2020/06/17 のログ
ご案内:「路地裏」に227番さんが現れました。
227番 > 辺りが暗くなり始めた頃、薄暗い路地裏にて、空腹で目が覚める。
昨夜貰ったものはとうに食べ尽くしてしまったため、今日の糧を探さなければならない。

食と紐付いているため、頼まれごとも頭の隅にはあるが、そもそも自分が話せる存在はあまり知らない。
日課のゴミ漁りをしていれば、そのうち誰かに会うだろう。

大きく背伸びし、手の甲で目元を拭って、立ち上がった。

ご案内:「路地裏」に鞘師華奈さんが現れました。
227番 > 昨日はゴミ袋に入った針──おそらく注射針。衛生もクソもあったものじゃない──で指を切ってしまった。

今日は同じことをしてしまわないように、慎重に探ろうと誓う。

ルートは、夜の入りは人の生活圏、深夜になれば店が有るような所の路地裏。
毎日ろくなモノが手に入らない生活のため、ある程度パターン化されているのだ。

鞘師華奈 > カツン、カツン、と。革靴の音を静かに路地裏に響かせながら、スーツ姿の女が一人路地裏を歩いている。
瞳は赤く、それでいて覇気が無い気だるさを湛え、顔は仏頂面で愛想の欠片も無く。
口元には既に火の付いた煙草を咥えながら、まるで近所を散歩するかのように淡々と、それでいてマイペースに歩を進めて。

「――おや。」

カツ…ン。

ゆっくりとその足が一度歩みを止める。前方、まだ10メートル以上は先かもしれないが、誰かの影が見えたような気がした。

227番 > いざ日課に入ろうとした所で、フードの下の耳がピクリと動く。
この時間帯であれば人の気配は有って当然で気にも留めないのだが、距離が近くなる音であれば話は別だ。

音のした方に振り向き、姿勢を低くして様子を伺う。あわよくば逃げようとも考えている。

「……」

一目散に逃げないのは、相手がまだわからないからだ。昨日の頼み事もある。
警戒はしつつも、その場に立ち止まっている。

鞘師華奈 > (……うん。さて…どうしたものかな)

一応、『目的』があって、わざわざこんな路地裏を一人歩いていたのだが。
誰かと遭遇するのは充分想定していたが…遠めに僅かに人影の動きが見える。
姿勢を低くしてこちらの様子を伺っている…のだろうか?とはいえ。

(――まぁ、私は別に何をする気もないんだが)

ただ、通り掛かった通行人Aみたいなもの…と、相手が思ってくれる訳もないか。
ゆっくりと歩みを再開しつつ、徐に口を開く。逃げるか留まるか…または襲われるか。

「――どうも、こんにち…いや、時間的にこんばんわ、かな。
怪しい者じゃない…と、言う気は特に無いけど。私はただの通りすがりだから、普通に通してくれると有り難いんだけど。」

そうして、軽く降参のポーズじみて両手を挙げるジェスチャーをしつつ、煙草の紫煙を燻らせながら自然と距離が縮まる…残り5メートルくらい。
流石に薄暗くなっているとはいえ、お互いの顔や姿くらいは見えるかもしれない距離だ。

227番 > 靴の音に合わせて身体が揺れるが、まだ踏みとどまっている。
やがて相手を認識できる距離まで近くなると、声をかけられた。

「……話しかけてくる人は、珍しい」

怒鳴られなかったので、とりあえず即逃走の選択肢は消えた。
警戒心をすこし緩め、言葉に耳を傾けた。

さて、相手の姿に見覚えは有るだろうか?

「どこかで、見た?」

227と書かれたタグのついたフードの下から、青い瞳を覗かせる。

鞘師華奈 > 「…そうかい?私は面倒臭がりだけど、普通に会話くらいはするつもりなんだけどね。」

と、緩く肩を竦める仕草は自然体、というか気だるそうで緊張も何も全く無い。
相手の顔立ちは…フードをすっぽりと被っているのもあり、瞳や顔立ちくらいしか分からない。
ただ、声からして女の子…なのだろう、多分。そのまま、緩やかな歩調で歩いていたが3メートル前後の距離でまた足を止める。

「……どうだろう。私はまぁ、一時期はこういう所も普通にうろついてたけどね。」

227…そんなタグらしきものが彼女のフードには付いている。それに見覚えは――。

「……その番号のタグのフード…は、何度か見かけた覚えがあるけど。もう数年前かな」

逆に、彼女が見覚えがあるとしたら、路地裏で今のように煙草を咥えて無表情な少女の姿くらいは記憶の片隅くらいにはある…かもしれない。

「…あぁ、うん思い出した思い出した。君と直接会話をするのは今回が初めてだと思うけど。見覚えは確かにあるよ。」

うん、と緩く頷くが表情は仏頂面のまま。勿論、悪気は無いし不機嫌な訳でもない。

227番 > 「……皆、怒鳴ったりするから」

ごみ漁りをしている身なのでよくは見られてないだろう、という自己認識もある。
227にとって、他人は基本的に警戒すべき相手なのだ。

やがて目前まで近寄られれば、確かに見覚えがあることを確認する。

「……確かに、見たことはある、かも? ちょっと煙たい人」

低くしていた姿勢を戻し、そちらの姿を見上げた。
警戒は、不要だろう。この人は自分に危害を加えない、そう思った。

そしてそれは同時に、頼み事の相手であることを意味する。

「えっと、わたしと話せる人、伝言が、あるんだけど」

相手の名前は知らないし、知っていても227は覚えられない。
頻繁に会う必要な名前ならまだしも、会話も交わしたこともない相手だ。

鞘師華奈 > 「…ふむ。まぁ皆は皆、私は私だからね…そもそも怒鳴る理由が無いし、ついでに疲れるだけだし。」

煙草の煙が少女の方に流れないように配慮しつつ、煙たい人、という覚えられ方に間違ってないな、という風に僅かに苦笑を浮かべて。
まぁ、少なくとも少女に何か危害を加えるつもりはない。そもそも理由が無いのだ。

「……伝言?君と話せる人、というのがまた独特な伝言だねそれは。」

つまり、特定の誰かではない?いや、目の前の少女と会話できる程度の一定の条件を満たした者という前提?

「…まぁ、何となく分かった。じゃあその伝言を聞かせてくれ…いや、その前に。お互い名前くらいは名乗るのはどうだろう?」

と、緩く首を傾げるようにして提案を。もっとも、名乗った所で互いに覚えられるか、記憶に残るかは別問題だが。

「――まぁ、私から名乗っておくよ。鞘師華奈…カナでいい。昔は落第街とかスラムに居た時期があってね。
そういう訳で、路地裏とかも結構あちこち歩き回ってた。」

もっとも、こうしてこの辺りを訪れたのは3年ぶりくらいだけど。
ともあれ、少女の名前くらいは面倒臭がりでも気にはなるので、そこで言葉を切り、待つ。

227番 > 「カナ……」

覚えられる自信は全くないが、とにかく反芻してみる。
この場ぐらいは覚えていられるといいのだが。そんな低次元の問題だ。

「わたしの、名前……わたしには、これしか無い。に、に、なな」

それから名前を聞かれて、227と書かれたタグを引っ張る。
何らかの通し番号だろうか……覚えやすくはあるだろう。

「もうずっと、この辺りにいる。もうどれくらいか、わからない」

日付感覚が希薄のため、何年、と言った表現が出来ない。
そんなこんなでほとんど成立していない自己紹介もほどほどに、伝言を思い出して、声に出す。

「えっと、伝言は……ひ…『日ノ岡あかねが会いたがってる』」

鞘師華奈 > 「まぁ、覚えられなくても、それはそれで構わないさ」

覚えてくれたら御の字、くらいが丁度いいのだろう。それで充分である。

「…うん、覚え易いというか分かり易いけど、呼び難いという問題が少しあるな。
……じゃあ、少し縮めて読み方変えて…”ニーナ”とでも呼ばせて貰うよ。」

簡潔で覚え易いのは間違いないが、何かの通し番号らしきそれは味気なさ過ぎる。
だからといって、センスがある訳でもないので、”に”と”なな”を合わせて縮めて”にーな”にしてみた。
これはこれで低次元かもしれないが、少なくともただの通し番号そのままよりは良い…筈。

「――まぁ、ニーナはそれどころじゃなさそうだしね」

彼女の格好やこの場所からすれば、まず日々を生き抜くことが最優先なのだろうし。
年月の経過がどうのとか、それを考えても仕方ないのだろう。

と、伝言の内容を聞けば一瞬だけ目を丸くして。

「……あぁ、うん。まさか知ってる名前が出てくるとは思わなかったよ。
神出鬼没なのは分かっていたけど、顔も広いんだね彼女は…。」

あー…と、煙草を蒸かしながら何とも言えない表情を一瞬浮かべて。
ただ、直ぐに仏頂面に戻る。会うも何も同じ寮だったりする訳で。

「…まぁ、伝言は受け取ったよ。…ああ、そうだ。ニーナがよければちょっと頼みがあるんだけど」

と、唐突に思い出したかのように。一応、この路地裏をうろついていた”目的”でもある。
まぁ、正直そんな大したことではないのだけど。

227番 > 普通は人を番号で呼ぶのには抵抗がある、というのを理解出来ていないため、
少し不思議そうに受け取るものの、深くは気にしない。

「にーな……うん、わかった」

覚えている範囲では、初めてされる呼び方だ。
忘れているだけの可能性もあるが、しばらくは記憶に残ることだろう。

「大丈夫……?あってる?」

伝言を間違えてないかの自信もなかえれば、伝言を伝える相手が正しいのかもよくわからないので、
相手の反応をかなり気にして、表情1つ1つしっかりと見ていた。

「頼み……覚えられるかな……」

前の頼みは「お土産」があったから覚えていたようなものなので、あまり自信がない。
それは態度にも現れる。手を胸元に持ってきて、少し不安そうに呟いた。

鞘師華奈 > 「まぁ、忘れてもそれはそれでいいさ。…あーーまぁ、私の顔?くらいは覚えていてくれると少しは有り難いけどね。」

と、煙草を咥えたまま自分の顔をちょいちょいと指差してみせて。
まぁ、彼女もちょっぴり昔の自分に見覚えがある、という感じだったので、多少は覚えておいて貰えてる…かもしれない。

「あぁ、うん…伝言内容の意図は分からないけど、ちゃんと合ってると思うよ。ありがとうニーナ」

同級生で同じ寮の女子の謎がまた一つ増えてしまった気がしないでもないが。
それは顔には出さずに、軽くニーナに笑みを見せてありがとう、と感謝を。

「ああ、いや直ぐに済むから…と、いうかニーナに分かり易くいうと…食べ物が余ってるから貰って欲しいんだよ。」

まぁ、正確には干物や缶詰などの保存食ばかりなのだけど。
昔、世話になった?人が隠れ家に残した備蓄だが、自分は必要無いので処分しようと思っていたのだ。

「まぁ、1ヶ月ぶんくらいは溜め込んでた筈だから、少しは満足できる…と、思うよ」

と、言いつつ、止めていた足を再び動かしてもう少し先の路地へと。勿論、ニーナが付いてくるかどうかは彼女任せ。
実際、備蓄を譲る相手が欲しかったから、正直これはチャンスでもあった。

227番 > 「顔は……たぶん、大丈夫」

敵ではない相手の事はぼんやりだが覚えているようだ。
そうでなければ今回はもちろん、伝言を受け取ることも出来なかっただろう。

伝言については、とりあえず笑ってもらえたので安堵をする。
とはいえ、他にも伝えるべき相手は居るのかもしれない。
引き続き、伝言は続けるのだろう。


「え……食べ物……?」

そして食いついた。ぱぁっと目を輝かせ、わかりやすく不安な様子が吹き飛んだ。

「そんなに……いいの?」

一切の疑いもせず、歩き出したカナに小さい歩幅でぱたぱたと続くだろう。
露骨なまでに警戒心が消え失せていた。

鞘師華奈 > 「なら、それでいいさ。顔まで忘れられたら流石に少し私も悲しいし」

それでも、顔すら忘却されたら、それはそれで仕方の無いことだと自分は割り切るのだろう。
諦観、というよりそういうものだと受け入れる姿勢のようなものだ。

伝言の疑問については後に回しつつ、物凄い食いつきように、「相当に空腹だったんだね君」と、少し笑って。

「ああ、私には必要ないからね。ここらで生活してる君が食べてくれた方がいいだろうさ」

と、肩を竦めてそう告げつつ、パタパタと後ろを付いて歩くニーナを確認して歩き出す。
一応、歩きの速度は彼女の歩幅などを考えてゆっくりめ。
程なく辿りついたのは、丁度十字路のような路地裏同士が考査する地点。
何かを思い出すかのように視線を巡らせつつ、「えーと、確か…」と、呟いて。

「確かここの壁を…二度ノックして、それからもう一度時間を数秒おいてノック、と」

十字路のすぐ傍の壁の一角をそのように女が叩けば、鏡が割れるような音が響いて壁の一部にぽっかり穴が。
予め持ってきておいたライトで中を照らせば…。

「ああ、良かった記憶違いでなくて。…二ーナ、取り敢えずこの食べ物とこの場所は君に譲るよ」

と、示したライトの先には、魚の干物や干し肉、色々な缶詰や真空パックされた野菜など色々ドッサリ。
簡単なベッドなどもあり、いわゆる”隠れ家”的なものらしい。

227番 > 「……何も、食べない日も、あって」

昨日こそ良いものを食べたものの、普段はゴミから漁ったものだった。
そういう生活を続けているので、文字通りうまい話に対して食い意地が張ってしまう。

開かれる入り口に驚いた表情を見せる。
この辺りは結構走り回っているが、全く知らなかった。

「……不思議」

魔術の類だろうか?と疑問に思うことすらない程度には教養がない。
不思議なものは不思議なもののままとして受け止める。

「……ほんとうに、いいの?こんなに…ベッドまで……」

路地裏の一角で寝ていたので、これも特別待遇だ。
自分にはふさわしくないとまで思ってしまうほどには。

鞘師華奈 > 「……うん、次にまた会えたら何か奢ろうか?私、あんまりお金は無いけどね」

仏頂面のままだが、言葉にやや間があったのは、何とも言えない空気になったからだろう。
彼女の境遇やら何やら。227番の通し番号の意味も気になるが…まぁ、今はいい。

「…魔術的な偽装工作らしいよ。…まぁ、不思議な何かでも全然いいけどね」

と、肩を竦めてみせつつ、流石に電気や水道は通ってないが、そこは我慢して貰うしか無いが。
あくまで隠れ家、というか備蓄保管庫みたいな役割の場所だった筈だ。

「…ああ、私には必要ないものだからね。だったら必要とする誰かに譲るのが手っ取り早い。
今回は丁度ニーナと出会ったから、君に譲ると決めた…それだけの事だよ。」

だから、見返りや何かの強要はしない…と、いうかそういうの面倒だし。
自分には不要で、誰かに必要ならあっさり譲る。ただそれだけの事でしかなく。

「と、いう訳でニーナがいいならこの食べ物とか貰ってくれ。…むしろ、そうしてくれないと困る」

と、笑ってそう告げようか。相応しいも相応しくないも、そんなの女にはどうでもいい。
ただ、食べ物と簡易な寝床を譲るだけ。それ以上でもないし以下でもない。

「ああ、でも入り方は覚えて欲しいかも。一度出ると壁がまた元に戻るみたいだからね」

(と、ジェスチャーで壁を二回叩いて、時間を少しおいて今度は一度だけ叩く真似を)

227番 > 「……無理は、しなくても」

あまりお金が無いと言われたら、流石に困ったような反応をした。

「まじゅつ、ぎそう? よくわからないかも」

理解はできなかったが、わからなくても良さそうなので深くは考えない。
電気に水道も無縁な生活だったので、何ら問題はないだろう。

「えっと…その……わかった、頼まれる」

少しの間困惑していたが、もし断ったら相手が困る、というのは理解して、
頼みを引き受ける、という形で納得する。
普通ならこんないい話には罠がつきものだが、疑えるほど成熟もしていないし、
なによりも本能的な欲求が勝っていた。

「入り方……コンコン、コン」

声に出しながら真似をしてみる。おそらく問題はないだろう。

鞘師華奈 > 「まぁ、その時はその時ってことでさ。君も美味しい物がタダで食べられる!くらいに考えておいていいと思うよ」

美味い話には裏がある、というのは常々だがこの女はそういうあれこれは面倒だ。
思惑があるにはあるとしても、それでニーナや誰かに酷い害を齎す気は無い。

(まぁ、魔術とか偽装に関しては私も中途半端な知識だしね…)

どのみち、専門的な用語を教えても彼女にはちんぷんかんぷん、だろう。

「…ん、ありがとうニーナ。さて、私の目的は達成かな…君に会えて助かったよ。」

と、改めて緩く笑みを浮かべて礼を述べる。まぁ、要するに裏は何も無かった訳で。

「そうそう、それで合ってるよ」

うん、と頷く。食べ物の欲求もあるのかもしれないが、ちゃんとこれは覚えておいてくれそうだ。

227番 > 「……そう?……わかった」

思考が単純なので、これだけしてもらった相手のことは一切疑っていない。
今は何を言われても信じるだろう。

「……わ、わたしも、ありがとう、カナ」

幼さのある無邪気な笑顔を返す。
過酷な生活をしているが、根は見た目相応の少女なのだろう。

「その、帰り、気を付けて」

ここに来て初めて、人のことを気に掛ける少しばかりの余裕が生まれた。