2020/10/19 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に焔誼迦具楽さんが現れました。
焔誼迦具楽 >  
 これと言った理由もなく、ふらふらと古巣を歩いている。
 どうにもこの、苛立つ気分を晴らせれば何でも良かった。
 だから、わざと古い連中がいない路地をふらついて、絡まれるのを待っていた。

 目をつけられ、数人の男に囲まれる。
 下卑た笑い方、迦具楽をただの少女としか見ていないような視線。
 ここに流れてきてそう長くない連中なのはすぐにわかる。

 男の一人が迦具楽の手を掴む。
 その腕を掴み返し軽く捻ると、男の体は簡単に反転し、そのまま背中からアスファルトに叩きつけられた。
 男達がざわついて、途端に視線に敵意が混ざる。

 また別の男が殴りかかってくる。
 その拳を無造作に受け止めてから気付いた。
 どうやらこの男は怪力系の異能を持っているらしい。

 しかし、残念ながら生半可な怪力では迦具楽の膂力と比べるべくもない。
 愕然とする男の腹を、軽く蹴る。
 それだけで男は軽々と吹っ飛んで、壁をひび割れさせた。
 

焔誼迦具楽 >  
 そこからはただの蹂躙だ。
 がむしゃらに襲ってくる相手を、軽く打ち据えて、逃げようとする相手は、捕まえて痛めつけた。
 男たちを一人残らず半殺しにして転がして、その内の一人の胸ぐらを掴んで壁に押し付けた。

『た、たすけ、しにたくねえ』

 情けなく助けを乞う男を、壁に押し付けたまま持ち上げる。
 足が地面を離れ、男の足が宙でもがく。
 迦具楽は黙ったまま、大きく拳を振り上げて、男の顔面に向けて思い切り振り下ろそうと――。
 

ご案内:「落第街 路地裏」にジーン・L・Jさんが現れました。
ジーン・L・J > 「やめておいたら?君の美しい顔やユニークな服が血で汚れる。」
やや遠く、上方からかかる声。路地の塀に腰掛けた、モノクロに血のような紅を差し色にした女。その目元は包帯で覆われ、明らかに尋常の者ではない。

圧倒的な暴力を振りまいた少女に対し、気安い様子で歩み寄ってくる。3m前後の間合いで立ち止まる。
「それでもやりたいなら止めないけど、君が苛々してるとこに出くわしたからって死ぬのは可哀想じゃない?」

焔誼迦具楽 >  
 声がかかると、ぴたりと迦具楽の動きは止まる。
 胸ぐらを掴んでいた手を離すと、男は腰の抜けた身体で這いずる様に逃げ出していく。
 周囲の連中も、それぞれ痛めつけられた身体を引きずって離れていった。

「――別に、殺すつもりはなかったわよ。
 ちょっと、気晴らしにでもなればって思っただ、け!」

 そして、止めた拳が壁を打ち抜く。
 衝撃でビルの壁は、スナック菓子のように粉々になり、その向こうの空間を晒した。
 誰もいない薄暗い部屋には、雑多な物が、ごみのように積み上げられていた。

「それで、なにか用?
 ただのお節介だったら、さっさと帰った方がいいわよ。
 貴方にも八つ当たりするかもしれないし」

 と、足元に転がった瓦礫を蹴り飛ばして、その瓦礫で別のビルに穴をあけながら言う。
 全身で、不愉快さ、不貞腐れています、と表現しているような様子は、子供が癇癪を起しているようにも見えるだろう。
 

ジーン・L・J > 「相手をよく見るんだよ~。」
ほうほうの体で逃げ出す男たちに手をひらひらと振って見送る。

いくら老朽化していたと言っても、コンクリート製のビルはそうやわいものではない。
その腕力を茶化したのか褒めたのか、口笛を一息。

「んー、別に君にも彼らにも縁もゆかりも無いからお節介ではないなぁ。煙草を吸っても構わないかな?」
言いながらスーツの内ポケットから紙タバコの箱を取り出して見せる。

「ここら一帯を見張ってるんだ、個人的な事情でね。そこで君にそうやって暴れられると困ってしまう、獲物が驚いて逃げてしまうかもしれない。だから憂さ晴らしならどこかよそへどうぞと言いに来たんだけど…。」
感情のままに破壊行為を続ける相手を中心にどこか嬉しそうに時計回りに歩く。距離は保ったまま。
「癇に障るかい、お嬢ちゃん?」
からかうように笑みを深めて、牙のように発達した犬歯を晒す。やれるものならやってみろ、とでも言うように。

焔誼迦具楽 >  
 タバコを吸おうとする、男とも女ともつかない相手を横目で見ながら。
 ふん、と不機嫌そうに鼻を鳴らした。

「別に。
 貴方に恨みがあるでもないし。
 苛々してるのは自覚あるけど、他人の仕事を邪魔する気はないわ」

 小さく舌打ちしながら、揶揄うような相手から顔を背けて、壊した壁に向き合う。
 手の先から、真っ黒な流体が流れ出して、壊れた部分を覆うと、次の瞬間には綺麗に補修されたようにコンクリート壁が作り出されていた。

「悪かったわね、仕事の邪魔して。
 どうぞお好きに、獲物とやらを探してちょうだい」

 パーカーのポケットに手を突っ込むと、自分が直したばかりの壁に寄りかかった。
 

ジーン・L・J > 鼻を鳴らしたのを了承と取って、煙草を咥えて先端で指を弾く。電流が走って煙草に火が点いた。

「おやおや、案外大人だね。この島じゃ見た目は人を判断するのに使えないな、ホント。」
天を仰いで煙を吐き出す。煙が糸のように細くなった月に重なった。薔薇の香りが周囲に漂う。

「今日は成果無しで帰ろうとしてたとこでね、私の暇つぶしに少し付き合ってくれると嬉しいな。
それは異能かい?お嬢ちゃん。それとも、"そういう生き物"なのかな?」
煙たがられている――煙草のせいではなく、のを無視して、少女と会話を試みる。

「もし後者なら、少し"ダンス"のお相手を願えるかな?あんなもの見せられたら、黙っていられなくてさ。」
軽く腕を振ると、袖から柄に対してアンバランスに長い刃のナイフが飛び出してくる。
捻じくれた刃が2つ連なった異形のそれは刃以外が艶消しの黒に塗られ、持ち主とともに夜闇に溶け込むようだ。

焔誼迦具楽 >  
「ふうん」

 相手の言葉に、目を細めて、唇を歪める。

「――随分と物騒な、ダンスのお誘いね。
 遊んであげてもいいけど。
 貴方、死んじゃうわよ?」

 相手が人間でない事はわかっている。
 形こそ人間と同じだが、それはカタチだけだろう。
 人間らしい、食べ物の匂いがしなかった。

「私さあ、今日はあまり、手加減してあげる気分じゃないんだよね」

 ポケットから右手を出して、首の後ろを掻きながら。
 明らかに見下すような視線で、相手の姿を眺めた。
 

ジーン・L・J > 「いやぁ、君の方から持ちかけてくれないかなって思ってたんだけど、どうやら私は挑発が下手らしい。」
苦笑いを浮かべながら、また近づく。
「どうだろうね?生き残ることに関しては私は結構な腕だと思ってるんだけど。」
コツ、コツ、とヒールが路地のアスファルトを叩く、今までの半分、1.5mほどで歩みを止めた。

「それなら安心だ、私も手加減なんかして欲しくない。」
先に動いたのは黒服の異形、素早く一歩踏み出して距離を詰めながら、蛇のように低い姿勢で右手のナイフが足首を狙う。
ボクシングで言うジャブのような試しの動き、当たっても当たらなくても、すぐに元の位置に戻り相手の行動に備える。
相手は人外、だが人の形を模している以上、足を切れば足が鈍る可能性がある。そうなれば次の一手が取りやすい。

焔誼迦具楽 >  
「不死身でもないなら、殴り続ければそのうち死ぬでしょ」

 近づかれれば、軽く片膝を曲げて、アスファルトをつま先て叩く。
 仕掛けてくるつもりなのを隠そうともしない。
 言葉通りに随分と自信があるのか、それとも無謀なだけか。

「そう、それならうっかり死んでも恨まないでよね」

 足を狙うように這う相手。
 その動きは確かに早く、鋭い。
 けれどそれだけで、大したものではない。

 小手調べと言ったところだろう動きに、迦具楽はつま先を、足をアスファルトに叩きつけて応える。
 踏みつけたアスファルトは砕け、クレーターのように凹み、砕けた破片は衝撃によって散弾のようにまき散らされる。
 技でもなんでもない、ただの暴力だ。

 回避しなければ、幾つもの破片に体を打ち据えられる事になる。
 予期して下がったのなら、体を多少衝撃で煽られる程度ですむだろうか。

 そして迦具楽の次の手も、ただの力任せ。
 アスファルトを砕いた右足で、そのままひび割れた地面を蹴りつける。
 凄まじい暴力によってアスファルトは捲りあがり、砕け散り。
 下がった相手に向かって瓦礫と衝撃が押し寄せる。
 

ジーン・L・J > 「そうだよね、生き物は必ず死ぬ。死に辛いか死にやすいかだけだ。」
そして自分は死に辛い方で戦闘経験に自信がある、だからこんな出会ったばかりの人外に喧嘩を売るなんて無謀な真似が出来る。

「ははは、これはこれは!」
小手調べとはいえ、純粋な暴力だけでこちらの技は潰され反撃の礫が襲いかかる。
下がる前提での攻撃だった故に礫を躱すことは造作ない。だが姿勢を崩し、整えた直後に更にアスファルトの破片今度はもっと細かく幅広く飛んでくる。

相手は人間の形をしている、だがそれに縛られていない。人外としての戦い方を知っている。
こちらは人間の延長線としてしか戦っていない、そして相手を人間として扱ってしまう。
これでは勝てない、これでは、彼女は落とせない。だからこちらも人間を捨てなくては。
「凄いなあこの島は、驚かされてばかりだ。とても楽しい。」
地面に体全体をくっつけるほど姿勢を落とす。広がりゆく破片は地面から放たれただけあって上方へ向かう。いくつかは当たったが大した傷ではない。
そのまま全身をバネにして、獣のように飛びかかりながら逆手に持ち替えたナイフを振るう。狙うのは頸動脈、すれ違うように背後へ着地出来れば、そのまま回転して背中へ斬撃を見舞うつもりだ。

焔誼迦具楽 >  
「――へえ」

 相手の判断は早く、機敏だ。
 深く体を伏せれば、蹴り上げた瓦礫もその上を通り抜けていく。
 当たるのは精々が細かな粒のようなものばかり。

 そこからの動きも素早い。
 とびかかる動きが鋭く、避けきる事は出来ない。
 下がればより深くナイフが首を抉るだろう。
 なら、とびかかる相手にむしろ踏み込む事で、鋭さを鈍らせる。

「――チッ」

 首が浅く削られる。
 血が噴き出すが、致命傷にはならない。
 しかしそのまま背中を取られてしまう。

 踏み込んだ勢いで地面を蹴り、対面にあるビルへ向かって飛ぶ。
 その壁に足を突き込んで、3メートルほどの高さで壁に張り付いた。

「い、ったいじゃない」

 裂かれた首を抑えながら、体の構造を《変性》する。
 肌と肉を鋼のように固く、それでいて柔軟性を保ったままの構造へ作り替えた。
 これで、刃物は簡単には通らない。
 それこそ、達人の斬鉄であっても、容易ではないだろう。