2020/08/30 のログ
■焔誼迦具楽 >
「人の命――大切な物だよね」
そう、ヒトの命は一つしかない。
だから尊く、貴重なのだ。
食べつくしてしまっては、何も残らない。
「――へえ?」
血が燃えて、炎が渦巻く。
それは少女にとって必殺の技なのだろう。
そして間違いなく、この狭い路地においてその熱量は必殺になりえる。
――しかし、相手が悪かった。
凄まじい熱量は迦具楽を包む。
けれど直後、その凄まじい炎の渦は、収束していくように迦具楽の身体へと沁み込むように消えていく。
路地を一瞬焼き尽くした炎は、その全てが何もなかったかのように消え失せてしまった。
「ごちそうさま。
うん、良い熱量ね。
アナタ、人間の枠組みでならきっと、十分に強いわ」
と、満足げにほほ笑みながら、拍手をするように手を合わせた。
Tシャツの『I♡人類』というバカげた柄が、あまりにも皮肉めいて見える事だろう。
■刀々斬 鈴音 > 炎が立ち消えた。いや、飲み込まれてしまった。
文字通りの奥の手、一発限りの必殺技。
…人間一人分の血液量という激しい消費。
普通の人間ならいや、生き物であるなら燃え尽きるほどの炎、それなのに相手は平然と立っている。
「……嘘でしょ。」
目の前にいるのはまごうこと無き怪物だ。
戦ってはいけない相手だ。
……そんな相手を前にして出来ることは少ない。
「めちゃくちゃ……めちゃくちゃ強い…。
ちーちゃん…。これはどうしよう?」
『無理だな。無理だ。』
じりじりと後ろに下がっていく。
■焔誼迦具楽 >
「あはは、そんなに怖がらなくていいよ。
アナタを殺すつもりはないもの。
だって、アナタが『やり過ぎない』程度に働いてくれれば、十分バカな取引の牽制になるだろうし」
ほら、と見せるように目の前でボロ刀を消して見せた。
どろり、と溶けるように刀は形を失って、迦具楽の手に吸い込まれていく。
「だから、私にアナタを殺す理由はないの。
今のだってちょっとした忠告みたいなものだし。
アナタくらいの存在はこの街にはちょうど良く必要だから、死んでほしくもないしね」
微笑みながら、なにもしないよ、と見せるように両手を上げて少女へと近づいていく。
逃げ出すなら特に追いかける事もなく見送るだろう。
■刀々斬 鈴音 > 「……取引の牽制、何で?
あなた、何かおっきな違反部活に雇われてたりするの?」
地面に転がっている男たち人身売買をやっていたといったか…。
大きな違反部活にとって都合が悪い取引をする者たちを仕留めるいわゆる殺し屋のような存在なのだろうか…。
それだとしたらその大きな組織に関係してる人を斬るのはやめておいた方がいいだろう。
「…そう?殺さないならいいや。」
刀を鞘にしまって警戒を解く。相手にとって殺さない価値はあるらしい。
強い相手には挑まない…逆らわないのがこの落第街で元気に生き残る術。
本人は自覚していないものではあるが…この刀々斬鈴音は強者に対してかなり弱い。
■焔誼迦具楽 >
「理由?
そうだなぁ、この街が好きだから、かな」
別に何かにやとわれてるわけでも、なんでもない。
ただ、極個人的に、この落第街の混沌とした秩序と、パワーバランスを保つために動いてるだけだ。
「うんうん、聞き分けのいい子は好きだよ。
アナタはちゃんと、この街の『暗黙の了解(ルール)』が分かってるのね」
警戒を解かれれば、気安く一歩程度の距離まで近づくだろう。
そもそも敵対する理由がささやかなものなのだ。
「私はね、この街がこの街らしく在ってくれればいいの。
別に変化自体はいいんだけどさ、最近ちょっと、やり過ぎてる連中も出てきたから。
ほら、『異能殺し』が居なくなったのも、何年か前に大きな組織が軒並み消えちゃったのもあってさ」
そのせいで、顔色を窺っていた連中がやりたい放題をし始めた。
その結果、風紀委員が入り込む理由が出来て、その牽制をする力もないから、大きな顔をされてしまう。
それは、この落第街の秩序ではない。
「風紀委員も正直、ちょっとやり過ぎてるから懲らしめたいところなのよね。
まあ『異能殺し』が返ってきたって言うから、そのうち大人しくなるだろうけど」
そう、結局大事なのはバランスだ。
何事も行き過ぎないように釘を刺すのが、迦具楽の行動目的だった。
「まあそんなわけだから、アナタくらいの子が歩き回ってるくらいが丁度いいの。
あなたもこの街の一部だもの。
だから、仲良くしましょ?」
そう言って、右手を差し出す。
無警戒に握手に応じてきたら、体温を『食べて』もいいな、なんて思いつつ。
そんな意地悪をするつもりは、さすがになかった。
■刀々斬 鈴音 > 「……確かに最近風紀の人良く見かけるね…。」
もっと前まではこんな所まで来る風紀委員は物好きぐらいだったのに…。
……最近はその頻度が増えてきている。
表面の子悪党は動きにくくなって固まるし、深い闇は更に深くまで潜っていく。
……落第街を一斉摘発するような動きは今のところ無いが近いうちにそこに行きつくのかもしれない。
落第街にしか居場所を持てない人も確かにいるそこまで綺麗にしてしまうと他のところに溢れてしまう。
「風紀委員懲らしめるの?鈴音応援してるね!!」
鈴音が斬るのは禁止されているが風紀委員に対して良い感情は一切ない。風紀委員が増えると人を斬る機会が減る…。
いっぱい懲らしめてほしい!……主人の主人も風紀委員ではあるが特に他意はない。
それとなく今日は家にいないほうがいいかもと言われたのもその主人の主人が家に来る所為だろうが特に他意はない。
「うん!分かった!仲良くする!」
相手が出してきた握手を無警戒に受ける。
強い相手と仲良くするのは生存戦略として正しい。
弱きを挫き、強気に媚びる、それが刀々斬鈴音なのだ。
■焔誼迦具楽 >
「ふふ、ありがとー。
アナタみたいに利口な子は好きだなぁ」
繋いだ手はやっぱり温かい。
――ほんの少しくらい、つまみ食いしてもいいだろうか。
ちょっとだけ、体温が下がって涼しくなったように感じるだろう。
「そうそう、応援するならこっちもお願いしたいなー。
実はね、私プールの経営してるの。
――って、アナタには縁ない話かしら」
と、手を離してから、その手に一枚の名刺を作り出して差し出した。
【破壊神の社プライベートプール 責任者
焔誼迦具楽
異邦人街 宗教施設群 〇〇〇〇
TEL:〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇】
「もしほら、お金持ちのお友達とかいたら、遊びに来てよ。
もう八月も終わっちゃうけど、まだまだ残暑が続くだろうし、ね?」
■刀々斬 鈴音 > …少しひんやりした。
手が冷たいとかじゃなくて自分の身体が少しひんやりとした。
夜でも暑い今の時期にはちょうどいい。
「なるほど…プール……。」
そういえば自分の主人と海に行く約束をしていたけどもう夏が終わってしまう。
水着を着れるならこういうのもいいかもしれない。
「分かった!また今度話してみるね!!」
鈴音にお金持ちの知り合いはいる。しっかりといる。
宗教施設群…異邦人街…焔誼迦具楽、これが名前だろうか?
もらった名刺をちらって見てポケットにしまう。
■焔誼迦具楽 >
「ありがとー!
実は経営が赤字で困ってるの。
すごい助かるわ」
少しでも人に知ってもらえるなら、それだけでとっても助かるのだ。
感謝を込めて、両手を合わせて拝んでおこう。
「――と、さすがにそろそろ帰らなきゃ。
ごめんね、あなたの楽しみを邪魔しちゃって。
アナタがやり過ぎない限り、私たちはお友達でいられるわ」
そう言いながら、とんとん、と足音を立てて下がっていく。
そして、軽く地面を蹴ると、高くビルの上まで飛び上がった。
「それじゃあ、またねー!
アナタが楽しく長生きできるのを、祈ってるわ!」
大きな声でそんな挨拶を残して、迦具楽は去っていくだろう。
おそらくは、異邦人街の方へと向かって。
■刀々斬 鈴音 > 「ううん!鈴音もやりすぎないように気を付けるね!」
……命を奪うことがない以上やりすぎることもそこまで無いけど。
…違反部活攻撃する方のやつを少し抑えよう。
人を斬るのも大変だ。
「じゃあね!プール行くから!(多分)」
ビルの上へと去って行った少女を見送れば……。
「ちーちゃん…あんなに強くても赤字になってるんだね…。大変だね。」
『強さは経営に関係ないからな…。』
……そんな事を呟いて。
後ろを向く、この路地裏で鈴音以外で唯一生き残った少女。
ここでこのまま置いていっても彼女に待つのは死か不幸な未来だろう
「そういえば……あなたはどうする?
鈴音は優しいからちゃんと言う事聞くなら酷いこともしないしおいしいもの食べれるよ?
あなたも飼われたい?」
……小さな少女は頷いて。
路地裏に残されたのはカラカラに干からびた死体だけ。
ご案内:「落第街 路地裏」から焔誼迦具楽さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」から刀々斬 鈴音さんが去りました。