2020/11/12 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に虞淵さんが現れました。
■虞淵 >
昼間でも薄暗い、落第街の路地裏
朽ちかけたドラム缶に腰かける大柄な男は、やや剣呑な表情を浮かべる
「──で?結局連中の情報は掴めたのかよ」
不機嫌そうな男の声に、電話先の相手はやや狼狽するように言葉を詰まらせていた
■虞淵 >
「とぼけるなよ。
お前らが俺に依頼した標的の話だ
裏切りの黒《ネロ・ディ・トラディメント》とか言ったか?」
大柄な男の声に、電話先の相手は随分と慌てていた
『標的』ではなく、『守って欲しいだけだ』などと、喚いていたが
それはどうでもいい
「…ま、それはいい。今月で契約を解消する可能性がある…ってのはどういう了見だ」
煙草の白煙を吐き吹かし、電話の相手を詰める
「足でもスッパリ洗うつもりか?今更」
煽るような言葉に、相手はまたしても言葉を詰まらせる
そして重苦しく、話しはじめた
■虞淵 >
「…それどころじゃなくなった?」
電話の向こうから帰ってきた消え入りそうな言葉
随分と絞り出すような声だったのは、それが已む無しといった判断からか
「──あァ、実態の見えねー連中より、
最近出来たらしい風紀の集団のがヤベー、と。そういうことか?」
肩透かしを食らったように、その広い肩を竦めてみせる
電話先の相手には…まぁ声色で多少は伝わるか
「まァ、いいぜ。額面通りの金が入ればそれで納得してやるよ。
ククッ、命と見なされてねぇ奴らでも己の命は大事だろうからな──」
■虞淵 >
「──ったく、少々掃除が行き届いた程度で大したチキンっぷりだな」
なかなか面白そうな火種だと思ったが、
残念ながらこの身に降り掛かることはなかったらしい
続けて別の番号にかける
スポンサー…というよりも闇格闘技のパトロンの女──
基本的には、便利に使えるヤツだ
「おう、近い内にホテルに帰ることになりそうだぜ。部屋は開けとけ──…ああ、しばらくはきな臭えかもな」
空を仰げば、底の暗い雲が流れてゆく
暗雲立ち込める…なんてほどでもないが、そのうち一雨来そうだった
■虞淵 >
「ま、面白ぇ流れになるなら歓迎だがな」
そう言って電話を切り、立ち上がる
雨が降ってくるまでに帰るか、と
化物と揶揄される男の運動能力も雨を避けることなどはできない
「…ちっ、どっかで屋根でも借りるか……」
言う間に、ぽつりぽつりと降り始める、雨
しとしとと降る秋雨の中、男は路地を早足に歩いていった…
ご案内:「落第街 路地裏」から虞淵さんが去りました。