2021/10/25 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
とある廃ビルの地下
『蜥蜴』のアジトの一つ
佇む少女、手元には組織から受け取った連絡用の端末が朧気な光を発している
「(…こんなにたくさん仮のアジトがあって、それを点々とした上で、連絡が来るのも仮のアジトから。そりゃ、早々に尻尾なんて掴めないワケだ)」
かつて自分も追った、落第街内での武器の流通
尻尾は見せても、決して本体に辿り着かない絡繰の一つが恐らくコレ
落第街は広く、どれだけ風紀委員が摘発に動いても
或いは彼の者のように広域を焦土に変えようと、これらの病巣を探し切れない
不法入島や、転移荒野から転移者などが次々に訪れることも理由となっていたが
少なくとも、今の風紀・公安程度の規模では"場当たり的な対処"にしか留まれないのが現状だった
かといって、やらないという選択肢も勿論ないのだが
──さて、本題はそれじゃない
端末に届いた内容に眼を向ける
■伊都波 凛霞 >
見張りの一人が手渡したそれに記されていたのは
──風紀委員に向けての、"伊都波凛霞"からのメッセージ
つまり、『蜥蜴』にとって都合よく作られた偽りの内容を記したものだ
───
『現在 例の違反部活のリーダーに取り入って潜入中。だから手短に
この組織のリーダーは慎重だから、強引に検挙、あるいは殺害しても意味が薄いと私は判断してる
必ず、そうなってもいいようにこの組織は準備している
だから、不安の種を残さないなら、一網打尽にするしかない
そのための情報を集めている
また隙を見て連絡するから 待っていて』
……内容の草案は以上
心情的には、既に件の怪異によって夥しい犠牲が出てしまっている以上…胸の痛む内容ではある
潜入目的ならば最初から風紀委員に伝えていないのはおかしいし、
自分、伊都波凛霞ならば尚の事、そんなことをするはずがない
そう感じる者も、親しい者の中にはいるだろう
…それ以外は、いかにも"らしい"内容
「…これで、皆納得するのかなあ?」
うーん?と小首を傾げながら見張りに声をかけるが 「さあ」 といった身振りが返ってくるだけだった
■伊都波 凛霞 >
……さて、思案する
このままでOK、と返事をすれば…勘の良い風紀委員は間違いなく不審に思う
偶発的に組織のリーダーと接触したにしても、そこですぐ本部に連絡もせず潜入するという行動は、自分は取らない
問題は、不審に思わせて良いのか、良くないのか
彼、羅刹が約束を守ったことで、多少なりと外の情報が入るようになった
勿論全てではないだろうけれど、少なくとも彼…鉄火の支配者は烈火の如く破壊行動に移ったりはしていない
それは、喜ばしいことだった
彼一人でも思慮深く動いてくれるなら、あえて不備の残るこのメッセージを送る意味は…ある?
人の心は読めない、だからこそ……不安は募る
かといって
この組織の思い通りになっては、結果としていずれ彼らが危険に晒される
それだけは避けなければならない
「……うん」
「いいんじゃないかな。これで」
言葉と共に、端末を見張りへと手渡した
ご案内:「落第街 路地裏」にモノ・クロさんが現れました。
■モノ・クロ > 悲鳴が聞こえる。
逃げ惑う人々がいる。
散り散りとなり、無我夢中で走る人がいる。
そこに、厄災が現れたから。
「何もしてないのに……うーん、嫌われ者になっちゃったなぁ」
呪紋を手足としながら、路地裏を歩く。邪魔が無いのは良いのだが…情報が欲しいのに情報を手に入れる為の術が逃げていく。
これはちょっと良くないなー、と。気楽に考えている。
地下にいる凛霞お姉さんには、気付いていない。
■伊都波 凛霞 >
ちょうど、見張りの人にそれを伝えた直後
慌ただしく入った連絡に、見張りが応答し、何かを大声で叫んだ
すぐに緊急の事態だと理解った
…少なくとも鉄火の支配者じゃない それなら砲撃、炸薬…
何かしらの大きな音が必ずする
と、いうことは、もう一つの予測が先に立つ
「…地下からの脱出方法は?」
ゆっくりと立ち上がって、天井を見上げる
『非常用の脱出経路がある』
「じゃ、みんなはそっちから逃げて」
そう言うと、床を蹴って走り出す
悲鳴が聞こえる、その中心に向けて階上を目指した
■モノ・クロ > 「うーん、独りぐらい無理矢理捕まえたほうが……でも捕まえたら死んじゃうしなぁ…どうしたら良いんだろ」
このところずっと悩みっぱなしだ。自分の考えでも、誰かの考えでも。どうしても、何か間違っているような気がしてしまう。
狂った価値観の中で、自問自答する。答えなんてありはしないのに。
「見つけて、助け出して…助けるってどうすれば良いんだろ。連れ出すだけで良いのかな」
■伊都波 凛霞 >
階段を一つ、二つ
非常用の通路から逃げる組織の人間とすれ違いながら進む
監禁されていたし、多少鈍っているかとおもったがそうでもなかった
件のリハビリで普段の3倍動いておいたのが功を奏したらしい。偉い私
やがて、災厄の佇むその現場へと辿り着く
「──…ふぅ。 …久しぶり」
相対する見知った顔に、そう声をかけた
■モノ・クロ > 「ん、あれ……凛霞お姉さん!?」
驚いた様子を見せて。赤い瞳が凛霞を捉える。
その瞳を見れば、見知らぬ視線が張り付く呪いが掛かるが…掛かったとて、以前感じたほどのものは感じられないだろう。
「心配したよ!捕まったって言うから!」
衝動的に抱きつきに行こうとして…止まる。
そういえば自分が抱きついたら駄目だった。
■伊都波 凛霞 >
「…ごめんね」
──この無邪気な子の影響でどれだけの犠牲者が出たことだろう
「大丈夫。私はこうして、無事でいるから」
子供を諭すような柔らかな声色で言葉を投げかけながら、
自分の眼の前で足を止めるモノへと微笑む
視線から降りかかる呪いは…慣れたもの
それでも以前程の強度は感じられなかった
「……私のこと探して、ここにきたの?」
■モノ・クロ > 「うん、そうだよ!風紀委員の人…理央さんだったかな?その人に、凛霞お姉さんが捕まったって聞いて。探してたの!」
そう、探し出そうとして、あの災禍を引き起こした。邪魔なものを退かすつもりで…殺して回っていた。
「無事?本当に…無事なの?なんか無理してるように見えるけど」
覗き込む。凛霞お姉さんの感情を見るように。
■伊都波 凛霞 >
肉体的にはもちろん無事だ
精神的には、無理はしてるかもしれない
けれどそれは
「そうだね。…少しだけ」
心を痛めている大きな要因は、モノ達による災禍
自分が捕まったことで出た多大な犠牲の数々に、大きく傷ついた
隠そう、とは思わない
無理をしているように見えるなら、その要因がモノ達の行動であったこと
それをひた隠すには、犠牲が大きすぎた
「…だからもう、おうちに帰って」
少しだけ悲しげに眼を細めながら
小さな子に言い聞かせるよう、優しい声色で…そう伝える
■モノ・クロ > 「ん。じゃあ、一緒に帰ろう?」
モノは見抜けない。
凛霞お姉さんの心労は見抜けても、その原因を見抜けない。
犠牲、という考えがない。彼らは『自殺』したのだから。
■伊都波 凛霞 >
「ごめんね。まだ帰れないんだ。
まだやらなきゃいけないことが色々あってね」
もう一度、小さく謝りながら
「モノちゃんは、帰らなきゃいけないし、
もう此処にも来ちゃいけないの
…沢山、人が死んじゃうから」
僅かに言葉を詰まらせつつも、そう伝える
「私のことを心配してくれるなら、言う通りにして欲しいな…」
■モノ・クロ > 「……んー。やらなきゃいけないこと、かぁ。」
うーん、と。考え込んで。
帰らなきゃいけない、って言っても。自分は帰る場所なんてないし。
ここに来ちゃいけないのは、人がたくさん死ぬから。
私がこの呪紋を使ったせい、って凛霞お姉さんは考えてるのかな。
「凛霞お姉さんと一緒にいる、っていうのは駄目なのかな?帰れないなら、せめて一緒に居たい。理央さんにも、見つけたって言わないといけないし」
■伊都波 凛霞 >
「駄目。余計に誰かが死ぬことになっちゃうから
私のやらなきゃいけないことも、出来なくなる」
この子には、きっと此処には居場所がない
人間に囲まれた場所で過ごすのであれば、人間の考え方や倫理に則らねばならない
この子には、きっとそれができない
少なくとも…今の時点では
本当なら、この子を悲しませるような言葉を口にしたくはなかったけれど
「私が此処に居たことも、理央くんには内緒にして。
…一方的に言うばかりになるけど、それが最善。…約束してくれる?」
■モノ・クロ > 「……………」
考える。
私が一緒にいたら余計に誰かが死ぬ?
理央さんにも内緒?
最善?
やらなきゃいけないこと、って何?
「わかんない」
やってほしいことばかり言われて、自分のことは何も言わない。
「教えて」
納得できない。
「やらなきゃいけないことって、何?」
このまま言うことを聞くだけじゃ、駄目だ。
「理央さんにも内緒にする理由は、何?」
だから、聞かないと。
「私がいたら誰かが余計に死ぬって、どうして?」