2021/10/13 のログ
シャンティ・シン > 「……そう、ねぇ……つま、らない、ことで……信用、なくし、ても……困る、か、らぁ…… 気持ち、程度……もらう、くらい、なら……いい、けど…… ふふ。価値観、の……違い、よ……ねぇ……」


唇に人差し指を再び当てて、少し、困ったような顔を一瞬だけする。常人と自分がズレていることなど百も承知であるし、それを是正するつもりもないが……それにしても、クライアントとの関係に罅が入るのも良くない。


「貴方、たち……は、活動、に、しても……なん、に、しても……お金、とか、対価……が。特に……物理、的な、ものが……大事。見えない、もの……不確か、な……もの、は……信用、に……当た、ら、ない…… 私、は…… お金、なんて、どう、でも……いい。という、よ、りぃ……お金、で……手に、はいる、もの……に、それほ、ど……価値を、感じ、て……ない、の、よ……ね。」

取り出した紙幣らしきもを、無造作に地に落とす。放っておけば、風で何処かに流されるか、雨で萎れるか。はたまた、その前に何者かに保護されるのか……


「ま、あ……そこ、を……話し、合う、のも……ここ、では……無意味、かも……だ、しぃ……なに、も……なけれ、ば、ここまで、ね?」


手を小さく振って、やめ、とジェスチャーしてみせる。今語るべきことは別にあるのだから


「あら、ぁ……だって、ぇ…… 劇、は……ホンモノ、を……用意、して、こそ……です、もの……ふふ。こけ、おどし……より、も……リアル、に……ホンモノを……現実、を……真の、恐怖、と……衝撃、で……観客、に……真、の……刺激、をぉ……」

後半になるにつれて、段々と、熱を、恍惚を帯びる言葉。それは一種異様な気配をみせて……


「……ふふ、いけない、いけない…… 貴方、が……そう、いう、な、ら……わかって、はいた、けど……やさし、い……の、ねぇ……?」

くすくすと笑う。良くも悪くも、彼には情がきちんとある。それ自体は実に好ましい。破綻者ではないからこその、長ともいえる。


「で、あれ、ばぁ――最高、の……人形、を……用意、する、わ、よぉ…… 死な、せ、ない……なら、ちぎる、でも……えぐる、でも……ふふ。ご自由、にぃ……?で、も……

気が、かわった、ら……いつ、でも……いって、いい、から、ね……?」

羅刹 > 「『違い』を否定するつもりはねえよ。俺の感覚として気持ち悪いだけだ。
…報酬がそれでいいっつうなら、もう言わねえ。協力してもらうぜ、スシーラ」

男とて、この協力者をそうそう手放すつもりはない
落ちた金を拾うことはせず、向き直る
相手が納得しているなら押し売りなどしない
自分が金を信用しているのと同じように、相手が金を信用していないというだけなのだから

良い光景を見るのが報酬だというなら、存分に見せてやろう
ここまでだ、という相手の言葉に無言で同意する
無為な、決裂しかねない話より、『楽しい』話をしよう

「非情と情は使い分ける。当然だろうが
お前は今のところ、俺に利益がある行動をしている。なら、情は見せるさ。だが…」

考える
劇で言うなら自分が演出家
スシーラはそれこそ大道具兼、出演者だ
そして、これだけの表情――…むしろ、本物を強く望むような。

死なないことに絶対の自信があるのか
あるいは事故による死すら、自分の悦びとしているのか
…後者の可能性が高い気もするが、真実はわからない。

ただ…また、面白い、とそう思える
演者が強く望み、それで劇が良くなるなら、それを叶えてやるのが演出家
ならば――

「いつでも、つったな。
なら、『事故』を起こさないって自信があるとお前が言うなら
偽物を使うより…俺はお前を、お前自身を使う。やはり、…そうさせてくれ」

僅かな可能性はあるのだ。
どれだけ精巧な偽物でも…万が一はある
一度見破られてしまえば同じ手は心に響かないだろう
情と天秤にかけ、この演者が頷くならば――

「そうなりゃ、俺も『相手』役をしっかり選ぶさ
お前自身が作ったなら、恐怖は新鮮じゃなくなるだろうからな。…もちろん、うまく行ったなら…その時のあいつの映像は撮っておいてやる
後で悦に浸るなりなんなり、すればいいさ」

ふ、と悪だくみをするガキのように、口角があがる
大分毒されてきたな、と
楽しそうな笑みを見て、思いながら

シャンティ・シン > 「ふふ……相互、理解……が、できて……なに、より……ね、ぇ……ふふ……」

共演者との相互理解は舞台を組み上げる上で大事な要素。少なくとも、その辺りはうまく疎通ができたようだ。
大事な大事なグランギニョル。自分のみたい光景、自分の作り上げたい劇。


「そう、ねぇ……ふふ……『事故』、は……起きた、と……した、らぁ……ふふ。それは、演者の、腕前、よぉ……? そこ、は……うま、く……やって、ほしい、けれ、どぉ……」


人差し指を唇に当てて、くすり、と笑う。


「ま、ぁ……ふふ。『万が一』、が……あって、もぉ……あま、り……気に、しない、で……ね?それ、は……それ、で……運命、だ、ものぉ……」


くすくすくすくす
どこまで本気かわからない笑いを浮かべる。


「それ、と……最悪……戻ら、な、そう……とか、も……気に、しな、くて、も……いい、か、ら……存分、に……やって、ね? ああ――」


ふと、気づいたように


「それ……部下、さん、の……お仕事、か、しら?」

無邪気に、小首をかしげた

羅刹 > 協力する相手が見たいと言い、それが目的から外れすぎないものならば
別についでに叶えたところで誰も文句は言わないだろう

「そりゃそうだ。こっちでも十分に気を付けるが、な。
…はぁー、ったく。動揺も全く見せやがらねえ。どうなってんだか」

最近のガキは、と苦笑してから

「そう言うなら遠慮はしねえ。遠慮が伝わっても台無しだろうからな
……あ?俺がやるか?まあ、壊し方はわかってるがな。
見張りの方は部下にやらせりゃいいが……?」

部下の仕事か、と言われれば
別の選択肢として浮かぶのは自分かと

それほど熱烈に指名されたのか、と。
小首を傾げた姿に応える

一度決めれば、男はやる。例え情があろうと、目的のためならば非情を見せるが。
真意をいまいち測りかね、聞き返す

シャンティ・シン > 「ふふ……そ、こ、も……価値観、の……違い、か、しら、ぁ……」

くすくす、と笑う。見ている世界が違う。見えている世界が違う。
それはもう、決定的に――


「ん……気に、なった、だ、け……よぉ……? ただ……貴方、上手、そう……だと、思った、だ、け、よぉ? ふふ。いい、の、よ……鳴か、せる……技、に……自信、な、けれ、ば……うま、ぁい……人、に……まか、せて……くれ、て、もぉ……?」


もともと、他愛ない質問……ではあったが――男がそう捉えるのであれば、それも一興だ。むしろ、それはそれで……楽しみなところはある。やるならば、最高のショーを作り上げてほしい……ただ、それだけなのだ。


「ど……っち?」


見えない目で、覗き込むように、男を見る

羅刹 > 「…同じ考えばかりでも、詰まらねえと言ったのは誰だったか、だな。」

劇の絵を頭の中で描く
通信を繋げたとして、自分と部下、どちらの方がより出演者として面白くなるか

捕虜の前に立って詰るのもいいだろう
逆に、主演者に回れば…解説などもできるだろう
ただ、それよりも――

「挑発までしてきやがる。とても、気になっただけ、とは思えねえ。
…まあ、いいぜ、スシーラ。せっかくだ。俺もメインで出張ろうじゃねえか

死なねえ程度に、壊してやるよ」

別の部屋を用意し、そこから通信して捕虜に映像を見せつける
映像と音声は双方向に繋げ、悲鳴や助けを求める声を届けよう
先程の言とは逆に、見知った仲ではあるが…手加減などしない。やるなら、徹底的に、だ。

話したことの無い見張りより、話した事のある男の方が…何かを『懇願』したりするには丁度いいとも思える

「時間と場所は後で伝える。それでいいか?」

そろそろ、ひとところに留まるのは危険な時間だ
巣穴に潜ることを考えた方がいい
盃を繋いでいる相手に、そう言って

シャンティ・シン > 「ふふ……いい、わぁ……いい……」

自分ごときが、装置として場に立つのであれば……せめて、役者は最高の人物が立っていることが望ましい。その点で言えば、この羅刹という男は十二分以上の資質を示してくれた、といっていい。心が、身体が高ぶるのを感じる。


「えぇ、えぇ……もち、ろん……ふふ……仕込み、も……場も……最高、の……もの、を……入念、に……用意、して……ちょう、だい……ね、ぇ……? 今回、ばかり、は……私、に……準備、できない、部分……だ、し?」


時間が立てば立つほどに、風紀の手も延びてくるだろう。しかしだからといって、不十分な準備で事を行っても十分な成果を得られるとは思えない。迅速に、しかし丁寧な下拵をしてもらいたいところだ。



「あなた、の……腕、と……テクニック…… 女、鳴かせ、の……技……楽しみに、して、る……わ、ねぇ……?」


くすくすと笑う。まるで他人事のように。自分に降り注ぐはずの災厄を待ち望むように


「……ふふ。そろそ、ろ……頃合い……か、しらぁ……話し込み、すぎ、た……わ、ねぇ……? 私、は……のんび、り……帰る、けど……あぁ、きっと……『間抜けな女はうっかり歓楽街から落第街に足を踏み入れて、悪い人たちに捕まってしまった』、の、ねぇ……そう、いえば……あの子、と……あったの、も……境目、くらいの、ところ、だった、しぃ……?」

羅刹 > 「…雑にはしねぇよ。むしろ…こんだけ揃えて雑なら、『観客』ががっかりしちまう」

そう、この計画されているショーは
演者だけでなく…『観客』を『悦ばせる』ためだ
シナリオは入念に、仕掛け、仕込みは万全に
一流のシェフよりも丁寧に整えて見せよう

「そんな顔して、本当に泣き叫べんのか?
まあ、演技で出せなくても…本気で引きつった声、引きずり出してやるよ」

どうにもこの相手が泣き叫ぶ様子が想像しづらいが、一応は人間に似通った形をしている
ならば、壊し方もまた、似通っているだろう。

「…ああ。警戒できない間抜けは、いつも悪い連中に利用されるもんだ
それが丁度…『たまたま、悪い連中に必要な奴』なら猶更な」

と言ったところで、たばこをふ、と吐き出す
金の近くにその煙草は血に落ち。
しばらくの間、か細い火が闇に光るだろう

「お前と話すのは刺激的だが、予想外の観客に見られちゃあ演目が台無しだ。
……じゃあな、スシーラ」

全く、これだけ飽きない相手も珍しい
ひらり、と手を振り、前に進む
すれ違って…問いかけなどが無ければ、そのまま…また蜥蜴の頭は、闇に消えていくのだろう

シャンティ・シン > 此処でやるべきこと、此処で仕込むべきことは終わった。成果は上々……どころか、想定以上だった。此処までお膳立てできたのであれば、この先はきっと面白いことになる……はずだ。

そうであれば、あとは積み上げたものを台無しにしないようにするだけ


「……ええ、ありが、とう……ござい、ます。親切、な……お方。この、辺り、には……不慣れ、な……もの、です、から……ふふ。帰、り道……には、気をつけ、ます、ね?」


女は、何事もなかったかのように謝辞を述べて、男とは違う方へと歩いていった

ご案内:「落第街 路地裏」から羅刹さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からシャンティ・シンさんが去りました。