2021/10/19 のログ
伊都波 凛霞 >  
「舐めた真似、かどうかは置いといて
 なるべく怪我させたくなかったのは前も言った通り、
 それに私の異能も、戦闘に使えるものじゃないっていうのも、本当だね」

自分を呼んだことに関係がある、と言えば小さく首を傾げる
そう考えれば、風紀委員相手にやられた怪我なのかもしれないが…
怪我の具合が"合わない"
鉄火の支配者とやりあったなら、こんな傷にはならないだろう

手渡された煙草の空箱
読み取れ、ということらしい

受け取り、静かに眼を閉じる
閉じた瞼の裏、その闇の中に映像が浮かび上がる
強烈に感じる、切迫した死のイメージ
そして、その先に…鮮明でなくとも見えた光景があった
それをそのまま、口に出して伝え……

「(……あの人が動いてるなんて)」

意外…ではない
彼に怪我を追わせた相手のことも確信までは届かずとも、浮かび上がった

そしてそれは示される似顔絵によって、確信へと変わる

「…まず言えるのは」

「彼らが風紀委員とは関係がない、ということ
 ただ───」

一度言葉を切り、視線を落とす

「…──どちらも、私の友達」

言い換えれば、彼らが動いている理由は…
"それだけ"ではないとしても
自分が落第街で行方を眩ませたことに、起因する

責任、という重い感情が揺さぶられる

羅刹 > 「前も言ったが、聖女かお前は。
――ああ、そこまで読めるなら上等だ」

襲撃があったことは、今日までごく近くの構成員にしか告げておらず
当然、この相手の耳に入ることはない
だからこそ、ありふれた煙草の空箱程度から読み取れるということは…異能の情報は本物であると判断できる

「友達。…………なるほど。合点がいった
組織のためじゃあなく、お前という友人を助ける為に、か」

それならば、襲撃者二人に風紀の腕章が付いていなかったのも納得だ
風紀委員を呼び寄せる為に多少の餌を残したが…それが『友人』の耳に入ったか

その感覚は、理解可能だ
そうでなければ蜥蜴とて…仲間を救うため、鉄火と正面からやり合うことなどしない

「…後は。こいつらの異能について知っていることがあれば、それも教えろ」

友人程度なら、知らないこともあるだろうが
続けて、情報を引き出そうと声をかけ、返答を待つ

「…本題だ。…この男については組織としちゃそれほど恨みはでかくもねぇ
俺が厄介に思うから後々消したい程度。

だが、こいつ。
この黒いぐちゃぐちゃな奴は…始末してやろうっつー声がでかい
俺も実際、それには賛成だ」

そして、答えを聞いてから踏み込む
見た限りでは、後者の少女の方が脅威度が高く
対処しなければ、更に被害が拡大し続ける恐れがあるからだ


「だが、凛霞、お前が友人だというならもう1つ、使える手段がある。
こいつらにお前からメッセージを送って襲撃を止めさせる。潜入しているだけだ、っつー内容ならある程度は説得力もあるだろ

…こっちの組織に積もった不満不安はお前が癒せばいい。
このままなら、俺は準備ができ次第こいつらを捜して仕留めにかかることになる。それは間違いねえ」


幾人もの仲間が犠牲になった
軽々に止めるわけにはいかない
だが、その代わりの対価があるのなら別だ

要は、嘘の事実を伝えて襲撃を止めさせろ、それなら組織にも面目が立つ、と。
例えどんな狙いがあったとしても、優秀な人材であり…表面上は協力者となった
ならば、それを使わない理由はない

自分のためではなく、誰かのために動く相手に…取引を持ち掛けていく。
ただしこれもまた…友人たちに対して嘘を吐くという裏切りにも、なるだろうが。

伊都波 凛霞 >  
「聖女のハードル下げすぎじゃない?」

自身の勝手な掟に従っただけ
それを聖女だなんだと言われるのは、正直烏滸がましい

「それだけじゃないとは思うよ。
 私が行方知れずになったコト、風紀委員の外にそう簡単に漏れる筈ないから」

つまり誰かが情報を与え、動くよう仕組んだ…ということ

「それは残念ながら。
 異能の話なんて、私基本的にしないんだよ?
 人によっては触れられたくない部分な場合もあるし、ね」

知らない、とはっきり口にする
そして、話題が怪異へと移る
彼女が動いている以上、多大な犠牲が発生していることに、眉を顰める
落第街の二級学生といえど、無駄な犠牲が増えてゆくのは…心底、心が痛んだ
このまま放置すれば、被害が拡大するのは間違いないだろう

「……わかった。協力する。
 でも上手く出来るかはわからないよ? …嘘を吐くの、得意じゃないから」

羅刹 > 軽い言葉に…肩を竦め、煙草に火をつける
左手は先程から動かしておらず、使えないことを示していて

「…あぁ」

その他の可能性もある、という言葉には短く答える
風紀委員が誰かを違反部活に攫われたとなればそれは表にとっての醜聞だ
それを利用して貶めることも考えたが、その程度で崩れないことは…既に仲間が受けた仕打ちで理解している
あんなことが『表側』で出来るのなら、醜聞を制御することなど容易だろうという予想

そして、それでも
相手は動かなければならないこともわかっている
だからこそ、友人を利用したことも

異能の話についても、頷く
明かしていないであろうことも予想は付く
日常に住む者であっても、軽々に言いふらせない異能を持つ者は居るだろう

だが…『予想外』であった、綺麗な戦争をしようという、という鉄火からのあの伝言も、元々完全に信じてはいないが非常に怪しいものとなった
その伝言の直後に、あの暗殺者が来たのだから


「…その顔じゃあ、あれがどんなモンかはわかってるようだな。
メッセージの文面が怪しいならこっちで草案は出してやる
…これからも、お前には役立ってもらうからな。得意じゃないなら慣れておけ
癒す方も、今回は期待するぞ」

少なくとも、奪還されるまでは。
この女に誰かを殺させないという制約は守りつつ、利用することは間違いない
わかっているであろうことを敢えて言ってから

「ああ、後はもう1つ。『こんなこと』を避ける為に今後は出来るだけ俺の近くにお前を付ける
相手が誰であろうと、追い払え。契約通り、殺さなくてもいい。
友人が襲ってくる可能性が高いなら、お前の方が適任だろ
…今日のところは以上だ。帰るなり、好きにしろ」

他の仕事で動けないこともあるだろうが、左手の怪我を示し…護衛の仕事も付け加える

伝えたいことは伝えた
右手で煙草を揺らしながら、椅子に背を預けていよう

伊都波 凛霞 >  
「ううん、わかってるのは危険な存在、っていうことだけ。
 ただ、なぜか懐かれちゃってね」

迷惑、とは思っていないのだろう
しかし怪異は怪異、である
人の倫理や感情では図れない部分があることは、否定できない

「じゃ、文面はおまかせ…演技も、得意じゃないんだけどね…」

落第街といえど無駄な犠牲を出したくないのは本心だ
…やれる限りのことは、やろう

「護衛の件は…問題はない…とは言えないかな」

「だって、貴方を狙う人が私なんか足元にも及ばないくらいに強かったら?」

暗に、情報のため示された"敵"からは
自分では守りきれないという可能性を含む言葉

羅刹 > 「それは、羨ましいことだ。危険なら逆に武器にもなり得る」

どちらかの勢力に所属しておらず
この女に着いて来る気があるというだけなら、それを理由に引き込める可能性も考えるが
それもまたリスクが大きすぎるな、とも思う

演技が下手だというなら…怪異を騙し続けるのも限度がある
それにあまりあちらから引き込みすぎても問題が出る

「あぁ。…やっぱりあの野郎、手ェ抜いてやがったか?
…絶対に守れ、なんざ言わねえよ。
お前が居ることで…動揺、躊躇い、その辺りで時間を少しでも稼げりゃいい
…それに、お前だけじゃなく、他の奴らも俺に付ける」

人員が少なくなった状況で護衛を増やすことがどういう意味となるかは伝わるか
それは、しばらく派手に動く気が無いことを示す
あの災厄が無ければ、女を得た時点で更に動いたかもしれないが。

伊都波 凛霞 >  
「武器、ね…
 制御が効かない兵器でも、同じこと言える?」

凛とした視線が真っ直ぐに向けられる
それは冗談や、軽口の類でないということを示すには十分だろう

少しでも時間を稼げればいい、と言う男に対して、やや小さくその肩をあげてみせる

「肝が座ってるのか、どうかは知らないけど
 不確実なことに不確実な結果を期待するのは、なんか、あんまり」

「貴方らしくないな、って思うんだけど…」

計算高く冷静な相手だと思っていただけに
不確定要素でより集めたような状況に自らの命を置くなんて
命を狙った男は兎も角としてあの怪異の被害を受け、その規模を知っているなら、余計にだ

何か狙いがあるのかもしれないけれど、それは今は読み取れず…

羅刹 > 「制御が効く可能性があるなら、それも考えるさ
望み薄だろうが、考えてないよりはその状況になった時に対応が速くなる」

予想外の不幸、予想外の幸運、どちらも判断を鈍らせる
それなら出来得る限り予想して、出来得る限り備える
それが信条、ではあるが

「――――…、ああ、そうだな。
確実なのは信頼できる部下に、命を懸けてでも護衛させることだろう」

動揺などと言うものを狙わずに
単純に最悪の場合は…肉壁を用意すればいい
混乱に乗じてこの女が逃げる可能性も高い

他に護衛を付ける、とは言っているものの、消極的に過ぎ確かに不確定であることは間違いない


「そういう忠告は、恋人にでも言ってやれ。

……何、お前を呼び出すのにいちいち連絡するのが面倒なだけだ
傍にいりゃ、お前も聞きたいことが聞けるだろ。
で、俺が与えた枷が何かわかっていない以上、お前は軽はずみに俺の首を狙いはしねぇ。…理由としてはその程度だ」


言えない状況、かつそういった存在が居るかはわからないが故の皮肉を交えながら
考えていることの一部。だが全てではない

言い淀むことはしないが、どこかやはり抜けた言葉
もう1人、あるいは複数の護衛は、それこそ焔か礫が入るのだろうが、それでも。

伊都波 凛霞 > 「じゃあ、守れなくて貴方が怪我を負ったとしても文句は出ない、と」

忠告なんてしない、確認だよ、と
言葉を続けると、小さく息衝く
理由としては筋も通る、急に恋人のことに言及したりと、どこか違和感を感じてしまう
襲われ、深手を負ったことで何か冷静さを欠いているのか、それとも…

「狙わないね。まだ貴方が落第街に拘る目的も聞いていないし」

今度は深く、一呼吸
完全に悪意のみで動いている人間なのだと判断できれば
それは即座に裏切り、完全に行動不能にすることを狙うことに迷いはない
しかしそれだけではない何かを感じているからこそ…こうやって言葉に応じる隙があり、約束にも応じた
もちろん手段は褒められるものではなく、糾弾されて然りだろう
しかし風紀を乱す、ただそれだけの理由で彼の目的も理解らぬまま…というのは
"自身の正義"に反するのだ

ただ、自身の状況が好転したわけではないし
結果として色々な良くない動きも誘発させてしまった
責任の取り方も含め、やはり先々のことを考えると気が重い

「恋人のこととか気にしてくれるなら、あんなコトさせないで欲しいなあ…
 …まあ、軽口なんでしょうけど」

羅刹 > 「ああ。言っただろう。てめぇは仮で、かつ縛られているとはいえ身内になった
そのお前が、俺を完全に守れなくても闇討ちされることは無ぇよ
そうじゃなきゃ、俺は組織の奴らに罰を与えなきゃならねえ」

きっちり働いては貰うがな、と答える
完全に信用できない間柄とはいえ、中に入り込んできて命令に従うのであれば問題ないと
そして、守れなくて文句が出るなら、組織の人間こそ罰を受けなければならなくなるとも

「…はっ、なら精々、その目的は漏らさねえようにしねぇとなァ」

手段は不明だ
だが、あの椅子に縛り付けられた状況であってもこの女は何かをしようとした
そして、できる、と男も感じた
ならば…この『自由な』状況であればそれこそ裏切るのは容易なのであろう

そんな色々な意味で重い存在であるこの女だが、軽々に手放すつもりも無い

「…わかってるじゃねぇか。逆にお前みたいな上玉、利用しない方が不自然だろ
美人に生まれちまったのを恨むんだな。…面倒なことにはならないように手配はしてやる

ああ、交渉でもしてみるか?俺に媚びる代わりに多数とは止めてくれ、とかな」

まあ厳しいが、と。ひらひら手を振って軽く笑う
行為について最低限フォローはするが、利用し尽くすとはそういうことである
相手は言葉の上とは言え、全てを差し出したのだから

責任など、男が考えることでもない。

伊都波 凛霞 >  
「恋人どうこう言っておいてそんなこと言うの?」

どの道それも、軽口や冗談の類だろう
男の変化、と言うよりも違和感か
それが怪我、もしくは状況の変化によるものなのか
自分の立場が捕虜から仮の身内になったからかはわからないが…

「本音はどっちもお断りだって理解ってるでしょうに」

我慢はするけど、と

「お話は…終わったんだっけね。
 私の持ってたグロックくらいは返してもらえると遠距離にも対応できて護衛の精度は上がるかな、っていうのと…

 あの怪異の少女については見かけたらすぐに全員逃げるように言っておいたほうが良いかな…。
 もうわかってると思うけど、そこにいるだけで"有害"な場合もあるから」

能力を詳しく知るわけではない
ただ自分がかつてあれから逃れることも抗うこともできなかったことを考えれば…
少々異能を扱える程度の違反生徒やそのへんの二級学生は成すすべがないことなど容易に理解る

「被害を広げない前提で、協力するんだからね」

慣れない嘘も、そのためならと呑んだのだと、改めて宣言しておく

羅刹 > 「ああ。そうだろうな。
…そうじゃなきゃあ、ンなことにはなってねぇ」

理解はしている
ただの確認である
言葉の上だけでも、命令を遂行する気があるのかと
そして簡単に快楽や絶望に堕ちるならこんな面倒な事にもなっていない

ただの冗談だ、とはっきり口に出してから

「ああ。何も全部素手でやれとは言わねえよ
それくらいは許可する。弾薬も心配するな。

…………そっちについては…逃げても無駄だな。あれは。
状況を詳しくは知らねえだろうが、逃げてた奴もほぼ全て狩られた。
分散して逃がしたが…まるで逃げるルートがわかっていたみたいに、だ。

まあ、だから今のところ対処不能な奴が動いている以上、派手に動く気はねえ。
ああは言ったが…『お前の嫌がる』ことも、しばらくは先延ばしだ。
次は、警邏ルートだのなんだのを教えてもらう。
…メッセージの草案については、こっちから送る。改善点があれば言え」

情報は多ければ多い方がいい
今日は最優先事項を優先したが、次は風紀自体の内情を聞くことを告げて

「無暗に広める気はねぇよ。…鉄火から報告は聞いてねぇのか。無駄な殺しはしねぇ
必要なら、するっつーだけだ。」

無駄の定義もあるだろうが、と付け加え

本来使うのは左手なのか
煙草を変える際に少し眉をしかめる
少ししてから、右手で煙草に火をつけて煙を上に吐き出す

伊都波 凛霞 >  
無駄な殺しはしない、と彼は言う
警邏ルートを教えろというのも、無駄な接触を避けるためだろう
警邏の眼を盗み、悪事を働く余裕は、今はないようにも見えた

無言ではあるが了承を意味する頷きを返す

むしろ、既に出てしまった犠牲が多いことを考えれば
その表情は痛ましく…悲痛なものにもなってしまう

「…まぁ、約束通り言われた通りにする。
 ただ…言われた以上のことは何もしないから」

互いに言葉は十分交わしたと判断し、踵を返す
そこで、あ…と思い出したように

「私は名乗ったけど、貴方のことはなんて呼べばいいかな」

風紀委員として知る彼の名で呼ぶべきなのか、どうか
とっさに要件を伝えるのにも、名は知っておいたほうが良い

羅刹 > どうせ、例えば今すぐに救出されたとしても被害については明かされるだろうから伝えておく
何を狙ったわけでもないが、煙草の箱がくしゃりと潰された

「…ああ、それでいい。それ以上は望まねえ。
命令されたことをやれ。お前が応える度に、俺も質問に答えやすくなるだろうさ」

別に自発的に動け、働けなどと言うつもりもない
この女が、それほど従順になるはずもないし『自発的に』裏切られても制御できない。
情報という餌を多少ちらつかせ、枷と共に縛り付けて置ければそれでいい

「―――。なんだ。バレてるかと思ったがな。
…羅刹。今はそれでいい。呼びにくけりゃボスでも構わねえ」

人を惑わし、血を啜る悪鬼
その名前を告げて、出ていくなら見送るだろう

その後は変わらず
護衛と共に部屋へと戻され、多少食べやすい食事。
それに、望みの…簡易的ではあるがシャワーも浴びることができるだろう

伊都波 凛霞 >  
男の望みはいつだって高くない
応えられる範囲だけのことを要求してくる
落第街において一党に指示を出す男のやり方にしては…"まとも"だと、感じていた

それから男の名乗った名前は、風紀委員として知っていた名と同じ
確信が確証に変わっただけでもそれは良しとしよう

「わかった。それじゃ羅刹さん。これで」

ボスと呼ぶのはなんだかちょっと、だったのだろう
視線を戻し、そのまま見張りと共に部屋を去っていった

部屋に戻り、ようやくまともに身を清めることが出来て、その日は多少よく眠れたのだとか──

ご案内:「落第街 路地裏」から伊都波 凛霞さんが去りました。
羅刹 > 「――――――――………………」

凛霞が出ていった後。
煙草の火を、ただ吹かす



――――――………、は、、……に、なろうね



不意に血に塗れた記憶が蘇る

それを忘れるように、鬼もまた目を閉じた

ご案内:「落第街 路地裏」から羅刹さんが去りました。