2020/07/17 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に伽羅さんが現れました。
■伽羅 > 落第街に、明らかに不釣り合いな恰好の少女が一人。
黒髪を頬に落とし、さらりと指で梳き流し。
「ふ、ぅ――……」
吐息は、とても艶めかしいものだった。
そのままにふわりと周囲に甘い香りが溶け込み広がる様子。
「いやぁ……なかなか刺激的やったんけど、ねぇ……」
手には弄ぶように、手帳。
……先ほど、少し『遊んだ』相手のモノ。
そういえば、最初フーキがなんだのっていってたような。
「まぁ、ええか」
すん、と鼻を鳴らす。
瞳に篭った仄かな熱はすぐに冷めていくのを感じる。
刺激はすぐに冷めてしまう。
特に、お膳立てしたものはそうだ。
筋書き通り程、面白く無い物はナイ。
彼女はそういう女だった。
ご案内:「落第街 路地裏」にキッドさんが現れました。
■伽羅 > 『暇を持て余していた所に、ケンキョだかに来ていた丁度いいおもちゃがいたので少し擽って本性を暴いてみた』
なんの事は無く、彼女が行ったのはそれだけ。
欲望に対して抵抗も、『香り』で蕩かせてやってみた。
「抵抗が薄かったんわぁ…どっかでそういうの期待シとったんかなぁ
…かわいらしい顔して、くふふ…
お猿と同じやねぇ…かわいい。かわいい」
……まぁ、愉しむとすればこれを利用するのもいいのかもしれない。
どうにもファーストフラッシュに過度な期待を持ってしまうのはイケないクセ。
そういうので失敗してるの知ってるクセに。
「くふふ…♡ 次は生ぬるい子やないとええんやけどぉ…♡
ああ、でも先にお仕事、やねぇ…あの豚もそろそろ切りどきやろぉか」
スマホのスケジュールと手帳を見比べつつ。溜息。
ああ、また熱が失せていく。
寒い、寒い。
その前に、なにか新鮮な刺激を――。
と―――。
■キッド >
甘い香りに紛れて、白い煙が少女の周囲漂い始めた。
コツ、コツ、とわざとらしいほどに足音を立てて、背後から何かが近づいてくる。
目深にキャップを被り、長身の少年。
生温い夏風に金髪が揺れ、無味無臭の煙を放つ煙草を咥えた男だ。
「よぉ。中々面白そうなものもってんな。アンタ、何処でソレを拾ったんだい?」
軽い調子で、少女へと声をかける。
へらへらと緩み切った口元、宵闇でも鈍く光る銀色の大型拳銃。
ピッ、と人差し指で差した手帳の出先を問いかける。
■伽羅 > 「あらぁ……♡」
指がスマホを手放しスルリとジャケットのポケットへ。
手帳は――…一瞬迷いつつ。そのままに。
片足で軽やかにターンすればスカートと肩程の絹糸の如き髪が舞踊る。
子供――…いや、いや。
纏う空気から、ピリリとした刺激を感じ取り。
また吐息が熱を持ち始める。
「あらぁ、こんなとこで…ナンパでっしゃろか?
どちらかといえば、うちの方を素直に褒めてくれたほうが嬉しいんどすけどぉ…」
タバコの匂いから、薬物性の匂いを感じ取る。
……とはいえ、ジャンキーの割には目の付け所がええ。
強盗? いやいや。
何にせよ、愉しめるならそれで…。
■キッド >
ふぅー、と吐き出す白い煙が暗がりに立ち上る。
其のお察しの通り、薬物性の精神安定剤。
少女の精通した知識であれば、もっと匂いを嗅げば"強い中毒性を持つ麻薬"であることは分かる事。
ヘッ、と適当に鼻を鳴らせば少年は軽く肩を竦めた。
「確かにな、ナンパするにはうってつけの良い夜だ。
アンタの白い肌は、触り心地は良さそうだしな。」
まさに人形の様な容姿。嫋やかな雰囲気に、男ならば見惚れるような美貌。
一歩、彼女に踏み込む瞬間────。
「─────だが、アンタは趣味じゃねェ。」
帽子の奥、碧眼が鷹の様に鋭くなった。
瞬間、素早くホルスターから引き抜かれた大型拳銃。
何の躊躇も無く、爆発音と聞き間違うほどの破裂音と共に、弾丸が放たれた。
空を裂き、人の肉を簡単に爆ぜさせる程の威力を持った弾丸を
"何の躊躇も無く、少女の胸部目掛けて撃ったのだ"。
■伽羅 > 「ぁ―――」
瞬間の早撃ち。文字通りの目にも止まらぬ業前に反応もできず――。
「ほんま、お陀仏するわこんなん」
わずかな照準のズレは決して彼の腕ではなく。むしろそれがあまりに正確だった故か。
『ファルファッラネーロ』
彼が現れるよりも少し前より振り撒いていた幻覚性の香りは
“少しだけ真実とズレたカタチを見せていた”
故に小柄な身体の芯を逸れたのだ。
「いうてもこの様やけど……は、ぁ~~……」
かすったジャケットは中に入っていたスマホ諸共に吹き飛び、露出した白い肌に衝撃で罅めいて裂傷が入る。
痛々しい様はそのまま、顔の脂汗からも読み取れる。
(筋強化剤『マシキマブラッド』をダブル。『フルプライス』で反射神経系を加速させてダメージは『D3ジャケット』で急修復。あとついでに―――)
…嗚呼、なんや。素敵なお誘いしといてつれん子やね…
そのまま、二射を待たずに、ミシリと骨がきしむ勢いで小柄な身体が路地の裏に飛び込んだ。
■キッド >
放つときには既に口元から笑みは無く、冷酷な眼光だけが暗がりに光る。
文字通りの明確な殺意だった。余りにも躊躇なく、軽すぎる引き金。
確かにその弾丸は、確実に少女の命へ────いや、逸れた。
諸々を掠めた鉄弾は大きく本来の軌道を逸れ、建物を穿ち大きな弾痕を残した。
「……外した……?」
思わず、口から零れた疑問。
確かに狙いは正確だったはず。
だが、位置がずれている。
目の良さには自信があった。獲物の位置を僅かたりとも見間違えるはずも無い。
──────少年にとって不運の偶然と言うべきか。煙草に含まれる成分が、"鼻腔を擽る香りに気づかせてくれない"。
「中々悪運は強いみてェだな。……悪いが、あの手帳はアンタみたいな"悪党"が持つべきじゃないぜ。『売人』」
本来の風紀が持つべき手帳と、己の持っていた容姿の情報で合点が行っていた。
少年は常日頃、組織に所属しながら単独行動をとり、"悪党を裁いていた"。
その為に情報は幾らでも頭のなかに入っている。
この女も、自分の中では紛れもない悪である。
冷酷な声音と銃口から立ち上る硝煙。獲物を一心に見据えた眼光が、如何なる"風紀活動"をしていたか知らしめている。
「逃がすかよ……!」
想像するより速い動きだ。
奴の異能か。すぐに此方もアスファルトを蹴り駆け出した。
躊躇も無く後を追うように裏路地へ。……例えそれが、蜘蛛の巣であろうと、躊躇はしない。
"目の前の悪を、逃がすものか"。