2020/08/22 のログ
刀々斬 鈴音 > 「そうだよ!」

実際はそこまででもない。
多少鍛えた相手ならば鈴音の拳を受けるぐらい容易い。
彼女の武器は拳ではない。

『鈴音、前に出るな。鈴音…』

刀の制止も聞かずに前に出る!
こんな明らかに誘ってる相手を斬らないなんて失礼ですらある!

居合のような構えで踏み込んで明らかに刀より遠い位置で刀を抜けば
纏った血が刃となって数メートル先の相手の足へと届く!!

「…貰った!」

足をつぶせば逃げられない!!

アーヴァリティ > 武器そのものの射程を超えた攻撃というのはそう珍しいことではない。
魔力を纏わせたり、武器そのものに機械的な仕込みがあったり、そう言った魔道具だったり、斬撃という形で飛翔したり。
だからまあ、鈴音が居合にも似た構えをとった瞬間、その可能性も考慮されるわけで。

あり得るとしたら"血"だろうか。
そして実際に飛んできたのは血による刃。本来の射程を遥かに超えたそれは足へと迫るがー

「よっと」

その斬撃を目視し、足へと迫ることを確認すれば無拍子で空中へと浮かび上がった。
体制は崩さず、ただ空中に浮かび上がる。
落下の兆候はなく、ただ浮かび上がった。
本来空中に飛び上がった場合、無防備となるのだが、それはあくまでも自由に動けない場合のみだ。

「それじゃあこっちからもお返しだよ!」

両手の人差し指を銃のようにして鈴音に向ければ、その先から風の銃弾を放つ。
あちらが足を狙ってきたのだから、こちらは腕を狙ってやろうなんていう雑な思考で放たれた風の弾は高速だが、威力は大したことがなく。
狙い通り両肘に当たったとしても少し痺れる程度であろう。

刀々斬 鈴音 > 「飛ぶなんてズルじゃん!!!!」

浮かび上がる相手を見てブンブンと刀を振りながら怒りをあらわにする。
鈴音は飛行手段を有しない広い場所であるならばもう逃げるしかなくなっていた。

『魔術か…早い!』

躱そうと身をよじるも間に合わない!
刀を持っていない右腕に一発、食らってしまう。
ジンジンとした痛みを感じるもまだ戦えないわけではない!

「お仕置きと比べたらこれくらい!」

そう、主が振るう鞭の痛みに比べたら全然痛くない!
肉体に直接くる痛みは耐えられる!

「もう皆飛ぶから!いつも鈴音こうやってるじゃん!」

壁と壁を蹴って上に上る!上る!食らいつく!!
路地裏は鈴音のフィールド、地の利はこちらにある!

……相手より高い位置!先ほどと同じ居合の構え!

「墜ちて!!せめて地面で戦って!」

放たれる血の斬撃。

そして、それのすぐ後にやってくるのは刀を振るう鈴音自身!
二重に放たれる斬撃!空中でいかに回避するのか!?

アーヴァリティ > 「ずるいとまで言われたら地上で戦ってあげるしかないよね〜」

ガンマンの用に指先に息を吹きかけながら軽い声音で言葉を返す空中の怪異。
鈴音の言うとおり空中に対する有効な攻撃手段をあまり持たない相手に対して空中での行動というのは最早ズルに近い。

血の斬撃を地上にいるときとなんら変わらない体を捻る動作で回避する。
これは浮遊魔術ではない、飛行魔術である。かなりの熟練度を持つその魔術にかかれば地上と同じ動作、いや、それ以上は難しいことでは決してない。
そして、そのままやって来る刀身はー

「ッハ!」

真剣白刃取り。
両手で挟むようにして受け止めた。
そのまま何もなければ地上に逆放物線を描くように投げ捨て、自分も後を追ってその場で地上に降りるだろう。

刀々斬 鈴音 > 「何かあっさり言う事聞かれるのもムカつく!!鈴音この人嫌い!!!」

完全に舐められている。完全になめきられている。
その態度がムカつく!!!!

「離してったら!!!!」

両手で挟まれた刃はにゅるりとぬるりと異様に滑ってそのまま鈴音の手の中に。
相手の両の手は赤黒い液体で汚れてしまう。そう簡単には落ちない…

「もう怒った!本当に怒った絶対一回は斬ってやる!!」

地上に降りたった相手に対して刀を振るう!振るう!振るう!
まるで型も何もない。素人が振るうのと同じ太刀筋だが如何せん速度は達人のそれに並ぶほど。

アーヴァリティ > 「切れるものなら切ってみてよー」

嗚呼、可愛いなあ、なんて微笑みながら乱雑に振られる刀を避ける避ける避ける。
切人の"切"と比べれば見えるし理不尽さもない。
そのぐらいの太刀筋、速いだけでは避けるのは容易であり。

「ほらほら、ほらっと」

そうして10秒程回避すれば、爪先を軽く出して鈴音の足に引っ掛けて後ろ向きに転ぶように仕向けるだろう。

刀々斬 鈴音 > 「何で!当たらないの!何で!!何で!何で!!!」

当たらない。当たらない。当たらない。当たらない。
こんなに早く振っているのに、こんなに近くで振っているのに。

「っ!!」

しまいには足を掛けられて転んでしまう。
流石にすぐに立ち上がり相手から距離を取る。

情けさなでその瞳には涙さえ浮かべている。

「もう、駄目……絶対後悔させてやる。」

刀を自らの首筋に当てて…

「血腐レ─融血……

刀々斬 鈴音 > 『鈴音!!』
刀々斬 鈴音 > 叫ぶ声がする。路地裏にキンキンとした声が響く。

『頭を冷せ……血が上りすぎている。少し吸ってやろうか?』

「ごめんね……ちーちゃん。」

無機質な声は冗談かどうか伝わりにくい。

「ゴメンね……お待たせちょっと落ち着いた。じゃあ、斬るね。」

改めて刀を両手で構える。

アーヴァリティ > 何をする気だったのだろうか。
鈴音が自らの首筋に刀を当てるのを緊張を顔に貼り付けてみていたが...
刀が叫んで止めてくれたことで、ホッと息をこぼす。
何をしようとしていたかは知らないが、危ないことではあったようだ。
自分が原因で致命傷など負われてはたまったものではない。

「...うん、切ってみてよ、そろそろ僕も反撃するからさ」

刀を改めて握りしめる鈴音に対してみょうに真面目な表情でそう告げて。
先ほどの様子を見たからか、やはり僅かに緊張しているようで。

刀々斬 鈴音 > ポケットから取り出したのは2つのガラス玉。
それを落として踏み抜けば足裏で起こる魔力の爆発。
その爆発を機動力に一気に距離を詰めて……

「血腐レ─吸血!!」

刀を振るうがそれもただ振るわれるだけではない。
その血が纏わりついた刀身は3つにわかれてぐにゃりと曲がり!

避けることの難しい胴体を狙う。

アーヴァリティ > 「刃が増えた?いいねいいね!」

怪異へと襲いかかるのは3つに別れた刃。
胴を裂かんとばかりに迫る赤黒い刃。

さて問題だ。
これを防ぐこと自体はそう難しくもないのだ。
シールドで防いで仕舞えば、きっとそれで終わり。
しかし、ここでその程度の手を使っては、"つまらない"だろう。
ならば、ここで取るべき手はー

右手に身体強化と風を纏わせ、手刀の形にすれば、それをぐぐぐ、と引き絞るようにして構え...

ー全て真正面から薙ぎ払う。

...その手刀を3つの刃全てを地面に叩き落とすように振り下ろす。
その勢いはもう視認するのも難しく、素手で触れようもの触れた部分は気づく間も無く損なわれるような。
そんな手刀だ。
もし刃を防ぎ切れなかった時のために、胴体にも身体硬化はかけておく。
これで多少切り込みが入る程度ですむ...はずだ。

刀々斬 鈴音 > 手刀が振るわれる。
風を纏い、強化された肉体から放たれるそれは三つの刃を叩き落すのに十分な力を持っている。
……はずだった。

『残念ながらその手は既に鈍だ。』

血腐レ─鈍血。真剣白刃取りで刀に触れて赤黒い液体が付いたその手は呪われている。既に何物も傷つけることが出来ない。
にゅるりと滑るその液体は、刀の勢いを殺すことすら許さない。

「獲った!!!!」

……いいや、獲ってない!
硬化がかけられた肉体はコンクリートすら削る刀であっても切り込みを入れる事しか叶わない!

「もっと見た目通りの柔らかさでいてよ!!」

アーヴァリティ > 「ッ!」

苦痛に顔を歪める。
切り込み、と言ってもそれなりに深いそこからは赤い血が流れ出し、白いワンピースを赤く染めていく。
手刀程ではないが凄まじい反応速度で鈴音へと向けられた右腕から急遽突風を放ち鈴音を吹き飛ばし、同時に左袖から現れた触手で刀を弾き飛ばしながら後ろへと飛び退く。

「...なるほどね。ただの血かと思っていたよ
これは僕の慢心だなあ」

右手に付着した赤黒い液体を見つめつつ、脇腹を抑える。
それなりの出血だ、すぐに対処しなくても...まあどうにかならなくはない。
ひとまず取り出した回復用の魔道具ー本当は相手を殺しそうになった時のためのそれーを取り出し簡易的に傷口を塞ぐ。
これでひとまず傷口は塞がったが...下手をすればまた開いてしまうだろう。

刀々斬 鈴音 > 「……何かでてきた!?」

風と触手の一撃により距離を取られてしまう。
さっきので決められなかったのは非常にマズイ。
相手にとっては触手を取り出したここからが本番だろう。

「ちーちゃん、味は?」『かなりごちゃごちゃしている……。』

味もそこまでおいしくないらしい…。

「そうよ!調子に乗ってたら大抵痛い目みるんだからね!」『鈴音が言うと説得力があるな。』

魔術と触手のリーチによって遠距離戦は圧倒的に相手の有利。
再び距離を詰めなければ!!!

アーヴァリティ > 「そうだね、だからここからは調子に乗るの一切なしで行こうか!」

ニィっと笑って両手を広げれば、その袖より溢れ出すのは数多の触手。
数十の触手が距離を詰めさせまいと、主に地面を覆い隠すように展開された触手が鈴音の足を絡めとろうと動く。
さらに壁際からも数本が腕や刀を狙い、残りの十本程度は怪異を守るように展開される。

「さぁさぁ!近づいてみればいいよ!さァ!」

と言いつつ空中に何枚も透明のシールドを仕掛けていく。
当たれば怪我をするようなことはなくとも、行動阻害にはなる。
ただ、そこまで頑丈でもない。

刀々斬 鈴音 > 「ギャー!!!気持ち悪い!!!ぬめってぬめってしてる!!」

纏わりつく触手を斬るが斬っても、斬っても触手の絨毯は続く。
ならば、上から!とジャンプすれば…。

「透明な壁!?こんなの近づけない!!」

透明のバリアに阻まれる。
地面に触手、空に壁。
相手は遠い場所。

「……思いついちゃった!!」

触手にも血が通うなら斬れば斬るほどこの妖刀は力を増して…。
そうでなくとも鈴音のための足場を開く。

そして、刀を長く、長く、長く、長く、長く、長く、長く、長く。
そしてそれを斜めに振るう!!

路地裏の壁などまるで無いかのような軌道を描いたその一閃はいくつものバリアに遮られ、いくつもの触手に防がれながらも

届け!!

アーヴァリティ > 「ー届かないよ」

一閃。白銀の触手の一本が、風をまとった白銀の鞭が。
鈴音の放った一閃を強く打ち払い、かき消す。
その触手に込められたのは硬化と、魔術。
先ほどの手刀に劣る耐久性しか持たない触手はその代償として耐えきれず霧散するが、いくらでも再生する触手の一本が霧散したところで、である。

「さぁ、じゃあ僕のターンだ!くらえ!」

右手が銃のように、左手は開き掌を鈴音に向けてー

それぞれ風の弾丸、不規則な弱い旋風を鈴音に向けて連続で放つ。
風の弾丸が旋風で不規則に動きを変え、旋風は鈴音の体勢を崩そうと荒れ狂う。
その中でも触手は変わらず動き続ける。

刀々斬 鈴音 > 伸ばした刀は相手に届かない。
そんな工夫のない一撃が通るような相手ではない。

「まあ!そんなことだろうと思った!」

例えば達人であれば。風を切り裂くそんな芸当も可能であるのだろうが。
鈴音にはとてもではないが不可能だ。

魔術のの差、技術の差、純粋な実力の差。

荒れ狂う風の中でも必死に触手を斬るが抵抗もむなしく。
鞭のようなそれが鈴音の身体に打ち付ける!!

「痛いってば!!!」

こちらに向かう触手を払うも振るわれた鞭は鈴音の身体に傷をつけている。

「……まあ一回は斬れたからこれでまあいいかな。
 次会う時はその触手全部刻んでタコ焼きの中に入れてやるから!」

鈴音がてにもっているのはガラス玉、ギチギチと魔力が詰まって今にも爆発しそうなそれを路地の壁へと叩きつける。

……さっきの伸ばした一撃で既に切れ目は入れてあった。

切れ目にそって壁は崩れて鈴音と触手の少女の間は瓦礫に埋まる。
砂煙の晴れるころには刀を持った少女の姿は既になくなっていることだろう。

ご案内:「落第街 路地裏」から刀々斬 鈴音さんが去りました。
アーヴァリティ > 「ありゃりゃ?逃げられちゃったかな?」

目眩しというのは、基本的にこちらに相手の姿を視認させなくするという目的で使用されるものだが、その目的は何も逃走の時のみ有効、だなんてそんなことはなく。
念のため奇襲を警戒して自分の周囲を触手で固め、瓦礫や次なる攻撃への対応を固めていたのだが、杞憂だったようだ。
煙が晴れるまで警戒していたのだが、晴れた煙の先には誰もおらず、何もなく。
そこにあるのはただの瓦礫の山...

「うーん、あーダメだ!僕の負けだこれ!
くっそー!」

腹の傷を入れられ、真っ白なワンピースを赤黒く染められた時点で、勝ちとは言えないだろう。
だけれども、楽しかった。
言葉とは裏腹に、地団駄を踏みながらもその表情は楽しそうで。

「次は簀巻きにして振り回してやるからな!覚悟しろ!」

なんて、名前も知らない少女へと愉快そうに叫んだ怪異はそのまま落第街の闇へと消えていった。

ご案内:「落第街 路地裏」からアーヴァリティさんが去りました。