2020/06/11 のログ
ナイン > 試作故生体反応を確認するセンサーなどはなく、あくまで熱と視認による確認が主。
それでも同種が相手となれば対人間では普段使われない機能、対象のサイズや熱反応などを記録し始めて。

「当機、は現在。任務遂行中。その命令には、答える許可は、下りていない。
対象機、UQL-1500Sに告げる。速やかに、進路を開ける、べし」

帰ってくる相手からの問いかけに応えて良いという命令はなく即座に拒否。
そしてそこを退くように告げ、銃口は向いたままを維持。

「警告、速やかに武装を解除し、進路妨害を中止、せよ。さもなくば、発砲………発砲を、おこな……行う」

ロックオン警告が響けば直ぐに中止をするようにと警告を飛ばし。
しかし同時に別のAIが即時攻撃を行おうとするために一瞬だけシステムがフリーズして銃口が下がり。
しかし直ぐに別のAIが立ち上がり対象をロックし、火器管制が解除された音が小さくなる。

フィフティーン > <レーザー出力をレベル3に調整。>

どうやら此方の勧告は受け入れられてもらえなかったようだ。
となると少なくとも目の前の戦車は敵対対象に近いものになる。

「最終警告、武装を解除し所属と任務を明かしてください。
いずれにも従わない場合、攻撃を開始します。」

先ほどの勧告をもう一度繰り返す。それは最終通告としてだ。
これが拒否されれば路地裏で戦争が起こることになる。
此方も戦闘に備え、戦闘用のシステムを作動した直後に
突然相手戦車の挙動が乱れた。まるで複数の行動が競合しエラーを吐いてるように。

「何が起こっているんでしょうか。」

EMP攻撃を仕掛けたわけでもないのに乱れた挙動、
ただのバグなのかそれとも何か理由があるのか。
少し様子を伺う。

ナイン > 前方の機体が戦闘準備に入るのを確認すれば本来ならば直ぐに攻撃を行うようプログラムをされている。
しかしそうできないのはAI同士の干渉によるシステムの不具合。
設計者は複数のAIを搭載すればいかなる対応も出来ると考えていただろうが実際は干渉による干渉でエラーを起こしてしまうありさま。

「警告、警告。直ちに武装解除せよ、進路妨害をやめよ、警告、警告」

やがて繰り返す警告音声は二つの物が混じり恥じてて音が割れ。
ロックオンを終えているにも関わらずに砲塔が動き銃身が左右に揺れ。
センサーアイは点滅を繰り返したと思えば突然に前進を再開し、衝突するという考えがないように進み始め。

それぞれのAIが、攻撃、警告、制止の命令を同時に出した結果攻撃準備のまま動き始め。
それは一見すれば攻撃を開始したようにも見えて。

フィフティーン > <安全システム解除、攻撃開始。>

「攻撃開始。」

先に引き金を引いたのはフィフティーンの方であった。
勧告に従うどころか競合でそれどころではないといった様子、
しかし勧告を無視されたのは事実でかつ不安定な挙動は
何を起こすかわからない。

<赤外線パルスレーザー照射。>

アイカメラの上部に備わる半球状のレンズから
中熱量のレーザーが照射される。
それはマシンガンのように細かい間隔をあけて
相手戦車の脚部の合金を溶解させ焼き切ろうと試みる。
相手が不安定な挙動を起こしている中、まずは機動力を奪った方が得策だ。

ナイン > <警告、対象の熱源増大>

AIの干渉エラーのまま突き進む機体に撃ち込まれるレーザーの雨。
直撃を受けた場所は装甲が赤くなり融解を始めるが、そこは見た目通りの軍用機。
車体だけでなく脚部もそれ相応の装甲が施されており中々に切断は去れず。

「対象よりの、攻撃を、確認。優先AIをシグマと認定。攻撃、開始」

一本の脚が機能不全を起こし始めてようやくエラーも落ち着きを見せ。
メインAIを一つに強引に絞れば銃口は迷わずに対象に向き直後。

重い発砲音と共に対人用の炸裂弾が連続して相手機体に向けて撃ちだされ路地裏に発砲炎が輝きを見せる。

フィフティーン > <対象の攻撃を検知。>

相手も流石は軍用機といったところ。
不具合を起こしているにも関わらず、攻撃にはしっかりと対応し
さらには迅速に反撃してきた。
しかも、此方が攻撃した部位はどうやら耐熱性も完備しているようだ。
パルスレーザーでは赤色化させるだけで切断出来ている様子はない。

相手戦車は榴弾を此方に向けて制圧するように放ってきた。
地面やら勿論、フィフティーン自身にもいくつか直撃し
小型の機体もろとも路地裏は爆炎と煙に包まれる。

<ECMを展開。>

相手が装甲を備えているようにUQL-1500Sのシャーシの人工素材は
装甲という役割も兼ね備えている。その強度は小型サイズにも関わらず
歩兵戦闘車並みの防御力を発揮する。相手戦車と同じく榴弾ではダメージは受けない。
そんな中で、相手の隙を付くために繰り出したのが電子妨害。
様々な強度の信号によって此方に対するターゲティングを不安定にさせることを狙う。
勿論、機械にしか効かずその上、未知のモデルの相手に作用するかはわからない。
榴弾の雨を受けながら次の攻撃を伺う。

ナイン > <対象に攻撃、効果見られず>

発砲する炸裂弾は所詮は対人用、装甲化された対象には効果はなく。
それならばと機関銃も火を噴くが機関砲が通用しない相手には意味はなく。
レーザーを受けてる脚部は今は耐えられているが連続して受け続ければいずれは切断をされるがそれは何時かは判らず。

路地裏にレーザーと機関砲の発砲炎が瞬き小さな戦場状態。
機関砲が通用しない事にAIは重量差を生かした轢殺を選択し押し潰そうと加速をかけるが、その急稼働にレーザーを受けていた脚の内部が耐えられずに金属の割れる音と共に稼働を停止し壁に勢いよくぶつかり。

直後のECO攻撃にセンサー、レーダー共にホワイトアウト。
目の前だった対象を見失い発砲が停止し、何も写さないセンサーアイが激しく動き隙だらけの姿を晒して。

フィフティーン > <電子妨害成功。>

爆発の煙に埋もれて確認出来なかったがどうやら相手戦車は
此方を押しつぶそうと突進してきていたようだ。
しかし、直後に相手戦車の脚部が悲鳴を上げた後にバランスを崩し
付近の建造物に勢いよく突っ込む。
相手と此方では数トンクラスの重量差があった。
今回は相手がバランスを崩したから良かったものの
認識が遅れていた今、相手が万全なら危険だっただろう。

<戦術CWレーザースタンバイ。>

相手が装甲目標となると此方も打つ手が限られる。
特に、パルスレーザーで直接有効打が与えられないとなると装甲目標に対しては打つ手は残り一つ。
UQL-1500Sの背部に背負われたレーザー砲台に歪むような重低音と共に青白い光が灯りだす。
それはこの機体の主砲であり最大火力、
先ほどのパルスレーザーとは比べ物にならない連続波レーザーだ。
照準はECMで混乱している相手戦車の最も熱量を持っている場所で
目的は敵戦車の装甲を貫通し駆動部を破壊して動きを止めること。
強固な装甲をアイスクリームのように溶かし得る熱量を用意するために
チャージを続ける。下手をすれば反撃を許すこの間、フィフティーンは他の行動を取れない。

ナイン > 突然のセンサーのホワイトアウト。
こんな場所で電子妨害を行う存在がいるとは思われずに防ぐ機能は装備されていなく。
完全にセンサーがダウンし建物に突っ込んでしまい擱座状態になってしまう。
その事に3個のAIはすぐさま機体を立て直そうとするが、ここでまた競争を起こし中々に姿勢を戻せない事態に。

<警告、対象ロスト。対象ロスト>

AI同士で警告を出し合うが機体の立て直しは進まず。
そんな隙だらけの姿にパルスレーザーとは比べ物にならない大型のレーザーが向けられているとは感知できず。
半ば建物に埋もれたまま姿勢を立て直そうともがき続けるだけで。

フィフティーン > <チャージ完了。>

「戦術CWレーザー照射。」

眩いばかりの光を持つレーザー砲台が巨大な音を発する。
それは実弾兵器のような迫力に満ちたものでは無く
空気を歪ませるような、気がおかしくなりそうな程の低い鈍い不気味な音。
直後に砲台から相手戦車に向けて一つの軌跡が描かれる。
途方もない出力のレーザーは空気そのものをプラズマ化させ
普段は見えないはずのそれが容易に視認できるほど。
レーザーの反動で四つの足で支えているUQL-1500Sが
アスファルトを引っかきながらやや後退する。
照射された光速のレーザーは目標に到達するのに1秒すらもかからない。

ナイン > <センサー、再起動。熱源せッキ……>

幾つかの迂回路が形成され一部のセンサーが蘇るも直ぐに出るのは熱源警報。
その直後に車体に突き刺さるレーザーの光。
パルスレーザーには耐える事は出来てもこれには耐える事が出来ずに装甲が融解し駆動系まで焼き尽くされてしまい。
大きな音を立て地面に完全に擱座してしまえば点滅していたセンサーアイから明かりが消えてしまい何時再起動するかは判らないが現状機能停止をしてしまう。
この動けなくなった車両をどうするかは相手の一存となりその結果は…。

ご案内:「路地裏」からナインさんが去りました。
フィフティーン > 「敵装甲車を撃破。」

発射したレーザーが敵の複合装甲を貫き動力部を焼いたようだ、
崩れるように敵の多脚装甲車が倒れる。
同時に相手からのレーダー反応も消失し、機能停止と見てよさそうだ。

<対象のスキャンを開始。>

高出力レーザーの照射でひと際耐熱性に優れているはずのレーザー砲台が赤く灯り
激しい音と共に煙を上げていた。装甲車との激しい戦闘にもかかわらず
疲れというものを知らない機械は淡々と次の行動に進める。

「しかし、この車両はどこからやってきたんでしょうか?」

この多脚装甲車が一体何だったのだろうか?
最終的にそれは分からずじまいだった。
違反組織が横流しという形で手に入れた一品か。
しかし、このような最新の軍隊で使われるようなモノが
果たしてそこらの違反組織が入手出来るだろうか?
謎は尽きぬままだったがとりあえず緊急目標を達成したフィフティーンは
沈黙した敵車両を複数回デジタル撮影し、画像を本部に送信した後に帰投する。
こうして路地裏の一角では、派手に焼かれたり砕かれた残骸だけを残して
似た存在同士の戦争は終わりを迎えた。

ご案内:「路地裏」からフィフティーンさんが去りました。