2022/05/02 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に笹貫流石さんが現れました。
笹貫流石 > 落第街に打ち棄てられた雑居ビル――それ自体は別に珍しくは無い、この街では有り触れた建造物だ。
その朽ち果てた人工物の屋上にて、携帯片手に誰かと通話をしながら周囲を眺める糸目の学生服の少年が一人。

「あー…こちら【死線】。…こっちに勘付かれたみたいで、対象はまーた雲隠れしたっすよ。
…つーか、いい加減に増援寄越してくれませんかね?俺一人で他の二級の監視対象をカバーは出来ませんって。
――とりま、【叫喚者】とか【悪運】はまだ大人しいから大丈夫っすけど。
…あーー、あと【電子戦殲】はほら、何時もの引き篭もりモード全開なんでそっちも平気かと。
…それ以外は大なり小なりって所すかねぇ…。最近は【化外殺し】がちょいと活発ってくらい?
あと、【ハイペリオン】に関しては機動力高過ぎで、そもそも俺じゃ追い付けないですって。」

自分と同じ、或る特定の『リスト』に名を連ねる同じ二級監視対象の面々の何人かを挙げて。
何処かうんざり気味なのは、どいつもこいつも癖が強すぎる上に行動パターンが斜め上なのが多いからだ。
―自分もその奇人変人の一人に列挙されてはいるが、比較的”マシ”だと判断されているのだろう。
…だからこその『監視対象を監視する』という面倒なお仕事を押し付けられている訳で。

(…何時ぞや【死神】の姐さんに言われたエセ社蓄っつーのもあながち間違いでも何でもねーんだよなぁ)

誰か代わってくれるなら遠慮なくこんなしんどいお役目は譲り渡す所だが。

「――ま、現状はそんな感じっす。…はい?…あぁ、この前の【死神】さん以降は”死に関わるもの”には触れてないっすよ。
…わーかってますって。ペナルティー喰らうのは御免なんで。…つー訳で定時報告は以上。そんじゃ。」

最後は面倒臭そうに通話を切りつつ、溜息交じりにポケットに携帯を捻じ込んで。

笹貫流石 > ここでニヒルに煙草なんて蒸かしたらかっこいい?かもしれないが、生憎と未成年だ。
それ以前に煙草の煙は苦手…と、いうか一度こっそり吸って思いっきり咽てから駄目である。
なので、代わりに缶コーヒーをもそもそと取り出してプルタブを片手で器用に開けながら。

「…と、いうか今日はもう俺は上がっていいんじゃねぇかなぁ…って、思うんだけど。」

”飼い殺し”の身は世知辛いなぁ、とぼやきながらコーヒーを一口…あ、やべぇブラックだこれ。
個人的には微糖が好みなのだが…飲め無い訳ではないのだが、この苦味一辺倒は苦手だ。

「…って、それだとまだまだ子供舌って事になんだけど…。」

まぁ、実際まだまだガキなのは事実なのだけれど。仕方なくちびりちびりとブラックのコーヒーを飲みつつ。
しかし、この光景も何と言うか見慣れてしまったのは…良い事なのかどうなのか。

「…個人的に落第街のごった煮な感じは割と好きなんだけど、何年も見てると流石に見飽きるよなぁ。」

…まぁ、それ以前に生まれは”多分”落第街なので、故郷と言えば故郷なのである。
ふと、糸目が向いた先には煙が一筋…火事かどっかの組織同士の小競り合いの狼煙か。
また、別の方角に目を向ければ、何やら微かに喧騒も聞こえてくる…こっちも派手にやりあってそうだ。
時々、銃声らしきものも聞こえるがここではさして珍しい事でもないので、ぼんやり視線を向けたまま。

(…きっと、目を開いたら死の気配があちこちに澱みまくってんだろうなぁ…。」

その、薄ら寒い光景を想像して嫌そうに眉を顰める。『死』を認識出来てもロクな事にならない。
経験則でそれは十分身に染みているし、そういう能力があるだけで生身の人間様だ。君子危うきに近寄らず。

笹貫流石 > 「…表側で学生、パシリで裏側のこっちに出張って…ほんっとーに夕暮れの蝙蝠さん気分だよなぁ。
…と、いうか今は黄金週間なのになーんで、俺は一人寂しくこんな場所に居るんだと言いたい…。」

あまり愚痴や不満を人前では零さない分、一人だとついつい垂れ流してしまう。
まぁ、このくらいのガス抜きは許して欲しい…だって他の監視対象がぶっ飛んでるんだもの!!
別に他の監視対象に敵意とか害意は無いし、ただお仕事で監視や追跡調査をしているだけだ。
…ちなみに、過去に何度か不本意に戦闘する羽目になったが、逃げた…むっちゃ逃げた。俺、弱いので。

「…まー、学生兼下っ端パシリ野郎が生き残るにはそれなりに世渡り上手くならんとだしなぁ。」

…いや、世渡り上手いか俺?…今の立場の時点で駄目な気がしてきた。
片手で頭を掻きつつ、合間にコーヒーをちびちび飲みながらぐるりと改めて景色を見渡す。

「……取り敢えず、この近辺でやべードンパチとかは無さそうだけど・・・。
…あー、帰りのコースがモロに揉め事起きてそうだな…もうちょい沈静化してから帰るか?」

あの調子だと、そろそろ風紀の誰かしら鎮圧に来そうな気もするが。
…あ、『特務広報部』とか『特別攻撃課』とかやべー連中は勘弁です。巻き添えになりかねない。

笹貫流石 > 気が付けばコーヒーを飲み干していた。口の中に残るコーヒー特有の苦味。
…うん、飲めるけどやっぱりブラック無糖のコーヒーはちょいと苦手だと再認識。
空になった缶を片手で弄びつつ、景色をずっと眺めていてもしょうがないので視線をふいと逸らして。

「…つか、授業の課題とかまだ残ってたなぁ…明日取り敢えず片付けよう。」

まぁ、監視対象だろうと自分は学生なのである。成績とか出席日数も気にしなければならない。
ちなみに、クソ上司――ごほん、上の方々は手厚いフォローをしてくれないので、自分で調整するしかない。

「…いやぁ、これで留年したらマジでどうすんだって話よ。流石に20歳辺りまでには卒業してーんだけどなぁ。」

ちなみに、卒業しても監視対象が解除される訳ではない。
最近、とある【妖精】さんが監視対象を解除されたが、普通に羨ましい…。

「…いや、マジで何をしたら一級監視対象が全面解除になるんだ?…二級で解除になりそうなの…いねぇな。」

まず、自分は解除されないだろう。相応の『理由』があるからだ。
それどころか、一歩間違えれば多分、新たな一級にされかねない…それはちょっと、いや、かなり困る。

「…【戦犯】に【山脈】に【凶刃】と同レベルは流石に…いや、あの人らに恨みとか別にねーんだけど…。」

あの人たちはぶっ飛んでる所じゃねーので、自分みたいな弱い人間が一級とか色々持たない。
まぁ、先がどうなるかなんて見通しを立てようがないし、監視対象の扱いの曖昧さと悪さなんて今更だろう。

「……結局、犯罪者一歩手前の扱いには変わりねーしなぁ。」

笹貫流石 > ふと、戯れに薄っすらと両目を開いて虹色の片鱗を覗かせる。何気なく周囲に視線を向ければ――…あぁ。

「……あぁ、ほんとーに”こういうの”は何度見ても慣れねーわ…。」

死を認識する能力が故に、薄っすらと瞳を開いた…僅かに発動した状態でも、”それ”は認識される。

一口に『死』とはいっても、死因やら死の色やら形、捉え方は人それぞれだけれど。
そういうあらゆる『死』の概念を、受動的とはいえ読み取り正確に認識するのは負担が大きい。
…主に精神的な意味で。慣れない頃は何度ゲロったか分かりゃしない。

今では、能力にも或る程度折り合いは付けれているが、だからといって濃密な『死』の概念に触れてただの人間が平気な筈も無く。

「一歩間違えば即座に狂死…良くて精神崩壊は免れない、だっけかなぁ。
まぁ、身に染みてはいるけど…俺みたいなのには荷が重過ぎるんだよなぁ。」

監視対象の分際でこう自己弁護するのもあれだが、自分は感性自体は多分『普通』寄りだとは思う。
勿論、自分が真人間だとかそんな事は思っちゃいないが…それでも人間は人間だ。

…なので、他の二級監視対象やらの監視や追跡調査という仕事も相応にストレスが半端ない。
かといって、自分以外に適任者が居るかどうかとなると…いや、居るだろ他にも。

「…俺って実は万年厄年とかなんじゃなかろうか…なんてこたぁねーだろうけど。」