2020/09/22 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にアストロさんが現れました。
アストロ >  
「ねぇお兄さん、ちょっと弱すぎない?」

浮浪者に近い様相の男を蹴飛ばす朱い髪の少女。

「確かに油断してたアストロも悪いけどぉ、人の体触っといてさぁ?」

倒れる男をさらに足蹴にして、見下す視線を向けている。

「ねぇねぇ、なにか言ってよぉ。死にたくないでしょ?」

そう言えば、前にこんな事あったっけ。あの時は邪魔されたな。

ご案内:「落第街 路地裏」に真珠星《スピカ》さんが現れました。
真珠星《スピカ》 >  
裏切りの黒《ネロ・ディ・トラディメント》の集会からの帰り道でのこと。
どこか人目につかないところで着替えようと路地裏に入ったら、暴行の現場を目撃してしまった。
落第街では珍しくもない光景で、組織としては関与しないのが基本方針。

「そこのあなた! えっと……そのくらいにしておきませんか?」

けれど、流石に目の前で人が蹴られているのを黙って見てはいられない。
思わず物陰から飛び出して、制止しようと声をかけてしまった。

アストロ >  
声がすれば、男を踏みつけたまま、そちらに視線を向けて。
白いマント。こんな薄暗い場所でそんな目立つ格好。
しかもかなり綺麗なものだ。この辺の住人には見えない。

「どうしよっかな~。この人私にセクハラしたんだよぉ?」

ぐりぐりと更に踏む。体重は軽いので大した威力ではないが、
男は「うぅ…」とうめき声を上げる。

真珠星《スピカ》 >  
少女がこちらを見た。咄嗟にフードを引っ張って目深に被る。
偏光バイザーで外からじゃ目元は見えないから、顔を覚えられることはないはずだ。

「セクハラ……確かに悪い事ですけど、無抵抗の相手にそこまでしなくても」

自業自得ぎみな男性の方はまだ意識があるようだ。内心で少しだけ安堵。
異能か魔術か、この体格差でも一方的に打ちのめせるだけの力がこの少女にはあるらしい。
警戒を怠らないようにしつつ、やりすぎは良くないと窘める。

アストロ >  
顔はよくわからないが、白マントにバイザー。何者なんだろう。
そういや認識阻害の類をしていた人もいたっけか。

「え~?それじゃ、私触られ損じゃん。お金でも情報でも貰えないとさぁ?」

ガッっと男を踏みつける。相変わらずうめき声が聞こえる。

「女の子に触るわ、役にも立たないわ。そんな男生かしておく必要あるかなぁ」

踏みつけたまま、体もそちらに向ける。

「それとも……貴方が弁償してくれるのぉ?」

金色の瞳。何処かで見た青い瞳を思い出す……かもしれない。

真珠星《スピカ》 >  
「……だったら、お金を要求するなり何なりすればいいじゃないですか。
 殺してしまう必要だってないはずです」

徒に殺してしまえ、と言うような口ぶりに私も語気が荒くなっている自覚がある。
自分を落ち着かせようとしたところで、金色の瞳が私を射抜いた。
どうしてだろう……色も雰囲気もまるで違うのに、あの子の瞳と似ているように感じるのは。

「っ……食べ物とか、お金に困ってるなら……多少は出しますから」

アストロ >  
「……?こんなのがまともにお金持ってると思う?」

相手の言葉に、呆気にとられたような反応。
見れば男は何も持たず。纏う服も着潰されボロボロ。まさしく浮浪者である。

「それにお金は別に困ってないんだ~。私が欲しいのは……情報の方。
 このお兄さん、何も言ってくれないから困ってるの」

真珠星《スピカ》 >  
「それは……そう、かもしれないですけど」

地面に転がされているのを抜きにしても、お世辞にも身なりが綺麗とは言えない。
確かに、これでは金銭なんて要求したところで何も出てこないだろう。
反論するにしたって、もうちょっと考えるべきだった。

「情報……? 何か探してるんですか?」

それとも、この男性が実はどこかの違反部活生だったりするんだろうか。

アストロ >  
「でしょ?だからせめて何か話してくれれば、
 見逃してあげてもよかったんだけどさぁ。この有様じゃん?」

まぁ、何も情報を持っていなかったらどうなったかは、言わないのだが。

「お姉さんは、暴れてもいい違反部活とか、知らない?
 めちゃくちゃにしていいようなの」

にやりと少女は笑う。
踏んだままであるが、攻撃はとりあえず止めている。

真珠星《スピカ》 >  
「暴れてもいい違反部活……?」

当たらずとも遠からず、少女が求めていたのは違反部活の情報みたいだ。
めちゃくちゃに……ってことは、潰そうとしている?
そういえば、顔合わせの時に注意喚起されたことがあった。

「まさか……最近色々な違反部活を荒らし回っているのって、あなたなんですか?」

動きの多い少ないに関わらず、いくつかの違反部活が何者かに襲撃を受けているらしい。
同じ違反部活として、何より落第街の均衡を保つものとして動向に注意するようにと言われている。
こんな小さな少女が件の違反部活荒らしだというんだろうか。

アストロ >  
「そう。なんでもいいよ?おねーさんが恨みを持ってるとか、そういうのでも」

特に基準はないらしい。
単純に自分では違反部活を見つけられないから、聞いて回っているのである。
男から足をおろして、話を聞く姿勢になった。

「……あは、もう知られてるの?──といっても、それは私じゃないかもね。
 で、何かを知ってそうだねぇ?」

実際に荒らしてはいるのだが……、今の所は一人も殺していない。
それに、ちょうど先日、目の前のフードとは対象的な黒いフードの少女が暴れているのを見ている。
とにかく、自分が良くない存在であることを隠しもしなかった。
相変わらずにやにやと笑う少女。

真珠星《スピカ》 >  
最初よりも警戒を強めつつ、少女の注意が男性からこちらに向いたのを確認。
このまま私に興味を持ってくれれば男性は見逃してもらえるかもしれない。
流石に《裏切りの黒》であることを明かすわけにはいかないけれど、この機を逃す手はないだろう。

「知ってるも何も……私だって違反部活の一員です。
 名前は真珠星《スピカ》───あなたは?」

違反部活荒らしが彼女と決まったわけじゃない。仲間がいる可能性だってある。
じりじりと後ろに下がりつつ、違反部活生の身分を明かして気を引こうと。

アストロ >  
男はこれを好機とみたか、すぐに逃げ出した。
アストロはというと、すでに男への興味は失せている。
なんなら、面白い相手を運んできてくれたとして、役に立ったとも。
故に男が情けない声を上げて逃げ出そうが、そちらに見向きもしなかった。

「へぇ?……スピカ。星の名前だっけぇ?」

おとめ座の一星。なにやら親近感はある。
少女の名前の一つであるアストライアは、おとめ座そのものであるからだ。

「私は今はアストロって名乗ってるよぉ」

ただ、それは表で使う名前だ。此処で名乗る物ではない。

「で、違反部活。名前はなんていうの?
 あるんでしょ?カッコつけた名前。
 こないだのとこはたしか、レッドウォーターだったっけ?」

ずいずいと近寄ってくる。

真珠星《スピカ》 >  
「アストロ……」

ニーナちゃんの本名を調べる中で身に付いた外国語の知識。
確か、アストロはギリシア語で「星」や「宇宙」を意味する単語だったはず。
この少女も星に関わる名前を持っているなんて……ただの偶然なんだろうか。

「……それは教えられません。教えても私に得が無いですから」

男性が逃げていったのが確認できれば一安心。
これに懲りたら不用意にセクハラなんてしないことだ、なんて言っても聞かないんだろうけど。
距離を縮めてくるアストロに身構えつつ、組織の名前については黙秘する。
ここで教えてしまったら、他の皆にまで被害が及んでしまいかねない。

アストロ >  
「そう、アストロ」

お互いに天体にまつわる名前。思うところはすこしあるが……。

「えぇ~?つまんないなぁ。
 じゃあ、他の違反部活のこと教えてよ。何かしら知ってるでしょ?
 さっきのお兄さん見逃してあげたんだから、代わりのものぐらいは出してくれないと」

更に近寄っていく。躊躇なく、遠慮なく。
無防備にも見えるそこにあるのは、余裕。

真珠星《スピカ》 >  
「……それも教えられません。
 だって、あなたが違反部活荒らしなら襲いに行くでしょう」

風紀委員が取り締まるのとはわけが違う。
落第街のパワーバランスを保つ意味でも見過ごせないことだ。

「それとも、何か理由があって違反部活の情報を集めているんですか?」

それこそ恨みがあるとか、人を探しているとか。
事情があるなら、それはそれで《裏切りの黒》として寄り添える。
でも、ここまでの様子を見るに彼女は……

アストロ >  
「当然でしょ?」

そのために聞いているのだから。
見過ごせないような"秩序を乱す存在"を阻止に来る誰かを求めているのだから。

「さっき言ったじゃん?
 めちゃくちゃにしていいような違反部活を、私は聞いてるんだよぉ」

近くでパキッと音が鳴ると、近くの建物の壁から水が噴き出す。
建物の配管が割れたのだろうか。そんな雰囲気だ。

「まぁいいや。お姉さんも違反部活なら、別に問題ないよねぇ」

金の瞳を持つ目が、妖しく歪む。

本来アストロは、自分からは手を出さない。
しかし今回は邪魔をされている。手を出されたとみなしている。

真珠星《スピカ》 >  
「っ───!」

何かが割れる音。咄嗟に飛び退いてアストロから距離を取った。
地面にできた水溜まりを靴底が叩いて飛沫が跳ねる。
全く予備動作が見えなかった。彼女の異能によるもの……?

「そっちがその気なら……ここで確保させてもらいます!」

マントの下に隠し持っていた武器───折り畳まれた三節棍を取り出した。
いつか荒事に巻き込まれることを考えて用意しておいたものだ。
金属製で取り回しが利くし、打撃武器だから相手を殺さずに鎮圧できる。
小さい子に暴力を振るうのは気が引けるけれど、相手は違反部活荒らし。そうも言ってはいられない。
連結させて棒状にした三節棍を構えて金色の瞳を見据えた。

アストロ >  
「お?」

素早く飛び退いた相手。それを見た少女は、意外そうな表情ではなく。
期待に満ちた目でその様子を見る。少しだけ、楽しめる相手の予感がする。

「あは、確保なんて甘い事言ってないで、殺す気で来ないと負けちゃうよぉ?」

そう煽るが、アストロは殺す気はまったくない。
死んでしまったら仕方ない、とは思っては居るが。
小さく舌なめずりをして相手を見つめる。

《ウォーターバレット》

とりあえず小手調べに……そちらに指を向けて水の弾丸を数発。
ただ、これは"当たらないように"狙っている。下手に動けば当たってしまうだろう。
威力は例えるなら放り投げられたパチンコ玉。
当たれば痛いが、せいぜい打ち身程度で致命的なものにはならない。

真珠星《スピカ》 >  
アストロの手から水弾が放たれた。軌道を計算───どれも私からは外れている。
さっきのように反射で飛び退こうとしたら命中するって筋書きか。

「そっちこそ……様子見のつもりで気を抜いてると痛い目見ますよ!」

棍で弾いて強引に突っ込むのも考えたけれど、下手に触れると何が起こるか分からない。
いったん動かずにやり過ごして、水弾が通り過ぎてから水溜まりを蹴って駆け出した。
そのまま棒状の三節棍を胴狙いで振り抜く。
筋力は人並み。打ちどころが悪くても息が苦しくなる程度だ。

アストロ >  
「へぇ……やるじゃん?」

面白い。ちゃんと視えているらしい。

「だって、いきなり殺しちゃったらつまんないでしょ?」

相手が突っ込んでくる。手には連結された三節棍。
ただの物理攻撃であれば避ける必要すらないのだが、
先日の相手のように、なにか特殊な効果がある可能性もある。
魔術をかき乱されれば、深手を追う可能性も高い。

《ディープフリーズ》+《アイスキューブ》

少女がくるりと指を回して魔術を唱えれば、
周囲の気温が下がり始め、さらに胴をかばうように氷のブロックが一つ現れる。
三節棍がただの物理武器であれば、バキィと氷が砕かれつつ受け止められる。
もし魔術を軽減出来るなどの能力があれば、三節棍は氷を無効化し、
少女の胴へと一撃をみまえる。その場合は少女はのけぞって隙ができることだろう。

どちらにせよ、金属製の三節棍は急激に温度が下がり始めるだろう。
普通の人間の手で持っていては危険だと、気付ける程度には。