2022/11/19 のログ
ご案内:「什麼生、説破」にノーフェイスさんが現れました。
ノーフェイス >  
 
 
什麼生、
 
・・・
非日常か?
 
 
 

ノーフェイス >  
ただ穏やかに過ぎ、繰り返される"常"のなかには、あらぬこと。

青天の霹靂、という言葉がある。
澄み渡る青い空に、突如として雷鳴が閃くような、思いがけぬ出来事。
眠れる龍の覚醒は誰にも予想がつかず、不意に訪れるものだ。

吉ならば望外の歓喜を、昂揚を。
凶ならば慮外の悲嘆を、恐怖を。

翻って、すなわち。
"常"の中にあれば、そうしたものは、ひどく得難い――ということ。

それが非日常だ。

ノーフェイス >  
説破。

青天に雷鳴轟くこと常ならば、それは、
・・・・・・・
非日常ではない。

ノーフェイス >    
「"弱いもの虐めでは、絶対につかめない感覚"があると言ったハズなんだけど――」

打ち崩された瓦礫の山の、手頃な高さに腰かけると、
果たしてぱらぱらと崩れる屋根、壁の軋みを聞きながら、女は苦笑する。

「どうにもカレは、"挑戦"することに引け腰らしい。
 あの夜はちょっとは見直したんだが、人はすぐには変われないな」

残念な気持ちはある。
同じことを繰り返すなら、そう――

「キミは、"ボクの敵じゃない"んだな」

"不当な抑圧"ではあるが、そもそものところで噛み合わない。
すこしばかり、残念なきもちもあった。
刺激的ではなかった。これだけの砲火と破壊を撒き散らしておきながら。
――女の周りに一切の"死"の気配はない。

ノーフェイス >  
"鉄火の支配者"が、落第街で砲撃する――。
破壊。蹂躙。戦火。

・・・・
何度目だ?

「いい加減気づいてもいいもんだと思うんだけどね、神代理央クン?
 そのやりかたじゃあ、なにひとつうまくいかないんだってこと」

この街の住人――ひしめく違反生徒どもが。犯罪者たちが。
ただむしられる草だなどという無知蒙昧に浸るなら、ソレは嘲笑の対象だ。

鉄火の支配者も、それに相対する白黒も、――そしてこの女もまた。
同じく"たかが草の一本でしかない"という事実から、いつまで眼を背けるのか。

「そして――キミもとっくに、落第街の日常になっちゃってるってことにさ」

非力な存在、愚昧な存在を仮想し、蹂躙して点数を稼ぐ段階は――当に過ぎた。

青天の霹靂など、この街では既にさして珍しくもない。
この女と"パラドックス"がもたらした破壊の宴にすら、
狂気じみた昂揚でもって命と金銭を賭けるほど。
この街を強く、逞しくした存在こそ――紛れもなく、神代理央の行いなのだと。

"ただむしられる草"など、もういない。
神代理央が狩り尽くしてしまった。

「百人殺したいなら、キミを百人連れて来な」

どこまでいっても、誰もが"個"でしかない。
たまたまその中で、我こそはと名を上げ――挑戦しているだけのこと。
そして、成し遂げた"瞬間"にだけ、特別になれる。
この女の現在も、凡夫であるがゆえ。

ノーフェイス >  
何度も行われた、破壊。
何度も行われた、砲撃。

"それでは誰も殺せはしない"。
それを視続けて、それでもこの街に残る馬鹿者など、
この女以上に厄介でタフな犯罪者のほうが多い。

「――キミはどうかな」

むしられるだけの草か、それとも叩いても叩いても潰えぬ雑草か。
黒白の少女に託すのはそうしたもの。それだけ。――それだけのハズ。

「今この街に残ってる奴らなんて、アレなのばっかりだからね」

うっかりしてたら、埋もれてしまう。
あの夜の栄光の熱に溺れて、挑戦をやめてしまえば。
光は失せ、萎れてしまう。花も咲かぬ姿のまま。
――どうせなら燃え尽きたい。

ノーフェイス >   
「とはいえ、壊れたものは、壊れたものだからな」

コンコン、と崩れかけの壁をノック。
びしっ、とヒビが入って、うおっ、と声をあげて飛び上がった。

「――ああ、でも」

そろり、とビルの外へ。
遅れてがらがらと崩れ去る、産まれ出たは瓦礫の山。

秩序の崩壊、破壊、終端。
そこに現れたるは――混沌の海。

「ちょうどいいかもな……?」

赤い唇を、指でなぞった。
面白いことを思いついた。

「"神代理央の破壊"。 いいね、利用させてもらおう」

指を弾く。

「"彼"の初舞台としちゃ、お誂え向きの砂場《サンドボックス》だ」

――楽しいことを、してやろう。

ご案内:「什麼生、説破」からノーフェイスさんが去りました。