2020/06/27 のログ
227番 > 「……? 動物の耳、変じゃない? 人に見せちゃいけないって……」

……あれ?誰に言われたんだろう?
とりあえず、耳を抑えるのをやめた。

「臭くなるの……? はぶらし?せんめんき?」

知らないものがどんどん出てくる。
ちなみに227の寝床には、水道はない。

「……遊び……ううん、特に……」

相変わらず、徘徊しかすることはない。
今日は徘徊すらしていないが。

夢莉 > 「歯ブラシってのはこういう…」

こんな形で毛みたいなのがついてて…と簡単に説明する。
こりゃあ実際に歯を磨いてやるしかないなと思いつつも、そうなると家を知らないとどうしようも無い。
後で聞いてみるかと思いながら話を続けるだろう。

「まぁそりゃオレとか…この世界に元からいる住民にとっちゃ見慣れねえだろうけど。
 ここは常世島だからな。
 色んな奴がいるし、別の世界から来た奴もいるし。
 ここの先に転移荒野ってとこあんだけど、そこから別の世界からの変なモンが流れ着いたりもするからな。

 …ま、そんなんだから、耳位なら変って思わない奴もいるさ。」

流石に少数派かもだけどな、と付け足し。

「ふーん……じゃ、遊ぶか?
 つっても何すっか……」

手元にゲームもないし、一人遊びが得意という訳でもない。
暇潰しにやる事といえば……

「…そーいや、何も知らねえっぽいし歌も知らねえかもしんねえのか」


あぁ、そういえば一つあった。

「…耳をすましておきな」

そう言えば、少し息を吸い。

「すぅーっ……」

肺に十分な酸素を蓄えると、喉を鳴らし言葉を紡ぐ。

「―――♪」

それは普通に話すような声ではなく、長く、音の抑揚を乗せた……心地よい音色。

「―――、――――――♪」

普段の声とは雰囲気が変わった、声を発している筈なのに静かに感じるような、しかし、耳にしっとりと残る、メロディ。
楽器はない。口だけの、声音だけで紡がれる歌唱
所謂アカペラと呼ばれるそれは、しかし…この無機質で無骨な雑音しか聞こえない落第街で、耳を安らかな、快感に誘う。

227番 > 「……ごみの中に、みたこと、あるかも」

説明を受ければ、見覚えはあるらしい。
その時は興味がなかったので、気にもとめていなかったが。

「……わたしは、もともと、いなかった、のかな」

知らないキーワードも混ざっていたが、かいつまんで理解する。
記憶がないのにも納得できる理由では、有った。


「うた?」

首を傾げ、耳を澄ませと言われれば、耳がぴこっとそちらを向く。

「……」

しばらく見上げるように見ていたが……
歌が聞こえ始めれば、目を閉じて、静かに聞き入る。
不思議と落ち着く感じがする。

そういえば、エイジもなにか口ずさんでいたけど、あれも歌というものだったのかな。

夢莉 > 「―――♪」

それはワンフレーズ程の、短い歌。
歌詞もないのでワンフレーズというのも正しくはないかもしれない。時間にすれば、30秒ほどの歌だろう。

ただ、その中で、幾度も変化しながら、歌声は奏でられる。
男性的な強さをもった声が響いたかと思えば、女性のような艶めかしい音色へと変わる。
力強く猛るかのようなそれが、気が付けばまるで絹を連想させるかのような柔らかい声に変わる。

男性のようで、女性のようで。本当はどちらでもないようにすら聞こえて。
存在が曖昧になるような歌声だっただろう。

「――♪…っふぅ
 …そ、これが歌。……ま、歌詞もない即興のアカペラだけどな。
 色々あんだよ。楽しさを伝えたり、悲しさを伝えたり。まぁ、色々な。

 偶にこうやって歌うんだ。そうすると気持ちが外に出る気がして、ちょっと体が軽くなんのさ。
 …まぁ、ホントに軽くなる訳じゃねえけど」

歌を歌うのは好きだ。
どんなものでも、何を表現しても、大抵文句は言われはしなかったし。
暇つぶしに歌を歌うのは、ずっと昔からの癖だった。
それこそ、目の前の少女よりも小さい頃からの。
…そういえば何時からだったか。
もう、切欠は覚えていないが。

「…ま、流れ者は多いからな。この島。
 そういう意味じゃ居なかったんじゃねえの、元々は。
 オレもここにゃ流れ着いて来たし。…そういう奴もいるさ」

適当な場所に座りながら、足をぷらぷらさせて彼女に言う。
居ない者。
流れ者。
爪弾き者。

「…まぁ、分かんねえなら……他も見てみればいいんじゃねえの。
 色々見りゃ、見つかるモンもあるかもしんねえぜ?」

そう言えば、再び歌を口ずさむ。
小鳥の囀りのようなハミングが響く。

227番 > 「うた……すごい」

世間をよく知らない227でも、その声はなにか響くものがあり。
魔法ほどではないが、不思議な力があると思った。

「……ゆーりは、うた、じょうず?」

褒めているのか、それとも、今後の基準にしようとしているのか。
曖昧な質問を投げかける。

通行人が鼻歌を歌っている、というのは何度か有ったが、
それにそういった意味がある事はよく知らなかった。
少しだけ、興味が湧く。
相手の感情を理解するのにも、役立つかも知れないし。

「……そっか。わたしは、どこから、来たのかな……」

手のひらをじっと見て、握って、開いて。
耳は歌を聞こうと、そちらを向いている。

夢莉 > 「ま、結構評判はいいみてぇだな。」

結構、なんてもんじゃないが。
本人は人気の為にやってる訳ではないのでそんなくらいの感覚らしい。

「ニーナも歌、歌ってみりゃいいよ。
 上手く歌えりゃ楽しいし、そうじゃなくても結構すっきりするモンだぜ?
 簡単なのならオレが教えてやるよ」

ニッ、と笑顔を向ける。
初めて会った時はもっと不愛想というか、棘のある目つきで怖い印象を受けたかもしれないが。
今は、随分柔らかい。優しい顔つきだ。

何がいいかな、カエルの合奏とかから覚えるといいんだろうか
なんて、少女に歌を教える気満々で真面目に考え始める始末。

ああ、こんな歌もあるぜ。なんて言いながら、色んな歌を歌ってくれるだろう。
楽しそうな歌が、心なしかおおかった。


そうこうして、少女が呟くように自分が何処から来たか、なんて呟けば

「――♪…

 …一緒に探してみるか?」

そう、彼女に聞くだろう

227番 > 「…そう、なんだ」

今後227が聴く歌は、これを基準にされるのだろう。
これはかなりハードルが高い。

「うた……わたし、気になる」

歌に対して興味を表に出す。笑顔を向けられれば、答えるように微笑んだ。

どうやら、音をなぞるのは得意のようだ。
ただ、言葉に対しての理解が足りておらず、
意味のある歌詞を口に出そうとすると、かなり不格好な調子になってしまうだろう。

それでも、227は楽しそうにする。


「……探したい、けど、ちょっと、怖い」

最近の悩みである。

夢莉 > 図らずとも初CDでオリコン一位をかっさらうような輩の歌声が基準になってしまった。罪深いね(?

歌は気に入ったようだが言葉の理解があんましかな、なんて思いながら。今度何か勉強道具でも持ってきてやろうと心に誓った夢莉。
もはや気持ちが保護者のそれである。

「それなら一緒についてってやるよ。
 オレ一人じゃ不安なら…カナもいりゃ安心だろ?
 落第街だけじゃなくて繁華街だとか、あー…アホがいるけどウチに遊びに来てもいいしな。
 お前の事も調べれるかもしんねえし」

夢莉は一応、公安の人間だ。
一応と言ったのは、元々は二級学生だったのを公安のある人物に拾われ、正規のルートとは別口で公安に入った事と、入った公安の部署とでもいうべきところが、他の公安に比べると異質な所であるせいだ。

とはいえ公安委員会。
裏事情や、異邦人の関係の情報は手に入りやすい。
異邦人の保護も出来る。

「…どーだ?
 一緒にいってみねえか?
 それとも…行きたくない理由みたいなの、あるのか?」

227番 > 「……一緒に」

知っている相手なら、とても心強い。
少なくとも、一人では行く勇気はない。
それは。

「……まえに、せんせい……に、外に、連れてって、もらった、んだけど」

指をさす。歓楽街がある方向だ。

「出たら、何かに、見られて、怖くて、動けなくなって」

自分にしか見えない、何かに睨まれる。
体がすくんで、何もできなくなっていた。
もし一人で行ったとしてそのようなことがあれば、無事では済まないだろう。

夢莉 > 「……」

何か、あったんだろう。
彼女自身も知らない何か。
トラウマと呼ぶべきもの。
強迫観念を伴うもの。

「……そっか」

その恐怖を、乗り越えるべきなのか。
乗り越えた先で知る事が、どんなものなのか。
”よくないこと”なんじゃないかと、思う気持ちは、隠す事にした。

悩むのはこっちでいい。この子は子供だ。
させたいようにして、危険があれば、こっちが手を引いてやるべきなんだ。
そういう大人がいなかった。

自分も、この子も。


「……少しずつ慣れていけばいいさ。
 そしたら、きっとその視線も、いつの間にか無くなる日が来るからさ。
 
 …だから一緒にいこうぜ? キツかったら、無理しなくていいからさ。
 ”探したい”ってニーナのやりたい気持ちは、手伝えるさ。」

頭を、ぽんぽん、となでる。
あぁ……弱いなぁ、こういう子供には。

227番 > 「……」

相手が隠した気持ちには、何も気づかない。
しかし……実のところ、227もあまりいいものじゃないとは感づいている。
それでも、自分の過去への興味は尽きない。

「慣れ……」

正直あの恐怖に慣れる自信はあまりないのだが
いずれ向き合わないといけないとも思っている。

だから。

「……わかった」

頑張って、乗り越えていきたい。

頭を撫でられ、くすぐったそうに体をゆすった。

夢莉 > 「……」

頑張れる子だ。と思った。
何も知らないから、何をすればいいのか分からないで迷っているけど。
でも、知っていけば、覚えていけば、自分でやりたい事を見つけれる子。
何もなくなんてない。ちゃんとここ―――心に自分がある子。


…だからこそ、彼女が抱えてる何かが
彼女を害さんとする何かの存在が、少し…気に食わなかった。

「(……すっこんでやがれよ)」


怖がらせている”ナニカ”に、心の中でそう威嚇をする。



「さて、と…ふぁあ。
 …なんか眠くなってきちまったな。 ニーナ、お前の寝床どこ?」

わざとらしく欠伸をして、少女にそう聞く。
色々と教えてやりたい。守ってやりたい。
その気持ちが固まったから、もっと、この少女の事を知ろうと思って。

…先ずは一日くらい一緒に過ごせば、何か分かるかも、等と考えたのだった。

227番 > 相手がなにか考えている様子を、じっと見ていた。

この人も、なんでここまでしてくれるのだろう。
何か思惑があるのだろうか。

……疑っているわけではない。

相手に興味がわき始めているのである。これまでの227にはなかった感覚。
連日の出会いで、短期間で。227は変わりつつあった。


相手があくびをする。
つい、つられてあくびをする。

「ねるとこ?……えっと」

寝床を聞かれた。人には教えるなって言われたけど、信用している人なら。
立ち上がって、とてとてとなにもない壁のところへ。

「ここ」

何を隠そう、今日は隠れ家から出てきてすぐのとこに居たのである。

それから、所定のリズムでノックをする。ガラスの割れるような音がして穴が開いた。
……中に明かりはない。真っ暗だ。

夢莉 > 「近っ!!」

めちゃくちゃ近かった。
拍子抜けしてずるっと滑りそうになって、なんとか踏みとどまる。



「ま、まぁ…いいや。そっか、近くにいた訳か…
 …って、んだよ真っ暗だな…灯りとかねえの?」

周りを見渡しながら中に入っていく。
オートで開くなんて随分ハイテクだなとも思いつつも、まぁ知人の貸した場所ならと警戒心はそんなにはなかった。

灯りがないのはスイッチとかが分かんねえからか?と思い、そのままスマホライトで周りを照らして、スイッチが無いかを探してみるだろう…

227番 > 「……あまり、動く気に、ならなかった、から」

また自分の手のひらを見た。


「あかり?ない、かも……わたしは、みえるし……」

ライトで照らしても、それらしいものは見当たらない。
電気も水も通っていない、備蓄用の倉庫だからである。

代わりに簡易ベッドと、いくらか開けられた保存性の高い食べ物が照らされる。

夢莉 > 「不便だなぁ……って、マジ?」

すげえな、と言いつつ、これは電気ランタンとか買ってきた方がよさそうだと周りを見る。

とりあえずスマホライトを灯りにして、周囲を軽く照らした。

見て見れば水道も通っていない。
風呂とかどうしてるんだろうか?入ってない……のか?
可能性としてはあり得る。

「…うし、先に買い物と風呂だな
 落第街にも確かどっかシャワールームとか借りれる場所あった筈だし、そこいって身なり整えて服なりなんなり必要なもの買うぞ!」

おー!と拳を突き上げる。
落第街のツテを探って生活をちゃんとさせてやろうと誓うのであった……

227番 > 「……やっぱり、他の人は、見えない」

薄々感じてはいたものの、自分の目が人と違うということを確信する。

「かいもの?ふろ?」

また一気に知らない言葉が流れてきたが、まぁ、悪いようにはされないだろう。
見様見真似で手を上げる。意味はよくわかっていない。

そういえば、この人には伝言を伝えていない。道中で伝えておこう……。


それから、半ば連れ回されるようにして、また生活が変わっていく──

ご案内:「落第街 路地裏」から夢莉さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」から227番さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にヨキさんが現れました。
ヨキ > 人の肉を食べなくなって、四年近く経った。
だが食性が変わっても、変わらないことがある。

ヨキは嘘を吐けない。
偽りを口に出来ない。
偽りを演じることが出来ない。
ゆえに、ヨキは件の違反部活跡地の会合には顔を出さなかった。

だから今こうして、路地裏に柄も悪くしゃがみ込み、煙草なぞ吸っている。

ヨキ > ヨキは日ノ岡あかねを信頼している。
だから、今夜の会合が彼女の望む形で何らかの成功を収めたであろうことをヨキは疑っていなかった。
彼女がたとえどのような話題を俎上に載せたにせよ――その信頼は、揺らがない。

「…………、」

ふっと紫煙を吐き出す。
夜回りの途中にこうして一服することは、ヨキのお決まりの習慣でもあった。

ヨキ > スマートフォンを弄る。
暗闇の中で、小さいながらも煌々とした光が照る。

いくつかのメッセージに返信したのち、咥え煙草で立ち上がる。
次に顔を出す教え子の家を決めたらしく、狭い道を我が物顔で歩いてゆく。

ご案内:「落第街 路地裏」にルギウスさんが現れました。
ルギウス > 「暗い夜道の一人歩きは危ないですよ?
 ……主に、相手が」

お久しぶり と 暗がりから細葉巻を吸いながら姿を現す。

「お加減は如何です?
 まだまだ人には慣れませんか?」

ヨキ > 「ルギウスか」

掛けられた声に、ふっと笑う。

「久しいな。大人しい声でなければ、びっくりして牙を剥いていたやも知れぬ」

驚く素振りもないくせ、両手を広げて笑ってみせる。

「ああ、体調はすこぶる良い。
慣れぬことばかりだが、プラスの方向ばかりで有難い限りだ。

それで、君」

落第街の、とある方角を一瞥する――

「『トゥルーサイト』の会合には顔を出したか?
素性を明かさぬ場は、ヨキにはどうも性に合わんでな」

ルギウス > 「その時は、怖くない と素直に噛まれる程度の余裕はありますよ。
 腕くらいなら生やせばいいわけですし」

吸いますか? と 細葉巻を出してみる。

「それは結構な事です。
 存外に丈夫ですが、壊れる時は一瞬ですから気を付けてくださいね」

ふぅー と 紫煙を吐き出して。

「ええ、もちろん。『話し合い』に顔を出させていただきました。
 話のタネくらいにはなるでしょう?」

今みたいに、と笑いかけ。

ヨキ > 「ふは。子犬の相手にはいい大人だ。
いや、葉巻は結構。吸う銘柄はひとつきりと決めておるでのう」

言って、煙草の赤いパッケージを取り出す。
どこぞの白衣の魔術学教師が吸っているものと、同じ銘柄。

「肝に銘じておこう。
とは言え、既に無茶は何度かやらかしているがな……。
そのたびに魔力で傷を塞ぎ、血を賄っておる。
そのうち本当に、壊れてしまうこともあるやも知れんな」

相手が話し合いに参加したと知れば、ほほう、と明るく笑って。

「日ノ岡あかね。いい娘だろう?
何を話したか知らぬが、聡明で、奔放で、底知れぬ」

ルギウス > 「噛んだ後に、叱る事ができればいい大人でしょうねぇ。
 私は叱らないから他所で大事故が起きますよ」

断られれば、お熱いことで と返しつつ、細葉巻を片付ける。

「生贄込みで、死後一週間くらいなら蘇生を請け負いますよ。
 知人なので実費以外はサービスしておきます」

さて、日ノ岡あかねに話題が向けば。

「ええ、面白い方ですねぇ。
 あの思考はどちらかと言えば、私寄りだと思いますが。
 話し合いの内容、知りたいのならばお教えしますよ?
 中々に、混沌として面白い場になっていましたよ」