2020/12/08 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に『虚無』さんが現れました。
『虚無』 >  
 薄暗い夜の路地裏。壁にもたれフードを深くかぶった男の顔を見ようとする者などいないだろうしそもそも人通りすら今のところいない。
 何が起こるかわからない今のこの街。こうして何かあった時のために定期的にこうして見回りというなの調査に動いていた。
 極力人通りの少ない道を選んでいるのはマスクを見られると面倒だから。まぁこの街ならばこう言った変わった格好も珍しくはないといえば無いのだろうが……
 
「今のところは平和か」

 小競り合い程度は聞いているが、大規模な抗争の話などは無い。風紀の見回りが徐々に増えてきたという話は聞くが。それくらいである。
 つまりは今まで通りに戻りつつあるわけで。
 だが、まだ安心はできない。依然として火薬庫に火がついている段階が過ぎたわけではないのだから。

『虚無』 >  
 人は通らない。通るのは野良犬程度。どこかで餌をもらっているのか、餌場がしっかりとあるのか。別にやせ細る事もなく、その犬はテクテクと歩いてくると自身の近くで丸くなる。

「餌は無いぞ……それとも、ここはお前の休み場だったりするか?」

 そうだが貸してやる。そういわんばかりの目線をこちらに投げかけるとその犬は再び顔を伏せ丸くなる。
 少しだけその様子に笑ってしまい。

「ああ、それならありがたく借りておくよ」

 そういうと目を閉じる。どうせこの暗さの路地裏では遠くなど見えない。故に周りを知るには目より耳の方が重要だ。だから音を聞いていた。

『虚無』 >  
 特に大きな問題の音はしない。ゆっくりと目を開ける。人も通らず、文字通り平和だったといえるだろう。
 足元の野良犬を見た。

「そろそろ行く……ありがとう、良い隠れ場所だった」

 そう声をかけるとまた来いと言わんばかりに少し尻尾を振るう。
 わずかにほほ笑むとその場を後にして去っていく。次にここに来るときにはジャーキー程度持ってくることにしよう。
 そんな事を考えこの場を後にした。

ご案内:「落第街 路地裏」から『虚無』さんが去りました。