2022/01/09 のログ
ハインケル >  
「ぁー、んむっ♪」

廃ビルの屋上
その縁に腰掛けて足をブラブラとさせながら、路地を見下ろす

夜の月明かりと寒空の下
薄着を気にした様子もなく愉しげに飴を頬張り、少女は佇む

見下ろす先には様々、住人達の姿
喧嘩、盗み、搾取───

「今日も街はいつもどーり♪」

ハインケル >  
眺めていると、喧嘩は割とすぐに終わったようだ
素人同士の殴り合いなんてそんなもので、お互いの力が拮抗していても騒ぎが大きくなれば…
そう、"素人以外"が場に出てくる
当然、尻尾を巻いて逃げる以外にない
もしくは、両方喰われるか

一方で盗みを働いた少年はといえば、捕まって仕置きを受けていた
…殺されちゃうかな?と頬杖に眺めていると、数発小突かれて放り出されていた。優しい
今日のことを明日に活かせる少年は、明日はもう少しうまくやって、また少し死から遠ざかるんだろう

「……ん」

夜を見通す高い視力を持つライカンスロープの少女、であるからこそ出来る
こうやって見下ろし、睨め回す時間
もちろんいつもどおりの光景が広がっているのが一番、なのだが

すん、と風の運ぶ匂いにもやっとしたものを感じ、立ち上がる

ハインケル >  
少女は目も効くが、鼻はそれ以上によく"効く"
それは物理的なものもそう、ただしそれよりも…

「なーんか、ヤな感じする」

口に咥えていた飴を犬歯でバリ、と噛み砕く

つかつかと屋上の縁を歩き、腰を折って視線を真下の路地裏へ

さっきまでは、男二人が恐らく違反部活の女を口説く…というよりは襲おうとしていたように見えた場所
見下ろす先に人の姿はなく、どこかに行ったのかと思いきや

「よっ」

ひょいっと、小さな段差を降りるように、少女はビルの屋上から飛び降りる
服の裾が捲れないよう手で抑えながら、小さくその唇が動けばその身体を翠色の風が包み…ゆっくりと地面へと降り立った

ご案内:「落第街 路地裏」にガスマスクマンさんが現れました。
ガスマスクマン > 正義のガスマスクマン、参上。

今日も今日とて落第街の巡回、となるがここは相変わらずの場所だ。
さっきまであそこで喧嘩していたかと思えば、収まっているし
窃盗があったかと思えば、犯人であろう少年が拳骨を食らっていたり。

それに―――

(新年早々、『こういう』ことをする輩は居るんだな…)

違法部活の女性を襲おうとした男二人をボクシングとルーン魔術で撃破する。
ボコボコにされた二人は通り一遍の捨て台詞を吐いた後に、どこかへ逃げていった。
その背中をガスマスクの下の瞳で見据えて、呆れたように息を吐く。

「もうイイから、行きな」

女性に対しシッシッと手をスナップさせてはけさせる。
新年が明けても、短絡的な快楽のために行動する者は絶えず、その現状に頭を抱えて呆れる。

「全く…ん?」

そうすれば、通りの先…見えないが、わずかに異様な風が吹き
『よっ』という声が聞こえる。
その先を警戒しながら進んでいけば、ライカンスロープの少女と遭遇するだろうか

ハインケル >  
「どこいったかなー」

ふわりと風に乗るように着地した少女はすんすんと鼻を鳴らし、先程まで此処にいた男女を探すように視線を巡らせる…と

「んん?」

なんかガスマスクをつけて刀を背負った…スゴいのがいた
さすがに大きな赤い目を丸くして、思わず釘付けになってしまうけど

「こんばんわ!怪しいヒト♪」

その数瞬後にはひょいっと片手を挙げて、余った袖をひらひらさせながら挨拶をしていた

ガスマスクマン > 新手か?と警戒するが、遭遇したのは…女の子。
こんな女の子が落第街に?と思ったが、ここはなんでもありの島。
恐らく、特殊な能力を持った子だと考えていれば…

「おっ…ど、どうも、こんばんは」

咄嗟に声を掛けられてビックリ。
自身の首についている機械を操作して、本来の声から低い渋めの男性の声に変化させれば
袖をひらひらさせた少女へ挨拶を返す。

「えっと…キミ、もう遅い時間だし、帰った方がいいんじゃないかい?」

この子が普通の子じゃないのは佇まいから予想は出来た
が、それでも、この子が危険に巻き込まれる可能性は十分にある。
例えば斬奪怪盗…あいつもまだ健在なようだし。

そういうのを危惧して、一応帰った方がいいとアドバイスを投げつける。

ハインケル >  
追うつもりの不穏な匂いは立ち消え
解決したのか、それとも何処かに行方をくらませたのか
それより今は目の前のガスマスク

異様ないでたち
この辺りでもそんなには見ない、かな?
そんなことを思いつつ、そういえばなんかそんな風貌の誰かの話を前に聞いたっけ?
確か件のダスクスレイと───
内心少し首を捻りながら、表には出さず

「ええー!!」

唐突なびっくり顔、声もでかい

「女の子と出会ってソッコーで『帰れ』とかなくないー!?」

オーバーアクションで両手の袖をぶんぶんしている
しかもなんかスゴい格好のヒトに諭されるように言われたものだから、驚きである

アレ、見た目の割にマトモ?

ガスマスクマン > 突如、大きな声を出す少女にびくっと肩を跳ねさせる。
なんだろう。自分の正体でもバレたか!?
声色は変えたはず、まさか…と緊張しながら少女の方を向いていたら

「えっ……」

あ、これ、アレだ。ギャルだ。
少女の言葉を聞いて第一に思ったことがそれだ。
ストリートファッションに萌え袖、金髪とくればギャルであることは99%確定なのだが
今の言葉遣いからそれが確信に変わり、マスクの下で困った顔をして

「いや、えっと、だからここは危ないから……」

と、見た目と相反して真面目に諭す。
ここが落第街で良かった。こんな光景、普通の街であれば明らかに犯罪者と被害者の少女だ。
オロオロと困ったように、どうすればいいか若干分からずに言葉を紡いで

ハインケル >  
んん…?
なんだか戸惑っているような、狼狽してるような匂いを感じる…
この問答といい、こんな見た目だけど別にヤバいヒトではない…?

「『危ないから帰りなさい』って言われて帰るくらいなら最初からこんなトコ来ないと思わない?」

小首を傾げなら、問いかけ

「そんでもって、危ないのは知ってるってー。
 ほら、キミみたいな怪しい得体のしれないカッコのヒトもウロウロしてるんだし」

ぴ、と袖の先からちょっと出た指で指差し

「まあキミはなんか、ヤバいヒトじゃないみたいだけど、キミこそなんでまたそんなカッコでウロウロしてるのかね?」

とりあえず、ヤバいヒトは帰れとか言わないよね
だまくらかすなら他にいくらでも言い様があるわけだし…

ガスマスクマン > 「…んん、確かに」

少女の問いかけに面を食らって、一瞬言葉に詰まる。
その後、咳払いして、同意をする。
いや、分かるよ?でもさ、こう、一応女の子にそういうべきじゃないすか?男の子としては?

「怪しい得体のしれない…」

正体を隠すための恰好、と自分も割り切っていたが
いざ面と向かって言われるとちょっとだけ落ち込む。
ま、まぁ、それだけちゃんとバレないように出来ていると考えれば御の字だろうか……?

「あー、正義のガスマスクマンって知らない?
 俺がそれなんだけれども…まぁ、何だろう。落第街をパトロール中……的な?」

自分で言うのめっちゃ恥ずかしいな。
そんな事を想い乍ら、後頭部に手をやって、口ごもりながら答える。
ヤバいヒトで無い、ということは伝わっていてまだよかった…

ハインケル >  
───正義のガスマスクマン
あんまりにもストレートというか、そのままというか…
どうやら記憶にある、斬奪怪盗との一件の当事者であるらしい
なるほどねー、と内心頷く

「へー、パトロール。
 キリがないでしょーに、お疲れ様♪」

へらっとした笑みで、あんまり労う意思のなさそうな労いの言葉
不思議と嫌味も感じさせないのは少女の無垢な笑みや雰囲気も手伝ってのことか

同時に
不穏な気配が消えたのは彼のおかげかな、とも

「でもぶっちゃけビジュアルと名前は選んだほうがよくなーい?
 あ、そーだ…」

クスクスと笑いながら、懐からスマホを取り出して、向けた
少女から伝わる雰囲気…直感的に"撮られる"と感じるかもしれない

ガスマスクマン > 少女の納得した表情に、細かい説明が省けたと安堵する。
斬奪怪盗と刃を交えたことによって、自分の名前は結構知れ渡っているらしい
それが良い事か悪い事かわからないけども……

「あぁ、ど、どうも、ありがとさん…?」

無垢な笑みと雰囲気を纏ったギャルに労いの言葉を掛けられて
多少、女子に耐性が付いた彼でもギャル相手にはちょっと動揺して、言葉が詰まる。
だが、動揺を悟られないためにもなんとか気合を入れなおして

「いやな…名前は、あの時咄嗟に出たもんが広がっちまったから…
 ビジュアルは…皆まで申すな」

クスクスと笑われたら、マスクの下で苦い顔をして、弱ったようにモゴモゴと言い訳をする。
両手の人差し指をツンツンとして言い訳をしていれば、スマホを向けられていて
撮られる、と感じたものの咄嗟の事でどうすればいいかわからずに写真を一枚、撮られてしまう。

ハインケル >  
動揺は、少女がそういったものに対して鋭いのもあり、ビンビンに伝わっているのだけど
うーん…なるほどなるほど
正義のガスマスクマン、思ったよりもこう……

「あはは、キャラが立っちゃって、
 後には引けない感じになっちゃったヤツ?」

ぱしゃり、写真を一枚
噂のガスマスクマンをチェキった

「えへへー♪
 撮っちゃった、ツーショットもいい?
 ほら、正義の味方さんなら、今後もっと有名になるかもしんないしー♪」

無警戒に歩み寄る少女
敵意も悪意もそこには感じることはできない
隣に歩み寄れれば自撮りポーズでもう一枚、撮らせてもらおうと

「でも、どーしてわざわざそんな危険なことするのー?」

そして、素朴な疑問を投げかける
パトロールなら風紀委員だってやっている
任せておけばいいのに、なんて

ガスマスクマン > 「あぁ…うん。そういう感じ」

チェキられてどうすればいいかわからずオロオロ。
正体がバレることに繋がりかねないため、写真は削除してほしいが
陽キャの行動に圧倒されるばかりで、どうすればいいか分からずに動揺して

「え、あ…んん、い、良いけど…」

少女に歩み寄られて、かなり動揺して心臓がドキドキと鼓動が速くなる。
ツーショットを求められれば悪い気はせずに、少女と目線の高さを合わせるために膝を曲げて
指を立てて、ピースをするだろうか。

「風紀委員会も人手不足だ。全ての人を助けられるわけじゃない。
 それでも、困っている人はいる。そういう人たちを放っておけないんだ。

 …なんていうと臭いだろうから
 『趣味』という事にしといてくれないかい?」

少女の素朴な疑問にカッコつけながら答えようとしたが
途端に恥ずかしくなって、誤魔化すように後半の言葉を付け加える。
自分の行動なんて、『正義の』なんて名乗って困っている人を助けてはいるが、所詮は『趣味』と一言で片づけられるものなのだ

ハインケル >  
無遠慮に歩み寄る少女
ガスマスクマンの動揺など意に介した様子もなく
いえーいと横ピースで自撮りモード、ぱしゃり
ツーショットまでも撮られることに
ガスマスクマンもピースしていることに気づけば「ノリ良いじゃーん!」と肘で軽く小突いてくる始末だった
そしてそんな距離感のまま…

彼の語る言葉を、少しだけきょとんとした顔で少女は聞いていた
彼は風紀委員だけでは届かないところに、手を届かせようとしている…つまりは、そういうコト
やや照れくさそうに、趣味だと付け加える様はどこか愛嬌すら感じてしまう

「そうなんだ。でも、危ないからちゃんと気をつけてね?」

それは異能犯罪や、この街の治安の悪さだけに留まらず…

「出る杭を打とうとする、キミの『敵』って、きっと一杯いるよ~」

ね。と
その胸元を指で突くようにして少女は軽やかにステップを踏んで距離を取る

「特に油断トカ…、女の子にはご用心…?ふふ♪」

動揺を見透かし、小悪魔のような笑みを浮かべる少女

「あ、私ハインケル!
 このへんたまにうろうろしてるんだー。
 また会うかも?でも覚えても覚えなくってもいいよー♡」

ガスマスクマン > 無遠慮に歩み寄る少女に動揺が隠せない。
ツーショットともなれば少女と身体が触れ合うし、何だかいい匂いが漂う。
これが陽キャか…と少女の行動を恐ろしく感じているまま、撮影が終われば肘で軽く小突かれてビックリ。
「あはは…」と乾いた笑いをするしか出来なかった。

「…自分より一回りも小さい女の子に言われると違和感がすごいなぁ…」

頬、と言ってもガスマスクの上からだが、その部分を人差し指で掻くような動作をして、返答する。
自分の真意を見透かされているような気がするが、そんな事よりも少女との距離が気になってしまって
若干身を引く。そういう動作が愛嬌を感じる要因になってしまうとも知らずに

「それは……そうかもしれないね」

面白半分でリスクある行動を取ると、しっぺ返しは必ず来る。
ガスマスクマンを恨んでいる存在は少なくはない。
いつ、自分の行動が後悔に変わるかは…わからないけど

「んん…ハインケル、ね。か、可愛いから、覚えておくよ…!」

指で胸元を突かれ、小悪魔のような笑みで揶揄われる。
鼓動は早くなり、動揺は隠せないところまで出るが
何とか、相手に仕返ししようと、揶揄うように言い放つ。

ハインケル >  
「キミより小さいかもしれないけど、危険だってわかってて此処に来てる女の子だよー?」

何かしら"ある"というのを匂わせる言葉
それは異能か、あるいは特殊能力か
そこまでは口にしない少女、ハインケル

そろそろ行こうかなーと思っていると、
なんだか吃りつつも『可愛い』なんて言葉が飛んでくる
ハインケルはぴたりと止まって、少しだけ驚いたような目を丸くしたがすぐに

「ふふっ、かわいい? ありがとね♪」

からかうような色の見えた言葉を素直に受け止めて、
うってかわった少女らしい笑みを残して踵を返す

「じゃー、またね♡
 頑張ってねー、正義のガスマスクマン♪」

ぶんぶんと片手の袖を大きく振ると、まるで風に乗るような軽やかさで、少女は路地を駆けてゆき
翠色の魔力の残滓をその足跡に残しつつ、あっという間にガスマスクマンからの視界からは遠ざかっていってしまった

───……

─…

「ふーん、ほー、へぇ~。
 彼が噂のガスマスクマンかぁ~。
 要チェックチェック、…と♡」

風を切りながら、手元のスマホに映るツーショット写真に視線を落とし、少女はやはり、笑みを浮かべていた

ガスマスクマン > 「分かってるさ。『普通じゃない』って事でしょ?それは十分に理解しているよ」

少女が普通ではないのは分かっている。
異能なのか魔術なのか、特殊能力なのか。
それは分からないが、落第街を生き残れるだけの強力なモノを持っていることには気づいていて。

「お、おう…」

ぴたりと止まり、少女らしい笑みを浮かべられれば
自分の言葉が全く効いておらずに困惑。それどころか更に可愛い笑みを引き出してしまった。
陰キャにこの笑顔は効く。

「あ、あぁ、またね?
 ありがとう。き、気を付けてな?」

片手の袖を大きく振る彼女に合わせて、自分も小さく手を振れば、あっという間に路地を駆けて消えた少女。
ぽつんとその場に取り残され、魔力の残滓を足跡から感じ取れば、やっぱり普通じゃないと小さく漏らす。

それよりも…

「陽キャには、やっぱり勝てないな…」

自分がマークされているとは知らずに暢気にそんなことを考えて自分も歩く。
もう少し、少女のようにグイグイと来る人相手への対処法を磨かねば…と考えるガスマスクであった。

ご案内:「落第街 路地裏」からハインケルさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からガスマスクマンさんが去りました。