2020/11/18 のログ
■F.U.R.Y >
スラムからガスマスクの男共が、路地裏へと駆けてゆく。
それから逃げるように走る、スラムの住民。
叫びと、そこかしこで聞こえる銃声、爆発音。
正に地獄絵図。
硝煙と血の匂いでむせ返る、世の地獄。
「―――――――雑魚が」
スラムの住人を追うガスマスクの男共に、隕石のように何かが落ちてくる。
それは一言そう吐き捨てたかと思えば、路地裏の地面と共に……そこにいた2人のガスマスクの男を”潰す”
血と肉片が、飛び散る。
それを受けるは、獣のような男。
体の左側を黒と赤の異形と変え、鎖のような三本の尾を左肩から生やした、落第街に棲みし、獣。
「覚悟……してきてんだよなァ……」
ゆらりと立ち、残るガスマスクを見据える。
男はちらりとスラムの住人を見ると、「行け」というように目配せをする。
スラムの住人達もまたそれを見て、怯えながらも足早に逃げ去るだろう。
ガスマスクの男共が、それを追う為……障害となる男へと銃を、向ける。
こんな雑魚共に、構ってる暇はねぇっつうのに。
本命潰しに行く筈が、誰だか知らねェが先を越されたみてェじゃねェか。
お陰で雑魚の方に先に出くわしちまった。
だが、気に入らねェ。
気に入らねェモンを目の前で晒しやがった。
そいつを見ないフリする気は、ねェ。
■F.U.R.Y >
「テメェら………生きて帰れると思うんじゃねェぞオラァアアアアア!!!!!!!!」
獣が、叫ぶ。
■F.U.R.Y >
声は咆哮となり、音という衝撃波を形成し、スラム中に響き渡る。
おおよそ、人が発するものではない音。
周囲の散りが音により吹き飛ばされ、近場の家屋がそれだけで粉砕される。
至近距離にいた数名のガスマスクが、”音”により鼓膜と眼球を潰し、吹き飛ばされながら絶命する。
おおよそ生物であるかすら怪しい、”憤怒の獣”が、そこにいた。
■F.U.R.Y >
生き残ったガスマスクの男共と、声を聞いて駆け付けた増援が、獣に対し銃を掃射する。
弾丸が当たり、肉が爆ぜ、血が吹きすさぶ。
だが、獣は止まらない。
「―――!!!」
一歩。
一歩。
銃、炸裂弾、閃光、炎……
「―――――――!!!」
それらを受け身を貫かれ、焼かれ、裂かれながら。
進み、殴り、蹴り、噛み千切り、潰し、砕く。
「―――――――――――!!!」
あるいは、肉を。
あるいは、鋼を。
あるいは、銃を。
あるいは、鎧を。
まるで総て同じだと言わんがばかりに、どれも一様に、潰し、砕き、食らう。
傷を受ける度に力を増し、獲物を喰らう度に活力を取り戻す。
「―――――――――――!!!」
尽きぬ憤怒が、獣を動かす。
滅すは敵わぬとでも、言うかのように。
獲物を。
憤怒の矛先を、総て潰すまで。
■F.U.R.Y >
落第街中に、獣の咆哮と、地響きが何度も響き渡った。
何度も。
何度でも。
ご案内:「落第街 路地裏」からF.U.R.Yさんが去りました。