2022/01/10 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
さてさて、新年もあけまして学生も再び色々と動き出し
今日は落第街方面への警邏のお仕事
主に一般生徒が立ち入らないように歓楽街との境界線とかそういうところを見張るのがメイン
それでいて、落第街"内"を見回る風紀委員から騒ぎなんかの連絡があれば、そっちの対処に呼ばれて駆けつけることもある
これも風紀委員の役目
学生が社会の中核たるこの島ではこういった危険も若いうちからついてまわるのである

とはいえ夜間でもないし、まだ日が落ちる前程度の西日が眩しい夕焼け頃
入り口付近見回る程度なら新年からそんなに物々しい装備はいらないよね───と

「(思ってたんだけどなー!!)」

路地裏に投棄されたドラム缶に背を預け、身を隠す風紀委員、凛霞
キュンキュンと風を切り裂く音に混じってドラム缶を揺らして派手な音がする
中身は何か知らなかったけど多分水、おかげで裏まで貫通してくることはないね、ラッキー

そんなわけでなぜか、銃撃戦の渦中にいた

伊都波 凛霞 >  
目の前には負傷した2名の風紀委員
自分と共に警邏中に連絡を受け急行した…はいいものの
武装した違反部活を相手取りそれぞれ腕と足に銃創を負ってしまった

「(幸い弾は貫通して太い血管は外れてるみたいだけど…)」

どの道止血は必須、それをしながら立ち回るのは難しい
応戦している他の風紀委員も、異能だけでは手に余している様子だった

そうなればしょうがない、と腹をくくる
現実、今此処で一番動けるのは自分なのだし

「──注意引くから、二人とも安全なラインまで下がって!」

いい?と視線で強く念押し、そのまま弾丸の飛び交う路地に踊り出た

伊都波 凛霞 >  
駆け出して、すぐ
此方に銃口を向ける違反生徒の姿を確認
数は、5…6
異能でなく銃のみで武装は珍しい、けど
銃は簡単に個人の戦力を底上げすることが出来る
弾さえ確保できるなら…異能無しでこの街に流れた二級学生にはうってつけ、なのかもしれない

「──………」

以前違反組織に潜り込んだ時にも、その密造場所は特定できなかった、が
現実にああいった銃で武装した違反組織員がいることからも考えて、
確実に落第街にああいった銃器を流通させている連中は存在する
……なんてことを、銃口の向きから弾道を回避しつつ考える

…?以前よりスムーズに読み切ることが出来ている気がする

「…散々な今日だけど、頭は冴えてるかも…ねっ」

飛び込むようにして、廃ビルの影へと身を隠す
さて、目は引けたし相手が女であることも理解ったはず
これで油断して近づいてきてくれたら、仕事が楽になるのだけど

伊都波 凛霞 >  
しばし息を潜めてみる…が

「(さすがに警戒されてるかな)」

時々壁を掠めるように銃弾が飛来する
相手がなにかしらの異能を所持している可能性もあるし、
こちらから迂闊に近づくのはちょっとなぁ、と思いつつ

それでも向こう側の何人かは、最初に連絡をいれた風紀委員のほうへと向かったらしい

そういうことなら、と
そっとスカートの裾から取り出したるオートマチックを片手に、セーフティ解除

レイチェルさん程じゃなくともそれなりに銃器の扱いには覚えもある

「3……」

様子を伺い

「2……」

周囲を確認

「1……」

呼吸を整える───

「ゼロッ!」

同時、飛び出して銃を構えた

ご案内:「落第街 路地裏」にガスマスクマンさんが現れました。
ガスマスクマン > 『ぐあっ!』

『なんだコイツ!!だはぁっ!』

銃声と閃光が複数。
そして違反生徒のモノであろう声が路地の先の暗闇から鳴り響く。
銃のマズルフラッシュによって一瞬映しだされるのは、銃を放つ違反生徒に相対するガスマスクの男。

殴打するような音が数回鳴り響いたら、先ほどの抗争が嘘だったかのように静かになり、足音が鳴り響く。

ポニーテールの少女が銃を構えた方向。
そちらから、ガスマスクの男が現れる。
コートは返り血で染まっており、その両手はそれぞれ違反生徒の服の襟を掴んで引きずっている。

ただならぬ気配、雰囲気を醸しだしながら、風紀委員の彼女と相対する。
これは、このまま戦闘に……


「ちょ、ちょっと、撃たないで!」

……入らず、渋く野太い声でそのように告げる。
こちらに銃を向ける女性を確認すれば、ビクッと肩を跳ねさせて
違反生徒から手を離して両手を上げる。
その野太い声に似合わず、言動が情けない。

伊都波 凛霞 >  
「──あれ?」

飛び出し、銃を向け──
トリガーに預けた指を引こうと思えば、目の前には想定と違う光景

こちらに銃を撃っていた違反生徒は倒れているし、
なんならもっと武装しているようにも見える男がその両手を挙げている

しかも撃たないで、などときたもので…

「…そいつらの仲間、じゃなさそう?」

え、じゃあ誰なのこの人…
凛霞は訝しんだ

ガスマスクマン > 昨日に引き続き、落第街をパトロール中。
異常な発砲音を耳にして現場に駆け付ければ銃で武装している違反生徒の姿が!
これは違犯部活同士の抗争か?と思ったが、やけに激しい。

そこで武力介入を行ったのだが…なんと、片方は風紀委員だった。
手汗冷や汗をダラダラ、固唾をガブ飲み、心臓をドキドキさせながら相手を見据える。

「あ、そう……っすね…この人たちとは初対面です、ハイ…」

相手の動きを見て、出来る奴だ、と察すれば
戦闘とか、逃げるとか、そういう強引な方向は一旦避けて
対話に持ち込もうとする。勿論、正体をバレてはいけない…なんとか取り繕わなければ

伊都波 凛霞 >  
「………」

じっと視線を向けて、倒れている違反生徒を見る
とりあえず、狂言や縁起で身体を横たえているようには見えない

「ええと…初対面で無関係?」

小さく首を傾げる
言ってみれば違反生徒よりも怪しい彼
銃は向けたまま、一応降ろさないまま

「一体何者?」

こちらのことは制服で風紀委員だと理解っているだろうし、と名乗りはせず

ガスマスクマン > (うっ…)

思いっきり警戒されている。そりゃそうだろう。
風紀委員と違法部活の抗争に割って入る個人。しかも片方を一気に潰した、となると
風紀委員的には最大の脅威、となるわけだ。

いつも通り、という風にはいかないなと手を挙げながらため息を吐いて

「良くぞ聞いてくれた!
 我は、落第街に巣くう闇を葬りし者!
 人呼んで、正義のガスマスクマン!!だ!!」

名前を聞かれれば、手をババっと動かして忙しない自己紹介をする。
ダスクスレイとの一戦以降、少しずつ落第街でも知名度が上がってきた。
…いや、知名度を上げたいわけではないのだが。

ともあれ、この名前を相手が知っているかどうかで対策が変わってくる。
変なキメポーズを取りながら、彼女の動きを観察して

伊都波 凛霞 >  
「…ガスマスクマン。
 えっと、こちらとしては助かった、んだけど……」

そういえば報告書で見た覚えがある
目撃情報と容姿も…まぁ一応合っている、けど…

「お礼を言うのは後にさせていただいて」

銃は、まだ向けたまま

「とりあえずマスクは外して、持っているなら学生証も提示してください」

淡々とした声と事務的な言葉は、あまりにも慈悲を感じさせなかった
いや、当然といえば当然の対応なのだけど……

なんというか、真面目なのだった

ガスマスクマン > 変な自己紹介に怪しまれるものの納得している様子。
あぁ、一応、何かで自分の事を知っているようで安堵する。
それなら話が早い。じゃ、自分はここら辺で失礼して……

「えっ!?」

お礼を後回しにされて、銃を尚も向けられる。
反射で両手を挙げて、ヒヤヒヤしながら相手の発言を待つ

「…嫌です、と言ったら?」

マスクを外して学生証の提示?
はは、終わる。そんな事したら確実に。
絶対に嫌だが、念のため拒否したらどうなるか聞いてみる。

そういえば、この人。どこかで見たような…
確か風紀委員の…落第街の抗争とかで……

伊都波 凛霞 >  
「拒否は…」

「初対面らしい相手をボコボコにした
 ガスマスク姿の不審者…みたいな感じの扱いになるんじゃないかな…」

割とそのままのことを言う

彼の行動自体はこの銃撃戦を一旦の終わりに導いた
それ自体は治安の観点からは称賛されるべきこと
方法が暴力的であれ、結果を見ればという話

ただし銃を持った違反生徒を瞬殺して見せたその個人戦力
その正体が不明のまま何もせず見逃した、と報告に記すことは出来ないだろう

「……何か理由があって顔を見せられないなら、一応話だけは聞くけど…」

どう?と
まだ銃口は向けたまま、真面目である

ガスマスクマン > 「不審者……」

昨日は怪しい得体のしれない人。
そして今日は不審者。
ま、まぁ、分かる。夜道にこんな奴いたら普通に怖いし通報案件だもんね。

…とはいえ、厄介なことになった。
これは戦闘も視野に入れて駒を進めないと自分の正体がバレる。
いきなり襲うという選択肢は排除するとしても、何とかして切り抜けなければ…

「フフ、そうだな。顔を『見せない』のではなく、『見せられない』のだよ」

クックックと笑いながら、少女を見据える。

「このガスマスクは呪いの品でね。こいつを被ってしまったが最後。
 『正義を執行しろ』という声が頭の中で鳴り響き、悪を断罪しなければ身体が爆発四散してしまうのだ!!」

切り抜けるための方法その1。嘘設定を追加する。

伊都波 凛霞 >  
「(…急に笑い出した……)」

さっきまでの雰囲気とはうってかわって、急に不敵な話し方をしはじめるガスマスクマン…

呪いのマスクであり、悪を断罪しなければ身体が──
どうにも言い訳くさい気もするが、凛霞はゆっくりと銃を下へと下げる

そしてゆっくりとその視線を、地面に横たわる違反生徒達へと向け、歩み寄る

「ちなみに、ご飯とかどうしてるんです?」

質問は続けながら、大丈夫かな?死んでないかな…と彼らの様子を見て

ガスマスクマン > フッフッフと不敵な笑いを続けるガスマスク。
内心はこんな感じ

(やばいどうしよ!?変な設定追加しちゃったわ!!
 ダスクスレイの真似したつもりだったんだけど通じてるかな!?)

と心配したものの、何とか銃口を下ろしてもらって安心。
言い訳臭いと見破られてることも知らず、自分の名演技が通じたと思考してガッツポーズをとる。

「ふふ…流動食だ!!」

腕を組んで、バンっと言い放つ。
が、突如歩み寄ってきた彼女に警戒をしつつ、驚いた様子で身を引く。
大きい。なんだこの人!?自分の恋人よりも(一部)大きい気がするぞ!!?

おおおお、落ち着け。落ち着け、といった様子で胸に手を当てて深呼吸する。

ちなみに違反生徒達は全員無事。
出血はしているものの大事に至ってはおらず、全員気絶しているようだ。

伊都波 凛霞 >  
「へぇ~……毎食…?大変そう…。
 お風呂もトイレもずーっとそうなんだ?」

話半分に聞きつつ、違反生徒達の無事は確認
不器用な人間なら加減一つ間違えればこうはならないのだから、
それなりに戦闘に慣れているのだろうことがわかる
正義のガスマスクマンとして、悪に鉄槌を下してまわっていることの信憑性が少し上がる

そして彼の内心を知る由こそないものの、動揺は伝わる
なぜ動揺をしているかまでは当然わkらないけども

…どうも不審というか、怪しさが拭えない……

応援を呼んで違反生徒を確保かな、と思いつつ

「とりあえずガスマスクを外せない理由はわかったので、じゃあ学生証出して。もしくはお名前」

くるりと振り返り、にこりと笑みを浮かべて
ガスマスク脱げなくてもそれはできるよね?というオーラをビシバシ感じる

ガスマスクマン > 「…そうだ!」

風呂もトイレもずーっとガスマスク付けている光景を思い浮かべて
滑稽だなと思うものの、自信満々に頷く。
一応、深く追求してこない辺り、何とか少しは信頼して貰えたようだ。

しかし、相手の表情から、自身を怪しいと感じる思考を何となく読み取って
更に信頼して貰えるにはどうすればいいか考える。

「…!
 フッフッフ…私は既に学生という身分と名を捨てた者だ…!
 だから敢えて、改めて言わせて貰おう!正義のガスマスクマンであると!!」

にっこり笑顔が可愛い。
じゃなくて!無理無理無理だって!
学生証と名前はアウツ!試合終了!一発退場!
ともかく、正義のガスマスクマンという設定を貫こうと、彼女のオーラに負けずに頑張る。

伊都波 凛霞 >  
「…あの、正規の学生じゃないとなるとまた話が変わってくるんだけど、大丈夫?」

落第街に出入りしているわけだし
一応暴行…ということにもなるし…

うーん、この…その場しのぎ感
笑顔は崩さず、ちょっと困ったように眉が下がる

まぁ、それは置いといて、と

「えーと、じゃあ事情はわかった…わかった?…ので、
 詳しいコト聞くのに風紀委員本庁まで一緒に来てもらおうかな…」

再び違反生徒達へと視線を戻して

「あ、伊都波です。はい、違反生徒の身柄を確保するのに数名応援お願いします、場所は──」

懐から通信端末を取り出して淡々と連絡をしはじめた
とりあえず倒れている生徒の人数と場所を伝え、くるりと振り返る

「すぐに風紀委員の車両が迎えが来るから、ちょっと待っててね。正義のガスマスクマンさん」

ガスマスクマン > 「…………」

確かに。
悪手だったかと頭を抱える。
笑顔は崩さすとも困った顔をしているのは分かる。
なんというか気まずい

「!
 いやいや、それは…」

これは、ちょっと署まで来てくれる?案件!
そんな事したらいよいよ正体を隠せなくなる。
いよいよ強硬手段に移るしかなさそうだ。と思考していたら

(伊都波……!この人が…!)

伊都波 凛霞。特務広報部による違反組織への攻撃の要因になった人物。
この人の救出という体で攻撃が始まって一体何人が……

「……それも、断る。と言ったら?」

突如、声色と少女を見据える目が変わった。
きっと少女にも事情があったのだろう。それは理性では分かる。
だが、理性だけではこの殺気は隠せなかった。

伊都波 凛霞 >  
「…何か、断らなきゃいけない理由が?
 えっと…一応助けてもらったことになるからお礼もしないとだし」

首を傾げる
が、すぐに漏れ出しているその殺気に気づく
明らかに直前までと空気が、変わった

「……どうか、した?」

警戒
一歩、後へと下がる

ガスマスクマン > フラッシュバックする。
硝煙、炎、爆音。
人々の悲鳴。瓦礫、巻き上がる塵。
そして死、死、死。

あぁ、その原因が―――――――

(落ち着け、大丈夫だ…落ち着け…!)

自分の胸をぎゅっと掴んで、止まっていた呼吸を再開する。
ガスマスクの下で汗をかき、呼吸も心拍数も速くなっていて
何とかそれを落ち着かせようと、壁に手をついて

「いや、へい、き…だ。
 ちょっと疲れているだけ、だ…」

彼女のせいじゃない。彼女のせいじゃない。
そうだ。そのはずだ。自分を抑えるにはそう自分に言い聞かせるしかなくて
何とか、平静を保とうとする。

「…お礼はいい。結構だよ。
 伊都波 凛霞」

数秒後、やっと呼吸も脈も安定して、落ち着いた様子で彼女を見据える。
今更どう思われているか。そんな事気にする余裕はなかった。

伊都波 凛霞 >  
明らかに様子が尋常じゃない
壁に手をつき、荒く呼吸をしているように見える

「平気、って。とても大丈夫そうに見えないけど…」

心配そうに歩み寄ろうとした、足が止まる
それは、唐突に名前を呼ばれたからに他ならない

「え…私のこと、知って…?」

風紀委員として落第街で活動する機会も多い
知られていても不思議ではないけど…それならもっと早く…

様子の豹変した彼に、そしてなぜか名前"だけ"を知っているらしいことに少しばかりの混乱を覚えながら

ガスマスクマン > 「やめてくれ、寄るんじゃない。
 この距離だ。この距離がいい…」

何とか落ち着きはしたが、歩み寄ろうとする彼女に掌を向ける
彼女が近付いたら、またあの光景が蘇ってしまう気がして
目の前の、正しい心を持った彼女を全力で『否定』してしまいそうになる。

「…知ってるよ、有名人だから。
 とはいえ、名前と所属だけどね…」

風紀委員の伊都波 凛霞。
学園では成績優秀スポーツ万能容姿端麗の神童、高峰の花、完璧という事で有名。
自分とは正反対の存在だ。それに劣等感を抱いているわけではない。

彼女はきっと精一杯やったのだろう。
危機を回避するために一生懸命尽くしたのだろう。
だけど、その結果が『アレ』だ。だから、彼女を素直に受け入れられずに居た。

彼女の努力を考慮して、優しくできるほど、この青年は大人ではなかった。

伊都波 凛霞 >  
「………」

手を伸ばしかけて、やめる
様子が心配だったが、…近づかなければ平気らしい

──有名人
彼の中では、どういったことで名を覚えられているのか
気にはなったけれど…先程までの様子を見るに、問いかけることは出来なかった

互いに近寄れず、近寄らず
それ以上何か、声をかけることもできずに

…やがて、風紀委員の車両が近くに来たことを知らせる、サイレンが聞こえて

「……正体を隠したいなら、早くここから離れて」

そう言って凛霞はその視線を彼から外す
不自然なまでの誤魔化しは不審ではある、けれど
それ以上に、濫りに踏み込んではいけない部分が人にはあることも少女は知っている
彼の様子が変わったことで、その奥にある闇の存在を察したのかもしれない

ガスマスクマン > 自分が制止すれば、近づかずに立ち止まってくれて
そのことに少し安心する。
優しい、はは、そういう噂も聞いたっけ。

そんな事を思っていれば、サイレンが聞こえる。

「……ありがとう。

 …さらばだ。
 いずれまた、どこかで」

彼女の言葉を聞いて、一瞬驚いたように固まるがこれ以上野暮なことは言わずに。
首の機械をいじって、『自分の声』で感謝を伝える。
その後は、渋めの野太い声に戻って、別れを告げる。

自己満足。それで片付けられてしまうことだが
少しでも彼女に『本物の自分』で向き合いたくなった。

小さく屈めば、地面を蹴り上げて大ジャンプし、壁を蹴ってその場から跡形もなく消えた…

伊都波 凛霞 >  
「………お礼言えなかったな」

飛び去る彼を見届けて、小さく溜息
逆にお礼を言われてしまった
見た目を隠し、声まで変えて…
彼がその正義を貫く理由は何だろう、と
しばらく彼の去った空を眺めていた

やがて応援の風紀委員達が現れ、共に車両で帰還する
無論報告書を書き上げ提出することになる、が

その報告書内に彼…正義のガスマスクマンのことが書かれることは───なかった

ご案内:「落第街 路地裏」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からガスマスクマンさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に羅刹さんが現れました。
羅刹 > 路地裏から路地裏へ、慣れた様子で歩く男
変装などしておらず、短い金髪を揺らしながら歩く

…既に顔も知れ渡っていることだ、危険を避けるのなら外へ出ずに引きこもっている事が最善だ
そして、最善策を取り続けていいのならそうするが
残念ながら、通信技術が発達した今であってもそれを信用できずに直接会うことを条件とする者が居る

一つの組織で全てが可能となるわけではない
下部組織を持っていようと、外との繋がりは必要である
例え、一度自分のプライドを下げる様な行為を行ったとしても、取り込む必要がある

「…交渉には向かねえ奴らばかりだしな…」

以前であれば、焔が一応はそういった事も出来たのだが現在は任せにくい
突然の銃弾に倒れる可能性すらあるが、それは今更だ
正体不明の暗殺者に会っても尚生き延びた理由は、もう少し働けということだろう

そう呟きながらも、整備されたというには遠い、瓦礫が転がる道を歩く
口元に煙草を持っていけば、まだ両腕には痛みが残る
血こそ出ていないが、深く刻まれた傷は疼痛を持ったまま
ただ、それも慣れてはきた。動作に不審を抱かせる事は無いが…治癒が出来る者でも居れば勧誘するか、などと

取り留めのない思考を巡らせながら、足だけは目的地へ向かっていく
…そこにたどり着いたとて、1時間前には連絡がついたその組織が残っているかわからないのがこの街の常ではあるのだが。

羅刹 > 小さな瓦礫を歩行の勢いで蹴りながら、暗い路地を進む
生きているか死んでいるかわからない男が倒れているが、日常の一部だ

「――――――………………………」

そんな日常を、救うなどという大それた考えは抱いていない
幻想を抱くには、男は歳を取りすぎた

ただし、その幻想の一端
この状況を変える為にあがくことまでは、諦めはしない
その為には、この歩みを止めることはない

警戒はしつつ、歩みを進める

ご案内:「落第街 路地裏」にフィーナさんが現れました。
フィーナ > 「買い物終えたと思ったら、これだ」
轟音の鳴り響いた通りから慌てて逃げるように飛び出してきた人陰。

その姿は小さく。
その身に纏うは漆黒のドレスと、全身に至る刺青。そして身の丈に合わぬ魔術用と思しき杖。
そして、地に足を付けていない特異。
どう控えめに見ても落第街はおろか歓楽街でさえ目立つ容姿だ。

落第街にある地下闘技場を知っている者なら、長らく行方不明になっていた『フィーナ』という名前にたどり着くかもしれない。

『厄災』を知る者ならその瓜二つな姿に驚くかもしれない。

羅刹 > 轟音と共に、何者かが飛び出してくる
そういった音自体も珍しい事ではない
何かが爆破されたり、あるいは異能による爆破ということもあるだろう
けれど、男を驚かせたのは何よりその容姿であった

切れ切れの断末魔から得られた微かな情報たち
そこから得られた容姿と情報上は一致していたからだ
しかし、そうなるとここで既に男としては詰みである

情報が正しければ、出会った時点で敵対者は死ぬのだから

逃げるのが最善…と言いたいが厄災と同じ存在であるならそれも無駄だ
抵抗も逃走も許されないことは既に実証されている
だから、男にできたのは

「――――――………………………」

諦めと共に、せめて厄災を逃走に追いやるような何かを確認し、組織に伝えようとすることだけであった
だから、飛び出してきた人影を敢えて無視し、通りに出る

フィーナ > 「あ、危ないですよ、そっち」
何故か轟音…正確には70口径もの銃弾が撃ち出される音の方向へ向かう人物へ声を掛ける。

ただ、声を掛ける事しかできない。相手がどんな人かは知らないし、自ら渦中へ飛び込む人間を止めても無駄だと知っているからである。

此方を『厄災』と断じているのなら、声を掛けておきながら害が及んでいない事に疑問を持っても良いかもしれない。

羅刹 > 無力化されたと聞いたが、また力を取り戻したのか
それは不明だが、一先ず通りへ出てみれば
巨大な砲塔ともいえる口径の銃弾が向けられているのを見る

ただ、その程度でどうにかなる相手とも思えなかったが
横から厄災に襲われないのならば、無暗に散ることもないだろう
その砲塔が発火する前に、元の裏路地へ戻れば、瞬間、また轟音
無数にあるクレーターが更新され、地響きが鼓膜を揺らす

あれほどの武装を持った組織があったかと、思考を巡らせる
しかし、いくら考えようとも答えは出ない
蜥蜴の様に隠れ住んでいる者も多数居るだろうから、だ
応援を呼ぶにも、動ける人材は限られる
むざむざあの砲火に晒す前に、策を練らなければならない

「…。どういう状況だ」

逃走してきたとはいえ、切羽詰まったようには聞こえない制止の声をかけた相手に対して
壁に背を預けて向こう側を伺いながら、それに聞く
殺されないのであれば、利用するまでだ

フィーナ > 「知らない。聞いた感じ捕り物っぽいけど。面倒に巻き込まれる前に離れた方がいい」
路地裏から僅かに見える、片足が吹き飛び、もう片足をナイフで地面に縫いつけられた男を指差して。
先程の轟音は、この少女ではなく、彼に向けて放たれたものらしい。

「よくある落第街の日常。私は買い物してて、轟音に追い出された。これで良い?」

落第街で買い物をする辺り少女もまともな身分では無さそうだが、敵意は無さそうだ。

勿論、警戒をしていないわけではなく、杖には魔力が込められてはいるが。

羅刹 > 「離れるにしても、戻るしかねえか」

進む道は、どうしようもない騒ぎに巻き込まれている
だから、男としても目的を破棄して戻るしかない
取引先の信用を失うのは最悪に近いが、それもまた仕方のない事だ

「どうなってんだか。…お前、あのくらいなら軽くノせるんじゃあねえのか?」

会話が通じるのなら、男の領分でもある
騒がしい通りを避け、元来た道を戻ろうとする
だが、その前に

一言、聞いておきたい
その答え次第で、疑問は払しょくされるだろうから

フィーナ > 「不意を取れるなら出来なくはないけど、正面切っては無理。あの銃撃を防ぐ手段は…あるにはあるけど。銃撃を防げるほど人の反応は早くない」

事実として、人間の反応速度はどれだけ早くても0.1秒以上掛かる。その反応をする間にライフル弾は100m程進み、対象を貫徹していく。見てから反応するのでは遅いのだ。

そして、彼女の言葉を鵜呑みにするのならば。
『厄災』は少なくとも不意を打つようなことはしておらず、認識する事で害を振りまかれていた。

現実的な戦法を提唱する目の前の少女とは、大きく違う戦い方になる。

ご案内:「落第街 路地裏」にフィーナさんが現れました。
羅刹 > 「…普通はな。
俺の知ってる情報じゃあ、対兵器用ライフルを受けても平気な奴も居た。一応確認だ」

情報は更新されなければならない
ならば、少なくとも目の前の少女は似て非なる者なのだろう
警戒は続けるが、少なくとも今どうこうする理由はない
…姿かたちが似ているだけで復讐を考えるほど、暇でもない

「だが、それなら確かに逃げ一択か
享楽目的か、何か別の目的かは知らねえが巻き込まれて死ぬ理由はねえ。…じゃあな」

戦う理由がないのなら無理に突破することもない
自分の能力を明かす理由もない以上、少女の言う通り逃げるのが良手だろう

落第街の『いつものこと』でわざわざこちらから手を差し伸べる理由もない
一応は逃走ルートを確認しながら、別の通りへ男は向かっていこうとする
男は困っている他人を利益なく助けるほど善人でもない

フィーナ > 「あれを受け止められるのは防御特化の異能者か、それこそ怪異でしょうね」
自分も一つ、耐えられる存在に心当たりがある。人の姿を真似た怪異。人の社会に馴染みつつある怪異。

「同感です。同時に…無関係の人間が巻き込まれないことを祈りますよ。

幸運を。」
そして、フィーナは自分の逃走ルート…上空へとその身を浮かせていく。

ビルの高さほどになると移動を始め、すぐに見えなくなった。

羅刹 > 「……空を飛べる、か。」

詳しい能力を聞く余裕がない場面ではあった
少なくとも、災厄とは別存在であることがわかっただけでも収穫か
杖を持っている、という特徴ぐらいしか差異は今のところ見当たらないが、杖を手放さないのなら十分だ

それだけで見わけがつく。
討伐などと言って、余計な労力を割く必要も無いだろう

「…………………………」

男もそのまま、逃走ルートを通り
目的地へは、別日に向かうこととした――

ご案内:「落第街 路地裏」から羅刹さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からフィーナさんが去りました。