2022/07/22 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に笹貫流石さんが現れました。
笹貫流石 > 夏休み、期末考査、お祭、そんな暑くも色々賑わう季節の真っ只中にて。
何が悲しくてこんな夜更けに落第街の一角で――…

「…追いかけっこしなきゃーいかんのだ、くっそ!!」

悪態を零しながら、サングラス越しに何時もは閉じている瞳は開いたまま後方を一瞥する。

…ひぃ、ふぅ、みぃ、…沢山!兎に角あらゆる形の『死の気配』が迫ってくるのを感じる。
少年が今、走っているのは古びた廃屋群の屋根の上だ。
決して異常な速度、とは言えないがそれでも足場の悪さを物ともせずに走り続ける。

「……そろそろかな――っとぉ!?」

タイミングを見計らって横っ飛びに跳躍。一瞬遅れてその脇を銃弾やら魔術が掠め飛んでいく。

(ほんっっと、危険回避にゃめっちゃ便利だけど攻撃には全く向いてねーんだよなぁ!!)

そもそも多勢に無勢。相手は最低でも10人以上、こっちは孤立無援で一人きりだ。
何時ものように、『リスト』内の監視対象の何人かの動向把握のお仕事をしていた…
…のだが、気が付けば何かこんなチェイスをする羽目になっている。何でだ。

笹貫流石 > 路地を挟んだ反対側の廃屋群の屋根の一つに着地――した瞬間、狙い済ましたように魔術が飛んでくる。

「…やっべ!!」

反射的に着地の勢いを殺さず、そのままつんのめるように前転して頭上を通過させて回避。
そのまま、前転の勢いを利用して立ち上がりながら再び走り出す。

「ったく、こっちは二級最弱(自称)なんだから少しは加減くらいしてくれって!
そもそも、戦闘要員でも何でも無いんだけどね俺!!」

風紀でもないし、めっちゃ戦闘能力が高い訳でもない。少なくとも自己評価はそうだ。
時々、ちらりと後方に視線を向けて敵との距離と攻撃の予兆と軌道-―『死の気配』を確認し。

「……ちぃっ…!」

舌打ちと共に、サイドステップでこれまたギリギリで追っ手の攻撃を回避。
とはいえ、既に30分以上こんな事をしているので流石に少し疲れてきた。

笹貫流石 > (まぁ、能力補正込みで回避能力と察知能力”だけ”はそれなりだとは思うが――)

それだけだ。超絶技巧も、凄まじい武器や兵器も、強力な魔術も今の手持ちカードには無い。
無い物強請りなんて無意味なので、兎に角追っ手を撒くか――…

「あっちが手を出せない安全圏まで逃げ切るっきゃない…ってな!!」

半ば自棄っぱちで叫びながら背筋を走る悪寒に身を竦めながら、更に横っ飛びに跳躍――そのまま、別の建物の壁を蹴り上げるようにして更に跳ぶ。
屋根の上に片手を着いて身を引き上げれば、そのままの勢いで身を縦に回して下から飛んできた銃弾と魔術を更に回避。

「……しつっこいなぁ!たかが学生一人にハッスルし過ぎだろ!野郎の集団に追い掛けられて喜ぶ趣味は無い!」

女の子の集団に追いかけられるのも、それはそれで別の意味で恐怖ではあるかもしれないが。
少なくとも、軽口や悪態を零せるだけまだ少年には意外と余裕がありそうだ。