2021/12/25 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に紅龍さんが現れました。
紅龍 >  
【前回までの紅龍おじさん!】

 違反部活『蟠桃会』の用心棒、元軍人の紅龍は。
 『斬奪怪盗ダスクスレイ』の情報を集めるために探偵の『ノア』に仕事を依頼する。
 そんな探偵からの情報を得て、『怪盗』との遭遇に備えるため、風紀委員『芥子風菖蒲』が行った戦闘を分析していた。
 そうした日々の中、懐かしさを覚える少女、『マヤ』と知り合う。
 そして探していた『ガスマスク』を目撃、言葉を交わすも、その危うさに危機感を覚えるのだった。

 世間がクリスマスに染まる中、探偵と二人で寿司屋にて密会をする龍。
 探偵の調べた情報から『知のゆびさき』という製薬会社の存在を知る。
 クリスマスプレゼント代わりに、『マヤ』の血から作られたという薬のアンプルを手にしたのだ。
 

 ――寿司を喰え寿司を。

 高級寿司屋に来て、米一粒すら食べない男が二人。
 色気のかけらもないまま、クリスマスイブの夜は更けていくのだった。
 

紅龍 >  
 落第街の路地裏。
 無計画な建築によって構成される、入り組んだ迷路のような路地。
 この界隈でなにかを取引しようとすれば、表通りから深く入った路地裏が真っ先に取引場所の候補にあがる。
 理由は単純。
 見つかりにくい、この一点に尽きる。
 どれだけ風紀委員が優秀でも、この裏通りを網羅する事は出来ない。
 見つかりさえしなければ、どんなヤバイ取引だって止めようがないわけだ。

「――700SS」

 .700SpreadShell――小型化した炸裂弾だ。
 散弾と違い、発射後空中で炸裂し、散弾を巻き散らす。
 点ではなく、面での攻撃が出来る主力弾薬の一つ。

「――700HE」

 .700HighExplosive――小型の榴弾。
 弾頭に詰まった爆薬が、着弾と同時に爆発する。
 これも軍時代から使ってる主力弾薬の一つ。

「――700AM」

 .700AntiMagic――対魔術装甲貫通弾。
 弾頭に魔力を中和する特殊な鉱石を混ぜ込んだ弾薬。
 対魔術と言うが、魔力を使った防御ならこれでおおよそ対処が出来る。

「――950TS」

 .950trickStar――時空間干渉破砕弾。
 弾頭に魔術薬品を仕込んだ、特殊弾薬。
 この薬品は空気に触れると反応を起こし、極小範囲の空間を捻じ曲げる。
 持続時間は一瞬だが、巻き込まれれば直径数ミリの範囲を抉り取られる。

「――950SN」

 .950SuperNapalm――炸裂燃焼弾。
 着弾と同時に弾頭に込められたガスを噴射し、燃焼させる特殊弾薬。
 弾頭自体には大した威力はないが、爆発的に広がる炎に巻き込む事で手傷を負わせるのが目的の弾薬だ。
 殺傷力はさほど高くないが、意外と使いどころが多い。

 

紅龍 >  
「――は、大したもんだな。
 間違いなく注文通りだ。
 よくまあ複製できたもんだ」

 特殊ケースに大量に敷き詰められた弾薬を確認して、思わず感心させられた。
 軍時代に使っていた弾薬を作ってくれと依頼したが、さほど期待はしてなかったんだが。

『はは、俺らだってこれで飯食ってんでね。
 オリジナルも渡してもらってんだ、複製くらいできねえとかっこがつかねーのよ』

 取引相手の男はどこか誇らしげに言うが、言うだけあって、複製の精度がかなり高い。
 オリジナルと遜色なく扱えるだろう。

「こいつは、報酬上乗せしねえとな。
 ――残りはどうなってる?」

『今も解析して複製中さ。
 急ぎの依頼だったんだろ、おっさん。
 とりあえずできたもんから持ってきたんだよ』

 職人風の男は、気が利くだろうと言わんばかり。
 いや実際に気が利いた相手で助かった。

「ありがたいね、こいつはいいクリスマスプレゼントだ」

『へへ、どーも。
 それよりおっさん、うちとの取引の件だけどよ』

「わーってる。
 しっかりパイプは繋いでやるよ。
 そっからはお前らしだいだ、上手くやるんだな」

『売り込みは勝手にやれってことね。
 おーけーおーけー、まいどあり!』

 話しながら、指定のIDへクレジットを振り込む。
 金額を確認した男は、気のいい声と共に手を振って、路地の奥へと消えていった。

「――ああいう武器職人も燻ってんだな。
 ま、戦争でも起きねえと商売にならねえか」

 だからこそ、オレを介して蟠桃会の持つルートを要求したんだろう。
 蟠桃会は外との繋がりもある。
 うまくすりゃ、この街を、島を抜け出して、外で生きていく事も出来るからな。
 当然、技術力を軍やPMCに売り込めたら、の話だが。

「オレとしちゃ、こうして装備を調達できるアテが出来たから御の字だしな。
 お互いにきっちり利のある取引か」

 デカいケースを閉じ、その上に腰を下ろした。
 とりあえずこの後の予定は、空いている。

 ――っと、こっちじゃねえ。

 一服しようとして懐に手を入れれば、手に当たる硬質な感触。
 昨日手に入れたばかりの、ヤバイ薬だ。
 一瞬で怪我が治るようなとんでもない代物らしいが、このまま使うには、オレの身体が貧弱すぎる。

 改めて、『タバコ』を取り出して口に咥えた。
 火をつけて、一息。
 さあて、この後はどうするかねえ。
 

紅龍 >  
 一服を終えれば、体は内側から温まっている。
 代謝と血行の促進、自律神経の働きも整えて、リラックス効果もある。
 ついでに頭もすっきりするし、免疫力も上がって感染症予防にもなる。

「どうやったらこんなもん、ほとんど副作用もなく作れるんだか」

 副作用、ではないが、多少依存しやすいもんではあるが。
 まあオレの場合、これを吸ってないと体が働かねえから依存しようと構わんがな。

「――さ、て」

 随分と冷えて来たし、そろそろねぐらに戻るとするか。
 こんな荷物抱えて面倒な奴に絡まれるのも、ごめんだしな――

 

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から紅龍さんが去りました。