2021/01/16 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に羅刹さんが現れました。
■羅刹 > 「……………」
この島に住む者なら軽々には近寄らない路地裏。
その中で、適当な壁に背を預け…蛍火を揺らす男。
静かに、中空を見上げながら、煙草の煙をゆっくりと吐き出す。
考えるのは、この近辺によく表れる者たちのことだ。
一撃でビルを切り倒し、辺りを焦土にすら変えられる執行者たち。
まだ直接ぶつかったことの無い者も多いが、誰も彼も危険であることには間違いない。
冷静に判断するなら…こちらには戦力が足りていない。
いくら武器を集め、人ならざる操り人形のデコイを作れるとしても。
強力な異能に対抗するためには、まだ足りない。
それこそ、もっと膨大な火力か…確実に隙を突く策を練らなければならない。
彼は、素手の喧嘩であれば誰が相手であろうと遅れを取るつもりはないが、それは異能を勘案しない場合だ。
「………」
蜥蜴の犠牲は増えていく。屍が積みあがっていく。
自分の特殊能力があるとはいえ、蜥蜴か、あるいは下部組織を抜けたいと申し出る者が増えている。
実際に、鉄火や他の異能者を見た者が怖気づいているのだ。
それを、止めはしない。
徹底的に口止めをし、話せばどうなるかを教え込んでから解放している。
それは、そんな者を引き留めても大した戦力にならないからである。
だが、抜けていく者が居れば入ってくる者も居る。
奴らによる破壊は日々続けられており、それによって不利益を被った者、怒りを溜めた者がまずは下部組織へ参入していく。
(…手は、広げられちゃいる。後は、そこから、だ。)
直接表を破壊する手もあるにはある。
しかし、それはまだリスクが大きい。やるなら、もっと奴らに打撃を与えてから、だ。
そして、主に戦う組織である、蛇。武器が大量に手に入ることもあって、その習熟については問題はない。
狙撃など、練習が必要な技術に関しても習得していっている。
着実に、前には進んでいるのだ。
蜂の人材不足、蜘蛛の足がもがれて行っている事、蟻の密輸が厳しくなってきたこと。
それらはまだまだ圧し掛かるが…そのすべてを超えて、傷跡を残すため、考え続ける。
煙草は、思考を回す良い友である。
燃え尽きれば区切りが生まれるし、吸う、吐く動作をすることで自然に集中できる。
煙で様々な形を作りながら、男は思索に耽っていて。
■羅刹 > 「…別の方向も考えなきゃならんな」
武力だけが体制に対してダメージを与えるのではない。
例えば、一般人の拉致。
『使い捨て』ならば『蜂』にも使えるだろうし、操り人形の中に混ぜて置けばそれだけで殲滅しにくくなるだろう。
動きが鈍れば、それだけ不意も突きやすくなる。
こういった戦術を誰かが行っていないはずがない。
だから、風紀…それも『広報部』とやらならば、それごと薙ぎ払う奴も多いだろう。
この作戦を取る場合は、蟻と蛇の尾を使うことになるか。
梟に撒かせた例の投稿は既に使えなくなっていることだし、捕縛するなら役に立つ異能を持った者が居る。
多少騒ぎを起こしてでも、こちらの有利な場所に誘い出す方が戦略も立てやすい。
基本は、この方針で進むか、と決める。
少しだけ蜥蜴の尻尾を見せ、奴らを『楽しい』場所に案内してやるのだ。
■羅刹 > (…仕事の時間だ)
煙草は、ただの灰になった。
夜闇が深くなる時間。
蜥蜴はまた、闇に潜っていく――
ご案内:「落第街 路地裏」から羅刹さんが去りました。