2021/12/19 のログ
紅龍 >  
「――くっく、やめとけやめとけ。
 苦手な隠し事は、余計なボロを出すだけだぜ。
 隠し事をするときゃあ、いくらか本当の事を混ぜ込むもんだ」

 『タバコ』に火をつけながら、忍び笑いを返してやる。
 なるほど、まさにルーン魔術か。
 魔術を扱えるってのは便利なもんだ。

「しかし、さっきの連中は逃がしてよかったのか?
 ああいう手合いは、逃がすと仕返しに来るぞ」

 煙を細く吐きながら、男どもが去っていった方向を顎で示した。
 

ガスマスクマン > 「あ…はぁ、くそっ」

今まで、色んな人物と出会ってきたが、この人はしっかりとした『大人』だ。
自分とは圧倒的な経験の差があり、下手な嘘は通用しないと頭を抱える。
『タバコ』を吸っている様子をチラッと見ながら、メイスを壁に立てかけて
壁に寄りかかって腕を組む。

「仕返しは来る、だろうけど…
 同時にああいう手合いはロボットが無いとイキれないものさ
 数週間、数ヶ月は何もしてこないだろう」

破壊されたロボットを指さす。
よく見れば、装甲やライフル、爪の規格がバラバラ。
ジャンク品をパッチワークでくっつけたツギハギだらけの粗製ロボットだ。
恐らく、パーツを集めるのにも相当な時間が掛かったのだろう。

なので、仕返しに来るとしても当分先、と彼に説明して

紅龍 >  
「――なるほど、情報の分析も出来るか。
 頭の回転は早いみたいだな」

 この程度の開発資本、技術力しかないような連中なら、この街でも木っ端だろう。
 その程度のやつらが、自分たちより格上だと思った相手に仕返しが出来るかってぇと別の話だ。
 先の話どころか、いつまでたっても訪れないだろう。

「ま、オレならきっちり片付けておくけどな。
 この国にゃ、『窮鼠猫を噛む』って言葉があったっけな。
 殺せるときに殺しとかねえと、いつ自分の番になるか分かったもんじゃねえからな」

 冗談交じりに、人差し指と親指を立てて『ガスマスク』に向けてやる。
 

ガスマスクマン > 「へへ、よせやい、照れるぜ大将」

と、冗談交じりに男性に言う。
しかし、声を首輪で変えているせいか、微妙に台詞と声色が合致しない。
それにしてもこの男。やけに自分の事を詮索するような気がする。

まさか、ダスクスレイの仲間か?そんなことを考えて、目を細めて警戒をする。

「人殺しは好きじゃないんでね
 相手が弱い奴なら適当に脅かして逃げるのを見守るのが一番だよ
 それが無理ならこっちが尻尾巻いて逃げればいいだけの話さ」

どれだけ強力な武装をしようと、ガスマスクで顔を隠そうと、中身は小心者の学生。
『人殺しにはなりたくない』という甘ったれた考えを捨てきれずに
自分とは正反対の意見を持つ男性を見据える。

紅龍 >  
「人殺しは好きじゃない、ねえ。
 好き嫌いで選べるんなら、お前さんは随分と恵まれてるよ。
 ――こっちの人間じゃねえな?」

 にたり、擬音でならそう表すように口角を上げる。
 こっち、と言いながら指先で足元を指す。
 今の返答で、九分九厘、裏側の人間じゃないのは確実だ。

「風紀委員ってわけでもねえな。
 学生の正義趣味か、腕試しか。
 なんにしても、お遊びでやるには、火遊びが過ぎるんじゃねえか?」

 火のついた『タバコ』を『ガスマスク』に向ける。
 さぁて、学生さんよ、なんて答える?
 

ガスマスクマン > 「…っ…」

『こっちの人間じゃねぇ』と言われて、言葉に詰まり息を呑む。
この男、自分が落第街の者ではないことを看破している。
ダスクスレイでも自分が表の世界の人間であると看破出来なかった。

今まで出会った人の中で誰よりも頭が切れる。
警戒心をMAXに、メイスの柄に右手を掛けて

「……だったら、何だい。
 あなたに関係あるんですか?」

タバコを向けられて、明らかに声が低くなる。
どうする?正体を完全に看破されたわけではないが、これ以上情報を探られるのはまずい。
攻撃…は論外。逃げるか…?などと考えて

紅龍 >  
「――くく、若ぇなあ。
 なに、心配すんなよ。
 別に『それ』を探るつもりはねえんだ、悪かったな」

 一気に警戒心が上がった。
 さらに体重移動から、戦闘を真っ先に考慮から外している。
 ちょいと正直すぎるが、スジはいい。
 なるほど、人違いではないらしいな。

「お前さんが、『怪盗』とやりあったって聞いてな。
 どんなやつかと思ってたんだよ。
 よくまあ、あんなとんでもない刀相手に五体満足で済んだもんだってな」

 そう言いながら、口に『タバコ』を咥えて、両手を上げる。
 ホールドアップの姿勢のまま一歩近づくが、逃げられるか?
 

ガスマスクマン > 「……いい大人が、子供を苛めるような真似すんじゃないよ
 全く、心臓に悪いぞ」

男の動きを一挙手一投足、生唾を飲み観察していたが
詮索をするつもりではないと言われ、その言葉に嘘の色も見えなかったため、警戒を少し解く。
これ以上、言葉で偽装するのは無意味と判断したのか。
正体をわざわざ隠さないような発言をして。

「怪盗…あぁ、ダスクスレイか。
 確かに奴の刀は脅威だが…
 それよりも、常人ではありえない身のこなしと…強化されたであろう肉体。そっちの方が危険だよ」

両手を上げて近づいてくる男。
メイスを右手で握り、先端をそちらに向ける
『これ以上近寄るな』と無言で圧を掛ける

紅龍 >  
「子供に注意を促すのは大人の役目だろ?」

 ちっとは警戒が緩んだが、それで信用するほどお天気頭じゃないか。
 向けられるメイスを見て、仕方なしと肩を竦めてやる。
 そうでもなくちゃ、今頃こうして話してなんざいられないか。

「なるほど、オレの課題とは反対だな。
 肉体面の強化なんざ、撃って死ぬ程度ならどうでもいい。
 たしかに常軌を逸した動きをしちゃあいるが、頭は人間のもんだ。
 どれだけ体を強化しても、その体で行うのは『人間』である以上、無意識に人間の体で出来る動きに制限しちまうもんだ。
 あの『怪盗』は人間をやめられてねえからな、そこは何とでもなる」

 あいつは確かに『バケモノ』の領域にいるが、生物としての『人間』まではやめられちゃいねえ。
 そうである以上、やつが行動として選択する動きは絞られる。
 おそらく、持ってる行動パターンはオレと大差はないだろう。

「オレにとっては、あの刀がなにを、どこまで、斬れるのかが問題でね。
 お前さんはアレに対して、どう対策したのか。
 そこんとこを、聞いておきたいのよ。
 どうだ、ひ弱なおじさんに教えちゃくれねえか?」

 そうおどけながら聞いてやるが、さて、タダで教えてくれるほどお人よしだと良いんだが。
 

ガスマスクマン > 「……なら、もうちょっと優しく頼むよ、おじさん」

頭を抱えて、おじさんを自称する男性に呆れたように息を吐いて告げる。
目の前の男性が先ほどの違法部活のメンバーのような悪い人物ではないのは今までの会話で
なんとなくわかったが、それだけで警戒を解く程、利口ではない。

簡単に人を信用するな。
それが"ここ"のルールだと、ある人から教わった。

「なるほど、確かに理に適っているな
 でも、あいつ撃っても死ななかったんだが…」

確かに、男性の言うことは的を射た意見だ。
人間という形、概念に囚われている以上、例えば骨や関節の構造を無視した動きは出来ない。
そこでパターンが生まれるから、そこを叩けばいい。

しかし、自分としては身体強化による反射神経と運動能力が厄介である。
実際、完璧に不意打ちを狙った顔面への弾丸も強化されたであろう歯で防がれてしまった。

「対策。対策…
 銃を撃ちまくった……?」

別に隠す必要もない。
が、当時の事を思い出せば、自分は銃弾の弾幕を作っていただけ
特殊なことはしていないはず…と思っていたら

「あ、あとこれを使った瞬間、動きを止めたような…?」

そうして思い出したようにポケットに手を入れれば、バレないようにポケットの中で異能を使用。
銀色の球体を取り出して、彼に見せる。

紅龍 >  
「あん?
 多分死ぬぞ、あいつ。
 44AMP弾も700NE弾も避けたからな。
 少なくとも当たったら無傷とはいかねえんだろ」

 ダメージがささやかにでも入るなら、続けていりゃあいつかは殺せる。
 殺せるなら、こちらの攻め手としては問題ない。

「撃ちまくった、ねえ。
 あいつ、刃を飛ばせるだろ。
 そこの対策ができねえんだよな」

 取り出されたのは銀の弾――いや、ただの球か?

「なんだそりゃ」

 顎に手を当てて首を傾げるはめになった。
 

ガスマスクマン > 「確かに、ダメージは食らっていたけども…」

この男性、脳筋か?
確かに弾丸を撃ち続ければあの怪盗は殺せる。
というか生き物なら大体殺せる気がする。
問題は、殺せる場面まで怪盗さんが付き合ってくれるかどうか、だが

「飛ぶ斬撃、の事ですか?
 それは、俺の時にはしてこなかったな…」

似たような地面を割る斬撃はしてきたが、と付け加えて顎に手を添える。
結構器用なんだなと感心していれば、斬撃の対策を考えてみる
自分なら…どうしよう。装甲で防ぐとか?

「名前は…爆縮グレネードって事で」

ポイっと数m先にそれを投げる。
地面に銀球が命中すれば、『爆縮』する。
対消滅のような黒い真空の爆発が起こり、地面を半球状に抉り取る。

紅龍 >  
「傷つけられるなら、殺せる。
 ここに例外はねえよ。
 んで、殺せるんなら後はどうやって殺すか考えるだけだからな」

 実際に殺せるかどうかは置いておくとして、だが。
 そこまでの道筋を作れるかは、オレの経験が通じるか次第だ。

「なんだ、そいつは運がよかったな。
 ――いや、それとも無暗に使えるもんじゃねえのか?」

 だとしたら、常に防がなくてもいいのならチャンスはあるんじゃないか。
 ――とか考えていたらとんでもねえもんが転がりだした。

「おいおい――さらっとやべえもん出すんじゃねえ!
 んなもん使われたら、誰だって警戒するわ!」

 恐ろしい兵器だ。
 こんなもんを普段から持ち歩いてるのか――?
 いや、違うな。
 うっかり『誤作動』したら自分が死ぬようなもんを、これだけ頭が回るヤツが持ち歩くはずがない。
 となると――作ったって所か。
 転送は結局保管が課題になる以上、難しいはずだ。

「ったく、お前それ、人間相手に使っていい兵器じゃねえよ。
 オレが言うのもなんだが、そんなもん、よくまあ涼しい顔して持って歩けるな」

 まあ、綺麗に喰らえば即死って意味では、多少人道的かもしれねえが。
 

ガスマスクマン > 「プレデターかよ。
 お前はアーノルド・シュワルツェネッガーか?」

『血が出るなら殺せるはずだ』理論を展開する男性にそうツッコミを入れる。
ともかく、そこまで自信があるなら本当に怪盗を打倒しそうだ。
怪盗に何故そこまで固執するのか、そこは追及せずに

「さぁ……?」

ともかく、自分には使われなかった
使う隙が無かったのか、気分だったのかはわからないが、と

「はは、やっぱりこれって初見のインパクト凄いんだな
 怪盗の動きが止まった理由が分かったよ」

考えてみれば恐ろしい兵器だ。
実質、防御不可の爆発。
先ほどまで涼しい顔だった男性が焦っている様子に少しだけ愉快になって乾いた笑い声を発して。

「待て待て、ダスクスレイに直接使っちゃいないよ
 奴の大好きな電柱攻撃を防ぐために使ったんだ
 あくまで防御だよ。防御!」

俺がそんな悪魔に見えるか?と胸に手を当てて弁明する。
実際、本当にダスクスレイを殺すつもりだったら、これを大量にポイポイ投げていた。
これを使った理由は電柱攻撃を防ぐのに合理的だったため、と説明して

紅龍 >  
「残念ながらムービースターにはなれねえな。
 狩人ではあったけどよ」

 それも『バケモノ』専門のだ。
 そりゃあ、多少の暴論くらいは通してきたもんだ。

「『怪盗』もそういう意味じゃやっぱ人間だな。
 そんなもん見たら誰だって、使われたらまずいと考えるだろうよ」

 ――悪魔に見えるか、か。
 大層な悪魔に見えるが、自覚なしか。

「防御だろうとなんだろうと、そんなものを所持してるって事に危機感持ってねえのが危ねえんだよ。
 さっきなんで『怪盗』の動きが止まったかわからねえって言ってたな。
 お前が使って見せたのは、大抵の人間なら――いや、超常存在だって十分に即死させられる『兵器』だ。
 自分を確実に殺せる兵器を持ってる相手に、警戒しないヤツはいねえ。
 お前はそれを使って見せた時に、周囲にいる人間全員に、『私はいつでもあなたたちを殺せます』と宣言したのと同じなんだよ」

 それはある意味、銃器や刀剣よりよほど性質がわるい。
 一目で見て理解できない、『確殺』の兵器なんざ、使えるのを見せた時点でそこらの人殺しよりも危険だ。

「お前がどういうつもりでも、お前は周囲に『いつでも殺せる』と宣言した。
 それがわからないままこんなことやってると――お前、『人間』じゃなくなるぞ」

 

ガスマスクマン > 「バケモノ専門の狩人はウィッチャーなんよ
 …あぁ、通りで、この『傷』があるわけか?」

彼の言葉を聞けば、冗談交じりにそのように告げる。
どこまで通じるかわからないが、楽しそうに
自分の左目の部分を人差し指で縦一直線にシュッとなぞって

「そう!だから奴相手には使ってないし、これで誰も傷つけちゃ…」

自分もこの兵器の危険性を十分に理解しているつもりだ
だから、人相手には使っていないし、使うつもりもない。
しかし、次に男から投げかけられた言葉に対しては苦い顔をして

「くっ…忠告、どうも……!」

彼の言っていることは正しい。恐らく、多少は自分を想っての言葉なのだろう。
だが、元々の議題は『ダスクスレイにどう対策したか』という事だったはず。
それを素直に答えたら、説教が飛んでくるなんて

卑怯だな、大人って。
だから嫌いだったんだ。

マスクの下でその男を睨みつけながらも、無粋な反論はせずに
頑張って男の言葉を飲み込もうとして

子供っぽい反抗心と、大人っぽい理性。
その両価感情が青年の中でぐるぐると巡っていた。

紅龍 >  
「これはただのドジった傷だよ。
 単純に消してないだけだ」

 顔の傷を揶揄されるのは慣れてるが。
 ウィッチャーってなんだ?
 映画かなんか、なんだろうが。

「――そう、忠告だ。
 『人殺し』が出来るヤツは、いつでも『殺す』覚悟を持ってなくちゃいけねえ。
 意思も覚悟もねえ殺しをするようなのは、『怪盗』よりも明確に下だ。
 そんなのは『人間』じゃねえんだよ。
 よく覚えておけ、お前はいつだって『人殺し』になれるんだ」

 ――人間は家畜だ。
 だが、人間は恥を知っている。
 無自覚な殺しがどれだけ畜生に劣る行いか、知らなけりゃそいつは――人間じゃねえ。

「――チッ、話がそれたな。
 まあいいや、とにかくヤツは攻撃能力は高いが、防御能力はそれなりって事だな。
 あの『飛ぶ斬撃』か?
 アレの対策はどうにも必須だが、バカスカ撃って来ねえならやりようはある」

 頭をがりがりと掻きながら、頭の中でいくつか対策を組み立てる。
 ついでに、目の前のガスマスクに対しても、十分に殺せる方法をいくつか思い浮かべた。

「取り込み中のところ、邪魔したな。
 貰った情報は十分に活かさせてもらうぜ。
 情報量、まけてくれてありがとさん」

 そう言いながら、さっさと踵を返して背中を向ける。
 背中越しにひらひらと手を振った。

 

ガスマスクマン > (…忘れたくない傷って所かな)

ウィッチャーは流石に通じなかったか、と
消していない傷に何か理由があるのではと勘ぐって
これ以上は下手に触れないようにしてみる

「俺は………」

『人殺しなんてしない』と、口にしようとした。
だが、できる。俺の異能なら、いとも簡単に。
今までの運が良かっただけなのかもしれない。たまたま相手を殺すに至らなかっただけなのかも。
落第街での戦火。その時に、運良く誰も死ななかったが、もし、少しでもヘリの落下位置がズレていたら…

硝煙と銃声に塗れたあの場所を思い出し、手汗が噴き出て、心拍数が上がる

(落ち着け、落ち着け……)

「あ、あぁ…」

意味は無いだろうが、相手には悟られないように短く告げる。
自分を十分に殺せる方法を思い浮かべられているなんて知らずに
心の平穏を保とうと必死になって

「ふん……
 ま、死ぬんじゃないぞ」

男の背中を見て、不服そうに鼻を鳴らせば
小さな声で、その背中に語り掛ける。

あの男の目的がどういうものかは知らないが、ダスクスレイを殺すつもりなら生半可な覚悟ではだめだ。
昨日今日、話してた相手に死なれちゃ目覚めが悪い。
だから…せめて、生き残れよ――――

ご案内:「落第街 路地裏」からガスマスクマンさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」から紅龍さんが去りました。