2020/11/21 のログ
伊都波 凛霞 >  
「……と、ここだね」

日の沈みはじめた時刻、落第街に現れた少女は、やや物憂げに辺りを見る
一画からやや広がりを見せるのは、随分と派手な、真新しい戦闘痕だ

「報告の補填になる情報が残ってればいいけど…」

数日前に此処で起こった戦闘
そこに以前、報告会で公安から情報を齎されたF.U.R.Yの姿があったということ
現場は凄絶であったらしく、挙げられた報告はやや中身が不確かだった…ので
刑事部であり、サイコメトリーの異能を持つ自分が調べてきます…と手を挙げたのだ

伊都波 凛霞 >  
サイコメトリーで辿れるのは残留思念と呼ばれるもの
多くの人間がここで戦闘に参加したのであれば、やや情報の洪水になる、が…
特別に強い"感情"の発露、を辿ることができればそれなりに鮮明なメモリーを見ることができる

…で、あればこの場で大立ち回りを演じたのであろう、彼の情報も拾えるかもしれない
まだ地面に散った血の痕も生々しい、そこにしゃがみ込んでそっと指先を触れ、目を閉じる──

傍から見れば少し、奇妙な光景…

伊都波 凛霞 >  
小さな、甲高い金属音が耳の奥で響く──
少しずつ、流れ込んでくる…戦闘痕に残された残留思念を辿ってゆく

やがて風紀委員…件の一課の生徒との激しい戦闘が映し出される
同時に感じられる、あまりにも激しい感情……それは

「──ッ、あ…!」

ビリッ、と弾かれるような感覚を覚え、指先を離し…思わずその場にへたり込んだ

伊都波 凛霞 >  
「…何、いまの」

クラ…と視界が揺れる
膨大かつ、強力な残留思念が、自身の許容量を超えたのだということが、
初めての経験ながらも、なんとなく理解できた

「つつ…、こんな強い感情が残ってるの、初めて…」

壁に手をつき、フラつきながら、立ち上がる

…感じたのは、並の人間の感情なんて塗り潰すぐらいの、怒りの残留思念
それが件のF.U.R.Yと呼ばれる人物のものだとしたら……

「……」

打ちっぱなしの壁に背を預け、小さくため息を吐いた

伊都波 凛霞 >  
風紀委員とみれば襲うというF,U,R,Y
その動機は…感じた怒り、憤怒…そのものだろうか

「(何が、そこまで…?)」

落第街の住人にとって風紀委員は…救いの手である一方、邪魔な存在でもあるだろう
しかし一瞬で感じた、この場所の残留思念…その感情は……
不快感や、不信の延長、といった類の怒りではなかったように思えた

「……もう一度…、ううん、やめておいたほうがいっか…」

この異能で無理をしたことがあまりない。更に深く残留思念に潜った場合のリスクが未知数だ
…ひとまず断片的に見えたものだけでも、報告書の精度をあげることはできる

伊都波 凛霞 >  
「…いたた。本格的にやめとこ…」

ビリ、と再び頭の中が痛む
手を側頭部を抑えつつ、やや足取り怪しく、路地を離れていくのだった

ご案内:「落第街 路地裏」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に照月奏詩さんが現れました。
照月奏詩 >  
 夜、ここを歩いているのは周りから見れば異様でも自身にとっては自然な事であった。
 恰好はフードをかぶりマスクをした姿。必要最低限の変装。
 ここにいるのは仕事というわけではなく……今のこの街がとても不安だから。何か些細な切欠で爆ぜる爆弾の上に今この街はあると思う。だからそうならないように少しでも見て回っていた。

「でもまぁ、歩きにくいっていうのが正解……か」

 そう一人愚痴る。この騒動以降、捜査に来たであろう風紀委員も多いしよくわからない学生。おそらく公安も多い。さらに言えばこの街の住人もあわただしく動いている。そんな状態で虚無の仮面をかぶって街を歩き回れるわけもなく。
 だからといってこの状態だと今度は絡まれそうになる。だからあまり人通りのない道を歩くしかなかった。

照月奏詩 >  
「それにしても……不味い状況だな」

 実際問題事態はかなり不味い所まで進んでいる。たしかに被害を最小限に抑えられるようにこちらでも攻撃を加えたりもした。しかし絶対的な戦力に差があるのは事実。
 そして狩られるのは決まって弱者にある存在達だ。
 となると弱ったそこに救いという名の毒を盛るのは……巨大な黒。
 
「全部が解決したとして……そこからが俺たちの本番になりそうだな」

 今は皮肉にも”敵”が明確だからこそ毒は救いでしかない。しかし”敵”がいなくなったときそれは内へと牙を向く。他の組織より大きくなるために弱者を食い物にしだす組織が現れ組織同士の潰しあいが始まる。
 そこまで考えて溜息が出る。

照月奏詩 >  
「こういう時内部に知り合いがいればいいんだが」

 それこそ風紀なり公安なりに知り合いがいれば手をまわしやすい。しかし残念ながらそんな動きをできる知り合いはいない。
 というより自身はそれら組織からしてみれば完全に黒なわけで。
 2級学生で居続けるのにはそれなりの理由があるのだ。
 
「となると……可能性としてあり得るのはむしろ黒側か」

 この街の秩序を守る。という意味で言うのならばそれもありだ。ある意味外の存在である風紀より余程早く事態を解決してくれるかもしれない。
 問題はそれが利益重視になる可能性が高いということ。
 考えれば考えるほど壺にはまる。
 

照月奏詩 >  
「ま、そもそも下っ端が同行できる問題でもないか」

 そこに行きつく。じゃあ幹部に立候補するかと言われればそれはNO。そういった役割には絶望的に向いていない。
 今だってそうだが一人で動くのは得意だがこれがもし部下がいて動かすと考えると絶対に無理である。
 幹部にならないと色々と作戦は立てにくい。でも幹部の仕事をできる気がしない。本当に中途半端な立ち位置である。

「とりあえず今はやれることをやるしかないか」

 とりあえずの目標を決めて。闇の中を渡り歩く。歩く道は灰色の道だった。

ご案内:「落第街 路地裏」から照月奏詩さんが去りました。