2020/06/28 のログ
■ヨキ > 「やはり君は悪い大人の側だな。
馬鹿犬呼ばわりされるよりは居心地がよさそうだが」
お熱いことで、という言葉には、わざとらしく鼻を鳴らしてみせる。
肯定も否定もしがたいような、微妙な顔だ。
彼の蘇生請負サービスには、「覚えておく」とだけ返した。
あとで碌なことにならないだろうことは判っているからだ。
「いいや、人伝に聞くのは止しておくよ。
彼女から直接聞いた方が、面白みも増すだろうからな。
『君が面白がった』という事実だけで、とんでもない話であったことは想像が付く」
半眼でにやりとして。
「だから今は、君自身に訊こう。
これからも常世島は楽しめそうか?
それとも――これから、もっと楽しくなりそうか?」
■ルギウス > 「甘い毒は、得意ですからねぇ。
居心地の良さだけは保証しますよ」
微妙な顔を見て、くつくつと肩を震わせている。
何かしらのツボに入ったらしい。
「ええ、とても楽しめそうですよ。
何もせずとも盤面をかき回してくれたのですから。
私の視点からならば“とても楽しくなりそう”ですよ。
この街も荒れると思いますよ」
■ヨキ > 「甘い毒、ね。
やれやれ、話を聞く限りでは君の方がよほど好みなのだがな。
何を血迷ったか、甘くもない毒ばかり吐きよる男の方に居つくようになってしまった。
何ともはや、君の揶揄いにはいいタネであろうが」
共通の友人(?)への反応に笑うルギウスへ、パンチするジェスチャー。
「ほう、それはそれは。
君のお墨付きともなれば、天晴なものだ。
……そうか。落第街もやはり荒れるか。
波立つばかりのこの街へ、何ともスマートに石を投げ入れてくれたものだ。
この街に平穏など望んではおらぬが……、恐慌だけは避けたいものだ」
■ルギウス > 「そりゃあ、彼の毒は苦い薬ですから。言うでしょう?良薬なんとかと」
パンチを大袈裟に避けるジェスチャーで返す。
普段なら絶対にしない。
「恐慌を避けるなら、あなたも盤面に上がらなければ不可能ですよ。
今なら配役を自分で設定していいそうですよ?
私は……まぁ、言うまでもないでしょうけど」
■ヨキ > 「君は彼奴のことをよく判っておる」
御尤も、と苦笑する。
「ヨキも盤面へ? は、」
愚問だ、と笑う。
「ヨキは彼女の先生だ。彼女はヨキの教え子だ。
つまりヨキは、初めから彼女と同じ盤の上に立っているようなものだ。
師弟の縁を結んだ時点で、上がるも降りるもない」
両手を広げて。
「ヨキのやることは常に変わらぬよ。
善が悪を侵すなら、ヨキは善を平定する。
悪が善を穢すなら、ヨキは悪を制裁する。
たとえ――相手が“誰”であろうともな」
■ルギウス > 自信たっぷりに愚問と切って捨てられれば。
「おやおや、ルーラーをご所望でしたか。
最もまぁ……今更でしたねぇ。
我々はとっくに己の在り方を定めている。
私が悪い魔法使いであるように。あなたが秩序の守護者であるように。
そうなると、彼には無軌道な善の立場に立ってもらって三竦みと洒落こみたいところではありますが……」
脳裏によぎるのは、しかめっ面。
いつも以上に眉間の皺が深くなってるそれ。
「文句を言いながら引き受けてくれそうだと思いません?」
■ヨキ > 「ヨキほど秩序と正義が似合う人間も居なかろう?
もうずっと、そんな風にして生きてきた。
君の方こそ、『悪い魔法使い』以外の姿が思い浮かばんよ。
…………、」
ヨキの表情はとても分かりやすい。
頭上に雲の形をした吹き出しが浮かんで、何事かを想像しているのがありありと見て取れる。
「……ふ、は。確かにな。
果たして彼奴が『無軌道』を良しとするかは怪しいところだが、目には浮かぶよ。
三竦みと言えば……」
矢印。矢印……。
「……ヨキは君にも獅南にも勝てる気がせんのだが?
三竦み、成立するのか?」
■ルギウス > ある意味においては、人を超越していた者。
盤上に置いてはある種のジョーカーか。
「成立しますよ。私たちに置いてはと注釈がつきますが。
私も彼も盤上のゲームルールには最低限従いますからねぇ。
実力以外で競うなら、楽しい遊戯になると思っているんですけどねぇ。
悪魔相手の知恵比べと同じ要領ですよ」
言いながら、新しい細葉巻を咥えて火をつける。
その時に何かを思い出したようで。
「ああ、そうだ。
コレを渡そうと思って来たんですよ、本題を忘れるところでした」
そう言って取り出したのは、二枚のチケット。
【常世博物館 特集展示】「大「地球」展Ⅱ ~紀元前から20世紀まで、そして21世紀へ~」と書かれている。
■ヨキ > 「いったいどんなルールで競うやら。
ヨキも従うべきルールには従おう。
従うことなら得意だという自負がある。
……ふふ。命と五体満足に影響さえなければ、“楽しい”遊技には付き合うのも吝かでない」
煙草の吸殻を携帯灰皿に押し込みながら――ルギウスが取り出したものに目を留める。
「…………。常世博物館のチケット?
カンパか? それともダフ屋の類ではあるまいな?」
そろりと手を差し出し、受け取る。
■ルギウス > 「では、そのうち平和的に鎬を削るとしましょうか」
退屈しないのは良いことだと思いながら、紫煙を吐き出していく。
「カンパですよ。
色々な意味で、実に興味深い特別展示だと思いましてねぇ。
獅子南さんとどうぞ、有意義なひと時になると保証しますよ」
■ヨキ > 「言ったな。『平和的に』だぞ。
君はどうにも危ういところがあるからな」
言葉自体は気さくだが、何とも信用がない。
獅南と、との言葉とともに渡されたチケットに、再び何とも言えない表情になる。
獣人であった頃にはなかったが――耳の端が、少し赤い。
「……判った。獅南にも伝えておく。
ルギウスからもらったチケットと伝えたら、きっと今のヨキと同じような表情をするであろうよ」
チケットを鞄へ仕舞い込みながら。
「…………。何とも複雑な心持ちだが、礼は言う。有難う、ルギウス」
■ルギウス > 「ええ、勝負は『平和的に』ですとも」
結果や勝負に至るまでがどうとは言及してない。大人はズルい。
「私から貰ったと伝えたら、まずは魔術がかかってないか調べるでしょうね。
高級チョコレートを賭けてもいいですよ」
多分、勝負にならない賭け。
「ええ、その顔を堪能できるあなたが羨ましいですよ。
少しばかり私も機嫌がいいようでしてね、友人へのお節介くらいはさせてください」
■ヨキ > “平和的に”。
とても信用していない顔をしている。
犬は不穏にビンカンなのだ。
「ずるいぞルギウス。賭けになっておらんではないか。
それに博物館などという場所に連れ出そうものなら、何だかんだと苦労するのが関の山だ。
ついて来てくれるかどうかも怪しいぞ」
ふっと苦笑する。
「機嫌のいい日でよかったよ。有難く活用させてもらう。
もしも断られたら、二枚ともヨキが一人で行ってやるがな」
くすくすと笑って。
「今日の一件は、それほど君の興味を引いたか。
それとも他に、機嫌がよくなるような出来事でもあったか?」
■ルギウス > 「いいえ、必ず来てくれますよ。
何せ……《大変容》についての展示もあるそうなので。
魔術師としても、研究者としてもそうそう外せるものじゃありません」
わかりきった勝負だと言い切った。
「ええ、面白い怪異が幾つか出現しているようでして。
そちらもとても興味が深いのですよ」
ああ、楽しみだと口元が緩んでいる。
「さて、目的も達しましたし私はこれで。
帰り道は掃除しておきますが、念のために気を付けておいてくださいよ?」
■ヨキ > 「そうだな。
興味深い展示内容に、……それからヨキの頼みとあらば、渋々の体でも奴はやって来よう。
まったく、君は本当によく判っておるな。それこそ妬けるくらいに」
目を伏せて笑う。
「面白い怪異……ね。
今の人間の身体のヨキでは、太刀打ちできるかどうかは怪しいな。
だが見て見ぬふりは出来ん。警戒は怠らぬようにしておこう」
肝に銘じるように、しっかりと頷いて。
「ああ、勝手知ったる道ではあるが……君の厚意には甘えよう。
君の方こそ、機嫌のよさでしくじることのないようにな」
■ルギウス > 「ご心配なく、私のは間違いなく有為さを買った友情ですから。
一番には成りえませんので安心してください」
確かに渡しましたよ、と念を押して。
「こちらこそ、肝に銘じておきます。
では、ごきげんよう……わが友、ヨキ」
そう言って大袈裟な一礼をすれば、スポットが消えたように姿を眩ませた
ご案内:「落第街 路地裏」からルギウスさんが去りました。
■ヨキ > いつもと同じように、ルギウスはたちまち姿を消す。
独り取り残された路地で、しばし立ち尽くして。
「………………、」
スマートフォンを取り出す。
通話の操作をして、耳に宛がう。
コール音。
相手が電話に出るのは、いつも早い。
「……もしもし」
“友”のお膳立てを蔑ろにするほど非情ではないが、それでも思うところはある。いろいろと。
ヨキの声に、少しだけ気恥ずかしさが交じった。
ご案内:「落第街 路地裏」からヨキさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に227番さんが現れました。
■227番 > 隠れ家近くの建物の階段に座って、夜風に当たっている。
昨日落第街の何処かで行われたらしい会合は一部で噂になっているようだが、
227には直接情報は入ってこない上、難解であった。
227は学生でも、ましてや二級学生でもない。
強いて言うなら、不法入島者ということになるのだろうか。
あるいは、存在しないもの、だろう。
本人に不法の意識は無い。
数年前にこの路地裏の何処かで目を覚ました。それだけしか、覚えていない。
■227番 > 今宵の徘徊は、特に出会いはなかった。
そういう日もあるのだろう。
というか、ここ一週間ちょっとが濃密すぎたのだろう。
227は日付感覚は希薄だ。これまで意識することもなかった。
今日が何月何日である、という認識を持たない、と言うか知らないし、
昨日一昨日より前はこの間、あるいはずっと前だ。
『日ノ岡あかねが会いたがっている』という伝言を承ったのも、「ずっと前」だ。
その意図は、227にはわからない。話した彼女がそのあかねかどうかも定かではない。
めったに会うこともない相手など、明日どころか今日のご飯の心配が必要な状況では、覚えていられなかった。
けれど、今は違う。カナのおかげで落ち着いて眠れる場所もあり、
難しい言葉を使う彼のおかげで食べ物の心配はない。
何人かの名前も、覚えている。ゆーり、すいれん、エイジ、ふーな……。
名前を聞いていない人も、結構居る。ご飯をくれる彼の名前も知らない。
聞くようにしたほうがいいのだろうか。覚えられる自信は、まだないのだが。
■227番 > 徘徊を終えても外にいるのは、誰か通るかも、という期待からだろうか。
正直、自分にもよくわかっていない。夜風に当たりたい、が真の目的かも知れない。
前に貰った瓶詰めの飴を開けて、1つ口に運ぶ。
甘い味が口の中に広がる。
227はこの味が好きだ。なぜだか、とても"懐かしい"感じがする。
フードについた自分を示す文字"227"と、
ここ数日纏わりつくように残っている"あの感触"以外の、
自分の過去に関わるものだと思う。
■227番 > 今日はもう徘徊の予定はない。
空を眺めたり、歓楽街の方に視線を向ける。
誰を待つでもなく、ぼんやりと。