2020/09/04 のログ
吸血鬼《ヴラド》 >  
「では、また "次" がないことを願って」

それだけ告げると再び青年の身体を黒い霧が包み込む。
認識阻害だけはなく物理的な視覚阻害にも成り得る。

空になったペットボトルを投げ捨てる。

そうして、空へと足を伸ばし、何かを掴み跳ね上がるようにして近くのビルの屋上に姿を消すだろう。

あるコト自体が矛盾である――故に幻想。
理不尽のような存在でありながら理不尽を許容しない傲慢。

仮面の青年の『悪』は、そのように在る。

羽月 柊 >  
『若イ、ワがい故に、言い切レる…。』

ああ可愛らしい。
そう言うように笑いながら、黒もまた、再び暗闇へと溶けて行く。


「……、…まぁ、せいぜい気を付けるとするさ。
 無茶をすれば怒られる可能性も出て来たことだしな…。」

最早、男は独りではない。
家族と旧友の存在を再認識し、部下を、友人を得た。

再び抱えた手から零れ落ちないように、歩き始めた。


青年が去るのを見届けて、手元の煙草が星屑のように散って消える。
くるりと踵を返せば、流れる髪を手で払いのける。

そうして今は、互いに別の道を行く。


次にまた、『物語』が重なる時は来るかもしれない──。

 
 

ご案内:「落第街 路地裏」から羽月 柊さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」から吸血鬼《ヴラド》さんが去りました。