2022/09/19 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にハインケルさんが現れました。
■ハインケル >
「うひょおおおああああ♪」
女の子の素っ頓狂な声の響く、真っ昼間の落第街。その路地裏
しかしその声は吹き荒ぶ轟音と、何かよくわからんモノが吹っ飛んでいく音にかき消されていく
そう、嵐です
季節柄というかなんというか
路地裏に吹き込む風の勢いたるや凄まじいもので
「ひえ~~♡」
帽子を片手で抑えながら、嵐の暴風に乗るように愉しげな声をあげて
ハインケルは滑り込むようにして路地裏の一角、屋根のあるスペースに現れた。ずざー
「なんか!嵐が来るとワクワクするよねー!」
雨でぐっしょりな身体をぶるぶると震わせて水気をまわりへとすっ飛ばしていた、犬が如く
■ハインケル >
帽子を脱いでぺぺぺっと雨露を払って
シャツの裾を雑巾のように絞る
じゃぱーっというような勢いでは水出なかった、残念
まぁ肌に貼り付いたままよりは気持ち悪くないのでヨシ
「いや~、たまに来るけど大嵐はキツいね~」
轟々と吹き込んでくる強い風
その風に飛ばされてドラム缶で凄い勢いですっ転がっていったり
荒屋の屋根がぶっ飛んでいったりしている
当たったら痛そう
「こういう日は落第街の住人達はどうしてんのかにゃー」
廃ビルの地下とかに避難してるのかな?
ご案内:「落第街 路地裏」にレオンさんが現れました。
■レオン >
俺、レオン・ゼッファーは生活委員会とかに所属している教師だ。
そんなこんなで『歓楽街の一部地域』の清掃をすることもある。
嵐の日は風紀との連携で見回りをすることもある。
そんな時、路地裏にいる少女を見つけて駆け寄っていく。
「君、強風の日にこんなところにいたら危ないよ?」
左手で身振り手振りをして、
十分に安全を考慮された固定をなされてない篆刻看板があるから危ないとか。
水が溢れる側溝があるから危険だとか。
とにかく話しかけた。
「教師……じゃないよな? 学年は?」
我ながらすっとぼけたような質問をしている自覚はある。
雨はさらに強くなっていた。
■ハインケル >
おや?誰かが駆け寄ってきた
こんな天気の時にお外にいるなんて、ツナギを着ているしきっと外のお仕事の人だ
なんとなくそんなことを思って、オツカレサマデスと内心思いながら見ていると…
なんか喋ってる、手を使って何かを伝えようとしているみたいだった
「えー?なーにー?きこえなーい!!」
すごい風の音に遮られて、いまいちわかんない、こっちからも近寄ってみよう
少しずつだけど声が聞こえてきた、これでも耳は良い方だからね!
どうやら危ないよということで心配して駆け寄ってきてくれたらしい
つまり、いい人だ
「うん!危ないよね!色々飛んでくるし───」
へらへらしながら頷いて、のんびりした様子で同意を返すと
言わんこっちゃない、看板がガコンと外れてすっ飛んできた、が
「あちょーッ!!!」
ハインケルの繰り出したハイアングルな蹴り上げによって看板は暴風に巻き込まれるように天空へと消えていった
「───うっす!普通の生徒です!3年生!」
ほら濡れるよー、と少し雨宿りのできるところに引っ込んでおいでおいで、と
■レオン >
おっと、風音で聞こえないようだ。
すぅ、と空気を吸い込んで。
「雨! 風! 危ない! 家! 戻る!」
なんかカタコトみたいになったな……?
いや、端的に危険を伝えるのって相当難しいぞこの言語……
駆け寄って近くで説明しようとすると。
怪鳥のような掛け声と共に後方から俺直撃コースで飛んできた看板が蹴り飛ばされた。
あんぐりと口を空けて高空へと射出されていく重そうな看板を見ていると。
「え、ああ、三年。三年生はすごいなぁ……」
雨が少し凌げる場所に来て。
「助かったよ、俺はレオン。レオン・ゼッファー」
「どうやら余計なお世話だったらしい」
お礼を言って頭を下げる。
布の水をパタパタとはためかせて弾くと、異形の腕が見えた。
■ハインケル >
「へへ、三年生、凄い?
いやー凄いかー照れちゃうなー。あ、アタシはハインケル!」
レオンくんね、とにこにこ屈託のない笑みを浮かべる
雨風すごいねーなんて、どこか能天気
「余計なお世話なんてとんでもなーい!
余計ってことはプラスだからいいコトだよー、アタシじゃなかったらゲキトツして死んでたかもだし!」
どうにも人懐っこいというか、距離を妙に詰めて話しかけるハインケル
互いに雨に濡れているが、ハインケルと名乗った少女はシャツが随分ぴったりと貼り付いている
…なんかその下に何も着てない・つけてないのでは?ぐらいの貼り付き具合でよろしくないが
本人はそれを気にする様子もなく、覗くレオンと名乗った男性の異形を興味深そうにじろじろ眺めていた
「ねーねー、その腕なーに?さわってもいい?」
気を使うでも遠慮するでもなく、ストレートに聞いてしまうのも少女の性格ゆえか
■レオン >
「すごいと思う………」
真剣に言う。どうしてこんな細身であんなパワーが。
細身………というか、雨に濡れて若干、体のラインが出ている…
距離を詰めるハインケルと名乗った少女に左手の人差し指を立てる。
「倫理!」
何が?
「右腕のことか? ああ……別に面白いものじゃないし、尖っているところもあるが…」
右腕を動かして掌部分を上に向けて差し出した。
異形は雨に濡れて凶悪なメタリックカラーを見せつけている。
■ハインケル >
「りんり?」
首を傾げる
そういったことに無頓着なのか、気にした様子もなく身を寄せる
だって風の音がすごくて近くにいたほうが声がよく聞こえるし…ぐらいの考え
倫理…道徳的ななんやかんやだっけ、うーん、今の状況に何か当てはまるのか少女にはよくわからなかった
「えー!これが面白くなかったら何が面白いの?!
なんかロボットの腕みたいでかっこいいよ!!?」
ほあー、と眼をキラキラさせながらレオンの異形の腕を見つめるハインケル
ビーム出る?ビーム出る?と若干興奮気味にすら見えた
触ってもいいのならぺたぺた手を触れてみよう
「……濡れてるけどサビない?」
■レオン >
「男と女、みだりに近寄る、ヨクナイ」
またカタコトになって一歩下がった。
待て……そもそも男と女である前に教師と生徒ではないか?
邪心を抱いて勝手に一歩下がっているのは良くないのではないか?
しかし。
雨に濡れて輝くような長い金髪。
白磁を思わせる肌に棘のない態度。
「ハインケル……さん」
「実は君は綺麗なんだ、だから男性を勘違いさせると倫理が危ないんだよ…」
大真面目に言い含めた。
「ろぼっと? がよくわからないが……」
「ビームはどうだろうな………」
苦笑いをして触らせるままに右腕を差し出す。
「錆びたり、朽ちるような簡単なものじゃないんだ、だから大丈夫」
■ハインケル >
「ほう…ふむ…うん…」
大真面目に言葉を向けてくださったレオンさん
その振る舞いにハインケルもついついしゃんと背筋を正して聞く姿勢
言葉の端々に頷きと共に相槌を返しながら、最後までその言葉をしっかりと聞いて
「でも寄り添ってないと危ないよ?雨も風も強いよ?
アタシが綺麗?っていうのは嬉しいな~、だけどカンチガイで倫理が…?」
うーん?と首を捻りはじめた
勘違い…男と女…綺麗…みだりに近寄る…
導き出される答えとは…!
「あっ」
ぽん、と手を打つ
「えっちなことね!!!
だったら最初からそう言ってくれればいいのにー、まわりくどいー!」
大声で納得する、まぁ風の音凄いしまわりに人いないし、いいのだろう。いいのか?
そんなこんなでぶーぶーと口を尖らせるハインケルだったが、
レオンさんの遠慮というのは少女にはあまり伝わらなかったらしい、合掌
それはともあれ
「自分の腕なのによくわからないの?
自分で改造したとかじゃないんだねー?」
興味は今はとにかくこのロボットアーム
錆びたりもしないらしい…何で出来てるんだろー…と興味津々
「この島にいると色んな人と出会えるから退屈しないねー♪
今日はロボットの腕のレオンと出会った!」
■レオン >
真面目に話を聞いてくれる……
これは守られる、倫理………
うんうんと頷いていたが。
次にえっちなことね!!!と力強く言われると頭をがくんと下げてズッコケる。
「いいかい、落ち着いて聞いてほしいハインケル………さん…」
「女性にとって大事なことが三つある」
「未来と、貞操と、冬場のお風呂上がりに髪を乾かして体冷えたまま寝るか生乾きで温かいまま布団に潜るかの選択」
これは真剣な表情で生活委員会の女の子が語っていたから間違いないと思う。
「貞操を大切にすることで女性の本質が磨かれるんだよ…」
我ながら胡散臭いなこの語り。宗教か…?
「他人に改造されたモノだから、自分でもよくわかってないんだ」
夏の花が爛漫と咲き誇るような笑顔の彼女に、
ぎこちなく微笑み返して。
「退屈しているのかい? でも、嵐の日に外に出るのは感心しないな」
「この……歓楽街の一部地域? の? 特定エリアには…危険なヒトもいるのだから」
■ハインケル >
「うわあ!?」
急にズッコケた、大雨で地面は大変なことになっているのに!
出会ったばかりの男の人にそこまでされたら、落ち着いて話を聞くしかない
「未来」
「貞操」
「3つ目よくわからないね?」
こくんこくん、かくん?
未来は大事、わかる。明日の有無は誰だって大事だから
貞操が大事…は、わからないようでわかる。大事にしているとなんかいいこともありそう
みっつめはわからなかった風邪ひくかひかないか?
「つまり、えっちなこととか言っちゃいけないってことね」
そんな風に考える人もいる、この場所で出会う男の人だとそういうコト言うの珍しいなあ、なんて
うんうん、と頷いて。せっかく忠告してくれたのだから胸に留めておこう
そして腕のことに関しては…少しだけ裏がありそう
そんな匂いを感じた
「あんまり嬉しくなさそう。
あたしだったらこんなにかっこいい腕になったら大シャギしちゃいそうだけど。
やっぱり実際に腕がこうなると違うのかな~」
ぎこちないほほえみ
心からの笑顔じゃないってことがすぐにわかっちゃう
「退屈してないよー、今日もレオンと出会えたもん。
嵐はほら、なんかワクワクしない?強い風がびゅーって吹いてるとー。
危ない人達はこういう時何してるんだろうねー、地下とかでじーっとしてるのかなー」
けたけた
普通の学生を名乗る少女は危機感や恐怖感を全く感じさせない笑顔で笑う
この落第街と呼ばれる街にこうやって居ることが、どこか違和感を感じさせない
「心配してくれるレオン、優しいねー。濡れてなかったら親愛のハグしちゃいたいくらい」
でも心配はいらないんだよー、と
猛烈な風雨に晒される遊んだ路地を見据える
けたたましい音で物が飛ばされ、転がっていく
「慣れてるから♪嵐は一年に何度か来るもの~。このへんは決まった避難所みたいなのもないしねー」
各々危険を回避できるところに避難しているんだろうねー、と
■レオン >
落ち着け……彼女にとっても大切なことだ…
しかし女性でもなければハインケル本人でもない自分にとって。
永久に真なる理解はできない問題なのも明白……
「すまない、俺もよくわかってない」
走れバカ正直者。この場合はバカと正直者の間に中点が入る。
「そう! そういうこと! えっちなことは大事な人だけとするのがこう…」
「こう………?」
結局のところ、何が問題なのか理解していない俺に問題があるのかも知れない。
そして腕について、嬉しくなさそうと言われれば。
敏い感性に、リグレットを秘めた言葉で返す。
「悪魔の腕だから」
これは悪魔の腕。もう、天国へは行けない。
「そうだな、みんな安全な場所にいるんだと思う」
「それぞれが思う……安全な場所へ」
笑う彼女は本当に強いのだろう。
だから、雨に濡れても、強風に吹かれても。
楽しんでいられる。
──子供の頃は雨に濡れても平気で遊んでいた。
──今は何が違うのだろう。
そんな歌をこの世界で知った。
「倫理!」
ハグに関しては徹底して言い含めた。
■ハインケル >
「でも、レオンはあたしがくっついてもえっちなことしないよね?
じゃあいいじゃん♪そーゆーあぶなそーな人くらいあたしにもわかるしー
──でもレオンが気にするなら、あんまりくっつかないでおくねえ」
くすくす、少しだけ悪戯っぽい笑みを浮かべる
でも改めて自分の格好を見ると確かにちょっとアレかも
雨の日くらいはレインコートくらい着たほうがいいのかもしれない
シャツの下に何かちゃんと着ろ&つけろ、というのはごもっともだけどそれはそれで理由もあるわけで
「学園のまわりに比べて安全な場所も少ないから、大変だよねー」
悪魔の腕だと、それだけを呟くレオン
視線を腕から見上げるように、その顔へと向けて
他人に改造された腕を悪魔の腕と呼ぶ
決して良い意味で使っている言葉ではないだろう
「そっか。ロボットみたいで格好いい~とかって言っちゃったけど、嬉しくないよね、それじゃあ」
帽子を少し眼深に被る
うーん、やっちゃったかな?と
本人が望んでいないものをチヤホヤされたって、複雑だろうことくらいは理解る
「でもあたしは格好いいと思うな、その腕。だって他の人が誰も持ってないんだもん」
「事情はわかんないけど、うまく付き合っていけるといいね♪」
最後にもう一度腕へと視線を戻して、手を触れてみる
硬い、見たままの金属のように感じる感触
体温も感じられないが彼の一部なのは、間違いないだろう悪魔の腕──
望まないモノ
大なり小なり、この島で出会う人は抱えてる率高いなあ、となんとなく思って空を見る
薄暗かった路地裏に、陽光が差し込む
あれだけ強かった風雨も急に落ち着きを見せ、あたりに静寂がやってきていた
台風の目に入った、というやつだ
■レオン >
「俺は先生だからな」
「その気遣い、感謝するよ」
理由になってない理由でえっちなことをしない理由を告げて。
少女の言葉に安心した様子で頷いて。
確かにこの……『歓楽街の管理が行き届いていない一部地域』は。
決して安全とは言い難いのかも知れない。
でも、ここに生きている人々のことを思えばこそ。
生活委員会として、この街のインフラを保ちたい。そう思う。
「いや、いいんだ」
「自分もいい加減、肯定的にこの腕を見たほうがいいと…」
「思っては……いるんだけどな…」
彼女は純粋にかっこいいと思っている。
その感情を否定することは、一人の人間としてかっこ悪いことだ。
「ああ、ありがとうハインケル」
彼女の晴れやかな言葉、空はいつの間にか晴れていた。
「台風の目? とにかく、今がチャンスだな」
「俺はもう行くよ、ハインケル。君も気をつけて」
「退屈を感じる心だって、健全な体があってこそなんだからな」
そう言ってまだ人間の手を振り、その場を去っていった。
■ハインケル >
「あ、先生だったんだ!?
なんかふつーに呼び捨てにしちゃった」
あはー、と愛想笑い
とはいえ学校内じゃないから別にいいかな?怒ってないみたいだし…と楽観的な感じに落ち着く
雨の後のあの匂いに混ざって、複雑な感情の匂いがする
認めなければいけないことだけど、認めたくない
論理的な部分と感情的な部分がごっちゃになった、そんな『普通の人の匂い』がした
それでもありがとう、と言えるこの男の人は『大人』なんだろうなと、そう思う
そりゃそうか、先生なのだもの
「雨あがったねー、風も止んだし、空も雲一つないよーほらー!」
またすぐに風や嵐はやってくるだろうが一時的にしろ、空は曇りなく晴れた
人の心と似てるよね、なんてらしくないことを思いながら、手を振る彼へと手を振り返す
「はーい、学校で会ってもよろしくね♪レオンせーんせ♡」
いつかあの人が悪魔の腕と呼ぶそれを肯定できたら、そっちで手を振る姿も見られるのかな
そんなある意味無邪気なことを考えながら、遠のいていくその姿を見送って
「あたしもかーえろっと、着替え用意してもらわなくちゃ…」
ひゅん、と無風の大気に乗るように跳びあがって、ビルの隙間を縫うように嵐のような少女は落第街の奥に向け消えていった─
ご案内:「落第街 路地裏」からハインケルさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からレオンさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にソラさんが現れました。
■ソラ > 光とは何か?
それはいわば世界の基準点。
この世のあらゆる存在は光を通して初めて認識される。
あらゆるものが光を反射する。
事実、今宵宇宙よりもたらされる月光が
路地裏を照らし、廃ビルを照らし...
密かな取引に臨む怪しい3人組を照らしていた。
光は”ほぼ”全てのものに対して平等に振る舞う。
取引を行う男たちを囲んでいる歪んだ電柱の一つ。
その上に人影。
見下ろすその影は唇を妖しく歪ませる。
■ソラ > 「ねえ。」
耳に良く届くはきはきとした照らすような声色。
発した声は波となって眼下の3人組へ届く。
男達の手に持っているのは珍妙な刻印が彫られた珍妙な箱。
それはこの取引の主役だ。
その中身はアーティファクト、遺物。
魔女が関心を持つもの。
「面白いものを持ってるんだね?」
月夜に照らされ、青く輝く瞳が
3人の男をまとめて射貫く。
男達にとって突如現れた電柱上の女は
混乱させる要素となる。
「それ、あたしにくれない?」
魔女は微笑みながら唇を動かす。
少し戸惑っていた男達はその言葉を受けて
己の役割を思い出す。
箱を置いて胸元から取り出したのは、
落第街に広く流通しているオートマチック拳銃。
実弾が装填されたその銃口が銀色に輝き
魔女へと向けられる。
■ソラ > 「ふうん。」
向けられた銃口に対して、魔女の感情は揺れ動かない。
ただ、向けられた射線に対して視線で見つめ返すのみ。
男達は降りてこい、さもなければ撃つぞと
ありきたりな脅し文句を言ってくる。
魔女の唇から溜息一つ。
「あなた達は弱いだろうから、
こうやって交渉してあげてるんだけどな。」
蒼い瞳を呆れた様子で細ませる。
その言葉を受けた男達は舌を鳴らす。
脳に血を走らせた彼らは引き金に指をかける。
薄暗い路地裏に数発の乾いた銃声が連続して鳴り響いた。
■ソラ > 「へえ。」
魔女は動かない。
放たれた鉛の塊は魔女に届かない。
銃声と共に発されたのは眩い光。
空中を裂いていた筈の銃弾は忽然と消滅する。
マガジン内の弾を撃ち尽くしたのにも関わらず
何の手応えも感じられないその事実が
男達の背中に冷たい汗を流す。
「じゃ、交渉は決裂って事で。」
男達に魔女の冷たい視線が注がれる。
彼女は特に何らかの素振りを見せるような様子はない。
しかし、男達の周囲の空間にはしっかりと確実に異変が迫る。
彼らの至近距離で光が灯される。フラッシュのように炊かれたそれは
男達の目を眩ませ、同時に手先に異様な感覚を覚えさせる。
それはだんだん激しく焦がすような感覚へと。
3人の男はその感覚に等しく耐えられず、拳銃を地面へと落とす。
異様な感覚が抜けた男達は落とした拳銃へ目を向ける。
そこにあったのは拳銃”だった”もの。
高エネルギーで熱されたであろうそれは
ドロドロに融け地面に残る真っ赤なシミとなっていた。
男達は恐怖で目を泳がせる。
魔女が笑う。
■ソラ > 「ねえ、人体とポリマー樹脂ってどっちが融点高いと思う?」
にこっと魔女は微笑みながら男達に質問をする。
彼らは呼吸を荒げながら生物の本能に従って逃げ出した。
取引の主役を置き去りにして。
そんな逃げる彼らを魔女が追うようなことは無かった。
そして足を滑らせながら逃げる男達に魔女はこう言い放つ。
「あなた達のボスに伝えといてよ。あたしは鋭光の魔女ソラ。
面白いものは歓迎するって。」
その声が届いたのか届いていないのかはわからない。
ただそんな事は魔女にとってもどうでも良かった。
立っていた電柱の上からひょいっと飛び降りて、
男達が置いていった遺物が込められた箱を拾い上げる。
■ソラ > 「めんどくさいロックだなぁ。
とりあえず持って帰ろうかな。」
拾い上げたその箱をまじまじと見つめた後に
溜息交じりで独り言を呟く。
「それにしても...
ここは悪くない場所かも。」
蒼い瞳が月光を反射し魅惑的に輝く。
魔女は雲から覗く月をまっすぐに見上げる。
口元に笑みを浮かべながら。
月夜の中、不意に吹いた生暖かい風と共に
いつの間にか路地裏から魔女は姿を消していた。
ご案内:「落第街 路地裏」からソラさんが去りました。