2019/02/17 のログ
ご案内:「路地裏」にさんが現れました。
> 風が強く吹いて、木の葉の擦れ合う音しか響かない寂し気な通り。赤の他人から見れば、ただの通行人としか思えない女性だが、その足取りはまるでどこかに向かって、時たまに足を止めれば、誰かを探しているように見回している。
繰り返して数分、遠目に中年の男性らしき姿が物陰から確認出来る。
躊躇いなくそちらに向かって

「あのー…、ここで何をしてるんですか?」

とか細く緩やかな声で、こちらから話しかけた。

> この時間帯にここでやる事なんて大体分かっている。
中年男性は不意に話をかけられて、警戒を見せているが、ダメですか?と上目遣いで心の隙間に踏み込むようにこちらからしかけた。
敵意を見せず、困り顔を見せればその男はここに立つ理由を教えてくれるのだが、予想通り闇取引の類だった。

「へぇ、それは恐ろしい。
それで、そのお相手様は何時頃来られる、なんて、私には関係の無い話でしたね。御免なさい」

それをすんなり聞き入れる。
どうやら相手がそわついている様子で、かつ他の人物が確認できなかったので、ついでに訊いてはみる。
しかし、ここは敢えて自ら引き下がり、申し訳なさそうに眉を下げて丁寧に謝罪しておいた。

> 後ろに手を組んで無防備を装う彼女。
相手の警戒を解いたのか、静かな声だが待ち合わせの時刻を
伺うことが出来た。その時刻はとっくに過ぎている。
その苛立ちに加えて、部外者の自分が入ってきたから落ち着きが無かったわけだ。

「ありがとうございます。そしてですねー」

興味深い話を伺う事が出来た事に頭を下げて続けた。

「この方って、ご存知です?今晩少し御遣いを頼まれましてね」

と、自身の依頼主の情報を見せた。
その名前に目を通した途端、男の目付きが一変する。
相当な因縁を持った商売敵と伺える。警戒を解いた後は気前よく話してくれたが、今ではすっかり嫌悪感を露わにしている。

> 「恨みは全く無いんですけどね。はい
残念ながら、今晩の標的は貴方だったんですよ」

気の毒そうにしているが、気遣いとは裏腹に明るい表情と他人事の様な声。
相手は追い詰められ、危機感を感じたのか上着の内ポケットから拳銃を取り出したが。

「用意周到だね。ありがとう、こっちも遠慮なく手が出せるよ」

感謝を伝えた頃には男の手首から上は宙を舞い、拳銃が地を打ち付ける音が響いた。
紅の飛沫が上がり、焼け付く痛みに声を漏らそうとする男を後頭部から壁に叩き付け…。
その口に自身の唇を付けて接吻を。

唾液と共に毒を流し込む。
体格は一見して相手の方が恵まれているが、その大男が幾ら足掻いても一切動じない。
みるみるうちに血色を悪くして、力が徐々に弱まればそれが痙攣へと変化。唇を話した頃には、男は一切言葉を発する事が出来ず、身体中が溶かされているかの様な激痛にもがく事しかできないでいた。

> 「いやー、やっておいて言うのもだけど、ひどい光景だね」

息を荒げ、渾身の力を振り絞って拳銃へと利き手を伸ばしているが、それをかつんと路地の奥へと蹴り飛ばした後に、その手を躙る様に踏み潰す。
死の間際に見せる苦痛の漏れたその顔を淡々と観察し、毒が回り切ったのか、遂に力尽きた様に呼吸が浅くなり、数分後一切動かくなった。

「君の命と、これが目当てだったみたい。
まあ、来世機会が会ったら呼んで…ってああ、もう死んでる」

血痕の付着した銀のアタッシュケースへ手を伸ばせば、能天気にも宣伝なんかしてみるが、様子がおかしい。
髪を引っ掴んで顔を上げれば、男は白目を剥いて泡を吹いていた。