2020/09/25 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にレクターさんが現れました。
■レクター > 路地裏に響く罵声と怒号。それはこの場所であれば然程珍しいこともでない。
そして、少しするとそれが悲鳴に変わるのも決して珍しいことではない。
「いけませんね、いちゃもんを付けて脅しをするなど。」
痛みに呻きながら腕や肩を庇いつつ逃げていく複数人の男たちの後姿を見送りながら、淡々とした調子で言葉を漏らす。
足を抱えて蹲り、逃げそびれた男を見下ろしては、直ぐ近くまで歩み寄る。
「悪いことをしようとすると罰が下るものです。わかりますね?
…行っていいですよ。」
右の袖口から覗く茨を見せながら問いかけると、男は怯えた表情で頷く。
壁に手を付きながら立ち上がると、ひょこひょこと先に逃げた男たちの後を追っていった。
■レクター > 男の姿が見えなくなったところで、周りを見回して確認する。
男たちも丸腰の素手で襲ってきたわけではなく、地面には自分へと突き出してきたナイフが落ちていたり、異能の行使で焦げたり破壊された壁がある。
そして、全くの無傷で撃退できたわけでもなく、腕と足が数か所傷つき血が少々流れ出ている。
「………致し方なし。」
今は異能を発動しているため痛みは感じない。
頭部の茨の冠から伸びた茨が首へ巻き付き、右腕へ絡みついている。
袖から出ている茨を中へと隠すと、そのまま歩き出す。
さきほどの声を聞いてきたのか、影から何人か観察してきているのを感じるが、特に気にする様子も無い。
■レクター > 暗い路地裏を少し歩いたところで、視線を感じなくなると深く息を吐き出す。
恐らくは今遠巻きに自分を観察している者たちから良い意味でも悪い意味でも情報が少しずつ広がっていくのだろう。
「やり辛くならなければ良いのですが。」
自分のやろうとしていることで、多少は敵対されるのは仕方がないとは思う。
しかし、あまりに目の敵にされるというのはそれはそれでやり辛くなって困る。
そう考えながら歩いているとT字路に差し掛かった。
左右へ顔を向けて進路方向を確認するが、どちらに行っても違いは無いように見える。
■レクター > どちらでも良いか、と考えていると左の路地の先から足音が複数聞こえてくる。
それと共に苛立ちのこもった声が耳へと届いてくれば、先ほど逃げた男たちが勇ましくも報復に乗り出してきているのだろうと推測する。
「これも仕方ないことですか。」
報復の相手をする義理は無い。しかし、それを行おうとするということは反省していないということ。
であれば、二度とそういうことを考える気にならないようにするのが自分のすべきこと。
そう判断すると、軽く首を左右に倒して両肩を大きく回す。
一度深呼吸をしてから変わらぬペースのままで左の路地へと歩を進めていく。
少しして、先ほどと同じように罵声と怒号が響いた後、先ほどよりも大きい悲鳴があがる。
T字路へと戻ってきた時には、更に傷の増えた格好だった。
■レクター > 静かになった左の路地には痛みに耐えきれずに失神してしまった男たちが転がっている。
それを踏みつけて進むような趣味は無いので、戻って反対側へ進むことにしたわけで。
「…ふぅ。」
土埃の付いた裾を軽く叩き、あちらこちらの傷の具合を確認する。
結構な人数を相手にして、これだけで済んだのだから良い方なのだろう。
そのまま右の路地を進み、暗闇の中へと紛れていくのだった。
ご案内:「落第街 路地裏」からレクターさんが去りました。