち切る
これは単なる享楽主義者だ。自分が楽しければ、何でもいいのだろう
「――……………ったく」
珍しく、男は感情を見せる。
乱暴に椅子に背を預け、眉根を寄せ
笑う女を見返しつつ、煙草を短くしていく
■シャンティ・シン > 「そう……それ、が、答え?」
狂気を消し、優雅に女は椅子に座り直す。笑みは薄いものに戻っている。
「そ、れ……が、貴方、の……考え? 貴方、の……結論? 貴方、の、作戦? ふふ、貴方、の……よろ、しく、して、る……娘、の……発案、だった、りぃ……? もう、どっちか、わか、らな、か、った、りぃ……?」
くすくす、くすくす、と笑う
「それ、は……ふふ、些細、な……こと、だけ、どぉ…… 貴方……迂闊、よぉ……隠れ、る……くせ、にぃ……顔、さら、し、てぇ……あ、は。今、ごろ……公安、の……こわぁ、い……おじ、さまが、ぁ……貴方、を……手配、して、る、わ、よぉ……?」
楽しそうに笑い出す。
「そう、ねぇ……貴方、の……目的、を……識りた、い、のも、嘘、じゃ、ない、わ、ねぇ…… だって、ぇ……今、の、まま、だ、とぉ……何、した、いの、かぁ……わか、らない、の、だ、ものぉ……? それ、じゃ、あ……良い、舞台、も……用意、でき、ない、わぁ」
女は他意もなく、心底当然のように口にする。
「で。その、舞台、だ、けどぉ……もう、幕、は……貴方、が……あげ、てぇ……彼、が……壇上、を……支配、して、る、の、よぉ……? 貴方、が……幕引、き……し、なく、てぇ……誰、が……する、の、かし、ら、ねぇ……?」
不思議そうに、心底疑問の顔で……語りかける。
「あぁ……間違、わ、なぃ、で、ねぇ……? 私、はぁ……今、も……今、すぐ、此処で、でもぉ……死ぬ、覚悟、は……ある、け、どぉ……別、にぃ……それ、は……貴方、に、求め、て……ない、わぁ? け、れ、どぉ……」
真正面から男を……見据えるように
「ねぇ……足り、ない……だけ? ねぇ? 死に、たく、ない……だ、け? 物資? 人? 武器?」
女の手に古ぼけた本が現れる。
「たと、え、ばぁ……」
女の後ろに陽炎のような揺らめきが生まれる。中から、ぼんやりとした姿の兵士の姿が浮かんでくる。
「こ、う、いう、のぉ……? ほ、らぁ……?」
■羅刹 > 「ああ。そうするだろうよ。…答える必要あるか?」
手配、については頷く。作戦云々については話さない
この相手は協力者、であるだけなのだから
…顔が割れたなら、それを広めればいい。当然の手段だ。
こちらを貶めようとするならそれでいい
だが『何もかも捨てて』また動き出すなら…
「手配についちゃ、大した対処は必要ねえよ」
ボスとしての顔すら、必要ない。
相手が掴んだ特徴、それら全てを今後削ぎ落すことも必要ならする
自分の異能があれば、蜥蜴と下部組織にとってはそれが『証明』となる
となれば…風体などどうでもいいのだから
羅刹自身を、蜥蜴の尻尾とする。
精々、居もしない者を必死に探せばいい
「………幕なんざ、裏方でも下げれるだろうさ。
今は『獣』も動いてんだ。あれに下げさせるのも手だろうよ」
派手に動けば動くほど
『たかが人一人攫っただけで』
恐らくは…落第街を更地にしようとする動きをあれらはどうするのか
秩序、などと謳っていたが、秩序を守り切れていないようにも羅刹側からすれば思える
結局は…あちら寄りということか、という予想だが。
目的については、一度答えず…女と見つめ合う
そして、いつか見た女の能力
無から有を造り出す、男から見れば神の如き力
「………あのな。
お前はそれでいいだろうが、俺らにとっちゃあ不安の種でしかねえんだ
前は、俺らにもまだ戦力はあった
今お前がもし、舞台をかき乱すためにそれを俺らに向けられちゃ、どうしようもねえ
とはいえ、だ。」
対抗するようなことを言うが
それでも
相手からその能力を出すのを待っていた節も、またある
「…お前が協力したいなら、それを使って楽しませてやる
勝ち戦でも、負け戦でも、出される限り派手に立ち回ってやるよ」
隠れたとしても無尽蔵に得られる兵士
簡単な命令しか受け取れないとはいえ、それで充分であろう
どちらにしても、今出張ってきている相手は…人の身では敵わないのだから