2020/09/17 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にリルム・アストライアさんが現れました。
リルム・アストライア >  
しゃがんで水たまりを覗き込んでいる少女がいる。
その少女は、落第街には相応しくない小綺麗な服装をしている。

やがて立ち上がると、動いていないエアコンの室外機に座り込んで、
ぼんやりと薄暗い路地裏に視線を向ける。

リルム・アストライア >  
昨日の争いで、魔術のコントロールを大きくかき乱され、
水の精霊とのチャネリングに支障がでている。

終わってしばらくは腕が上手く水化出来ない、程度だったのだが、
現在は全身に渡ってそれが行使できなくなっている。
こんな状態では人と遊ぶのもままならない。

初めての経験ではない。前にあった時は、魔術を吸収するタイプの相手だったか。
そのときは時間経過で治ったので、おとなしくしているのが最善だと分かっている。
だから今は、アストロではなく、ただの少女でいるしか無かった。

行く宛もまだ見つけられていないので、こうして落第街で息を潜めている。
幸い、転移や水鏡は可能なので、逃げの手には事欠かないが。

リルム・アストライア >  
今の体の状態では、歓楽街及び落第街での夜遊びもできない。
色んな意味で危険なのである。

退屈だが……自分の身には流石に代えられない。

空を見上げる。
落第街特有の暗い街並みのおかげで、星空がよく見える。
それは建物の形に切り取られては居るが、ちょっと見るには十分だった。

アストロと名乗っているのは、別に星空が好きだからとか、そういうわけではない。
アストライア。星乙女とも呼ばれる女神の名前。
孤児院がくれる名前が、星に因むものだった。自分はこの名前を本名としていて。
魔術的には真の名前を人に教えるのは良くないと学んでいるので、
本名をベースにした偽名を使っているのだ。
他に思いつかなかったから学生証には本名を書いたが、今思うと少し軽率だったかも知れない。

まぁ、そんなことはさておき。

少女はそっと空に手を伸ばす。
名前も知らない星に、何かを願うように。

リルム・アストライア > すっと立ち上がると、少女は宵闇に消えていった。
ご案内:「落第街 路地裏」からリルム・アストライアさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
先輩であるレイチェルが後援・サポートにまわると決まってから
こうやって『黒い灰被り姫』を演じない時でもスラムや路地裏といった危険地域の警邏に回る機会が増えた
これまでも応援要請や、違反部活への立ち入りなど人員が必要なタイミングで来ることはあったものの…

「…──ふぅ」

凛霞の足元には、一人の青年が倒れていた

自分一人で警邏にまわると、こういうこともある
絡まれ、脅され、力づくで……応戦するかは、悩んだものの…

ゆっくりと、ぴくりとも動かない青年の側へ身を屈める

伊都波 凛霞 >  
あまり自分の外見に、相手を萎縮させる迫力というか…そういうものがないのはわかっている
それでも、それなりに嗅覚のするどい相手なら…殺気を感じ取ってくれたりするのだが

「…ごめんね」

しゃがみ込み、そっと青年の背に手をあてて呟く

この青年にそれほどの嗅覚はなかった
同時に、生存本能といった勘も、言うほどのものを持っていなかったのだろう
彼が持ち得たのは、その身に余るほどに強力な、異能の力だけだった
この島でも稀だろう、重力を操作する異能

だから、手心を加える余裕はなかった
ほんの一瞬でも油断すれば、自身が押し潰されて肉塊となっていたどころか…
その異能を暴走でもさせていたら…並の被害では済まなかっただろう

既に体温を失い冷たくなった青年の懐を調べる
何か、せめて名前だけでもわかるものが出てくれば、と──

伊都波 凛霞 >  
学生証でもあれば…と思ったが、彼の身分を証明するものは出てこなかった
二級学生ですらない。不法入島者か、あるいは異邦人か…

仕方のない状況だったとはいえ、命を奪った
もう少し落ち着いていれば、あるいは別の手段もとれただろうか
今日は『黒い灰被り姫』として此処に来たわけではなく、戦闘の準備はそれに比べれば遥かに少ない
徒手で応戦した結果、彼は命を落とした

青年を仰向けに寝かせ、その手を腹上で組ませ、ゆっくりとした所作で、立ち上がる

「落第街のポイントD44181にて交戦。已む無く扼殺しました
 身分を証明するものを携帯していないため、不法入島者もしくは異邦人だと思われます。
 詳しい報告は本庁にて…時間まで警邏に戻ります」

淡々とした声色で一旦報告を済ませ、端末を胸元へと仕舞い込む

「………」

物言わぬ亡骸を見下ろしながら
きゅ、と桜色の唇を噛みしめ、そっと手を合わせた