2020/10/25 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に日下 葵さんが現れました。
■日下 葵 > 「さて、指はあと19本残っていますが、何本残しましょう?」
落第街の路地裏に面した一角。
崩壊したビルの跡地に建てられた掘っ立て小屋から、くぐもった悲鳴が聞こえた。
小屋の中には両手をテーブルの天板に固定された男が一人と、
ガスマスクをして顔を隠した女が一人。
そしてまるで電子工作でもしていたかの様に並べられた釘とハンマーだった。
「本当ならこんな掘っ立て小屋じゃなくてちゃんとした廃ビルの中が良かったですし、
釘とハンマーじゃなくて電動工具が欲しいところでした」
でもまぁ、そういう道具が無くても仕事はできるのでやりますけど。
そういって、並べてあった19本の釘を一本、弄ぶようにテーブルの上で転がした>
ご案内:「落第街 路地裏」にF.U.R.Yさんが現れました。
■F.U.R.Y >
「おいテメェ」
――――声が、女性に向けて発せられる。
それは獣の唸り声のようで、人間のものと判断するのに一瞬の時間がかかるかもしれない。
振り向けば、そこには一人の人間…?の姿がある。
断定できなかったのは、その左肩から先が歪な光沢をもった異形の腕になっていたからだ。
鎧のようにも、獣の腕のようにも見えるそれは……禍々しく異質な力を感じさせるかもしれない。
その体格、顔つきは男性のものだと思えるが……口から見える歯は、牙のように鋭さを感じるだろう。
男は続けて、言葉を発する。
「――――風紀委員だな?」
■日下 葵 > 「んんー?」
さて、そろそろ尋問を本格的に始めようかと弄んでいた釘を一本手に取ったとき、
背後から声が聞こえた。
声といっても、一瞬虎か熊かと思うような声は、異質と呼ぶには十分なもの。
「風紀委員?嫌だなぁ。
どこにも腕章はしていませんし、制服も着ていないんですよ?
きっと人違いですよ」
振り向いて改めて男の様子を観察する。
その歪な形をした左腕を見てふと、ある可能性が頭をよぎった。
『風紀委員だな?』
頭の中によぎった疑惑は、彼に投げかけられた問いを耳にした瞬間確信に変わる。
(F.U.R.Yか...これは厄介な事になったかもしれませんねえ)
彼の問いには適当にごまかして返事をする。
とはいえ、風紀委員である前提で声をかけられた以上、言い逃れは難しいかもしれないが>
■F.U.R.Y >
「はァん……そうかい。
風紀委員じゃねェ、と。
似たようなツラした風紀委員を時折見かけるって聞いたが、まァいいか」
アテが外れたかィ?と獣を連想させる笑い方をしながら言いつつ、女性を見る。
どうせ他人伝手に聞いた話だ、間違ってる事もあるかもしれねェ
「なら悪かったな、人違いだ。
だから――――――――」
人違いなら用はない。
”そう思ってはいる”が……
「”運が悪かったとでも思ってくれや”」
話を聞いた。
勘違いの可能性もあった。
”だが、そんな事は構いはしなかった”
目の前でやってる事が気に入らない。
風紀委員でないと言った以上、それだけの理由。
”それだけの理由で、襲い掛かってきた”
―――――それは、獣だった。
獣の如き荒々しさと疾さで。
目の前の女性に向かい、そのまま左腕を振りかぶる――――
■日下 葵 > 「ええ、人違いですよきっと。
用件は済みましたか?」
『人違いだ』
彼のその一言を聞いて、内心で安堵する。
諜報じみた活動は私服で、顔を隠して行っていたことが幸いした。
後はこのまま我々を落第街では珍しくはない違反部活動同士の抗争と説明して、
お引き取り願おう、何て考えていたのだが───
「へえ?随分と荒っぽいことをする。
この方のご友人ですか?」
どうやら見逃してはくれないらしい。
彼がもといた場所から、私の眼前までくるのにほんの一瞬。
その速さには肝を冷やす思いだった。
──といっても、冷えて凍った所で代わりの肝なんていくらでも用意できるのだけれど。
そんな冗談を口にする間もなく、
両ふとももからコンバットナイフを抜き取って頭上に組む。
振り下ろされる彼の腕からくる凄まじい衝撃が、ナイフ越しに伝わってきて金属同士が擦れるような音を鳴らした>
■F.U.R.Y >
「知らねェな、誰だソイツ―――――はッ!!」
言葉と共に放たれる、単純明快な大振りの拳。
故に力はダイレクトに乗り、体重、そして筋力をそのまま相手へと叩きつける。
受けた腕に伝わるのは、想像を絶する膂力だろう。
人ではない、何か、別の、堅く巨大な何かがぶつかる感触。
例えるならばクレーンに吊り上げられた巨大な鉄球だろうか。
そんなイメージすらも脳裏に浮かぶ、重く、強烈な一撃。
「――――――――ッラァ!!!!!」
力任せに放たれたそれをナイフで受ける女性。
受け止めるか、それとも技術によって受け流すか。
完全に力を受け流そうとするなら、余程の技量が必要だろう。
それだけの、威力。
受け止めんとするのであれば……その腕は、体は、どうなるだろうか……
その結果は、直ぐに分かるだろう。
■日下 葵 > 「憤怒というあだ名は伊達じゃあないようです──ねっ!」
打撃を受け止めるためにクロスされたナイフが、
その打撃の重みにギリギリと鳴る。
およそ人の形をした異邦人の打撃なら耐えられるくらいには、
身体を作っているため一撃で押しつぶされることはなかった。
相手が化け物ならこちらも化け物だ。
しかし瞬間的な火力では相手に一枚分があったらしい。
重く強烈な一撃を一瞬受けると、そのまま刃先を後頭部に流して踏み込む。
体格差を逆手にとるように彼の脇と胴体の間に入り込むと、
そのまま額で彼の胸元に頭突きを繰り出す。
もしそれが入ったなら、
普通の人間は心肺に強烈な負荷が掛かって苦しむことになる。
そしてその頭突きが上手くいってもいかなくても、
攻撃の手を緩めることなく追撃。
打撃を流すために後頭部に回したナイフの柄で、
彼の脇腹をはさむように両手で打撃を繰り出す>
■F.U.R.Y >
懐に入られた。
そう思った瞬間に右腕で殴りかかろうとし、それと共に受ける衝撃。
「ッ―――!!」
一瞬の衝撃。
動きが止まった瞬間に、脇腹へと更に来る打撃。
避ける事は出来ない。
生憎、そこまで器用じゃない。
故に……
追撃を放たれる瞬間、回避ではなく”攻撃”へと移行する。
胸へと押し付けられた頭が離れる前に、その頭――――厳密には髪を掴む事に右腕の動きを変える。
懐まで入られて頭をぶつけられている分、その腕の動きは視界に入りにくいだろう。
予期できなければ……追撃と同タイミングで、髪を強引に掴まれ――――
そのまま、まるで砲丸を投げるかのように人間ならざる膂力で振り回されるだろう。
■日下 葵 > 入った。こちらが繰り出した3回の打撃はすべて相手の胸と脇腹に入った。
しかし手応えは恐ろしいほど感じられない。
「んなッ!?」
打撃で一瞬足りともひるむ様子のない男。
それを悟った瞬間に足払いを仕掛けようとする。
この男は私のような攻撃力においてはただの人間同然の存在では討ち倒せない。
そう考え、逃亡の手立てを図ったのだ。
しかし足払いのために身体を低く落とそうとした瞬間それを阻まれてしまう。
髪の毛を乱暴に掴まれて振り回される。
頭突きによって視界には相手の胴体。
更にはガスマスク似よって狭くなった視界では、
彼の手の動きを完全にとらえることが出来なかった。
頚椎に凄まじい負荷が掛かり、視界が揺れる。
そしてつかまれた髪の毛がブチブチとちぎれる音が頭皮と頭蓋骨を伝って聴こえ、
更には肌を持ってかれるような痛みまで感じる。
(これは不味いですねえ...)
とっさの判断で右手のナイフをホルダーに納めると、そのまま腰に手を回して拳銃を抜き取る。
果たしてこの人外じみた男にどこまで通用するか。
片手で器用に安全装置を外すと揺れる視界の中に移る男の太股に向けて3発発砲。
当たってひるめば御の字、当たらなくても威嚇として効果があれば良し。
続けて左手のナイフで髪の毛をつかむ腕の靭帯を切るように刃を突き立てよう>