2020/09/12 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にサクラさんが現れました。
■サクラ >
ここのところ落第街近辺がやや騒がしい…物々しい、と言ってもいいかもしれない
とはいえ、それが関係ある者はそこまで多いというわけでもない
「ねぇ、もうちょっと出せないの?
これ、歓楽街のブランドショップで売ってる超イイやつなんだけど」
路地裏に佇む華奢な影
赤髪を揺らしながら不平を宣う少女?は、手にきらびやかなバッグをぶら下げながら、
その翡翠色の瞳で二級学生らしき少年を見下ろしていた
『落第街じゃそんなの高く買うヤツいないって。質屋にでも持ってけよ』
面倒臭げに少年が言葉を向ける
■サクラ >
「はぁ…もーいい。他あたる」
ふん、とそっぽを向いて、手をひらひらとさせながら歩き出す
少年の言うことも最もである
知能の低い男に貢がせたそれらは、逆にこんな場所では不要な品ばかりだ
かといっていい加減質屋にも顔を覚えられ、怪しまれる頃合いだ
さーて、どうするかな。とバッグをブラブラ、裏通りを歩く
■サクラ >
「アリサにでも連絡しててきとーにさばかせよー、っと」
アリサ、というのはサクラの取り巻きにいる、知能低めのバカ女の一人である
正規学生であるが落ちこぼれ、楽しければ何でもイイと言ったような、
脳みそが米粒程度しかないと思われるようなヤツ
サクラの正体を知る者の中にはそんな都合よく使われている女が数人キープされていた
手元の手帳型のスマホケースを取り出して、歩きながらぽちぽち
──案の定すぐに反応が返ってくる。常に暇そうなのもバカ女の特徴だ
■サクラ >
「………」
手帳を閉じる
予想通りの返答に、予想通りの行動
つまらない女を相手につまらないコトをさせて、つまらない日々を過ごす
バカはバカなまま、踊らされ続けるだけ
──イイ加減、踊らせ続けるのも飽きてきた
「──世の中"クソ喰らえ"、だけど、刺激くらいはないとね」
──…試しに人でも殺してみようか。何か世界の見え方が変わるかもしれない
この灰色の世界に、赤い色が入るだけでも、結構鮮やかなんじゃないか?
■サクラ >
生きてる実感が足りない
判子みたいな顔して周りに寄ってくるヤツばっかり見ていてもつまらない
ちょっと一歩、踏み出してはいけない部分に踏み出してみるのもスリリングじゃないか?
「…クス♪まぁ、今はもっと悪いコトしてる子がいっぱいいるみたいだし…?」
ポケットの中、小さなナイフを握りしめる
この小さくて冷たい刃を深く差し込むだけで、簡単に命は奪えちゃう
このへんにいる生徒って、結構死んでも有耶無耶のうちに処理されるって噂で聞いたこともあるし
■サクラ >
さて、目の前にゴミ漁りをしている初老の男が眼に入った
ああー、これ絶対に社会には不必要なヤツ…
汚ったないし、臭そうだし、生きてるだけ惨めで、いてもいなくても…むしろいないほうがいい人間?
後ろからそーっと近づいて、左胸を後ろからドスーッ!!ってやれば…社会貢献点がむしろアップ
一歩、一歩、少しだけ忍び足
男は全然気づいていないみたい
背中を向けたまま、一心不乱にゴミを漁ってる
ゴミ漁ってて死ぬとか、惨めな人生だよね
男への距離が近づく、と…自分の心臓の鼓動が高鳴るのを感じた
「(あっ……ドキドキ、してる?…うん、どきどきしてるね……自分)」
■サクラ >
また一歩、もう一歩、あと少し、近づいて
───……そのまま、横を通り過ぎた
「……っ、はー……」
自分の耳に届くくらい、鼓動が高鳴った
こんなにドキドキしたの…いつぶりだろう
ポケットの中で小さなナイフを握った手が、少しだけ震えてる
やってみようかな、と思っただけでこの感覚……
──本当にやっちゃったら、どれくらい刺激的なんだろう?
■サクラ >
悪いコト、やっちゃいけないコト…
なぜそんなにも刺激に満ちているのか
まるで人間を悪い方向へ誘うために、そう感じるようになっているんじゃないか、なんて
そう思ってしまうくらいだ
バカ女をボコしたりだとか、猿みたいなオヤジを騙したりだとか
そういうのも最初はちょっとドキドキしたけど、今は全然、当たり前になってツマラナイ
当たり前の中で息してるだけで生きてるなんて願い下げ、だったらもう少し、悪いコトのレベルをあげていこう
「(でも、殺人はちょっと一気にレベル上げすぎかな…?)」
あんなに緊張しちゃたら、手元とかも狂っちゃいそうだし
何事も段階を踏むのが大事だよね。本番前にはまず練習、そういうのが大事、だいじ
そんなことを考えながら歩いていると、路地の片隅に固まる野良猫の姿が視界に入る
「…♪」
──翡翠色の瞳が三日月に歪む
■サクラ >
「おいで、おいでー♡」
しゃがみこんで、ちょいちょい、と手招き
でも流石は野良猫、警戒しているのかこちらをじーっと見ているだけ
でもこんな場所に固まって過ごしてる野良猫
しかもよく見ると薄汚れてるけど毛布みたいなものに上で休んでる
辺りにはゴミゴミといろんな袋が転がってる
それだけでもう、一目瞭然
誰かが気まぐれに此処を餌をやってるんだな?
「ほら、お菓子あげる」
バッグから間食用のクッキーの包みを取り出して、袋を破く
その所作だけで、猫達は なにかがもらえる と判断してこちらへ一歩、近寄る様子を見せた
そして漂うバタークッキーの香りに、ぱたぱたと一匹が、そして一匹動けば他の猫も同様に、サクラの元へと集まりはじめる
傍目には野良猫を可愛がろうとする可憐な少女…にしか見えない絵面である
ご案内:「落第街 路地裏」に伊伏さんが現れました。
■伊伏 >
数枚のお札を封筒へとしまいこみながら、少女が猫と戯れている姿を遠目に見ている。
声をかけるにはもう少し眺めてからでもいいなと、路地裏の壁に背を付けた。
軽くじめっとしているが、まあ大した不快じゃあない。
しかし、なんでこんな場所に――それもあんな細いのが無傷で歩いてるんだろうか。
少し前に、ここらを威嚇だの掃除して回っている存在が居るとは聞いていたが、
あんな獲物丸出しの存在を放置するほど、優しい街だった記憶はない。
手出しが憚られるような、お偉い誰かのお抱えか?
値踏みするように、その視線はクッキーを猫に見せびらかす少女を舐めていた。
■サクラ >
「よーしよーし♪」
クッキーを割り砕いて、パラパラを分け与えるとその香りに誘われるように鼻を鳴らしサクラへと近づく野良猫たち
「結構痩せてるねー、野良だから?」
カリカリとクッキーを食べ始めた猫を眺めて、小さく笑みを浮かべる
飯にありつけるなら危機感も忘れてしまう
多分アリサ達とこの猫は同じくらいの脳みそなんだな
自分を見ている誰かの存在なんて、サクラは気づくはずもなかった
そっと、反対側のポケットから手に握り込んだナイフを取り出して……
■伊伏 >
ナイフを取り出したのが見えた。
ああ、なるほどだ。刺激を求めているのか、欲求を抑えるためだかは知らない。
どうせなら毒物でも使えばよいのにと、封筒をワイシャツの裏に収める。
靴の先で小石を蹴り上げ、指先でキャッチする。
手の中に収めるのと同時に、ほぼノーモーションで少女の足元を通るように投げた。
野良猫を音で蹴散らす小さな石は、地面にぶつかって耳障りに跳ねる。
足音がする。
「"イイもん"持ってるね。ちょうだいよ」
足音が近づく。
薄暗い壁際から、古臭く色褪せた麦わら帽子をかぶった青年がやって来た。
親しみも生命を震えさすものすらない、薄い笑いを浮かべて。
■サクラ >
「わっ…?!」
その彼のことを全く察知していなかっただけに、驚いた様子を見せる
小石に驚いて猫は飛び退き、そのまま足速に視界外へと逃げていく
立ち上がりながら、飛んできた方向…足音のするそちらへと視線を向ける
飛んできた石は、コイツの仕業か……
「あ、危ないよ?この辺小石多いから、気をつけて歩かないと跳ね飛ばしちゃう」
にこ、と人懐っこい笑みを浮かべながら、ナイフを持った手は後ろ手に隠す
それを見られているかどうかは知らないけど一応誤魔化してみようといったところである
…イイもん、なんて声をかけてきた時点で、分は悪い気がするけど
「…クッキーなら全部猫ちゃんにあげちゃった。もうないよー」
場違いな、可愛らしい少女の表情
当然、内心は『なんだこいつ、にやにやしやがって気味悪い。邪魔しやがって…』と煮えくり返っているが
■伊伏 >
ナイフを隠すその仕草に、「このガキ」と青年は思った。
ただ、そうするならばこちらも深くは詮索しない。
「無いの?残念だな。
まーいいや、後で甘いモン喰いに行けば良い話だし」
青い眼をゆっくり瞬かせながら、そのリズムを刻むように少女の横を通る。
隠したナイフを見ようとしているわけでは無い。
わざわざ小石を拾いに行こうとしている。ついでにしゃがみこむ。
「キミみたいなのがさ、こういう場所に"ひとりで"居るのって、あんまねーんだけど。
この辺は、他人の首と金ばかり見るやつが多くてねぇ…」
青年の指先は、黒と白のマニキュアで彩られていた。
その爪先がクッキーの破片を一つ取り、じゃりじゃりと音を立てて潰す。
「何しに来たの?」
きょろ、と。青年の眼が少女を見上げた。