2021/11/14 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に柊さんが現れました。
■柊 >
「随分と派手にやりましたねぇ」
落第街の様子を見て 路地裏へと
これでは収入は大幅な減少だ
まだ無事な場所や黒街に債務者がいるとは言え、だ
「風紀共が……こっちを人間としてみてやがらねぇ」
もうすぐ完済して自由になるものもいた
金を借りてどう自分の道を切り開こう そう思うものもいた
それが、塵芥のように消え去った
薄情を気取っていてわりと感情的に動くこの男 怒りは当然ある。
そこに、着信音がなる ポケットから携帯を取り耳に当てた
■柊 >
「どうしましたタカハシさん」
携帯の先は此方の右腕のタカハシという軍隊上がり
此方よりも情が深い男は、これからどうするべきか悩んでいるようだった
「泣き言とは珍しいですね ですがまぁこの状況ではねぇ」
相槌を打ちながらタカハシの言葉を聞く
ついには、例の組織への金や武器の供給をやめようという
理由は、金の確保だ 随分と目減りして今は半分程度と言ったところか
「それは出来ない相談ですねぇ
この状況でやめるなんて断固としてありえません
なぁに、黒街からの取り立てを厳しくすればいいだけですよ」
金を払うきのないもの 逃げ出そうとしているものなどがその対象だ
「なにより、私はあの男に賭けたんですよ
それが、賭けて一度負けたからって手を引く? ありえねえだろ」
博打打ちとしては どうなのだろうかという思考のそれ
「破産してまで賭けて負けて そこからですよ、今後どうするかは」
■柊 >
あの少女も無事に逃げ切れただろうか そこも気がかりだった
崩れかけの壁 そこに背を預け、未だ泣き言を続ける部下へ
「いい加減黙りなさい いい男が見苦しい
破産した時は組織を畳みます。あなた方へも退職金は払う
だから安心しなさい。居場所なんてものは無限にありますよ」
ついには此方の心配をしだす右腕にため息が漏れる
「私のことは良いんですよ。畳んだあとのことも考えてあります」
実のところは全く考えていない わざと、考えていない
それは退路を断つためでもあり 自分への叱咤だ
「ははは、どうするかは秘密です 驚きますよ?」
その後、業務に関する事柄のみを話して 通話を切った
「ネズミ共が……ばんばか壊しやがって」
生活するこっちの身にもなりやがれ
毒づきながら 懐から煙草を取り出す 何年ぶりだろうか
「すぅ……げほっ ごほっ
はぁ、慣れないことはするもんじゃありませんねぇ」
それでも、吸い続けて 目を浮き上がる煙へ向け、ため息を
ご案内:「落第街 路地裏」にロアさんが現れました。
■ロア >
闇が光で照らされるとどうなるか?
そこに隠された何かは確かに暴かれる。光に負ける何かもあるだろう。
しかし、ああしかしだ。
闇の中に何か物体があるかぎり、照らされれば、新たな影は出来るもの、
暗い所はより暗くなることも、また必然ではないか?
落第街、此処は常世島の行き止まりのどん詰まり。
どれほどに照らされようと、そこに在り続ける。
あぶれて堕ちて来る何かは常にいる。
柊が路地裏の鈍い灯に立ち上る煙を見つめていると、
視界の端で何かが蠢いた。
誰かが柊を見つめている。
それは1つではなくて、多く、多くの眼、目、瞳の視線。
それと同時に人間にとっての悪寒が走る。
何かしらのヨクナイモノ
何かしらのフコウ
何かしらのサイヤク
何かしらのカナシミ
そういった何もかもの良くない予感をかき集めて、
背筋に流し込んだかのような。
はじめまして、"雲雀"、雲の雀、日晴を飛ぶ子。
空高く飛び立つ準備は出来ただろうか?
はたまたこの戦火の果て、地に堕ちて闇に喰われるか?
それとも"柊"に込められたように、
先見の明にて家族を護ろうとしているのか?
『ギャッギャッギャ……』
鴉の鳴声のような、しわがれた笑い声が聞こえる…。
■柊 >
視界の端で何かが蠢く 瞬間
人間が感じてはいけないような そんな気配が背筋を凍らせた
煙草を捨て腰のナイフを勢いよく引き抜く
「な…んですかねこれ」
様々な感情が 此方を見ている
様々な予感が 背筋に叩き込まれる それは、どれも良くないものだ
相対してはいけないものに 相対してしまったようだ
何を言っている 化け物は 何を言っている?
聞こえた、嗄れた笑い声 ナイフを構え笑い声 その主を探す
「……ご用件をどうぞ?」
今までで出会ったことのない これはなんだ
■ロア >
捨てた煙草が落ちる先、ギョロリと眼が覗く。
消えてない火が灯があるはずなのに、落ちた先それは路地裏の闇に喰われて消えた。
見ている、みている、ミテイル。
この落第街が何故に落第街であるか。
何故その存在を看過し、常に在り続け、一部が焼かれても存在し続けるか。
内側から零れ落ちるモノの受け皿、外より来たる最後の受け皿。
外から島を見ている何かの潜む場所。
数多の柊を見ていた眼が寄り集まるように固まり、
やがてそれは腰の折れ曲がった老婆のような"ナニカ"が姿を現す。
今は柊よりも小さい、150cmにも満たないような。
砂漠色の布を被ったその奥で、翠紅色の眼が爛々と愉悦に輝いている。
老婆のその下肢では、未だに数多の眼がギョロギョロと、柊を見ている。
『浮かなイ声を、聞いダ。
ゴんにちハ、闇夜に彷徨ウ迷いゴ、どうしタ、どうジダ?』
柊は問いかけてしまった。
問答をしようとしてしまった。
ならば、そこには薄くも"縁"は結ばれる。
『困りゴとかい?
こんナ場所で、弱った雛ガ、何故鳴いてイル?』
■柊 >
見られている 見られている
数多の目に、見られている
これは、此方のようなものが相対してはいけない何かだ
逃げなければ そう判断を下すのに 足は震えて動いてはくれない
寄り集まっていく瞳の先 それは老婆のようなモノへと
一瞬 見えた老婆の瞳の色は 邪悪すら感じる愉悦
これに嘘をついてはならない 見透かれそうだ
そう感じたが、故に本当を話そう そう決めた
「ええ、ご挨拶どうも 少し現状を憂いているだけですので」
見て分かるでしょう? ボロボロになった、落第街 それを横目に肩を竦め
「ええまあ、力がなくて困っていたんですよ
組織の金も半分を切り……と、話してもどうにもならないでしょう?」
聞いても面白くもないしどうしようもない
そう 言外に告げて、老婆の姿をした化け物
それが此方を見逃してくれるよう願い 人好きのする笑みを浮かべて
■ロア >
足は動かずとも、言葉を紡ぐ胆力が柊にはあった。
それは本能かもしれない、けれども、
それは仮にも人を束ねているからこそとも言えるのかもしれない。
その胆力を称賛しよう、今宵の出逢いの縁に祝杯を。
『それハ、ゾれハ。
この闇のナカ、憂い傷ヲ晒す余裕ガある。
食べてシまいたくナる。ギャッギャッギャ……。』
これは忠告かもしれない。はたまた気まぐれかもしれない。
闇の中に開いた足元の穴に気付かないように、
いつだって此処は更なる闇へ誰かを手招きし続けている。
今柊の目の前にいる何かとて、そうだ。
『迷いゴ、惑イ子、面白イこどを言う。
力は手に入れよウと思えバそこかしこにあル。』
手段を選ばないならば、柊に差し伸ばされる手はそこかしこにあるだろう。
だが、それは油断をすれば、
目前の化物のような、いや、もっと悲惨な何かに喰われる可能性もある。
引き際を見誤れば、雲に届くほど飛べる雀の小さな翼は手折られてしまう。
『この街モ、時間が経デば、また新ダに混沌に満ぢる。
暗がりハ照らさレテ更なる影へ、闇へ。
此処がこれホドになったノは、そう珍しイ事でもナい。』
その度に失ったモノはある。その度に消えた命は数多にある。
しかしそれもまた、この常世島の日常の一つ、群像劇の一つ。
切れた尾の断面から伝う血は、いつか本体を指し示す。
『それデ、どうスルづもりなンダイ?』
未だ舞台の上に残るというのなら、柊はどうする?
こんな異形に言う義理など在りはしないが。
■柊 >
言葉を紡げたのは 半ば本能でもあった
紡がなければどうなるか分からないという 不安
長年この街に潜っていたから というのもあるかも知れないが
「あはは、食べるとは物騒な
比喩表現であればもう少し若返ってください?」
余裕があると たしかにそうかも知れない
此方はまだ資金しか失っていないのだから
人は少ないが残っている
だが、この眼の前の化け物はそんな余裕すら打ち砕いた
「ほお? そんなにお手軽であったのなら苦労はしなかったんですがね
どれもこれもお手軽そうじゃないので止めておいたのですよ」
そう、どれもこれもが手軽とは言い難い
だがそう、此方ももう少し犠牲を払わなければならないやもしれない
だが、その引き際が難しい 力を手に入れるとは、そう簡単なことではないと
目の前にいる化け物がそう教えてくれている。
「ははは、そうかもしれませんね
ですが私はショックを受けておりますよ 今の、この現状に
今を生きる人間は、どうでもいいと?」
たしかに時間が立てばもとに戻るだろう
新たに戦火が交わるだろう
だが、今を生きるこの街の人間はどうなる
人間はいつだって今を生きている そう、思っている
「どうする、とはまた……どうしましょうね
私は……私は……」
風紀に復讐? もとよりそのつもりだった
ではどうする? 自分に問いかけても、答えはいつも一緒
「そうですね……舞台の袖から、では文句を言う資格もありませんか
舞台に立つだけの……力がほしい。風紀に、復讐を果たしたい」