2021/11/10 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にさんが現れました。
> 「あ”〜、せっかく面白そうなもん観れると思ったのにこれじゃ骨折り損だな」

人気のない路地裏、悪態をつきながらとぼとぼと歩く男が1人。
苛つきながらも、少々口惜しそうな表情である。

風紀委員の圧倒的な戦力に晒され辺りは瓦礫で埋まり、生命が呼吸をする音さえ聞こえない。
彼の耳障りな嗄れ声さえ除けば、静寂に包まれた寂しい空間だ。

「『人类随時重复戰争(いつの時代でも人は争いを繰り返す』.....ねェ....」

今から数えて幾千年くらい前だったかに誰かから教えてもらった言葉。
全てを頽落させて、煩悩に溺れ悪徳に塗れてしまった今となってはその人の名前や声、顔だって思い出せない。

ただ、上着のポケットからはどこか懐かしい「あの日」のような梅の花の香りがする。

> この街のありとあらゆる生命の発する悲鳴、慟哭、断末魔。
誰かの命が終わる瞬間、そして目の前で大切なものを失い、人間が壊れる様を彼は観たがっていた。

だからこそはるばる転移荒野を迷いながらこの落第街へと足を踏み入れたのだが.....

残念ながら彼の望んでいた光景はとうに見られず、薬莢や瓦礫などの無機物の破片が散らばっているのみである。

「せめてグッチャグチャの死骸とか有ればまだ報われたのに....どうも救われねェなァ 、俺って奴はァ 」

仏様はどうしてこんなにも自分の思い通りに事を進ませてはくれないのか、答がとうに分かっているような問いを図々しくも夜空を見上げて投げかける。

その問いかけは彼がかつて信仰し、そして捨て去ったとある上位存在に向けられていた。

> ふと、黒く立ち込めたような重苦しい空に小さな星が蒼く瞬くのが見えた。
その輝きは一瞬。
宝石のように美しく、羽虫のように儚く消える。

「....成る程ねェ.....」
誰かが“答えて”くれた気がする。
夜空を見上げる男は小さく呟き、くつくつと笑い出す。

神や仏、この世に生を受けた衆生が追い縋り、心の拠り所に仕立て上げた超常や異常。
この島にはその領域に届き得る“逸材”がいるようだ。

「この島ほんと面白ェな...」
ニヤけ顔もそこそこに、散策を再開する。