2020/07/02 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にフィーナさんが現れました。
フィーナ > 「はぁ、ん……ふ…」
ふらふらと、落第街の裏路地を浮いてさまようフィーナ。
頬が僅かに朱にそまり、何かを求めている。

彼女が通った後には、得体のしれない液体が滴り落ちている。

フィーナ > 「んっ…」
股間に手をのばし、ぐちゅり、と音を鳴らす。
もどかしさに、身を捩らせる。

足りない。こんなものじゃ、全然足りない。

フィーナ > 「…ふぅ」
木箱に座る。
挿れたものがより奥に。
もどかしさに、身を捩らせる。

足りない。あの時には、全然届かない。

曇った思考が、周囲への注意が霧散させていく。

ご案内:「落第街 路地裏」にスピネルさんが現れました。
スピネル > 落第街の路地裏にて、無数のコウモリが舞い降りる。
コウモリたちは少女の前で一つの塊と化し、次の瞬間一人のヴァンパイアが姿を表す。

「やはり、夜の王にはこういった場所の方がおあつらえ向きだな。
さっきのエリアはどうにも落ち着かん。
…さて。」

ヴァンパイアであるスピネルは木箱の上で鬱々とした様子の少女に声を掛ける。

「お困りごとの様だな。 どれ、この高貴な我に頼ってみると良い。」

両手を胸元に汲み、堂々たる表情のスピネル。

フィーナ > 「……高貴な人には、お願いできない」
コウモリから人に象る種族。ヴァンパイア。おおよそ食事にでも来たのだろうか。

どうでもいい。

あの時のように、されれば…

思考を消すように、首を振る。

魔のモノならわかるかもしれない。
この少女は、身体の奥深くまで魔に侵されている。

スピネル > 「…なんだと?」

スピネルの赤い瞳が大きく開く。こんな事態は想定外だ。

「待て待て待て待て待て。 可憐な少女よ。
落ち着いて考えるんだ。 お主の身体を侵食しているモノと関係があるのかも知れないが、我に出来ないことなどない。分かるだろう?」

スピネルは急に多弁になる。折角困っている相手を見つけたのだ。ここは格好良く助けて血を貰うのが自然な流れだろう。

フィーナ > 「…ごはん、ありつけてないの?」
多分、優しいヴァンパイアなのだろう。さっき自分は無防備だった。
後ろから奇襲して血を吸うことも出来たはずだ。

そんな人には、頼めない。

自分をめちゃくちゃにしてほしいだなんて。

スピネル > 「よく分かったな。 我は起き抜けでな。
気が遠くなるほど眠っていただけに体が血を求めているのだ。」

何か欲しているのだろう。それが何かが分からない。そもそも何で言わないんだ、この少女は…!

落ち着け、落ち着いてよく考えるんだ。

スピネルは自問自答を繰り返し。一瞬瞼を閉じた。そして…。

「分かったぞ、可憐な少女よ! お主は誰かを誘っておるのだな。
こんな薄暗がりに一人で致していることがその証拠よ!」

ビシィ! と指さしてみせるスピネル。
どうだと言わんばかりの顔であった。

フィーナ > 「…だとして、あんたはどうするの。」
肯定もせず、否定もせず。もしそうだとして。

私に一体何をしてくれるのか。


私の望むものをくれるのか。


「私のこと襲う?根本的な解決にならないのに?」

そうだ。

こんな事をしても解決にならない。

一時凌ぎになるかどうかすら怪しいものだ。

スピネル > 「あ、あんただと。」

こっちの世界では高貴なヴァンパイアもあんたと呼ばれてしまうのか。
スピネルは一秒ほど硬直してしまう。

「解決とは我が血にありつけないことを言っているのか?
だとしたら心配無用だ。 我は多少血にあり付けない所で死ぬことは無い。
それよりも求めている者がいれば応えるのが高貴な者のするべきことだと思わんか?
さあ、我を頼るがいい!」

スピネルは右手を差し出す。可憐な少女が首を縦に振れば、望むものを与えんとするだろう。

フィーナ > 「…………別に、あんたのことなんてどうでもいいんだけど。なんなら、ここで消しても良いんだ。」
片手に持つ杖に、術式を込める。

「それに。相手の事を見ない無礼な奴に、私は頼る気は無い。それとも、同意がなければ何も出来ない玉無し?」
挑発も交える。

それだけの情報を持ちながら、相手は何をすべきかわかっていない。
それとも乙女にそれを言わせるのが趣味なのだろうか。

スピネル > 「いきなり何を言い出すんだ、物騒な少女よ。」

手に持っている杖に魔力が籠り、スピネルは狼狽える。落第街で発見した少女は剥き出しのナイフの様である。

「…ん、ん~~~。 なるほどなるほど……。
そうきたか……。」

ブロンドの髪に手を伸ばし、頭皮を掻いている。
ここまで言われれば流石に何をすればいいか分かろうものだ。

「高貴な我を愚弄しおって、愚かな少女よ。
貴様は我の餌となるのだ。」

差し出した右手が少女の首元を掴んでは引き寄せるだろう。
小柄な体からは想像できない強靭な握力。
そして、鎖骨の辺りに顔を近づけると勢いよく柔肌に食らいつくか。

フィーナ > 「んぐ・・・っ」
抵抗する様子もなく、食らいつかれる。
血が、吸われていく。

血の味とは別に、侵食しているのであろうスライムの味が僅かにする。

スピネル > 「久方ぶりの食事はやはり上手いな。 フハハハハハハハ!
感謝するぞ、少女よ。」

口元を朱に染めたスピネル。隙間から鮮血を撒き散らしながら高笑いを浮かべる。
白い牙が少女の肉を引き裂き、血を啜る。
数十年ぶり以来で味わった血の味は仄かに別の種族の味も混じっている。

「お主、エルフのようだが……この味はスライムか何かか?
まあ良い。 我を怒らせたことを後悔すると良い。」

ガツガツと肩口から肉を喰らう様は人狼にも見えることか。
首筋を締め付ける手も僅かに力が籠っていく。
が、こう見えてスピネルの右手はか細い少女の首が折れやしないか気遣っていたり。
そんなことを気づかれでもしたらまた怒られそうなので、あくまで無慈悲な凌辱者のフリを続けている。

フィーナ > 「…色々、いじられたみたいだから。血も、混じってた?」
あまり痛がる様子はない。どっちかと言うと、首を締めるほうが苦しそうだ。
「ヴァンパイア、って、肉も、食うんだね」
まるで他人事のように。

スピネル > 「弄られただと? 誰にやられたのだ。」

悪を憎む、ではないが目に余る存在は潰してきた過去がある。
こっちの世界にもそのような存在が居るのかと声が荒くなっていた。

「我はそうだが、他の連中は知らんぞ。
それよりどうだ少女よ。 我に肉や血を食われる感触は。」

苦しそうな表情を見ると、気持ち程度だが指を緩めるスピネル。
頑強な身体を持つがゆえに、却って他の種族の身体を触れる時は気を使ってしまう。

肉を喰らうと、一緒に何本もの血管が損傷し、血が滲みだす。
華奢な少女の身体でこれ以上肉を食うことは不味いだろうと判断しては、湧き出る血だけを嚥下していく。

フィーナ > 「スライム、としか言いようが。魔力を食う、厄介なやつ。」
魔術しか扱えないフィーナにとっては天敵とも言える存在。
魔力が乱れれば魔術も行使が出来ない。
触れられた瞬間に勝負が決するのは不利すぎるものだ。

「感触、といっても。無いんだけど。」
もとより魔術で五感を司っている身だ。解除すれば、感覚など無いのだ。
快楽以外には。
湧き出る血は、天性の魔術師の証である魔力がふんだんに含まれている。ヴァンパイアにとっては美味かもしれない。

スピネル > 「ほう、お主の身体にはスライムが混じっているのか。
この血はその影響と言うことだな。」

スピネルは自分が飲んでいる血の味が何なのか分かり、希少な味を堪能していることに喜んだ。
紅い瞳が燦然と輝き、喜びの色を含んでいるのが分かってしまう。

「つまり、お主は五感が無いと言うことか。
まあ、これほどの魔力があれば如何様にも対処できているのだろうが。」

おまけに、初対面のスピネルを消すとまで言い張った気の強さである。どこでも逞しく生き抜くのだろう。

「それよりお主、さきほど上空で見えていたが。
アソコを摩擦しておらんかったか?」

豊富な魔力を含んだ血を喰らい、眠っていた身体が息を吹き返す。
今は目に見えた変化がなくとも数日後にはこれを糧に力が蘇ってくることだろう。

フィーナ > 「答える、必要が?」
血を吸われ続け、意識が朦朧とし始める。
このまま死ぬのかな、とぼんやり思う。

抵抗する気が起きないのは、もうどうにもならないという諦めからか。

スピネル > 「答えてくれんと叶えてやれないぞ?
それくらいはわかるだろう。」

顔色が悪くなっていく儚げな少女を木箱の上に仰向けで寝かせる。
スピネルは他者を治癒する術を持っていない。だから致命傷になる前に加減するように心がけていた。

「血も肉も今日はこれまでだ。 悪いが、我はお主の命を刈り取ってはやらんぞ。」

フィーナ > 「…一時凌ぎ。」
苗床として開発され尽くした身体を収める、方法。
とは言っても、一時凌ぎどころかその欲望は深まるばかりなのだが。

寝かされると、自ら治癒魔術を使って治癒を始める。