2020/09/24 のログ
■黒いフードの少女 >
「あら、棚上げしてるつもりはなかったのだけれど、気に障ったのならごめんなさいね。
まるで風紀、ねぇ。
確かにそういうやつらが多いのは確かか。」
この島の自治組織、警察機構といっても、やはり子供の集団であることには変わりは無い。
中にはもちろん大人と言えるような年齢の人物もいるが、その多くが少年少女なのはゆるぎない事実だ。
であれば、実際に島の外に存在するような清廉潔白な組織にはなりにくい。
いや、外の組織であっても清廉潔白である事の方が珍しいが、少なくとも若さゆえの暴走、の様なものはこの島よりはよっぽど少ないだろう。
それこそ、あの鉄火場を作り出すような少年は居ない筈だ。
「オーバータイラントも鉄火の支配者ももう病院からは出たはずよ。
今頃は警邏にでもいそしんでいるんじゃない?
仕事熱心でこちらとしては迷惑甚だしい限りだけれどね。」
実際あの二人が大手を振って捜査し始めると此方の活動に支障がきたす可能性は大いにあった。
ディープブルーの活動が縮小して探しにくくなる可能性は高くなるし、黒幕の姿も時間がたつにつれて影が見えなくなってゆく。
自分がこうして動いていられるのも今の内なのかもしれない。
いや、彼が戦場に出ている間は或いは、出番は無くならないのかもしれないが。
そう考えていると、思わぬ言葉が飛んでくる。
「水無月沙羅?」
思わず首をかしげる。
彼らほど大きく名が通るほどでもなく、目立つわけでもない。
寧ろ風紀のメンバーを病院送りにするような問題児だ。
いや、その能力や貢献からすれば、この街では多少名は通っているのかもしれないが。
「随分仰々しい名前のところに、小さいのが並んだわね。」
覚える感想は其ればかりだ。
自己評価が低いわけではないが、彼らほどの明らかな脅威にはなりえない。
そういう認識だった。
■殺音 > 「気に触ったっていうか、お互い様どころか
顔だしてるぶんあーしのほうが素性割れてんじゃーんって話。
顔隠してるやつが、『なにものだ。正体を表わせー』なんて
鏡見ろって話でしょーよ」
ケラケラ笑いながら手をふる。
相手にも事情はあるだろうが、その言いぐさがあまりにもおかしかっただけだ。
風紀の話にも過剰に反応してこないところを見ると
風紀の一員…というのも少し違うようだ。
あそこは、仲間意識だけは異常に高いから。
こちら側の人間をいくら殺してもなんとも思わないくせに
自分たちの仲間がちょっと擦りむいただけで騒ぎ立てるようなやつらだから。
「はーん、そりゃ…迷惑もいいとこだねぇ。
病み上がりとはいえ顔なんざ合わせたくもないけどー
っと、水無月沙羅?小さいなんてとんでもない。厄介なやつだぜぇ?」
二つ名こそないが、こいつが厄介なもので
他の連中にはない武器をもっている。
それは強い人脈。
仲間がちょっと擦りむいただけで騒ぎ立てるような連中にあって
彼女の場合はそれが顕著。鉄火の支配者の女ということもあり、いろいろな呼び水になる女。
個人的には一番やりあいたくない。
「ま、せいぜいあんたもてきとーにがんばんなぁ。
やつらがうろうろしてるってなら、あーしもこんなとこでのんびりしてらんねーしさっさと帰るわー
入用になったら『便利屋コロネ』をたずねなぁ」
そう言い残すと、その場から少女の姿は消失した。
■黒いフードの少女 >
「それもそうね。」
彼女の言い分に、確かに問頷いて微かに笑った。
これはイーブンな話し合いではない。
事情があるとはいえ、彼女にとっては自分の情報だけ晒しているというあまり好ましくはない者だろう。
「厄介な奴……ね、覚えておくことにするわ。」
そういう評価があるならば、あの子のやってきたことも、少しは彼の役には立っているのかもしれない。
それがわかっただけでもこの会話に収穫はあったとみるべきだろう。
示威的行為にある程度の効果はある、関わりたくないと思われているのならばそれはそれで幸いだろう。
「そう、ね。
適当に頑張るわ。
『便利屋コロネ』覚えておくわ。」
利用するつもりはないと言いはしたが、何だかんだと会話の中で情報を置いていくのは彼女なりの宣伝の様なものだろうか。
なら、彼女の実のある話には相応の報酬があってしかるべきだろう。
「また会う日があれば、その時は何かお願いすることもあるかもね。」
ローブの中から一番ケタの高いお札を数枚放り投げて、此方も踵を返す。
目ざといこの場所の住人の事だ、何かしらの方法でとりに来るだろう。
姿を消したと言っても、実際に居なくなったと考えるのもやはり気持ちが悪いものだ。
どうせどこからか見ているのだろう?
そういう風にくすりと笑って、同じようにその場を後にした。
ご案内:「落第街 路地裏」から黒いフードの少女さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」から殺音さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に黒いフードの少女さんが現れました。
ご案内:「落第街 路地裏」から黒いフードの少女さんが去りました。