2021/12/04 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にダスクスレイさんが現れました。
ダスクスレイ >  
今日はスナッフフィルムを自主制作している違反部活
『キッドナッパー』に雇われて仕事をした。
あいつら、露悪趣味が過ぎる。
気に食わんが、弱者を一方的に切り刻むことで金が得られるならまぁいいか。

夜。返り血で体のあちこちが汚れている。
違反部活群。そして……歩いているのはこの私、ダスクスレイである。
ゆえに……この危険地帯にあって誰もこの私を襲おうなどとは考えない。

仮にそんなことがあっても返り討ちだがな。

八ツ墓千獄、そして風紀委員の芥子風菖蒲……
奴らにだけ気をつければよいだけのこと。
夜道であっても私は恐れない。
私は───恐怖を克服してみせる。

ダスクスレイ >  
それにしても。
今日はまだ斬り足りない。
今宵は12月の4日……新月だったか?

月の見えない夜。
ゆえに、多少惨劇が起きても誰もが朝まで気付かない。
まして、このような島の暗部などで。

さて、誰を斬るか。
都合の良い存在でもあれば、鞘走るのを躊躇いはしないのだが。

ダスクスレイ >  
ふと、前方から逃げ出してくる男が見えた。
ああ、ああ。
どうやらどこかの違反部活から逃げ出してきた一般生徒らしい。
何をしたのか、何かされたのか、あるいはただの被害者か。

関係ない。こいつは今から犠牲者になる。

私に縋るように闇夜を駆け寄ってくる男子生徒。
そいつが何か喋る前に額に人差し指を当てる。

「何も喋るな」

仮面の男に恐怖の表情を浮かべる男。
そうだ、怯えろ。恐怖しろ……私を。このダスクスレイを。

それがお前の最期の感情となる。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に紅龍さんが現れました。
紅龍 >  
 常世島、落第街。
 表向きには『存在しない』この街は、『死んだはず』の人間にとっては存外住みやすかった。
 違反部活――犯罪組織に利用されてる身とはいえ、仕事さえしてれば特別、待遇が悪い訳でもない。
 妹とも自由に会える事を考えれば、軍にいた頃に比べても幾分かマシなくらいだ。

 ――まあ、やつらの『研究』には反吐が出るが。

「――砂糖菓子にチョコレートに水飴、って甘いもんばっかりじゃねえか。
 ったく、今度はまた弁当でも作ってやるか」

 表通りの市場で頼まれたモノを買い込んで、紙袋を抱えて『穴蔵』に戻る。
 今日は蟠桃会の『仕事』もない。
 薄暗い街での、平和な一日が終わる――はずだったんだが。

「あ? なんだあいつ」

 スーツに仮面のやたら目立つ男。
 しかも刀をぶら下げて、返り血まみれだ。
 見るからにヤバイ人種なのは見てわかる。
 そう、落第街にはこの手のヤバイ連中がうろつているのだ。

(あーおっかねえ。
 見ないフリ、見ないフリ。こわこわ)

 ヤバイやつには近寄らないに越した事はない。
 なにしろこちらは、普通も普通、ただの一般人、パンピーだし。

 見なかった事にして、こそこそ通り過ぎようとして――飛び出してきた男が一人。
 これもよく見る光景だ。
 このへんじゃ、攫われたりして連れてこられた不憫なヤツもそれなりに見かける。
 運が良ければ実験台。
 運が悪けりゃ――生きてるだけ運がいいか。

(あーあー、かわいそうに。
 ありゃ無事じゃすまねえ――おいおい)

 あろうことか、男が助けを求めるように寄っていったのは、あの変態――じゃない、仮面の男だ。
 そして、仮面は、間違いなく殺意を手に宿す――

「――ちょーっとまったぁ!」

 紙袋を丁寧に物陰に置いてから、大きく空気を吸って、一声。
 人工筋肉スーツの補助を最大に活かして、地面と水平に跳躍する。
 瞬間的に加速して、自動車並みの早さで、仮面の前から男を抱きかかえるように攫っていく。
 そして、男を抱えながらゴロゴロと地面を転がるのだった。

ダスクスレイ >  
横合いから飛び込み。
生贄の羊を攫っていった影。
防護服を着た、その男の巨躯は。

「なんだ貴様」

閃刀『虚空』の鞘を左手に、柄を右手に。

「私は斬り足りないんだ………」
「このダスクスレイの邪魔をして」

己の力を誇示するように。
ゆっくりと刀を抜いていく。

「タダで済むとは思っていないだろうな」

狂気が星影に乱反射するような。
そんな殺意に満ちた声と共に戦闘姿勢を取る。

「立て、それともその男諸共串刺しが好みか」

紅龍 >  
 ついつい勢いで男を助けてしまった。
 まあまあ、こういうシチュエーションはそこそこ慣れてる。
 受け身もとれたし、とりあえずオレも男も問題はない、が。

(やっべえ)

 仮面が刀を抜いてしまった。
 切り足りないとか言ってるのを考えると、マジモノの辻斬りか何かだ多分。
 慌てて抱えた哀れな男を蹴りだして、両手を前につきだす。

「まあまあまてまてまて。
 人間をそんなもんで斬ったら死んじまうだろ!
 まずは話し合おうぜ、な、な?
 金ならある!
 良い飯が食える店も知ってるぜ!」

 傍からみたら、何とも情けない台詞である。
 冷や汗をかきながら、戦闘態勢に入ってしまった仮面と何とか話し合えないかと試みるだけ試みる。
 だって、斬られたら痛いじゃすまないだろ?
 腰が引けててかっこ悪いのは自覚してるけど許してほしい。
 

ダスクスレイ >  
「楽しみだよ」

近くの電柱を斬る。
角度はその大男へ向けて倒れるように計算されている。
虚空の切れ味を活かした質量攻撃。

「お前はハラワタをぶちまけながらでも」

このサイズの電柱なら2000kgはあろう。

「私を説得しようと考えられるかな?」

抜刀居合に構える。
相手が避けた方向に斬りかかるため、体を撓ませ力を溜める。

紅龍 >  
 ああ、ダメだこれは。
 話し合いが通じるタイプじゃない。
 いや、わかってたけどな。

「――ふぅ」

 電柱が斬られた。
 人間業じゃない。
 となれば――専門だ。

 咥えたものに火をつけて、右手でホルスターから抜いた『拳銃』を倒れる電柱に向け、無造作に引き金を引いた。
 炸裂音と共に、電柱が衝撃でわずかに逸れる。
 ついでとばかりに罅が入った電柱は、自重でへし折れて、仮面との間に地響きを立て落下した。
 避ける事を前提とした戦略を組み立てているだろう仮面への答えは、避けないだ。

「説得はしてえがな。
 お前、話して聞くクチじゃねえだろ」

 土煙の中に隠れるように、距離を測った。
 刀相手に近寄られれば、その時点で死が見える。
 電柱を斬った瞬間を見た。
 あの刀とあの仮面の腕は、この人工筋肉スーツだろうが、軽々切り裂くに違いない。

(となりゃ――どうする?)

 左手で、マシンピストルを手に取る。
 仮面がいたはずの方向へむけて、水平射撃。
 44マグナム弾の連射――一発でも当たれば御の字だが。
 そんな優しい相手じゃないだろう。
 

ダスクスレイ >  
拳銃が電柱を穿つ。
通常の豆鉄砲で撃った程度で質量攻撃は曲がらない。
……曲がってはくれない。
つまり、撃ったのは。

弾速 270m/s
初活力にして740ft-lbs

44マグナム弾。
いくらこの怪人であろうと。
直撃すれば即死は免れない。

面白い。
いつもなら切り払う銃弾も、このサイズだと避けるしかない。
回避しながら大きく弧を描くように男の周囲を回る。

「そもそもが」

手近な廃車を斬る。
車のシャーシの一部が鋭利な断面ごと相手に突っ込む。

「話せば普通の人ならわかってくれるという考えが甘ったれている」

人の意思は。拒絶の意思だ。
だから。だからだからだからッ!!

紅龍 >  
 ――速い。
 いくら正確に狙いをつけてないとは言え、銃弾を走って避けるなんてのは、フィクションの世界の話だ――数十年前まではな。

 気休めの土煙が晴れるときには、再び斬撃の音。
 凄まじく鋭利な断面。
 生身で触れれば致死性の一撃だが――あの刀じゃないなら問題じゃない。

「――フンヌッ!」

 小銃を握った手でシャーシを殴り返す。
 このスーツの防刃性能は、尋常の域じゃない。
 断面に触れながらも、グローブは切断されることなく、かわいそうな廃車は地面に叩きつけられ見事にスクラップだ。

 同時に、仮面の足元へ向けて、70口径を打ちこむ。
 狙いは土煙を巻き上げる事と、巻きあがった土石での牽制。

「はっ、若いのが言ってくれるねえ。
 たしかに甘いかもしれねーが」

 足に力を込めて、後ろへ跳躍。
 数メートルを容易に跳ねながら、44の連射も欠かさない。
 手数を緩めれば、その瞬間斬られるのは確実だ。

「生憎、ただ殺し合うのは飽き飽きしてるんでな!」

 バラックの近くに着地すれば、積まれていた木箱を蹴って転がした。
 中身はよく知っている。
 違反部活が密造した、ドラッグの粉末だ。
 軽く吸うだけでも気持ちよくトリップ出来る代物。
 後ろに回していたヘッドギアを被り、マスクを着けた。
 

ダスクスレイ >  
「!!」

足元に大口径の銃弾が着弾する。
巻き上がる土煙、土石は特殊な縫合の服を通さない。
なるほど、ただ当てるだけに撃つわけじゃないというわけか。

強敵だ。
世界は美しい、戦う価値があると言ったのは誰だったか。
……後半部分には賛成だ。

相手が蹴り飛ばしてきた木箱はドラッグか。
なんと勿体ないことをする。
箱一つで末端価格が……いや。
何人の人生を壊せるものか。

咄嗟に飛ぶ斬撃で木箱を空中で散らし。
当然、可燃性の粉末が空中で撒かれた以上。
狙うよなぁ………?

足元に廃車から溢れたガソリン。
切っ先で舞い上げて、金属を打ち着火する。

舞い上がる炎は粉塵爆発を起こし、ドラッグの毒と爆炎を撒き散らす!!

 
頃合いか。騒ぎが大きくなった。
騒動から少し離れた位置に着地し。

「そこの男」
「この斬奪怪盗ダスクスレイに名乗ることを許す」

そう声だけ響かせて。

紅龍 >  
 巻き散らした土石は通じない。
 あのスーツも特別性か。
 とんでもない相手だ、軍時代に処理した連中より戦い慣れしてやがる。

「――は、その刀、"飛ぶ"のかよ」

 蹴散らした木箱が難なく斬り裂かれる。
 初手でやられてたら、間違いなく死んでいた。

 ――土俵がちげえな。

 舞い散ったドラッグに炎が奔る。
 直後に吹きすさんだ爆炎は、スーツの性能に任せて耐えたが。
 爆風に乗ったドラッグは、きっとどこかで無関係の人間を壊すことだろう。
 何とか生き残るためとはいえ、気分が悪い事だ。

「――怪盗、ねえ。
 随分と洒落てるじゃねえか」

 周囲のバラックに引火して、炎の壁が広がっていく。
 仮面の姿はもう見えない。
 ヘッドギアが追跡はしているが――殺し合う距離じゃない。

(引き際もわきまえてる――狂っちゃいるが、『本物』だな)

「紅龍、歯牙ない軍人崩れの『一般人』だ。
 斬り足りねえだろうが、今日のところは見逃してくれねえか?」

 音響センサーを主に離れた仮面の位置を捉え、遠くに70口径を向けつつ。
 口にするのは、いささか情けない台詞だ。
 

ダスクスレイ >  
紅龍。刻んだぞ、その名前を。
決して忘れるまい。

「見逃す」

その場で笑い始める。
言うに事欠いて、見逃せだと。

「お前はそれほどの力を持ってして、何故敵対者に謙る?」
「力こそは絶対の真理」

「お前には余人に我儘を押し通すだけの暴力がその手にあるだろう」

「理解しきれんぞ、紅龍……」
「お前は、こっち側だ。私と同じなんだよ」

あいつには絶対的強者の資格がある。
それが何故、名も知らない男を守るために。

腑に落ちないものを感じながら、私は屋根から屋根に飛び移りその場を去った。

紅龍 >  
 笑われたか。
 まあそんなもんだろう。

「言っただろ、オレは一般人なんだよ」

 センサーが離れていく仮面を追跡するが――すぐに追跡可能距離を超えた。
 どうやら、一先ず命は拾ったようだが。
 困ったことに目を付けられたかもしれない。
 しばらく、街を歩くときは武装した方がよさそうだ。

「力こそが真理、ねえ」

 仮面が残した言葉を反芻する。
 たしかに、一側面ではそうだろう。
 そして、それがまかり通る世界は存在する。
 しかし。

「――暴力は、より強い暴力に蹂躙される。
 オレは、それを思い知ったってだけだ」

 怪盗ダスクスレイ、か。
 しばらく忘れるわけにはいかなそうだ。

 拳銃と小銃をホルスターに押し込んで。
 『穴蔵』に戻ろうとするが。

「――あっ、やらかしたああっ!?」

 当たり前のように延焼する火事は、紙袋を隠した物陰ごとしっかり炎に巻かれていた。
 これは『おつかい』のやりなおしだ。
 がっくりと肩を落としながら、再び表の通りへと戻っていくのだった。
 

ご案内:「違反部活群/違反組織群」からダスクスレイさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から紅龍さんが去りました。