2019/02/05 のログ
■パンデミック(シャドウファング) > (件の、赤いゾンビの群れ。落第街を騒がせる要因の一つ。
それが真っ赤なゾンビこと、パンデミック。
学園の各委員会や、手配書に示される、怪異危険度ランクはSS級。
比喩にして自然災害クラス。何ゆえそれが自然災害級かといえば、その厄介な性質にある。
こいつは「増える」のだ。
たった一人、路地裏で孤立した織機雪兎は、影に潜むパンデミック―――
シャドウファングなる魔物の格好の魔物となり、目をつけられている。
影に潜む魔物は、どれも悪賢く、獣の勘で「こいつは殺れる」と思ったものを狙う習性がある。
例えば、そう。
真っ暗がりの中、見るからに怯えて、一人だけでいる…などなど。
知能が低いが、それでもパンデミックには生前の能力を引き継ぐのだ。)
―――ッシャァァァアアアァァッッッ!!!
(次の大きな音は、猫の一斗缶を蹴り倒した音よりも大きく、
そして、心臓に悪い事だろう。
何しろ、暗がりから真っ赤な瞳が覗き、雪兎の手元で光る懐中電灯に、
真っ赤なサメの様な巨大なアゴが影からズザァッと這い出て、下手をすればその手ごと砕こうと咆哮を伴い、
深紅色の体が突然襲い掛かってくるのだから!)
■織機雪兎 >
ぅぅぅ、なんだよう暗いじゃないかぁ……。
なんかじめじめして汚いし……。
(懐中電灯であたりを照らしながらじりじりと歩く。
先輩たちとはぐれてからもう三十分ぐらいは経っているだろう。
スマホは落第街に入ってすぐにバッテリーが切れてしまっている。)
うう、やだよー……。
暗いよー狭いよー怖いよー……。
(不安の表情を隠しもせず、弱気な独り言をぶつぶつ言いながらうろうろうろ。
とてもかっこ悪い自覚はあるが、黙っている方がもっと怖いし、人の目がないので別にいいのだ。
怖い方がよっぽど問題なのだ。
そこに唐突に聞こえてきた、バケモノの叫び声と、同時に襲い掛かってくる影のバケモノ。)
――っぎゃあああああああああああああああああ!!!!
(咄嗟に懐中電灯から手を離し、涙目で叫びながら横っ飛びに避ける。)
いだいっ!!
(化鮫からは逃れられたが、代わりに側頭部をしこたま壁にぶつけた。)
■パンデミック(シャドウファング) > (懐中電灯はといえば、パンデミックのキバの中でぐちゃりと咀嚼されてゆく。
影から半分だけ口を覗かせ、真っ赤な中でもそれが特に赤いと分かるほどの、深紅色の目が壁の頭をぶつけた織機雪兎をにらんでいる。
パンデミックの行動理念。
およそ、こいつが狙いをつけたのは、丸腰でいかにも狩れそうな雰囲気だからだろう。
格好の獲物を、逃がす理由など1つもない。
そして、影に潜む魔物の弱点は概ねが光。
それゆえに、目障りな懐中電灯は真っ先に潰さねばならなかった。
彼女にとっては非常に運が悪いことにここは暗がり。
さて、パンデミックが追ってくる気の失せるライトの眩い歓楽街へと一か八か迷子の状態で逃げ込むか。
或いは、パンデミックを真っ向から再起不能においやるか。
どちらを選ばないともなれば、この牙に噛まれてパンデミックの仲間入り。
影に潜み、暗闇に滲む赤色は、休む間もなくそちらへとザザーッと影の中を泳ぐように襲い掛かる!)
■織機雪兎 >
おぶるらべばあぶばらびあぼえぶるえるあばばばばば!!!
(もはや言葉にすらなっていない悲鳴。
光源を潰され視界も悪く、挙句の果てに狭っくるしい路地裏である。
まぁ光源があって視界明瞭でだだっ広いところでも勝てそうにないけれど。)
おいしくない!
僕を食べてもおいしくないよ!!!
(叫び、走る。
どっちがどっちかなんてわからないし、このバケモノが光を嫌うなんてことも知らない。
とにかくダッシュだ。)
うひー!
はやい!!
(悲しいかな全力で走っても一般的な風紀委員の小走り程度の速度。
当然あっという間に追いつかれる。
襲い掛かられた瞬間、都合よくあった別の路地へ倒れ込むように飛び込んだ。)
■パンデミック(シャドウファング) > (生死を賭けた鬼ごっこ。
シャドウファングは彼女を追い回す…鬼ごっこの終わりはすぐにやってきてしまった。
そう、実に運がいい、そこに別の路地があり、全身ごと倒れ込んで伏せたのが良かったのだろう。
影からザバンッ!と這い出てとびかかってきたパンデミックの体は、彼女を掠めて、行き止まりに顔の側から突っ込んだ!
崩れ落ちるコンクリートの壁面。
そして、幸運はもう少しだけ続く。
街灯に照らされたパンデミックは、下手にコンクリートの壁に突っ込んで、体が挟まれていて。
そこからしばらく動けないようだ。けれど徐々にミシミシ…ピシピシという音が聞こえてくる。
もとより、この巨体を前にコンクリートの壁面は発泡スチロールみたいなもの。
もたもたしている余裕はない、
けれど。
折り重なった幸運が作った奇跡とも呼べる状況。
立ち上がって怪物を撒くなら、今か。)
■織機雪兎 >
あわ、あわわわわ……!
(バケモノの破壊力に腰が抜けた。
立ち上がろうとしてもうまく立ち上がれず、手足をばたばたさせる。)
――や、やーいばーかばーか!
そうやってか弱い僕を虐めるからそういうことになるんだ!
ざまーみろー!
(立ち上がれないので這いずりながら逃げる。
逃げるついでに悪口を言いながら。
相手が動けないとみるやこれである。
どうにかこうにか立ち上がって、バケモノが動けないうちに鈍足ダッシュですたこらさっさだ!)
■パンデミック(シャドウファング) > (パンデミックが動くころ。織機雪兎はもう大分と離れたところに逃げられるだろう。
間一髪、である。
もっとも、この路地裏には、未だに影に潜むパンデミックが跋扈している。
これもまた、運がいいのか悪いのか、織機雪兎の実体験を以って証明されるわけだけれど。
ともあれ、コンクリートの壁面が砕けて、シャドウファングが影に潜り直すのは、
きっともう少し後の事。)
ご案内:「路地裏」からパンデミック(シャドウファング)さんが去りました。
■織機雪兎 >
なんだよもう、なんであんなバケモノがいるんだよう……。
(どうやらもう追いかけてこないらしい。
立ち止まり、しゃがみ込んでえぐえぐ泣く。
怖い、落第街怖い。)
やだようおうちに帰りたいようかわいいに女の子癒されたい……。
(などと煩悩に溢れた弱音を吐いていたら、遠くから声が聞こえた。
聞いたことのある声。
一緒に落第街に来た先輩の声だ。
はっと顔を上げれば、路地の向こうに見慣れた風紀委員の制服を着た女性の姿があった。)
――うわああああああ先輩いいいいいいいいいいいい!!!
怖かったよおおおおおおおおおおおおおおお!!
(もはや恥も外聞もない。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔でその胸に突っ込む。)
ぐぇあ。
(カウンターで拳をぶちこまれた。
のたり、と倒れ伏し意識が遠のく中、近いところで自分の身体を揺さぶる先輩が可愛いなぁ、なんて思いながら――)
ご案内:「路地裏」から織機雪兎さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に傀儡女の柰さんが現れました。
ご案内:「路地裏」から傀儡女の柰さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に伊従のどかさんが現れました。
■伊従のどか > 『コネクトカウントダウン。
3……2……1、コネクト』
「いっだ、ぁっ!」
バチン、という音とともに粒子が浮かび上がる。
その粒子は月明りのもとでも輝いており、次々に過去の形を浮かび上がらせる。
■伊従のどか > 「う~、やっぱこの瞬間がきついっていうか。
もっとなんとかなんないのかなぁ」
自分の頭をさすりながら見下ろす。
その場所は路地裏の、ビルの中。
窓から一角を見下ろし、時間(シークバー)が流れるのを見届け。
『おい、誰の許可――』
「あ、始まった。
アンサラー、適合率」
音声の再生が始まると同時に、デバイスへ声をかける。
今回は音声の調子も良好だが……。
■伊従のどか > 『――上玉じゃねぇか、へ――』
『現在80%。安定しています。
やはり昨日は調子が悪かったのでは。』
「そういうんじゃないってば、もー」
デバイスに向けてしゃべる姿は、現代ではそれほどおかしくもないだろうか。
相手がAIとなれば、なんとなし、可哀そうな人間にも思えるが。
■伊従のどか > 『ここ一ヶ月は女を――』
「しっかし三下みたいな台詞。
もちょっと、かっこいー台詞とかないのかな」
窓に腰かけ、半身を出すようにしながら下を見る。
それほど高さはないが、おちかたによっては死ぬだろう。
そんな状態で足をばたつかせて、、短いスカートをぱたぱたとさせる。
■伊従のどか > 「私なら~……そうだなぁ」
『特に、澄ました顔を――』
「女が豚のように泣き叫ぶ姿は、いつみても達しちまうぜぇぇぇ!」
『三下ですね』
「ぶー」
下で行われている男の台詞を聞きながらAIと会話に興じる。
時間的にはそろそろのはずなのだが……。
残念ながら時間軸の細かな指定はできないために、こうやって再生されるのを待つしかなく。
■伊従のどか > そんなときに凛とした声が通る。
『今宵の別れの惜しきかな――』
嫌でも耳に通る声。
なるほど、こういうのを魔性というのかもしれない。
そう思えるほどに、ソレの声は魔的で。
「少し寒気がするかも。
これ、関わり合いにならないほうが良い案件かなぁ」
ご案内:「路地裏」に柊真白さんが現れました。
■柊真白 >
その方が良い。
(彼女の独り言のような言葉に返事。
気配を消して足音を殺して、いつのまにやら彼女の背後まで回り込んで。)
好奇心は猫を殺す。
(すたすたと彼女の反応を待たず、近付いていく。)
■伊従のどか > びくーん!
猫であればそのまま垂直跳びしていただろう驚きよう。
窓に乗り出していたからだが一瞬外へとダイブしそうになるのを抑えつつ。
「うわっととと!
な、なに?だれだれ?」
慌てながら、太ももにつけたホルスターから拳銃を取り出し、さらに右手首につけた小型ライトをつけて声の主を照らす。
■柊真白 >
――こちら側に踏み込もうと言うのなら、もう少し警戒した方が良い。
(ライトと拳銃を向けられた頃には、既に彼女の隣へと回り込んでいる。
小さな溜息と共に彼女の隣、窓枠へと外を向いて腰掛けた。)
暗殺者。
――別に仕事ではないから、安心して。
(そこから地上を見下ろす。
昨日惨殺体が見つかったあたりだろうか。)
■伊従のどか > 銃を向けた先に人影は無く。
代わりに一瞬で横から声が聞こえてきたことに驚きつつ。
「あ、暗殺者……?」
こんなちっこい子が?とか、ロリータ服をきた暗殺者?とか。
様々な疑問が浮かびつつも、どうやら殺される様子はないので良い、が。
『泣いて叫びやがれってんだァァァッ!』
茫然としていた頃、男は叫びながら他の人影に襲い掛かろうとして――。
『――』
女性らしき人影の方が、何かつぶやいた。
例えるなら字幕には何も書かれていないが、確かに言葉を発した、そんな感じで。
その瞬間に、人型の物体の一部が破損した。
「あ、今斬られた……?」
■柊真白 >
そう、暗殺者。
だから名前は言えない。
(だから顔を隠しているのだ。
名乗ったら正体がバレてしまう。)
斬られたね。
(男が肩口からバッサリと。
しかしまぁなんと言うか、自業自得だ。)
■伊従のどか > 「うーん……」
遊び、ではないのだろう。
自分だってそれなりに、場数は経験していて、こういう奴ほどアレだったりするので。
『――ガァァッ!!!?』
「じゃあ仮称暗殺者ちゃん、ちょっとお尋ねするけど」
何もしてこないなら敵ではない。
それで上場だ。
今は窓の外の出来事が大事なのだから。
隣の子には視線をやらずに声だけかけて。
『このクソメスガキがーーー』
「ああいうことって、人間が出来ると思う?」
男の絶叫とともに、男へと粒子が飛んだ。
粒子が男を貫き、男を解体した。
だが、その速さは本当に一瞬。
粒子で再現された故に確認できたのだろう。
もし実際に再現されれば、それは見えたかどうか定かではないが。
■柊真白 >
さぁ。
そういう魔術とか異能とか、そういうことなら出来ると思うけど。
(その手の異能を持った人間は沢山いるだろう。
人を一瞬で解体する異能とか、見えない速度で斬撃を飛ばす魔術とか。)
ただ、ああ言う風に人を殺してしまえるっていう意味では、普通の人じゃ無理。
(普通いくら敵意を向けられてもあんな風に人の腕を奪うことなんて出来ない。
ああしてあっさり人の腕を飛ばせるヤツと言うのは、)
かなり殺し慣れてる。
(そういう意味ではなるほど人間ではないだろう。)
■伊従のどか > 「あー、そっか。
異能、魔術かぁ……」
そういえばそうだ。
自分が非戦闘用の異能もあって忘れていたが、そういう異能もないとは言えない。
そして、彼女が言っていることも正しく。
「もー、ちょっとした好奇心で追いかけてただけなのに。
あいつ絶対ヤバイ奴じゃん。
テンションさげさげー」
ひょい、と窓から降りてスカートをはたき、ホルスターに銃をしまう。
人型だった粒子もいまや棒のように成り果てており。
人型は二人から一人へと減ってしまっており。
『ご明察。あちきは鬼――』
『――いつかは人をながらえて見し』
そして、肝心の人型も、そんな言葉を残し、粒子が消える。
■柊真白 >
――だってさ。
(鬼と名乗った人影。
どうやら男の方はバラバラにされてしまったらしい。
彼女に続いて自身も窓から降りる。)
好奇心で首を突っ込まない方が良い。
ここで見たことが本人にバレたら、今度はあなたが狙われるかもしれない。
(映像を見た限りではそこまではわからないが、そんなことは見た本人にしかわからないのだから。
正体を暴かれたと思った鬼が襲ってこないとも限らない。)
■伊従のどか > 「うぇー、狙われるのはちょい勘弁。
こっちは死ぬ覚悟なんてできてないっていうのに」
テスト期間もあることだし、しばらく活動は休止するべきか。
しかし、お仕事はまじめにやらないとお給料が出ないのだ。
「――逆に、ロリータちゃんもあまり首突っ込まないほうがいいんじゃない?
今回はまぁ、私のせいでかもしれないけど。
そうそうにここを立ち去った方がいいんじゃない?」
犯人は現場に戻ってくるともいうし。
■柊真白 >
こっちは情報が回るのが早い。
もしかしたら今のも誰かに見られてるかも。
(充分脅かしておく。
あんまりこちらでちょろちょろされても、困る。)
私は別に。
同業者だし、もう色々首を突っ込んでる。
(今日ここに来たのも調査のためだ。
一足遅くて、風紀委員に片付けられてしまったけれど。)
■伊従のどか > 「そうね、それじゃ私はさっさと――ちょっと遠回りして帰ろうかしら」
仮にみられているとしたら――うん、ちょっと怖い。
ああいう手合いに銃が通じるとも思えない。
遠回りをしてお家に帰るのが一番だ。
「それじゃ、ロリータちゃん。
私はもう帰るけど、君も早く帰りなよー?」
『ディスコネクテッド。
最高適合率は90%でした』
そういって少女に手を振りながら、機械の音声とともに、粒子が地面へ潜っていく。
のどかが闇に消える頃には、完全に粒子の跡形もないだろう。
ご案内:「路地裏」から伊従のどかさんが去りました。
■柊真白 >
それがいい。
分相応と言う言葉もある。
(帰るのならば留める気も理由もない。
窓のそばに立ったまま、彼女を見送って。)
――あの声、どこかで。
でも、まさか……。
(彼女の姿が見えなくなれば、立体映像の女性らしき人影の声を思い出す。
機械を通したらしい良くない音質でははっきりとは聞き取れなかったが、知っている声のような気がして――)
ご案内:「路地裏」から柊真白さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に一条茜さんが現れました。
■一条茜 > ここは学園都市の裏側で謂わば暗部。
汚濁という汚濁が満ち溢れており、その汚濁の中で悪党たちが跳梁跋扈する。そんな世界だ。
投棄したゴミが腐敗したのかそれとも死体がそのまま腐敗したのか良く分からないが、とにかく鼻にツーンとくる匂いだ。
思わず顔をしかめる。こんな匂いを嗅いでも顔色一つ変えないとすれば、鼻が詰まってるか極端に鼻が悪いか、もしくは裏路地に慣れたか、だ。
「ったく、相変わらずなんてところよ。ここは」
不機嫌そうに呟く女。いつものような感じだがそれにしても不機嫌である。
彼女自身部屋の掃除はするし規則は(納得がいけば)守る。ここはそういうところではない。だからこんな場所があるのが許せなかった。
「核爆弾あったら打ち込んでやりたいけど…それもダメだよねえ。…地道に悪を叩き潰さなくちゃ!」
ガチャ、と制服のどこかに隠し持っているゴテゴテしたようなもの。所謂変身ベルトというやつだが、これが頼りだ。
肌身離さず持っており
「よし!」
そんな声と共に裏路地を進む。悪を滅したい、それだけの想いだけで
■一条茜 > 進む、進む。
コツコツ、と靴音が夜の通りに鳴り響く。意外と静かなもので歓楽街などとは対照的だ。
ただ、歓楽街とは違いこちらは殺伐した雰囲気が漂っており、隙を見せれば刺される。そんな雰囲気だ。
「…今日は悪はいないのかな?」
彼女は誰に言われたわけでもなくパトロールをしている。
ただただ、この世界に跋扈する悪が許せなかった。悪を殺したい、それが彼女の願いであり戦う理由であり、こうして巡回する理由。
風紀に入ればいい、という意見もあったが群れるのは好きではないし対人関係も苦手、連携も取る気もさらさらない。
「そう、風紀委員じゃ生ぬるすぎる、風紀委員じゃ弱すぎる…。私が、私が最強なんだから」
そして増長。風紀なんかより自分の方が優れてる、群れるしか能がない風紀に遅れを取るはずがない。そんな強い思いが彼女を独りにさせる。
ご案内:「路地裏」にパンデミック(シャドウファング)さんが現れました。
■パンデミック(シャドウファング) > 路地裏に、一人。
それも暗く、静かで…周りに誰もいない状況で。
子供くらい、小さな人間がふらふらしている。となれば、それはおおむねすべての悪にとっては格好の的である。
パンデミック。
学内でもわずかながらに妙な話を聞いたことがあるかもしれない。
風紀委員、その他各委員には、手配書が配られている。
怪異としての危険度合はSSランク。自然災害級だ。
その特徴として挙げられるのが、異様なほど赤い事、殺すことしか考えないことがあげられる。
真っ暗な影だらけの地帯、ともすれば、明かりがなければ踏み外しそうな、
そんな路地裏のエリアを、パンデミックと化したシャドウファングは、今日も獲物を求めてぐるぐるしている。
こいつの厄介な性質は影があればそこに潜ること。
そうして、敵の視野から外れ、安全地帯から不意打ちをかますこと。
狙いをつけたのは、たった一人落第街の路地裏へ歩む一条茜の姿。
「―――ッズァァァァアアァァッッッ!!!」
影からぬうっと這い出るのは深紅色。
巨大なワニを思わせるアゴと、キバ。
不意を打ち、獲物を確実に殺しエサとするための野生動物の能力として、
こいつのキバからは痺れ毒がほとばしる。
水面から飛び上がるように、何もない影から突如、一条茜の後ろから湧き出るように、
そんな不意打ちの噛みつきが襲い掛かる…!