2021/12/11 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にノアさんが現れました。
■ノア > 「さて、本腰入れて調べていくか」
目下の調査対象はかの斬奪怪盗を筆頭とした落第街の危険人物。
先日出逢った男、紅龍の依頼でもあるが、いずれにせよ知らぬまま捨て置けるような事ではない。
ここ最近現れた面々による血生臭い話は途絶える事が無い程なのだから。
「……あの怪盗は電柱に恨みでもあんのか?」
今更一本二本へし折れたところで、街の機能に影響が出るような物も無いが
彼の戦闘の痕跡を追うたびに無残な姿になった電柱を見かける。
■ノア > 「斬奪怪盗ねぇ」
未だ拭われる事も無く残る赤黒い血の痕に触れ、その記憶を辿る。
纏わりつくネバついた殺気、死を直前に感じる抑えがたい恐怖。
今、自身の身に襲い来るものでは無いと知りながらも、背中を嫌な汗が伝う。
ひけらかすように力を振るい、脅し、命を奪う。
見せつけるような彼の振る舞いはどこか歪で。
「なんか、違和感があるんだよな……」
人間離れした動きをするが、イヤに人間臭い感情の起伏がある。
持って生まれた強さや、努力や経験に裏打ちされた物とは違って見えるのだ。
彼と交戦したガスマスクと言い素性が知れない事などこの街では茶飯事だが。
流れの殺人鬼か、あるいは表の学生の憂さ晴らしか。
後者なら既に光の中を歩くのも息苦しくなっていることだろう。
元よりあれ程の実力があれば、自然と表に裏にその姿は知れているとは思うが。
■ノア > 「危険って手合いなら、あいつもか…」
ダスクスレイと遭遇した際に、彼の意識を一身に受けてくれた紫髪の女。
正義の味方では無い事だけは、己が眼が語っていた。
調べの付いている限りでは平時に於いて、誰彼構わず襲う類の人間でないというのが救いだろうか。
話せば理性を持った言葉が返ってくるという声も聞く。
ダスクスレイと違い、彼女自身が名乗っている事もあってか、
少なくとも自称している名が『八ツ墓千獄』であるという事は知れている。
刀剣の類が絡まない限りは、比較的安全。
ただ、直近で風紀委員の腕章を付けた学生が数名、彼女の手で屠られたという話もある。
彼女にとって、他者の命よりもよっぽど優先されるナニカがあったのであろうとは推測できるが、
理解の及ぶ物ではなさそうだ。
「刀だとかナイフだとか使う事があるなら、おっさんも眼ぇつけられんのかね」
彼の武装がバケモノ殺しの長銃を始めとした銃器の類だけとは限らない。
が、今は次なる災難に彼が出会わない事を祈るほかあるまい。
■ノア > 頼みの綱は、ガスマスクの彼か。
「マジで正義のヒーロ―だったりしてくれりゃ良いんだが」
ダスクスレイとの交戦履歴とその姿も相まって、噂は絶えない。
帯刀こそしていたが、メインで使用していたのは何らかの異能と銃器の類。
変に勘づかれかねなかったからこそ深追いこそしていないが、
"表"に消えた事までは視認している。
脅威というよりは、落第街の自治側だろうか?
■ノア > 「後は、カメラの映像くらいが収穫か」
巻き添えになって完全にお釈迦になった物とばかり思っていたが、
回収した残骸に内蔵させていたストレージには、やや遠巻きではあるが、
ダスクスレイと風紀委員ツンツン頭の戦闘映像が残っていた。
ひとまずは、紅龍への土産にはなるだろう。
あとは、調べるとすれば紅龍自身の過去か。
今の所属は調べる、と言うほどの苦労も無く知れたが、
過去となると途端にブラックボックスになる。
存在しないのではなく、意図的に隠した作為的なニオイ。
セキュリティのレベルは、軍事機密らしい。
コレばかりは、少しずつ調べていくほかあるまい。
下手にいきなり踏み込めば、紅龍ではなくもっと大きなモノに目を付けられかねない。
「――お?」
そんな事を思いながら落第街の路地を抜けた先には、つい先日話したばかりの紅龍の姿。
おっさん、と声をかけようとした所でその長身の陰に隠れていた
傍らの異質な存在に気が付く。
見覚えのある飾り気のないセーラー服に黒い髪。
「……火遊びするタイプにゃ見えなかったんだが」
苦笑しながら、煙草を取り出し火を付けた。
くゆらせた紫煙の奥、見知った顔の二人の姿。
無意識に起動した己が異能は、なぜだかそこに三人目の存在を告げていた。
ご案内:「落第街 路地裏」からノアさんが去りました。