2021/11/11 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にさんが現れました。
> 「.....しょッぱいなァ....」

結局あちこち徘徊して廻って見つけられたのは原型をとどめていないほど損傷した小動物の下半身のみ。
男は躊躇いもなく右手でそれを持ち、顔に近づけた。

「.....三毛の猫ッてとこか。
ハハ、臭ッさ」
腐臭の漂う生命の容れ物だったものは今や蛆虫の巣窟と化し、うねうねと蠢く白い粒が何となく無常感を醸し出す。

男は猫の死骸を顔から離すと、近場のビルの残骸にそれを押し込む。
建造物の外壁であったであろうそれはヒビを表面に走らせながら猫の死骸を飲み込んでいく。

「まァ、適当に埋葬してもらえや。
優しい優しい誰かによォ」
壁にめり込んだ猫の下半身は彼なりの墓標のつもりか、それとも小さな生命への冒涜か....。
いずれにせよ、普通の人間にはとても理解のできる所業でないことは明白だろう。

「帰るか」
これ以上面白そうなものが見つかる気配はない。
今日はさっさと帰って寝るのが吉だ。
今度からは直接戦闘を近くまで観に行こ、と思いながら彼は帰路に着く。

「収穫らしい収穫といえば....あの神に近い者くらいか」
生命の最期、壊れる人間。
それと同じくらい面白そうな存在を感じ取れたことに愉悦を感じつつ。

ご案内:「落第街 路地裏」からさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に雪景勇成さんが現れました。
雪景勇成 > 「――あ?」

煙草を蒸かしながらゆっくりと私服姿で路地裏を歩く。
ここ連日は特務広報部の端くれとして、色々動いていて正直ダルい。
そんな中、気紛れに繰り出した落第街の路地裏の一角にて。

「……また、地味に悪趣味だな。」

とある崩れかかったビルの外壁らしき一角に減り込んだ――小動物の下半身。
既に蛆などにかなり喰らわれて骨もあちこち見えている有様であるが。
それを淡々と眺めつつ、普段ならさっさと気にせず立ち去る所だったのだけども。

腐臭が微かにこちらまで漂い始めるのも気にせず、その生命の”残骸”を眺めながら、軽く指を鳴らす。

――直後、一本の異形の大剣が虚空を裂いて出現し――その残骸を貫き潰しながら壁に突き立った。

――歪な剣の墓標――…まぁ、単なる気紛れだ。特に同情や哀れみなど無い。
そもそも、この辺りを派手に潰したのは多分己であろうから。

雪景勇成 > 既に衝撃と勢いで跡形も無くなったソレ。異形の剣は深く壁に食い込んでそう簡単には抜けないだろう。
仮に抜けても、それを合図として剣は自動的に砕けてしまうだろうが。

「………意味のねぇ事してんな、我ながら。」

やってから煙草を蒸かしつつ剣の墓標を一瞥して。たかが小動物一匹死んだ所でどうでもいい。
少なくとも慈善的な気持ちではないのは確か――つまりは、ただの気紛れではあると。

それっきり興味も失せたのか、再び気だるそうに歩き出す。
この辺りの寂れ具合は前からだが、今は特に顕著であろうか。

とはいえ、動く者は各々動いているであろう。たかが戦争程度でこの街がどうこうなるとは最初から思っていない。

(つーか、それで滅びるくらいの街なら、とっくにもう無くなっててもおかしくねーし。)

雪景勇成 > 当人達がどう思い、どう考えてるかなど知らないし知りたいとも思わない。
考えや思いは共有するものではない――その個人だけのものだ。

「―――盛大な”茶番劇”にならねぇといいんだけどな。」

ボスも連中も、自分や他に動いている奴らも。
時々、歩いていると唐突に見覚えの無い景色を見る事がある。
…見覚えが無い、というより忘れているというべきかこの場合は。

(…仮に直近の”欠落”があるとなると、それはそれで面倒なんだが…。)

心の中で一人呟く。彼にしか分からぬ”代償”。些細ながら積み重なれば自己を崩すモノ。

ざっと思い返す限り――致命的なモノはまだ無さそうだ。
ならば、それでいい。煙草の煙が歩くたびにゆらゆらと夜道に靡く。